ちなみにロリコンである【完】   作:善太夫

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第十五話◆解放軍の基地にて

「皆さん、お疲れ様でした。ここが解放軍の基地です。たいしたおもてなしは出来ませんが、まずは旅の疲れを癒してください」

 

 馬車から降りる一行をローブル聖王国王兄、カスポンド・ベサーレスその人が直々に出迎える。聖王女カルカの生死が不明な現在、彼がローブル聖王国の代表という立場である。

 

 そんなカスポンドはにゃんにゃん☆メイド隊に続いて降りるメイド姿の従者に思わず硬直するのだった。

 

 ──殺人鬼メイド──そんな言葉が頭をよぎる。

 

「──なんだその格好は! 従者とはいえ聖騎士たる矜持が貴様にはないのか! 恥を知れ!」

 

 別の馬車から降りてきたレメディオスがすかさずネイアを叱責する。

 

 涙ぐみながらスカートの裾を握りしめるネイアには返す言葉がなかった。

 

「なんすっか? 随分えらそうな女っすね? そんなに着たいなら素直にお願いすれば良いっすよ」

 

「──な──」

 

「ほれほれ……お願いはまだっすか?」

 

「……ぐぬぬぬ……」

 

 あからさまな挑発にレメディオスの顔がみるみる赤くなる。

 

「……なにやら面白そうでありんすな。せっかくなら誰かと対決して、負けたらメイド服を着るとしてはいかがでありんしょう? まあ、もっとも聖騎士団団長風情では相手にならないと思いんすが……」

 

 シャルティアが更にレメディオスを煽る。

 

「キサマ! 許せん! いいだろう。私と一対一の勝負をしろ! なに、貴様程度聖剣サファルシアを使うまでもない。従者、お前の剣を貸せ。ローブル聖王国最強の力を思い知らせてくれる!」

 

 ネイアの剣を構えるレメディオス。シャルティアは気のない態度で答える。

 

「……では、私は武器を使わない事にしんしょう。それでも結果は見えていんすが……」

 

 逆上したレメディオスはいきなり仕掛けた──

 

 

 

 

 

「…………団長……」

 

 副団長のグスターボが情けない声を上げる。

 

「……言うな」

 

「……しかし……」

 

 レメディオスは顔を上げようとはしない。しかし耳朶まで真っ赤に染まっていることから相当赤面しているとわかる。

 

 結局、レメディオスは負けた。なすすべもない完敗だった。

 

 その結果、彼女はメイド服にホワイトブリムを着けさせられていた。

 

「……うん? 案外似合うものだな」

 

 メイド服を着たレメディオスをまじまじと見つめたカスポンドの驚いた顔を思い出す度に身悶えしてしまう。

 

「……仕方あるまい。それに、な……」

 

 レメディオスはから元気で言葉を続ける。

 

「……悔しいが、私の装備よりこれの方が断然性能が良いのだ。仕方ないではないか。これからあのヤルダバオトを相手にするのだぞ?」

 

 レメディオスは快活そうに笑い声をだす。しかしグスターボの表情は冴えない。

 

「……それはわかりますが……」

 

「……ん? なんだ? お前は不満か? 王兄殿下も言っていたではないか。『カストディオ団長にメイド服はなかなかに似合う』と」

 

 胸をはるレメディオスにグスターボは答えた。

 

「……いや、団長がメイドの格好をするのに何も異論はありません……ですが──」

 

 グスターボは叫ぶ。

 

「なにも私達聖騎士全員がメイド服を着なくても良いのではないですか!」

 

 レメディオスはグスターボから顔を背ける。そして小さな声で呟いた。

 

「……私一人だけだと……恥ずかしいのだ」

 

 

 

 

 ローブル聖王国の城塞都市カリンシャの程近くの山あいにある洞窟のひとつが解放軍の基地であった。

 

 立派とはいえない粗末な小屋の中にローブル聖王国王兄以下の幹部、マジカル☆ロリータ、にゃんにゃん☆メイド隊が集まり軍議が始められた。

 

「さて、この度のご助力改めてお礼申し上げる。早速ながらこれからの目標を──」

 

「その前にお聞きしたい。この中に死者を生き返らせる甦生魔術が使えるものはいないか?」

 

 カスポンドの言葉をさえぎりレメディオスが皆に尋ねた。

 

「……甦生魔術……ですか?」

 

 つぶやくセバスの前にレメディオスは思わず身を乗り出した。

 

「そうだ。生きていると信じたいが万が一という事があるのでな。カルカ様とケラルトを失うわけにはいかないのだ」

 

 副団長のグスターボが頭をかきながら補足する。かつてヤルダバオトに蹂躙された際にカルカ聖王女陛下と最高司祭ケラルトが生死不明となっている、という事である。

 

「……うむ。そのカルカ様とケラルト様の年齢はいかほどでしょうか?」

 

 セバスは真剣な目差しで尋ねた。レメディオスは一瞬躊躇する。

 

 ──もしかしたら復活にはある程度の年齢が必要なのだろうか?

 

「……にじゅう──」

 

「──残念ですが無理ですな」

 

 セバスは即座に首を振る。

 

 重たい沈黙が続くと思われた頃──

 

「……ゴホン。話を戻して良いかな? これからの目標なのだが……」

 

 カスポンドは皆の顔を見渡しながら告げた。

 

「城塞都市カリンシャを奪還しようと考えている」

 

 

 

 

 会議は紛糾した。何しろ解放軍は亜人の軍勢に対して僅かにすぎない。到底不可能な話である。

 

 しかし次のカスポンドの提案で事態は一変した。

 

「実は亜人の中で我々に協力したいという申し出があったのだ」

 

 カスポンドが合図をすると一人の亜人──あたかもイモムシを思わせる姿をした──ゼルンが騎士に連れられて入ってきた。

 

 

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