ちなみにロリコンである【完】   作:善太夫

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第十六話◆カリンシャ潜入

「あ、あのー…………」

 

 ローブル聖王国聖騎士団従者のネイア・バラハは恐る恐る声をかける。

 

 ネイア達三名は亜人軍のゼルンの手引きでカリンシャ城内に来ていた。

 

「……あのー…… 」

 

 ネイアの他の二人はそれぞれ『にゃんにゃん☆メイド隊』と『マジカル☆ロリータ』から選ばれたメンバーなのだが、どういうわけか酷く反発しあっているのだった。

 

「……お二人は以前になにかあったんですか?」

 

「……別に……」「……特にぃないですぅ」

 

 ネイアは『嘘だ!』と叫びそうになる。

 

「……別に私はなんとも思っていない。ただ、セバス様からの命令に従うまでだ」

 

 そっぽを向いたままでロリータ☆ピンクが答える。

 

「セバス様もぅこんなガキ、ポイッて捨てちゃえばいいのにぃ……」

 

 同じくそっぽを向いたままでメイド☆ヴァシリッサが呟く。

 

「──なんだと!」

 

「……フン。今度はやっつけてあげるぅ!」

 

「やめてください!」

 

 ネイアは胃が痛くなる。

 

「お二人とも今がどういう状況かわかっていますか? 私達はカリンシャに命がけの潜入しに来ているんですよ?」

 

 ネイアが目の端を指でくりくりほぐしながらため息をつく。

 

 ……きっとかなり凶悪な目付きになっているだろうな……

 

「今回、ゼルンの王子様を無事に救出する為には全員の力をあわせる必要があるんです!」

 

「……私ぃにはこのチンチクリンの助けはいらないぃ……邪魔にしかぁならないんだけどぉ」

 

 チンチクリン呼ばわりされてロリータ☆ピンクの顔が赤くなる。

 

「……こいつ! 私のヴァーミンペインを食らいたいらしいな! いいだろう! 勝負してやるぞ!」

 

「──いい加減にしなさい‼」

 

 思わずネイアが叫ぶ。途端にあたりが騒がしくなる。

 

「……なんだ? 誰かいるのか?」

 

 ネイア達はあっという間に亜人達に囲まれてしまった。

 

 

 

「……あちゃちゃちゃ……失敗っすね」

 

「……これは人選がまずかったようですね」

 

 無我夢中で逃げ出したネイア達は気がつくと解放軍の前線陣地にいた。

 

「さて、どうしたものでしょうか?」

 

 セバスが回りを見回す。

 

「……完全不可視化つかうっすか?」

 

 メイド☆ベータが気軽に発言をする。

 

「……そんな……不可視化の魔法なんて伝説の域の──」

 

 ロリータ☆ブルーが震える声で呟く。

 

「そういやゼルンの話ではカリンシャにはサークレットがいたのでありんすな?」

 

 ロリータ☆アリンスが何やら思い付いた様子で発言する。

 

「私に考えがありんす。次の潜入メンバーはネイア、私、ユリで行くでありんす」

 

「わかりました。シャルティア様が行かれるのであれば問題ありません。ユリもよろしいですね?」

 

「……え? ボ……私ですか? そのう……構いませんがシャルティア様と一緒にというのは……」

 

「……ユリ姉。にゃんにゃん☆メイド隊のリーダーとして命令するっす。メイド☆アルファはロリータ☆アリンスとネイアと共にゼルンの王子を助け出すっす」

 

 かくして再びカリンシャ潜入作戦が実行されるのであった。

 

 

 

 

 ネイア、ロリータ☆アリンス、メイド☆アルファの三人は難なくゼルンの王子が収監された牢獄にたどり着く。

 

 ロリータ☆アリンスが爪で切りつけると呆気なく錠が真っ二つになる。

 

「ゼルンの王子様はこちらですか? ボク……私達は味方です」

 

 メイド☆アルファがテキパキと状況を説明する。

 

 ネイアがゼルンの王子を背負い袋で背負い、部屋を後にする。全てが順調だった。

 

「……貴様達はいったいどこから?」

 

 三人の行く手をヤルダバオトの側近の悪魔の一人、サークレットが立ちふさがった。

 

 樹木のような悪魔の頭部には二つの顔──生首が飾ってあった。一つは亜人のもの。もう一つは人間の女性のもの──

 

「……そ、そんな……ケラルト様……」

 

 

 

 

「お疲れ様でした。さすがはシャルティア様……いや、ロリータ☆アリンス様です」

 

 ネイア達は無事にゼルンの王子様を救出しただけでなく、ロリータ☆アリンスの案で堂々と表から帰還したのだった。

 

 ユリの種族、デュラハンの特性を生かした作戦により幹部のサークレットに成りすましたおかげだ。

 

「……あのう……私をそろそろ体にもどして戴けませんか?」

 

 サークレットに飾られた頭部だけのメイド☆アルファが困ったように懇願する。

 

「……うーん。ユリ姉の体はちょっと用事をお願いしているっすから、待つっす」

 

 メイド☆ベータの言葉にメイド☆アルファは戸惑うばかりであった。

 

 

 

 

「ケラルト!」

 

「…………」

 

 ぎこちなく歩くケラルトにレメディオスが抱きつく。

 

「……よくぞ無事だったな! 私はうれしいぞ!」

 

 レメディオスがケラルトの肩をつかんで揺さぶった。次の瞬間──

 

「ゴロン」

 

 

 

「けらるとおおぉぉーー!」

 

 レメディオスの悲痛な叫びが響きわたるのだった。

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