やはり俺が315プロにいるのはまちがっている。   作:Hoffnung

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お待たせしました、いよいよ八幡たちのライブ回です!

作中で使用している楽曲ですが僭越ながら作者が作詞したものになりますので規約には引っかかってないはずですのでご安心下さいませ(クオリティもお察しですが)

一応フルで作ってあるのでご要望があれば何処かにフルの歌詞載せます

また今回も10000字越えの中々ボリュームのある回になっておりますのでその分お楽しみいただければ嬉しいです

ではどうぞ!


第十四話

バックステージから上がったステージからは今か今かと待ち侘びている雰囲気がビシバシと伝わってくる。

スタジオの雰囲気はもう終盤、残すは俺達のステージだけだ。

明かりが照らされていない暗いステージの上で真ん中に立ち、一度深呼吸をした。

 

もう覚悟は決めた、弱音なら事務所のメンバーに吐いた。

 

横には…同じステージ立つメンバーがいる。

 

ちらりと目線を左右に向ける、それに気づいたのか真丈さんからはウインクが返ってきた...相変わらずそんなイケメンにしか許されない仕草が似合う人だ、実際にイケメンなのだから似合うのは当然なのだが。

 

神波さんからは拳を握った状態から親指を立てるサイン、所謂グッジョブって時に使われるサインが返ってきた。

 

少し観察してみたが2人とも前職が人前に立ってパフォーマンスをする職業なだけあって目に見えて緊張をしてる様子はない、むしろ落ち着いているようにすら見える。

 

なんなら2人とも笑みまで浮かべてやがる。

 

...頼もしい限りだ、なら、俺だけがいつまでも委縮しちまってるのは恰好つかないよな。

 

 

『それでは、本日の新人枠!披露していただきましょう!Fantastic Dreamersで"My Story"!』

 

番組の司会者のアナウンスがスピーカーを通じて会場に響き渡る、今立っているステージの上から横目にカメラに写っている俺、いや俺達の姿が見える。

 

目を瞑りゆっくりと深呼吸をする、やることは全部やったんだ。

 

 

後は...ライブをするだけ。

 

 

聞き覚えがあるイントロが会場に鳴り始める、この仕事を受ける前からレッスンで流すたびに体に染み込むように覚えていった俺達のデビュー曲。

 

これをお披露目するのはこの番組が初だ、試聴動画すらまだ公開していない。

 

絶対に、絶対に成功させてみせる、そう改めて心に決めながらも音楽に合わせてスッテプを踏み踊り始める。

 

 

イントロの段階で少し体が温まってきた、この調子なら開幕早々に失敗するなんてことはなさそうだ。

 

 

心臓の鼓動がどんどん早くなってゆく、だがそれに反比例するように緊張感や不安が次々に薄れていく、真丈さんが言ってたじゃないか、俺達なら絶対にこのライブを成功出来ると。

 

 

...なら、信じてみようじゃねぇか。

 

 

そして...ついに歌い始めた。

 

 

 

『ここが正にSTART LINEさ! 向かい風じゃなく追い風なんだ』

 

 

『絶好のチャンスだ さぁ踏み出してみようぜ』

 

 

『やってみなくちゃ始まりもしないから 取りあえず一歩ずつ』

 

 

よし、最初の歌いだしは上手くいった!

 

 

特に音も外しちゃいないし、歌詞だって飛んでねぇし、ステップも踏み間違えていない。

 

 

頼むから、頼むからやらかしてくれるなよ俺...!

 

 

そう思いながらリズムに乗り体を動かし次に備える。

 

 

『うまくやり過ごしても 次はどうするんだ?』

 

 

『そんなの限界があるだろ』

 

 

パフォーマンスが順調に決まっていくさなかにある事を思い始める。

 

それは今俺が感じているステージの事だ。

 

 

マイクへと発した歌声がスピーカーを通じて会場に響き渡っていく、リハーサルの時にも経験した感覚だが本番ではこうも違うのか...!!

 

 

番組側が俺達に合わせて観客たちに配ってくれた様々な色のペンライトの海をみながらそう心の中でそうぼやく。

 

 

Jupiterのライブで感じたあの熱気が、声援が

 

 

 

直にくる...!

 

 

『まだまだ君は進みだせる』

 

 

『一秒毎に進歩するほどの勢いで走りだそう』

 

 

ここからだ...ここからこの曲は真価を発揮し始める。

 

 

音楽のリズムが変わりはじめ全ての楽曲の見せ場、サビへと向かい始める。

 

 

『失敗した昨日の事や』

 

 

『かけがえのない今日という今も』

 

 

『次に進みだす明日へ!』

 

 

さぁ...今からだ

 

俺達3人はより声を大きく張り上げた!

 

 

『始まる物語 in Yourself!』

 

 

『散りばめていこうか Various Colors!』

 

 

『少しずつ進んでいけばいいさ!』

 

宣材写真を撮る際に見たJupiterのライブは今でも覚えている、客席とは違う所謂関係者席、そこで見たライブは圧巻の一言だった。

 

 

確か伊瀬谷をはじめとするハイジョの奴らが騒いでたっけな、あと渡辺さんも。

 

 

あの時感じた会場の熱気たるや凄まじいものがあった、あの人々の熱気が俺達に向いてくるのだ。

 

 

その圧で押しつぶされそう感覚に陥るがなんとか耐えてみせる、もうサビも終わるじゃねぇか。

 

 

...ん?もう?

 

 

もう終わるのか...?

 

 

『おとぎ話のように綺麗じゃなくったって良いから』

 

 

『ずっとあなただけのEpisodeを作り続けていこうよ...!』

 

 

サビが終わった所で音楽が転調し始めた、テレビ特別版であるショートバージョンだからだ。

曲は一気に佳境に入る、ここで特に大きく移動していなかった俺達のフォーメーションが変形する。

 

センターにいた俺の代わりにまず踊りでたのは神波さんだ、神波さんはより一層ダンスを激しくしたかと思うと_____

 

 

 

観客や出演者達の席から驚きの歓声が上がる、神波さんはなんとその激しいダンスの勢いを一切殺さずに両手を流れるように床につきヘッドスピンをし始めたのだ。

 

 

 

その回転の回数たるや一回や二回なんてレベルじゃない、凄まじい勢いで回転し足の位置も上下に、交差する等、単調な動きでは無くそんな激しい変化さえ見せつけた。

 

 

 

更にその勢いを止めることなく床に足をつけ決めポーズ、それに拍手と歓声が巻き起こる。

 

 

続いてフォーメーションが再び変わり前に次に踊りでたのは真丈さんだ、懐からハンカチを取り出すと一度観客に見せつけそして、それを大きく振りぬいた。

 

 

バサバサバサバサッ!!

 

 

またもや歓声が巻き起こった、大きく振りぬいた何の変哲もなかった筈のハンカチから数羽のハトが飛び立っていったからだ。

 

 

真丈さんが訓練した真っ白なハトたちはただ真っ直ぐには飛ばず客席を旋回し飛び回りそしてはけていった、ハトたちに集まっていた観客の注目がステージに戻るやいなや真丈さんはさっきのが挨拶だと言わんばかりに次々とマジックを披露し始める。

 

 

スピーディーにこなしてるのに次々と披露されるマジックはどれもこれも高クオリティのものばかりで披露されるたび仕切りに歓声が飛ぶ。

 

 

そしてマジックに使っていた道具を全てしまい込み綺麗なターンを決めると...ウインクをした。

 

 

歓声、いや黄色い歓声が会場を包み込んだ。

 

 

会場のボルテージは最高潮に達する、人々の熱気が、声がステージの上の俺達にガンガン伝わってくる。

 

 

そして元のフォーメーションに戻る時、それぞれのパフォーマンスを終えた二人と目が合った。

 

 

(後は頼んだよ、比企谷君!)

 

 

(決めろ八幡!)

 

 

そうアイコンタクトで伝えてきた...と思う。

 

 

ここからは俺のソロパートだ、二人のように前職の経験を生かしたパフォーマンスが無い俺の為にと3人で考案した俺の見せ場。

 

 

3人の中で一番歌が上手いとレッスントレーナーさんに評価されていたが故の演出、2人はこの演出の為に場を温める、言ってしまえば前座を引き受けてくれたのだ。

 

 

その前座は終了し、最後は俺が決めるのみ。

 

 

マイクを強く、強く握りしめた。

 

 

歌う...歌い切ってみせる!

 

 

『あの時 あの場所での自分を 否定しなくたって良いじゃないか』

 

 

『きっと君はまたやってみせるさ さぁ信じてみよう』

 

 

『生まれ 紡ぎ 溢れ出したこのEmotion!』

 

 

 

暗かった照明がつきステージを再び照らだした...!

 

 

 

『始まる物語 in Yourself!』

 

 

『散りばめていこうか Various Colors!』

 

 

『少しずつ進んでいけばいいさ!』

 

 

『推し量られた価値なんて No Thank You!』

 

 

『自分らしく在ろう Go My Way!』

 

 

『たとえ過去が頼りなくっても!』

 

 

最後の転調だ、遂に終わるのだ、俺達のステージが。

 

 

終わってしまうのだ、この得も言われぬ感情が溢れ出すこのステージが。

 

 

『もがき苦しんだ結果だって良いから』

 

 

『これからも君だけのEpisodeに進み続けよう...!』

 

 

指を3・1・5の形になるように順番に折った。

 

 

『最高の未来へと...!』

 

 

3人のユニゾンした歌声が響き渡った。

 

 

ダンスを継続させながらもフォーメーションを変形させてゆきそれに合わせて音楽も終盤を迎える。

 

 

そして、決めポーズ...!

 

 

俺達のパフォーマンスが終わり会場は一瞬の静寂が場を支配した、だがそれはすぐに破られることになった。

 

 

”キャーー!!”

 

 

”うおーー!!”

 

 

観客たちの歓声がそれを破ったからだ。

 

 

「ハァ...ハァ...!!」

 

体が熱い、まるで全力疾走した直後のように体が火照る。

 

手の甲で額の汗をぬぐう、べたついた汗独特の湿り気が俺の手を濡らした。

 

肩で息をしている状態だ、今俺の顔の頬は自分でもはっきりとわかるぐらいに赤くなっていることだろう、達成感、疲労感、安堵感、いろんな感情がごちゃ混ぜになって体から湧き出てくる。

 

だが、そのこみあげてくる感情の中で一番強く感じるのは...楽しかった。

 

 

そう、ただひたすらに、シンプルに...楽しかった。

 

 

もっと、もっと歌いたい、もっと踊っていたい。

 

 

もっと...ステージの上に立っていたい。

 

 

そんな普段の俺らしくもない感情だった。

 

 

ぼんやりと上手くまとまらないうわついた頭で考えていたらポンと肩を叩かれた、首を少し向けて確認してみればそこには神波さんの姿があった。

 

どうやら近くによってきていたらしい、もうろうとしていて良く聞き取れはしなかったが確実にこう言った。

 

 

”やったな”と

 

その言葉に俺は思わず破顔した、あれほどまでに感じていた緊迫感が嘘のように解けてゆく。

 

 

「まだ終わってないよ」

 

そんな状態の俺に話かけてきたのは真丈さんだ、どうやら真丈さんも近くに来ていたらしい。

その言葉に慌てて我にかえるとまだ拍手喝采は終わっていない、案外俺がほうけていた時間は僅かだったらしい。

 

...そうだよな、俺達のステージは終わったんだ。

 

家に帰るまでが遠足ですって良く言う事だしさっさと終わって帰るとしよう、疲れた俺の体を癒し受け止めてくれる愛しき布団のある我が家へ、そして...仲間が待っている事務所へ。

 

 

左右にいる2人とアイコンタクトとり、改めて正面のほうに向く、そして___

 

 

 

 

「「「ありがとうございました!!!」」」

 

 

3人そろって綺麗に観客席に向かって礼をした。

 

 

俺達のその行動に鳴りを潜めかけていた拍手喝采が再び巻き起こった。

 

 

...俺は今日という日を恐らく生涯忘れはしないだろう、拍手と歓声を浴びて調子を良くした神波さんが俺の肩を組んではしゃいでいるが今はそんな何時もは鬱陶しいとしか思えないスキンシップもなぜか嬉しかった。

 

 

 

 

アイドルになって...良かったかも...しれないな。

 

 

 

そんな事を胸の奥底で思いながら俺達の初ライブは幕を閉じた、自分で言うのもなんだが...最高のステージになったと思う、これがテレビで放送されると言う楽しみが増えちまったな。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

「...あれからもう一週間になるんすね」

 

「んぁ?何がだ?」

 

今日のレッスンを終えて事務所の居間で俺と神波さんが休んでいるとたまたま視界に入った壁にかけてあるカレンダーの日付を見ながら俺はそう呟いた。

 

俺のその呟きに神波さんが不思議そうな声色で尋ねてくる、俺はそれに軽いため息を吐いた。

 

「何って...あの収録からもう一週間もたったのかって事ですよ」

 

「あの...あぁテレビのやつか!確かにはえぇもんだなぁ」

 

俺の返答に思い出したと言わんばかりのリアクションが返ってきた、いやあれだけの事があったのに忘れるか普通?この人は相変わらず自由奔放が過ぎるんじゃないだろうか。

 

俺はまた軽く溜め息を吐いた。

 

一週間、それがあのライブの収録が終わってから今日まで経った日数だ。

 

 

この日数をもう一週間と捉えるか、まだ一週間と捉えるかは個人差があるだろうが今回に限っては俺は前者の方である。

収録した日の記憶だって鮮明に思い出せるしなんなら事務所のパソコンに撮影された収録時のデータだって全て残っているのに何故だか未だに現実味がない、狐に化かされた、というべきか、まぁそれだけあの日が濃かったって事だろうな。

 

ていうか俺達の現段階でのアイドル活動の中で間違いなく一番デカい仕事だったろ、なんでそんなに反応が軽いんだ。

 

そんな神波さんに呆れと驚きが半々ぐらいの感情を感じていると軽い足音が聞こえてきた、一瞬誰だと内心身構えたがその正体はすぐにわかった、俺達の視界にその人物が写りこんだ来たからだ。

 

「あれ、比企谷くんに神波さんじゃないですか!ちょっと待っていてくださいね、すぐにお茶を入れてきますから!」

 

「あ、山村さん、ありがとうございます」

 

「うーっす賢さん、ご気遣いどうも」

 

その人物とは315プロダクション唯一の事務員、山村賢その人だった。

 

パタパタとなにやら世話しない挙動でお茶を入れている光景が見える、それに危なかしさを感じるがどうやらそれは杞憂に終わったらしく程なくして山村さんがお盆に4つの湯飲みを乗せながらこちらへと向かってきた。

 

「お待たせしました!ささ、どうぞどうぞ!」

 

「あざーすっ...んん、うんめ」

 

山村さんが運んできたお茶を軽い礼を返しながら手に取って流れる様に口元に運び啜る。

神波さんの様子やお茶の状態を見る限りそこまで熱くはなさそうだ、軽い猫舌気味の俺にとっては有難い。

 

こちらに来る時に転んだりするんじゃないかとも思ったがそれも杞憂に終わったようで良かった、山村さん偶に書類とかこけてばらまいてるからな...

 

神波さんにつられるように目の前に置かれた湯飲みを口元に運び啜る、うん、美味い。

 

熱すぎず冷たすぎずのちょうどいい温度だ、緑茶のほのかな苦味がレッスン後の体に良く染みる、マッカンのような甘い飲料のほうが好みだがこういうのも良いものだ。

 

何でもない1日の中のゆったりした一服の時、俺はこんな時間が嫌いじゃない。

 

「ふぅ...やぁっとキテ〇ちゃんから人間になったぜ...」

 

「は?とうとう頭でも狂ったんですか?」

 

お茶を飲んで一服ついた神波さんがサラリと何もおかしくないように呟いた。

 

いきなり何を言い出すんだこの人は。

唐突にとんちんかんな事を言いだした神波さんは俺に向かってチッチッチッと指を左右に揺らしてせせら笑った。

なんだその腹立つ仕草は、湯呑みのお茶ぶっかけるぞ。

 

そんな俺の心境もつゆ知らず、神波さんはいつもの大胆不敵な笑顔で意気揚々と解説し始める。

 

「ほら〇ティちゃんってリンゴ何個分とかで表すだろ?」

 

「...まぁ、そうですね」

 

確か身長がりんご5個分で体重がりんご3個分だったっけな。

 

「今日俺朝飯作んのも買うのもめんどくさくて家にあったリンゴ2つ食って事務所に来た訳よ」

 

「ほう」

 

「んで喉乾いた時に自動販売機で適当に押して買ったのがリンゴジュースだったのよ」

 

「はぁ」

 

「更に俺このお茶飲むまでそれ以外なんも食ってねぇんだ」

 

「...で?」

 

そこまで言った神波さんはふふんと得意げに笑うと

 

「つまり俺は今の今まで実質キ〇ィちゃんだったんだよ」

 

「ちょっと何言ってるかわかんないですね」

 

何をとち狂ったことを言い出したかと思えば...なんだよキテ〇って、ボケが秀逸過ぎるぞ、っておい山村さん爆笑しとるがな。

 

よっぽどツボに入ったのか腹抱えて笑ってるじゃねぇかよ、おーい山村さん、あなたの肘が湯飲みに当たりかけてますよー。

 

案の定と言うべきか山村さんが肘を湯飲みを引っ掛けて大騒ぎ(山村さんと神波さんが)してるとそれを横目につけっぱなしにしていたテレビのニュースから俺の興味を多々引く内容が出て来たのだ。

 

『えー続いてのニュースですが来週放送予定である某音楽番組で悪質な暴力行為があったとしてその首謀者と思われし若手ダンスグループである〇〇が今日の朝、警察に___』

 

 

......ん?

 

 

 

「あれ?ひょっとしたらこれって...?」

 

「あー、やっぱしニュースに出るよなぁ」

 

「?神波さんなんか知ってるんですか?」

 

やっぱりなと、いった雰囲気で呟いた神波さんにそう俺は尋ねた。

 

俺なんも知らねぇんだけどどゆこと?

 

「はぁ?八幡おめぇ知らねえの?あんとき撮影した動画、あるだろ?あれが流出してあいつら只今絶賛大炎上中だぜ、ニュースサイトとかで今引っ張りだこだぞ、知らなかったのか?」

 

「え!?そうだったんですか?!」

 

まさかまさかの展開に思わず目を見開いて驚いた、普段そこまでニュースに興味無かったりSNSなんかをやってないことが裏目に出るとは...

携帯をすぐさま取り出して電源をつけ、元々本体に搭載されているニュースアプリを開いてみる。

 

あいつらの記事は...あったあった神波さんの言う通りトップに躍り出ていたので直ぐに見つかった、画面をタップして記事を一通り読んで見るがかなりあの時の事が詳しく書かれている。

 

この記事への感想の欄を覗いてみると...うわぁ...滅茶苦茶ぼろ糞にぶっ叩かれてるな、コメントの数が十や百なんてレベルじゃない、数千はコメントがあるぞ。

 

『酷い』『あり得ない』『失望した』『ライブの円盤捨てる』『現場での態度が最悪ってのは本当だったのか』『二度と表に出てこないで欲しい』『ざまあみろ』『ファンだったとゆう事実が恥ずかしい』

 

...適当に画面をスクロールしていくつかコメントに目をとうしてもこれだ、中にはかなりの長文での誹謗中傷のコメントも結構ある、こりゃああいつらもう完全に社会的に終わったろ、オーバーキルも良い所だ。

 

「にしても意外だな、八幡こうゆう時事ネタとか直ぐキャッチしてそうな印象だったんだが」

 

「...あんましニュースとか興味無いですし、SNSとかもやってないもんで...]

 

確かに世が今何が話題だとかは興味がない、今回のように芸能関係なら尚更だ。

だがそれでも自分が神波さんにすら情報収集能力に劣っているといゆう事実に軽くショックを受けてしまった。

 

今度からニュースぐらいはちゃんと見よう...

 

「あれ、もうテレビにも出てるのかい、マスコミってこうゆう事は仕事が早いよねぇ」

 

「あ、拓哉さんも知ってたんすか?」

 

俺が1人静かにそんな決意を新たに決めた所でこの場にまたもや人が現れる、俺達のユニットのリーダーこと真丈拓哉さんその人だ、後ろには一緒に入ってきたのかプロデューサーの姿も見えた。

いつの間にか事務所の居間に来ていたらしくテレビを見ながら山村さんが予め用意しておいてくれていたお茶を啜っている。

 

「知ってると言えば知っているよ、なんせこの動画を流したのは私だからね」

 

「「......え?」」

 

 

俺と神波さんの声が思わずはもってしまった、開幕早々とんでもない爆弾発言をぶち込んで来たぞこの人。

 

「...え、ちょっと待って下さい、拓哉さんがこの騒ぎを引き起こしたんすか?」

 

「全部が全部って訳じゃないけどね、まぁ概ねそうだよ」

 

「...やり過ぎじゃないですか?今えぐいぐらい炎上してるんですけど」

 

「何を言ってるんだい比企谷君、あんな明確な暴力行為にでといて私が手打ちに済ますなんて思ったかい?もし本当に手打ちなんかで済まそうだなんて話になったら例え世界中が許したとしても私が許さないよ、ああゆう輩は完膚なきまでに叩き潰しておかなきゃね」

 

「まぁ至極ごもっとともで...」

 

「あ、あのぅ皆さんなんのお話をされてらっしゃるんですか...?」

 

真丈さんからかえって来た返答にまぁそうだよな、とゆう感想を抱く。

 

いくらなんでも手打ちなんかで済まされるのどうにもおかしいと思ったんだ、時間が無かったとはいえあれだけで事が全て済んでしまうのはなんか釈然としない気持ちになったのは事実なのだ。

 

...いやまさかここまでやるとは思って無かったけどさ。

 

俺が1人納得していると困惑したような声がかけられる、事務員の山村賢さんだ。

どうやらこの一件はもプロデューサーは知っているらしく苦い顔をしているのが見て取れた、だが事務員である山村さんは別らしく戸惑いの表情がありありと読み取れる表情をしている。

 

まぁいきなりこんな話展開されたらこうもなるわな、俺だったらこんな話目の前で展開されたら気になって人間観察と評して盗み聞ぎを始める事だろう。(あくまでも俺がそいつらと関わりがないってのが味噌だぞ)

 

「てゆうか八幡、おめぇなんで逆にそんな冷静なんだよ、お前もろ被害者だぜ?トラウマぐらいできててもおかしくねぇだろ」

 

「いやぁそれはその...時間が過ぎるの待てば終わる問題だったし早々に聞き流してたんでそこまで心理的なダメージは無いっすね」

 

「メンタル鬼みてぇに強いな、なんでそんなに達観してんだよ怖ぇよ」

 

「俺のメンタルなんてちょっとした事で直ぐに傷つくザコメンタルですよ」

 

なんなら布団に潜って夜中に1人で叫ぶまである。

 

「ええっ!?そ、そんな事があったんですか!?比企谷くん大丈夫なんですか!」

 

「山村さん大丈夫ですって、ほら何とも無いですから...」

 

どうやら山村さんが真丈さんから事情を聴き終わったらしく驚きの声を上げるとともに心配そうに声をかけてきた、やたらベタベタとしてくるので俺はやんわりとそれを拒否しながら無事だとゆう趣旨を伝える。

 

神波さんがあいつらに手を出されるまでに乱入してくれたからフィジカル面は本当になんら問題は無いんだよな。

 

「許せませんね!プロデューサーさん、事務所から正式に抗議の電話をかけましょう!」

 

「賢さん賢さん、もう終わってるぜ、終わったからこうなってんだからよ」

 

「へ?あ、そっかぁ...」

 

憤怒の表情を浮かべて激高する山村さんに神波さんがそれとなく宥めて顎でテレビをしゃくる、テレビはまだあいつらの事に関しての報道が流れており今はみんなの反応は__みたいな事をやっている。

内容は先ほどみたニュースサイトのコメント欄と同じようにかなり激しい誹謗中傷も紹介されている、こんな真昼間にそんな物紹介して大丈夫なのか。

 

「まぁ色々あったけれどももう安心して大丈夫さ、二度とこうゆう事態が起こらないように私が思いつく限りの処置と対策はやってきたし彼らのシーンを全面的にカットして放送する意外はなんら問題なく放送されるみたいだよ」

 

「え、真丈さんそんな事まで済ませて来たんですか?...でもこうゆう事って時間が凄いかかると思うんですが」

 

「あぁ実は天道さんにも事情を説明して協力してもらってね...弁護士って凄いね、お陰で円滑に話を進める事が出来たよ」

 

うわぁ悪い大人の顔をしていらっしゃる...容姿が整ってる為か増しで怖く見えるな。

 

なんで天道さん?...あぁそういえば天道さんって元弁護士だっけ、そら話がスムーズに進むわけだ。

 

俺が1人そんな事を思っているとさっきから黙っていたプロデューサーから事務所の外に出るように施される、俺は湯飲みに残っていたお茶を全て飲み干した後それに従い俺は事務所のドアを開けて外に出た。

 

...まぁなんでこう外に出ることになったのか大体予想はつくが。

 

「すいません比企谷さん、そのトラブルについてお話が...」

 

「...あぁやっぱりですか?」

 

「未成年である比企谷さんを極力巻き込みたくは無かったのですが、事件の被害者となると流石にどうしても...」

 

申し訳ありませんとプロデューサーに頭を下げられる、俺は本日何回目かわからないため息を吐いた。

 

まぁ流石にこれだけの大事の当事者ともなれば報告されてはい終わりでは済まないだろうといゆう事は容易に想像出来ていた、これから事情聴取ってやつだろうか。

 

そんな俺の予想は当たっていたようで、色んなとこまでいかなければならないらしく車で順番に巡っていくそうだ。

恐らくは数時間は優にかかるだろうという事が瞬時に分かってしまい思わず頭を軽く抱えた。

 

グッバイ、俺の残りの休日...

 

そんな事を胸に秘めながらプロデューサーの誘導に従って車に乗り込み事務所を後にした。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

「重ね重ね申し訳ありません比企谷さん、こんなにお時間を取らせてしまって...」

 

「もう良いですよプロデューサーさん、1、2時間で終わるだなんてこっちも思って無かったですし」

 

車の運転中にもう太陽も沈みかけて薄暗い社内の中で本日何回目かわからない謝罪の言葉を俺にかけてくるがそれを俺はもう良いんだと返答した。

 

さっきはあの収録の日に俺を軽く叱った事も謝罪してきたがそれに関しては強くこっちが反対した。

 

プロデューサーは事前に一緒についていこうかと聞いたにも関わらずそれを覚えているから良いと言って断った挙句に最終的には道に迷ってましたと言って時間ギリギリに帰ってきたのは他でもない俺なのだ。

 

大口叩いてそんな体たらくで帰って来たらが怒るのが普通だろう、俺だったら怒鳴り散らしはしないが心の中で切れ散らかす自信がある。

プロデューサーの立場からすれば怒るのが普通の対応なのだ、何にもプロデューサーは悪くない。

 

「後の処理は僕の方でしておきますのでこのまま家までお送りいたします、なにか事務所の方に忘れ物、持って帰りたい物等はございますか?」

 

「いや大丈夫です、このまま家までお願いします」

 

「わかりました、なるべく早く到着出来るようにしますね」

 

事務所を出てそれなりに時間が経っている為かプロデューサーからこのまま送ってくれるといゆう提案をありがたく頂戴する、事務所を出てからも時計の針はもう4周はしているだろう、かなり遅い時間だから世の部活帰りの学生や仕事終わりのサラリーマン達で今電車は混みまくっているだろうからありがたい事だ。

 

プロデューサーとの会話をそこで一旦終了しお互いに無言になり、横目にプロデューサーが運転してるのを確認した後俺は助手席から窓越しに外をボーッと眺め始める。

 

この車が動く事によって次々と変わる景色にマ〇オを出現させて脳内で動かす遊びって結構楽しかったりするんだよな、え、普通はしない?ほっとけ。

 

〇リオを脳内で召喚して動かす遊びに興じているとプロデューサーの声が聞こえてきた、俺に話しかけている訳ではなさそうだ、恐らく独り言だろう。

 

「次のBeitの仕事はこうで...それが終わったら書類を...」

 

どうやら運転中で愛用している手帳が開けないためか口で発する事でスケジュールの確認をしているようだ、全くご苦労様ってやつだ、だがプロデューサーの様子を良く見るとどこか顔色が悪いように見える。

 

...そういえばプロデューサーが休んでるの見たこと無いんですけど、ほぼ毎日事務所へと向かってるけど絶対一回は合うよな...もしかして休んでいない?おいおい労働基準法どこいったよ、仕事を取ってきてくれるのはすげぇありがたいけどいい加減プロデューサー休んだ方がいいんじゃないか。

 

そうこうしている内に俺の家の前まで到着しプロデューサーに礼をしながら助手席のドアを開けて車から降りる、愛しの我が家の目の前にやっと着いたこともあってかここに来てようやく達成感のようなもの感じる。

 

「それでは比企谷さんお疲れ様です、明日からまた頑張りましょうね」

 

「お疲れ様です...あの、プロデューサー少しいいですか?」

 

「?...はい何でしょうか?」

 

俺の呼びかけにプロデューサーが怪訝そうな顔をして顔をのぞかせる...うん、やっぱり顔色が普通じゃない。

 

「プロデューサーさんってちゃんと休んでるんですか?顔色、普通じゃないですけど」

 

「え、お休みですか?すいませんここ最近中々取れていなくて...ではお言葉に甘えまして今の仕事が一段落つきましたらお休みを取らせていただきますね」

 

「倒れでもしたら元も子もないと思うんで...じゃそれだけです、お疲れ様でした」

 

「はい、お疲れ様でした」

 

プロデューサーはいつもの柔らかい笑顔を浮かべると車のエンジンを再起動させ走り去っていった、俺はそれを一通り見届けると俺も家に入るべく踵を返す。

 

伝えようとしたことは伝えたんだ、今日は色々あって疲れた事だしさっさとお布団の中で眠らせて貰うとしよう。

 

 

...なぜだ?良くわからねぇけど胸騒ぎのような感じがする

 

 

結局、俺は実際に眠りにつくまでこの正体不明の胸騒ぎは消えなかった。

 

 

だが、この胸騒ぎの正体はすぐにわかることになった。

 

 

朝起きてスマホのメールを確認するとこんなメッセージが入っていたからだ。

 

 

”プロデューサーが倒れた”と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかかでしたでしょうか、正直ライブパートの描写がとても難しくつたない物になってしまわれたのではにかとひやひやしております。

次回!!やっとWがでます!悠介、享介...おそくなってごめんよ...

感想、評価絶賛募集中です、感想くれる度に作者がガッツポーズをして喜びますので是非お気軽に感想をお書きくだしませ。

あと活動報告の方で軽いアンケートを実施しておりますのでよろしければそちらの方もよろしくお願いします

それでは次回もお楽しみに

オリキャラどっちが好き?

  • 真丈拓哉(元マジシャン)
  • 神波狩人(元ストリートダンサー)

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