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1時間前
学校終わりの放課後、いつものごとく帰っている最中だった。
「おいテメェ見つけたぞ!」
その声に反応し振り返る。そこには見覚えのないチンピラたちが数人いる。格好はみんなバラバラだが皆共通しているのは俺をすごく睨みつけているくらいだ。
「・・・誰?」
疑問に思ったのでそのまま口に出したのだが、それがいけなかったようでこちらを見る視線がきつくなった。
「誰?だとぅ・・・忘れたとは言わせねぇぞ!!テメェに潰された、ワイルドキャッツといえばわかるだろうが!?」
「・・・そんな事言ってもな、覚えていないもんは覚えてないんだからしょうがないだろ」
頭を掻きつつ目の前の連中を見る。本当に覚えていないので考えても仕方ないと思っているので適当にあしらうつもりだ。
「くそっ!覚えている価値もねぇってか。・・・・しかしそんな態度も今日までだ。俺達は今までとは違う!!新たな力を手に入れた俺達に怖いものはねぇ!!きっちり落とし前付けさせてもらうぜ。」
妙に自信満々だな。ま、少しくらいなら付き合ってやるか。
『ねー、早く帰ろうよー。』
頭の中に声が響く。これは此処では俺にしか聞こえない声、そして俺にしか見えないモノの声だ。
『早く帰ってご飯食べよー。』
そう言って目の前に小人が現れた。手のひらサイズの人形みたいな女の子だ。
彼女の名前はシルフィ。もう付き合いは数年くらいになる。
「なあ?」
『何?』
独り言のようなつぶやきにシルフィが答える。
「今日の奉納、ちょっと豪華にするか。」
『!?やった~!』
「何ブツブツ言ってんだ!?レベル2になった俺達の力みせてや・・・ブホッ!」
ずっと講釈していた男に一瞬で近づき腹に一発入れぶっ飛ばす。男は後ろにいた数人の仲間を巻き添えにして飛んでいった。
「「「「「リーダー!!!???」」」」」
仲間がリーダーを呼ぶが返事がない。
「さて、そちらが先に仕掛けてきたんだ・・・覚悟できてるよな?」
残った奴らに睨みつける。するとビビったのか後ろに下がる。
「ま、容赦するつもりはないし。」
そうして今現在に至る。
あの後残った仲間をすべて倒し、迷惑料として現金を巻き上げているが、これは向こうの自業自得だと割り切っているので特に何も思わない。
戦っている時間よりも身ぐるみはぐ時間のほうが長かったのでシルフィは少し不機嫌である。
『全く、空は時間かけすぎだよ!僕、お腹すいて背中とくっつきそうなんだからね!?』
「んなこと言っても、これのお陰で今日の奉納が豪勢になるんだから仕方ないだろ?」
『それだったら僕の力使えばもっと早く済むのに。』
「それ明らかにオーバーキルだ。てか、目的は奉納を増やすためだろ。」
『バレた?』
「隠すつもりねぇな!?」
そんな会話をしつつ通りを歩いて行く。放課後なので制服を着た学生の姿も多い。
これ以上大きい声だと一人で喋るイタイ人になるので、早く行く事にする。
『空、空。』
全く今度はなんだ。
『反対車線から何か騒ぎがするよ。』
ん、反対?
そう言われ反対車線を見る。そこにはシャッターの閉まった銀行があった。・・・シャッター?平日のこんな時間に銀行って閉めるか?・・・まさか、
ドカーン!!!!!
考えていたら銀行のシャッターが爆発し、中から出てきたのはカバンを持った4人組。
『おおー、ねぇねぇ今映画の撮影でもあってるのかな?』
んなわけ無いだろ。
・・・やっぱり銀行強盗か・・・ま、アンチスキルに連絡すればいいか。
俺はスマホを取り出そうとする。
「ジャッジメントですの!!器物破損、及び強盗の現行犯で拘束します!」
早っ!?もう来たのか。
声がした方向を見るとジャッジメントの腕章をつけた中学生くらいの女の子がいた。
てか、一人だけ?
「嘘っ!?何でこんな早く・・・プッ、ギャハハハ!」
強盗たちは風紀委員が一人しかおらずそれが自分たちより小さい少女なのを確認したら笑い出した。
「どんな奴が来たかと思えば、風紀委員も人手不足かあ?」
・・・馬鹿だろ。風紀委員は基本的に能力者が多い。しかも一人で現れてる時点でそれなりの実力者なのはほぼ間違いないだろ。でも一人だと少々無謀じゃないか?取り逃がす可能性もあるのに。
「そこをどきな、お嬢ちゃん、どかないとケガしちゃうぜー!」
あ、フラグたった。
『フラグだね』
「そういう三下の台詞は、」
強盗の一人が襲いかかるが、その風紀委員は掴みかかった相手の手を掴み横に移動し、足をかけ相手の勢いを利用して投げ飛ばした。
「死亡フラグですわよ。」
ほー、今のは合気道、いや逮捕術か?結構スムーズに投げたな。
それを見た強盗は警戒している・・・・・てか、騒がしいな何かあったのか?
声のする方向を見るとバスガイドと中学生くらいの女の子たちがいた。何やら話しているようだが・・・
お、一人こっち来た。
「すいません!少し手伝ってもらえませんか!?」
花飾りを頭につけた少女が頼んできた。腕には風紀委員の紋章がついている。
「えっと・・・どしたの?」
「男の子が一人見つからないんです。それで手分けして探しているんですけど・・・」
「この周辺?」
首を振って当たりを見回すが見当たらない。・・・仕方ない。
(シルフィ。この周辺で小学生くらいの男の子一人。)
『オッケー、探すね。』
シルフィが答えると俺は目をつぶる。
「へ・・・」
俺の周辺から、ゆるやかな風が吹く。その風によって周囲を探索していく。・・・居た。
『見つけたよ。前方70メートル先、植木のとこに座っているよ。』
「前方70メートルに座り込んでいる子供がいる。多分それだ。」
そう言って子供がいるであろう方向に指を差す。
「えっ?あ、はい!佐天さーん!そこから少し向こう側に子供がいるみたいです!」
戸惑っていたようだが、その言葉を一緒に探している人に伝えている。これなら無事保護されるだろう。
『ん?子供に別の二人が近づいてる!多分さっきの強盗だよ!』
えっ!・・・クソッ!あの風紀委員、一人で出できたなら逃がすなよ!
地を蹴り、走りだす。
・・・50メートル
強盗が子供を連れて行こうとするが女の子が引っ張ってそれを防ごうとしている。
・・25メートル
引っ張り合いになっていたがもう一人の強盗犯が、女の子に近づく。
・10メートル
強盗が女の子に対して腕を振り上げて殴ろうとする。
俺は右足に力を入れて地面を強く蹴る。地面からの反発力を利用して滑るように近づいた。
強盗の右腕が振り下ろそうとする瞬間、横から相手の右腕を狙い掌底で弾く。
「なっ!?」
その時点で相手の懐に入る形になったので右足の踏み込みと一緒に肘での一撃を強盗の腹部に叩き込む。
「グフッ!?」
強盗はそのまま吹っ飛び壁にぶつかった。もう一人の方を見ると、
「ひ、ひぃぃぃ!!!???」
子供を掴んでいた手を離し逃げ出して車に乗り込んでいる。そのまま逃げ出すつもりだろう。・・・・あれ?Uターンした?
『明らかにこっち、狙っているね~。』
・・・・そのまま逃げてりゃいいのに。
「そこのあんた!!どいてなさい!」
後ろの方から声が聞こえたので振り向くと風紀委員と同じ制服の少女がいた。その言葉に従って道路から歩道に上がる。
『え、いいの?あの女の子大丈夫なの?』
・・・・大丈夫だろ。今思い出したけどあの制服・・・常盤台だ。
車がアクセルを吹かして少女に向かっていく。その間にその少女はコインを取り出し上に弾く。そのコインが手に落ちた瞬間、オレンジ色の閃光が車目掛けて発射される。
その閃光によって車は吹き飛び、回転しながら少女の上を飛んでいった。
「・・・・・・・・うっわー・・・強盗、死んでないよな?」
『今様子見たんだけど、気を失っているだけだね。あと空がふっ飛ばした強盗はうめいてるようだけど。』
そりゃ、そうなるように打ったんだから当たり前だ。
「・・・帰るか。」
結構時間取られたな、早く買い物に行くか。
『あっ、今日はちょっと豪華にしてよね。』
はいはい。
「あっ、あのありがとうございました!」
帰ろうとした時、後ろから声をかけられた。振り返ると子供を助けようとした女の子とその子供がいた。
「おにいちゃんありがとう!」
「・・・その言葉はそこのお姉ちゃんに言ってあげな。このお姉ちゃんがいたから間に合ったんだし。」
そういってその男の子の頭を撫でてやる。
「うん!ありがとうお姉ちゃん!」
「え、いや、うん。」
戸惑ってこっちを見てきたが、子供の方に返事をしている。じゃ、そろそろ帰らせてもらいますか。
「少々よろしいですか?」
・・・・・早く帰りたい。
声をかけてきたのは最初に強盗に突っ込んでいった風紀委員の少女だった。
「まずは、ご協力感謝しますですの。」
「・・・取り押さえようとするのはいいと思うけど、逃してたら世話ないな。」
「・・・それに関しては反論の余地はありませんの。」
「まあ、いいけどね。・・・要件はそれだけ?早く帰っていい?」
そう言って急かすように聞く。
「そうはいきませんの、残念ながら調書を取るためにお話をお聞きしたいんですの。」
「それ、そっちで適当にやっといてくれない?あんまり時間取られたくないし。目撃者ならいっぱいいるでしょ?」
「いえいえ、やっぱり本人からお話を聞きたいですの。なので近くの風紀委員の支部まで・・・」
言い終わらないうちに走りだす。めんどくせぇ!!絶対話し聞くだけじゃ終わらないだろ!
「来ていただけって、逃げた!?」
「白井さーん、警備員の方が来ましたー」
「・・・次の機会に、ということにしておくですの。初春、此処での映像をもらってくるですの。」
「?何に使うんですか?」
「人探し、ですの。」
「・・・さてと。」
買い物を終え、ご飯を作った。・・・・・始めるか。
俺の目の前には多種多様の料理とお酒がテーブルいっぱいに広げられている。今から始めるのは此処での義務だ。
「・・・展開。」
目を閉じ祈るような形で手を前に組む。
それと同時にテーブルを中心に幾何学模様の魔法陣が展開される。
「此処にある様々な供物、酒、奉納致します。」
目の前にはシルフィがいる。しかし先程までの子供っぽさは影を潜め、威厳に満ち溢れている。
『了承。受け取りました。これからも我の加護を与え続けん。』
そうシルフィが言うと目の前にあった料理たちが全て消えていた。展開していた魔法陣も消え、残ったのはいつもの僕の部屋だ。
「このやりとりって必要?」
『形式美ってやつだよ。たまにはこういうこともしとかないとね~』
その言葉を聞いてガクッとうなだれる。
「いつもどおり簡略化の方で良かったじゃねえか。」
『うーん、やっぱ料理が豪華だからね。』
「関係あるのか?」
『機能的な面ではほとんど問題ないよ。僕の気分の問題。』
はぁ~、ため息を思わずしてしまうが仕方ない。さっきまで大量の料理を用意していたので疲れた。
『それで、今後はどうするの?まだ門が開かないんでしょ。』
「そうだなぁ・・・確か8月の後半だっけ。それまではこっちにいるしかないな。」
『あのスキマならいつでもできそうな気がするけど』
「ま、考えても仕方ないだろ。とっとと飯食うぞ。」
そう言って今度は自分のご飯をテーブルに置いていく。
『はーい』
シルフィは両手をポンと叩く。すると目の前に先ほど消えた料理がミニチュアサイズで現れた。
「それじゃ」
「『いただきます』」
「白井さーん、頼まれていた映像用意できましたよ~」
「ようやくですの?」
風紀委員第177支部。そこで先ほど空と話した少女達がいた。
「ところどころ、映像が乱れていたところがあったので調整していたんですよ。」
ハイこれです。と頭に花飾りをつけた少女、初春飾利が映像を再生する。
「しかし改めて見るとすごいですね~相手の懐に飛び込んでの肘打ち。それであんなに飛ぶんですね。能力の一種でしょうか?」
「それは分かりませんの、ただこの攻撃は拳法の一種ですわね。」
もう一人の少女、白井黒子が映像から分析をする。
「そういえば、この前に話をしましたのね?」
「はい、子供を探していた時に手伝ってもらったんです。ただその時何か能力を使ったようで、子供の位置をズバリ当てたんです。」
「その時の様子は?」
んー、と初春は少し考えてから話しだす。
「手をあわせて、目をつぶったら、風が吹いて・・・・それで見つけ出していました。」
「(風力系の能力者?・・・それだけでは判断がつきませんの、やはり話を聞くのが手っ取り早いですの。)初春、その映像を使って人物の特定はどのくらいで可能ですの?」
「20分あれば十分です。」
「それじゃ、「頑張ってるみたいね?」固法先輩。」
はい、お茶。と渡しつつ固法美偉が映像を見る。
「これ今日起こった銀行強盗の?」
「はい。近くのカメラが捉えていたものです。」
固法が映像を見ていると何かに気づいた
「あれ?この人・・・」
「知っているんですか?」
「ええ、前に一度、ね。」
苦笑いしつつ、固法はその時のことを話し始めることにした。