ちなみにロリコンである【完】   作:善太夫

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第十三話◆五人目の魔法少女

 リ・エスティーゼ王国北部にある大都市エ・ナイウル。リンデ海に面する港町は商業が盛んだ。

 

 大勢の客で賑わう酒場にセバスとイビルアイの二人の姿があった。

 

「ほう。想像以上に活気がありますね」

 

「……う、うむ。……そ、そうだな。……その……だ。……セ、セバス様と私は……まわりから……その、どういう風に……あの、み、見えるだろうか?」

 

 セバスはいつもと事なり赤面しながらモジモジするイビルアイを不思議そうに見つめる。

 

「……ふむ。少女とナイスミドルな紳士、でしょうか?」

 

「……いや、そうでなく男女のカ、カップる……とか恋びト……とか……」

 

「……カップですか……うーむ……よくわかりませんが……まあ、私はかまいませんよ」

 

 イビルアイは心の中で大きくガッツポーズをする。

 

「──やあ。久しぶりだね。君から連絡をしてくるなんて思いもしなかったよ」

 

 イビルアイに近づいて来る人物の姿にセバスは一瞬ハッとする。

 

(……白銀の全身鎧(フルアーマー)……似ている。……いや、よく見れば装飾もデザインも全く異なりますね。……私とした事が白銀のフルアーマーを見て一瞬ではありますがたっち・みー様と勘違いするとは……)

 

 来客はセバス達のテーブルの空いている席に座った。

 

「……セバス様、紹介しよう。こちらは“白銀”のツアー殿だ。私の古い友人だ」

 

 ツアーは中腰になり手を差し出す。フルフェイスヘルムは閉じたままだ。

 

「……で、こちらはセバス様だ。私が現在いろいろ世話になっている」

 

 セバスも立ちあがり二人は握手をかわす。

 

「……実はツアー殿にマジカル☆ロリータの新メンバー候補についてあてがあるらしくてな……」

 

「それは素晴らしいですな!」

 

 セバスが思わず立ち上がる。

 

「……う、うん。その事なんだけど……実はその候補者のいる竜王国は現在危機的状況でね。で、紹介したい人物の竜王国の女王は真なる竜王の血をひく少女なんだけど……このままだとビーストマンたちに滅ぼされてしまうかもしれない」

 

「──なんですと! まだ花も咲かない少女がビーストマンになぶられ散らされてしまうのですか? それはいけません! 断じて許されざるべきですな」

 

 興奮のあまり立ち上がるセバスにイビルアイは動揺する。

 

「……いや、だが……かの国にはアダマンタイト級の冒険者がいたはずだ。たしか少女趣味の変態──」

 

「違います。イビルアイさん。間違えないで頂きたい。か弱き少女を愛でるのは高尚なる愛、です。決して変態などという言葉は使わないで頂きたい!」

 

 ツアーはイビルアイに優しく諭す。

 

「イビルアイさあ、セバスさんのいう通りだよ。変態っていうのはもっとさ、グロテスクなんじゃないかな? それにイビルアイだって少女の姿なんだし……少女愛を理解する必要があると思うよ」

 

「……ふむ。もしかしてツアー様も少女愛についてご理解されているご様子ですね。良き友人になれそうですな」

 

 セバスはツアーと高らかに笑うのだった。

 

 

 

 

 “白銀の竜王”ツアーの訪れは竜王国にとり大事件であった。竜王国の女王“黒鱗の竜王”ドラウディロンも同じく真なる竜王の末裔ではあったが、ツアーの所属する評議国とは全く交流がなかったからだ。

 

「……よいですか陛下。これはビーストマンを追い払うまたとないチャンスですぞ? かの白銀の竜王様は始原の魔法を使う最強の存在だと聞きます。うまくとりいってご助力頂くのですぞ」

 

「……う、うむ。わかっておる。しかしな、今までほとんど交流がなかったわけじゃし、上手くいかなくとも仕方あるまい」

 

 投げ槍なドラウディロンに宰相は厳しく叱咤する。

 

「陛下! さような心積りで如何なさいますか! こうしている間にも我が国民はビーストマンに食べられているのですぞ!」

 

「……わかった。頑張れば良いのだな。うむ、全力をつくしてみるとする……」

 

 

 

 女王ドラウディロンの登場をツアー、セバス、イビルアイの三人は膝まずいて迎える。ドラウディロンは玉座に座り声をかける。

 

「私が竜王国の女王ドラウディロンである。楽にせよ」

 

 セバスは顔をあげ、ドラウディロンの爪先から頭のてっぺんまでじっと眺めて呟く。

 

「……ふむ。合格ですね」

 

 ドラウディロンは一瞬訝しげな表情になるが気をとり直して彼らに懇願する。

 

「──と、いうわけで今この竜王国は危機に瀕しておるのだ。どうかな? 力をかしてもらえないだろうか? 大したお礼は出来ないのだが……」

 

 セバスはスックと立ち上がると玉座の前に進みドラウディロンの手を握る。

 

「……ふっ。お礼など……困っている人がいるならば力になるのは当たり前です。……まあ、ひとつばかりお願いしたい事がなくもないのですが……」

 

 宰相が口を開きかけるが、ドラウディロンは強くセバスの手を振りながら叫んだ。

 

「ではよろしく頼む! 戦況についてはこの国の冒険者に説明させるとしよう」

 

 かくしてセバス達は竜王国の危機を救うべくビーストマンと戦うことになった。

 

 

 

 

 

 

「よろしく。私が竜王国のアダマンタイト級冒険者チーム“クリスタル・ティア”のセラブレイトです」

 

「私はセバス。こちらはツアーさん、イビルアイさんです」

 

 セラブレイトはフルフェイスを上げようとしないツアーと仮面のイビルアイにギョッとしながらも次々に握手をかわす。

 

「……さて、最初にお尋ねしますが女王ドラウディロン陛下はおいくつでしょうか? お見受けした所十代前半位の容姿のようですが……」

 

 セバスが真剣な表情で尋ねた。

 

「……実際の年齢はわかりません。しかし私のセンサーでは間違いなく十代前半かと」

 

 セラブレイトは白い歯をみせた。次の瞬間、セバスとセラブレイトは固い握手をかわす。

 

「……フッ……」

 

 その瞬間に二人の男は互いを理解した。そう……二人は同士だったのだ。

 

「……いったい何が?」

 

 無言で頷きあう男たちに混乱したイビルアイがおろおろする。ツアーは腕を組んだまま黙って見守るのだった。

 

 

 

 

「……では、戦況については以上です」

 

 セラブレイトは説明を終える。彼の話からは現在の危機的状況が理解できた。

 

 ビーストマン単体は確かに人間よりははるかに強い。しかし英雄の域に到達するような強者はごく一部なようだった。

 

 おそらくはセバスどころかイビルアイでも圧倒出来るかもしれない。しかし──

 

「セラブレイトさん。あれが相手の大将ですか?」

 

「はい。これまで何度か剣を交えましたがなかなかの強者です」

 

 セバスは相手の姿に軽いめまいを覚える。

 

「……あまり気乗りしませんが……今からあの強者を捕らえてみせましょう」

 

 セバスは敵の大将にツカツカと歩いていく。敵が名乗りを上げるまでもなく、セバスの正拳がみぞおちに決まり相手は呆気なく崩れおちる。

 

「……さて、あなた方の大将は私の敵ではありません。帰ってあなた方の長に伝えなさい。すぐさま引き上げないと次は命をとります、と」

 

 セバスは気絶したままの敵の大将を肩に担ぐと歩いて引き上げるのだった。

 

 

 

 

 

 ビーストマンの前線基地では蟻の巣をつついたような騒ぎだった。なにしろセバスに連れ去られた大将はビーストマンの種族の中でも主力である燦璃惡(サンリオ)族族長の妹、ミミィ・チャンだったからだ。

 

「……ぐぬぬ。妹の仇は必ずとる! この私、キティ・チャンが思い知らせてやる!」

 

 その時、慌ただしく兵士が駆け込んできた。

 

「たいへんです! セバスが……セバスがミミィ将軍を連れてやって来ました!」

 

 キティが外に出てみると立派な馬車に乗ったセバスが荷台にミミィを乗せてやって来た所だった。ミミィには首枷がされて鎖で繋がっている。

 

 怒りに瞳を細めるキティはふと馬車を引いている二頭の存在に真っ青になった。

 

 ──ソウルイーター──かつて三頭のソウルイーターがビーストマンの都市をひとつ潰滅させたという伝説の怪物──それが馬車馬代わりに馬車を引いていたのだった。

 

 セバスが馬車を降りるとビーストマンは全て平伏していた。かくてビーストマンの大軍は戦わずして下った。

 

 

 

 

 

「……ふう。しばらくぶりですが、やはり我が家は良いものですね」

 

 セバスは馬車を降りて振り返る。イビルアイに続いてドラウディロンも馬車を降りる。

 

 ビーストマンから竜王国を救ったセバスは唯一の要求としてドラウディロンのマジカル☆ロリータ加入を要求した。その結果、新たに五人目の魔法少女、ロリータ☆クイーンが誕生したのだった。

 

 扉を開けようとしたセバスは誰となく呟く。

 

「……そう言えばシャルティア様に魔法少女の特訓をお願いしておいたのでしたが……さてさて……」

 

 元庶民のニニャと元貴族のアルシェとの不仲を解決する為にも圧倒的な強者であるシャルティアを新加入させると同時に特訓で新しく関係を築くのが狙いだったが……

 

「──これは!」

 

 セバスは触手に全身を責められているアルシェとスライムに衣服を溶かされてほぼ全裸になっているニニャに驚愕する。

 

「思いの外早かったでありんすね。魔法少女には触手プレイやスライム姦というものがつきものでありんしょう。かつて至高のお方のペロロンチーノ様は熱く語っておりんした」

 

 部屋の奥からアイマスクをして鞭を手にしたシャルティアが笑いながら姿をみせるのだった。

 

 

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