とある幻想の風使い(仮)   作:シュウファ

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すごく、お久しぶりです


第五話「物事を不幸ととらえるか幸運ととらえるかはその人しだい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく飽きないな。そこだけは関心する。」

そう言って空は周りの倒れている不良達を見る。皆呻いていたり気を失っていたり様々だがすべて空がやったものだ。

「こっちはやらないと言ってるんだけどな。」

『いや、そう言って挑発をしている様に見えたのは僕だけかな?』

「相手がやる気と自信満々だったから戦うのは目に見えてたし・・・さてと。」

近くにいた気を失っていない奴のところに行きしゃがみこんで話を聞く。

「オハナシしようか?」

その時の笑顔はとてもイイ笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レベルアッパーね、なんかゲームに出てきそうな名前だな」

『ふしぎなアメみたいな?』

手に入れた音楽プレイヤー(レベルアッパー)見る。

不良何人かの話を聞いたところ、やけに自信があったのはレベルアッパーで自分の超能力のレベルが上ったからだそうだ。

「ゲームの世界じゃないからノーリスクで済むわけがないのに。」

『後先考えてないんだよ』

そもそも超能力だけレベルが上がっても意味ないんだけどな。

『これからどうするの?』

「元々ネットにあったものって言っていたから出処はわからんし調べようがないし・・・仕方ない。」

そう言ってスマホを取り出す。

『何処に掛けるの?』

「こういうのに詳しい奴。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、私を呼び出したというわけね。」

そう言って目の前の固法は少し呆れて言った。

「ま、そうだな。あと手に入れた経緯とかそういったことはノータッチで。」

「はぁ~まあいいわ、・・・・使ったの、これ?」

「使うかこんなもん。興味ないし」

コーヒーを飲みながら答える。・・・やっぱ安もんだなこれ。

「まさかくだらない都市伝説と思っていたものが君から出てくるなんて思ってもいなかったわ。」

「それはともかく質問に答えてくれ。・・・最近犯罪を犯した人間の中でこいつを使ったと思われる奴はどのくらいいる?」

「・・・余り詳しくは言えないけど、事件が増えていることに関係しているのは確実ね。」

「やっぱりか・・・」

「・・・春くんは余り首を突っ込まないようにね?更に事態が混乱するし。」

「それが出来れば苦労しない。こいつのせいでちょっかい掛けてくる奴らが増えたんだ。面倒事が増えて困っているところだよ。」

「・・・・稼いでいるんでしょ?その分。」

「それはもちろん・・・・あ。」

やられた。

ピンポーン

「すいませ~ん。『サマージャンボスペシャルパフェ』を一つ」

「何だその宝くじみたいな名前のパフェは!?というかメニューに載っていないんだけど!?」

「ここの裏メニューよ。今日は会計よろしくね?」

「・・・ちなみにいくら?」

「その時にならないとわからないのよ。店長の気まぐれで千円から十万くらいするのまであるらしいわよ。」

「ここファミレスだよな!?」

オマタセシマシタ-

「でかっ!?というかこれ使ってる食材いいやつばかりだぞ!?」

持って来たのは超特大のパフェで普通のより5倍の大きさはあるだろう。しかも全部使われてる食材は高級品だとすぐわかってしまう。

「今日は当たりの部類ね。」

『あ、僕もこれ食べたいな。』

頼めるか!?

 

この日の会計は10400円だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『で、どうするの?ああ、あと今日のご飯しっかり作らないと駄目だよ?』

「お前、さっきの状況見てそんなこと言えるな?」

『あれはソラが悪いよ。だからかんけーない!』

「そりゃそうだが。」

固法はレベルアッパーのネット上での拡散を止めるために風紀委員の事務所に戻っていった。なんでもネット関係に強い奴がいるらしい。

今俺達は時間つぶしも兼ねてプラプラ歩いているところだ。

『・・・ソラ』

「気づいてる・・・誰かずっと見てるな。」

適当に歩いて様子を見ていたがずっと誰かの視線を感じる気がする。

『どうする?』

「誘ってみるか」

人気がないところに向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて・・・」

歩いている間ずっと視線は途切れなかった。まだついてきているようだ。

今いるのは解体予定の廃ビルの近くだ。此処なら人気が少ないし相手もこっちに接触を持とうとするだろ。

「・・・?」

そろそろ相手が来るだろうと思っていた時、別方向から人の声が聞こえてきた。何だか争っている様子だが。

『ソラ、いなくなったよ。』

「・・・・・ミスったな、こりゃ。」

追跡してきた相手に注意しすぎたな。相手もこっちが気づいていることがわかってたみたいだし。他人もいるから撤退したのだろう。

「こんなとこで何騒いでんだよ、・・・ろくでもないことは確定だな。」

『一応様子だけ見てみる?』

「念のためにな。」

そう言って騒ぎのしている方向に近づいていく

『あそこの角らへんみたいだね』

俺はそ~っと角から頭を出して様子をうかがう。

不良が4人、ボコボコになっている男が一人、それと・・・

「あいつ、佐天だったけ?」

銀行強盗の時助けた佐天だ。

たぶん今の状況としては不良が男をボコボコにしてるところを彼女が通りがかり止めようとしているところか?・・・無茶すんなよほんとに。

とりあえず止め「もっ、もうやめなさいよ!」・・・遅かったか。しかも不良の方は切れてるな。

案の定不良の一人が彼女の近くの壁を蹴りビビらせ髪を掴んだ。

「ガキが生意気言うじゃねーか。何の力もねえ非力な奴にゴチャゴチャ指図する権利はねーんだよ。」

・・・そろそろ止めるか。見ていて気分のいいものじゃないし。

「お「貰い物の力を自分たちの実力と勘違いしているあなた方に彼女を笑う資格はありませんわ」・・・」

出ようとした所、不良を挟んで反対側からツインテールの風紀委員が出てきてその場にいた全員がそっちの方を見ていた。

『プッククク・・・』

頭の上でシルフィが笑いをこらえているが無視だ。・・・今日の晩飯質素にしよう。

と、今はそんな事考えてる場合じゃないな。この機会を有効に活用しないと。

大立ち回りを始めた風紀委員に全員が注目している間に俺はこっそりと佐天に脅しをかけてた不良に背後から近づき、

「ほい」カクッ

「!?」

膝カックンをして体勢を崩し、

「離せ。」

「いてぇ!?」

腕をつかみ髪から手を離させ、

「邪魔」ボコッ

蹴っ飛ばして、佐天から離すことに成功した。

「え?・・・春池さん?」

「おう、また会ったな。・・・あと。」

「!!?~~~~~!」

軽く佐天の頭にチョップした。軽く涙目になっているが無視する。

「危ない所に首突っ込むな。」

「・・・おいテメェ。」

さっき蹴っ飛ばした不良が起き上がっていた。

「よくもまあ、蹴っ飛ばしてくれたなぁ、アア!?」

「・・・はぁ~」

「何ため息ついてんだこの野郎!?」

「別にいいがあと残ってるのお前とそこのガタイのいい野郎だけだぞ。」

不良が振り向くと既に二人は倒れていた。

「・・・アニキ、そこの野郎は俺に任せてくださいよ。」

「ジュンジ、何言ってんだ?」

「オレ、手加減できそうにないっすから、風紀委員の方やっちまうと後から楽しめないじゃないですかぁ?」

その野郎は下衆な笑みを浮かべながら言った。

「・・・そうだな、そのかわりしっかり潰しとけよ。」

その言葉を受けてジュンジと呼ばれた奴は俺の前に来た。

「へへへ、ちょうどいい、レベルアッパーの効果確かめさせてもらうぜ。」

「またここでもレベルアッパーかよ、今日は縁があるな・・・佐天、少し下がって。」

コクンと頷き佐天は俺から離れ、俺は相手を観察する。

体型は俺より二回りは大きくパワーはありそうだ。

「それじゃあ・・・大人しくぶっ潰れな!!」

不良は俺に向かって突っ込んで左腕を上から振りかぶる様に打ってきた。

バックステップで下がると、その拳は空を切るが。攻撃はそれでは終わらず更にこっちに突進し右手をフック気味に振り回し攻撃してきた。下がって躱すとその腕はそのまま壁にぶつかり壁を砕いた。

「ちょこまかと躱しやがって、大人しく潰されろや!」

俺は近くにあった鉄パイプを掴み、投げつけるがそいつは躱さずに頭に当たる。しかしダメージも傷もない。

「そんなもん効かねぇよ。」

『ありゃなんかの能力だね?こっちも使う?』

要らない。とシルフィの問いかけに念話で断りを入れ、不良に話しかける。

「やけに頑丈だな。」

「てめぇの攻撃がヘボなだけだろうが!」

「まあ、あんたの能力はわかったけど。」

「!?」

相手は少し動揺したのか動きが止まった。

「大方体を固くするものだろ?壁を殴っても手には傷一つもないし、鉄パイプが当たった時もダメージはないし、音も違ったからな。」

「・・・ふん、その通りだ!これがオレの能力、肉体硬化(ハードコート)だ!しかもいまのレベルは4。たとえ銃を持ってきてもオレを傷つけられる奴はいねぇ!」

『・・・あの人バカだね。自分でも能力を認めちゃって、全部ばらしてるし。』

それには同感。多分嘘はついていないだろう。

まあ、相手は相当能力に自信があるようで、通常の打撃ではダメージを与えられないからばれても問題ないと思っているんだろう。

「一つだけ言っとくわ。」

「?」

「あんた程度に能力を使う必要はない。」

俺は一気に距離を詰める。不良は一瞬驚くがすぐに右ストレートで迎撃しようとする。それに合わせ横から左手を添えその部分を支点に相手の右半身に回りこみつつ、攻撃をしようとする。

「攻撃は効かねぇって言ってるだろ!?」

「残念。」

回転しながら右肘を打ち込もうとして寸前で触れる程度に止め足を踏み込んだ。その衝撃は腰、肩、腕を通り肘から相手の横っ腹に放たれた。

「・・・・・・グフッ!?てめぇ、何しやがった。何の能力だ!?」

「言ったろ。」

不良は右腹を抑えながら膝から崩れ落ちる

「あんた程度に能力を使う必要はない。」

正面に回りこみ右手を鳩尾に添え足を踏み込む。その衝撃で不良は吹き飛び、壁にぶつかり倒れた。

「レベル4でこの程度・・・いや借り物だから参考にならないか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、こっちは終わったが少し消化不良だな。そう思い風紀委員の方を見るとまだ戦っていて、ボロボロになっていた。

「ジュンジ!?テメェどうやってぶっ飛ばした!?」

「どうやって?こうやってだが・・・!?」

もう一人の不良がこっちを向いて仲間が倒れているのを確認している隙に一気に接近し掌底を放つ。捉えたと思った瞬間俺の掌底は通り抜けた。

 

 

 

 

 

 

「甘いんだよ!」

持っていたナイフで仲間をジュンジをぶっ飛ばした野郎に攻撃を仕掛ける。どんな方法で倒したか知らねえが視覚情報がデタラメなら攻撃は当たらねえ。奴には正面に俺の姿が写っているから気づかねえはずだ。

そう確信しヤツの右側に回りこみナイフで刺そうとする、がいきなり奴はその場で回りいつの間にかナイフを持っていた右手が弾かれた。

奴には俺の本体は見えないはずどうやってこっちの攻撃に対応したんだ!?

「甘いのはそっちだ。」

 

 

 

 

誘いに乗った不良の出してきたナイフを払う。そのまま回転し左手を不良の顎に打ち込んだ。

ダメージを受けた不良の姿がはっきりと見える。能力を維持できなくなったようで能力としては幻影の類だろう。

「一つ言っておくぞ。」

 

弓を引くように右手を後ろに引く。

 

「例え能力が強くなったとしても。」

 

的は目の前にいる不良の鳩尾。

 

「それを扱うものが強くならなきゃ。」

 

放て。

 

「その『強さ』は偽物なんだよ。」

 

矢は的の中心を射抜いた。

 

 

 

 

 

 

「ま、こんなもんか。」

手をパンパンと叩いて、風紀委員を見ると苦戦した相手があっという間に倒されていたので唖然としていた。

「・・・なにぼーっとしてる。まだ仕事は終わってないだろ。」

「・・・・・・・はっ!?そうですの!協力感謝しますの!」

そう言って連絡を取り始めた風紀委員を一瞥して、佐天の方に行くと彼女も唖然としていた。

「おい。」

「は、はい!」

「ケガは?」

「無いです!」

「それならいい。今度からこんなところに近づかないようにしろ。いいか?」

「はい・・・って何処に行くんですか?」

「帰る。ここに居ても面倒くさい。」

「勝手に帰るのはやめていただけません?」

・・・幻聴だな、幻聴。疲れてるみたいだ、とっとと帰って寝よう。

『幻聴じゃないよ。彼女こっちを見て言ってるし。』

「明らかに呼び止めていると思うんですけど・・・」

「何帰ろうとしているんですの?」

ウオッ!?いきなり目の前に風紀委員が現れ驚いた。・・・これが瞬間移動(テレポート)か。改めて見ると驚くな。咲姉も急に現れるけどそれとは違う感じがするから純粋な瞬間移動なのだろう。

「不良の拘束、しなくていいのか?」

「心配いりません。もう既に終わっていますの。」

不良の方を見ると金属の矢で地面や壁に貼り付けにされていた。・・・仕事早いな、おい。

「それなら、帰ってもいいよな?俺は巻き込まれた。身の安全と彼女(佐天)を助けるために攻撃した。はい証言終わり帰っていいよな?」

「駄目ですの。」

「これ以上一般人に関わる理由はないと思うけど?」

「少なくともスキルアウトを簡単に倒せる方が一般人と言えるとでも?」

ああ言えばこう言う、面倒くさいのに目をつけられたか。

「喧嘩が強い奴なんていっぱいいるだろ?」

「ええ、でもあなたは逃がすわけには行かないですの・・・春池空さん?」

「!?・・・なんで名前を?」

「固法先輩から聞いていましたので、遅れましたが私、白井黒子と申しますの。協力してくれたお礼と聞きたいことが有りますのでご同行をお願いいたしますの。」

「・・・もし断ったら?」

空気が張り詰めたものになる。佐天が俺らを交互に見てあたふたしている。

「ご自宅に押しかけ瞬間移動で連行してお話してもらいますの。」

「容赦無いな!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ありません。トラブルのため接触を断念しました。」

そう携帯越しに報告しているのは男物の黒スーツを身に纏った女だった。長い金髪、整った顔立ちの女だったが、通り過ぎる人たちは一瞥もくれない。

『仕方ありません。人目につくところではまずいですしその状況で接触すれば、交戦は避けられないでしょう。さすがにその街だと色んな目があるだけに鬱陶しい。』

「では、『やめておきましょう』」

続けましょうか?と言う前に止められてしまう。

『一旦監視は最低限度に。しかし夏休みに入ってから監視レベルを上げてください。このままでは相手にいらぬ警戒を与えます。』

「・・・畏まりました。」

今の主人の言葉に従う。正直なところ早急に進めたいところだったが、

『急いては事を仕損じるといいますからね。それに出会いにはそれなりの場は必要でしょう?』

「・・・ええそうですね。」

あの時の私のように。その言葉は胸の内に潜めておく。

報告を終え電話を切る。そして接触しようとした青年を思う。

「これが彼にとって幸運か不運か・・・こればかりはわかりませんね。」

願わくば私みたいにならないでほしい。そう思い街中から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




長い間お待たせしました。(待ってる人いたかわからないけど)


とりあえずスローペースで書いていきますのであまり期待せず気楽にお待ちください。

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