ちなみにロリコンである【完】   作:善太夫

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第十八話◆ブレイナの悲劇

「みんな聞いてくれ! あのシャルティア・ブラッドフォールンの正体は化けものなんだ! 嘘じゃない! 本当の事なんだ! 誰か! 誰でもよいから信じてくれ!」

 

 ブレイナの叫びは虚しく、通り過ぎる者達は誰一人として耳を貸そうとしなかった。

 

 無理もない。聖王国の人間にとってシャルティアはわざわざ助けにやって来た救世主たるマジカル☆ロリータのリーダーである。

 

(……せめてガゼフが生きていてくれたら信じてくれたものを……残念だ。)

 

 ブレイナことブレイン・アングラウスの言葉を信じてくれたであろうガゼフは既にこの世にいない。

 

(……そうだ。クライム君……もしくはラナー王女ならば俺の言葉を信じてくれるかもしれない。ここは一旦王都に戻るべきか……)

 

 ブレイナは夜を待ってリ・エスティーゼ王国に向かう事にした。

 

 

 

「……まいったな……」

 

 ようやくの思いでリ・エスティーゼに戻ったブレイナだったが、肝心のラナー王女への面会は多忙を理由に門前払いされてしまった。

 

 かつての知り合いを探してみようとしたが何故か周囲の視線が冷たい。

 

「……クライム君! 良かった。俺の話を聞いてくれ!」

 

 市場の雑踏でようやく見知った白い鎧を見かける。

 

「……アングラウス様……ええと、ブレイナ様、でしたか……僕に何か……?」

 

「良かった。クライム君。実はあのシャルティア・ブラッドフォールンがいたんだ」

 

 クライムは首をかしげる。

 

「シャルティア・ブラッドフォールン……ああ、シャルティア様ですね。それがなにかありましたか?」

 

 ブレイナはがく然とする。

 

「……だからシャルティア・ブラッドフォールンだ。俺が以前相対して手も足も出なかった化けものだ」

 

「ブレイナ様。シャルティア様を悪く言うのはやめてください。シャルティア様の後見人はあのセバス様ですよ?」

 

「……なん……だと?」

 

 ブレイナは頭を酷く殴られたかのようにフラフラとその場を立ち去る。

 

 そんな彼に周囲の呟き追い打ちをかける。

 

「……あの人は強さを求める為に男を棄てたのよ……」

 

「……チン切りしたんだって……」

 

「……本当はそういう趣味が……ガゼフ様はそれが苦痛で自ら命を……」

 

「──違うぅううぅ! 黙れぇええ!」

 

 ブレイナは走り去っていった。

 

 

 

「……探しましたよ。貴方がブレイン改めブレイナさんですね? 私はマジカル☆ロリータ親衛隊隊長のセラブレイトです。ロリータ☆アリンス様に対する不敬の数々を見逃す事は出来ません!」

 

 セラブレイトは剣を抜いた。対するブレイナは近くにあったモップを仕方なく構える。

 

(……クソッ。なかなか腕がたつ相手と見える。普段の得物なら互角に戦えるかもしれないが……クソッ!)

 

「『光輝剣ッ!』」

 

 セラブレイトが必殺技を放つ。刀身から光が膨れ上がり剣撃とともにブレイナを襲う。

 

 ブレイナは地面を転がるようにして避けると、モップを上段に構え──投げつけると脱兎の如く逃げ出した。

 

「──貴様! 卑怯だぞ! 逃げずに戦え! それでもかつてガゼフ殿に比肩するといわれた男か!」

 

 ブレイナは全力で逃げながら笑う。

 

(悪いな。もう男じゃないのでな……しかし困ったな……一体どうしたら……?)

 

 充分逃げきれたとおぼしき町はずれでブレイナは足を止める。

 

(……そうだ。“漆黒”のモモンだ! 彼ならばたしかホニョなんとかとかいう強大な吸血鬼の片割れをまだ探しているはずだ。シャルティアはきっとそのホニョなんとかに間違いないだろう。あんなに強大な吸血鬼だ。そう何匹もいる筈がない」

 

 かくしてブレイナはモモンがいる魔導国──エ・ランテルに向かうのだった。

 

 

 

「またしても一人足りなくなってしまったわ……」

 

 ラキュースが肩を落とす。

 

「よくわからないが、別に四人でも良いんじゃねえか?」

 

 ガガーランがとりなす。しかしラキュースは首をふる。

 

「……駄目だわ。五という数字には深い意味があるの。このまま四という数字ではいつかは闇世界の暗黒面に堕ちてしまう……なんとかしないと……」

 

「四人でも五人でも大してかわらない」

 

「でも、ショタ美少年なら加入歓迎」

 

 ティナとティアにとっては人数は大した問題ではないようだ。

 

「……駄目なのよ。四はとても縁起が悪いのよ? やはりどうにかして五人揃えないと……」

 

「じゃあよ、クライムでも加えるか? ……まあ、それは姫さんが許可しないか」

 

 マジカル☆ローズのメンバーは黙りこんでしまう。

 

「……ふふふ。どうやらわしの出番じゃな? 強えぇヤツと勝負したいぞ?」

 

 突然一人の老婆が姿を現す。彼女はリグリット。かつてイビルアイが加わる前に“蒼の薔薇”に在籍していたネクロマンサーだ。

 

「……泣き虫のかわりにひとつ力を貸そうか? ちょっとばかり暇をもて余していてな。なんだかワクワクするっぞ」

 

 唖然とするラキュースらにリグリットは楽しそうに笑いかけた。

 

 

 

 

「お待たせいたしました。だいたい話はつきました」

 

 マジカル☆ロリータの宿舎となっているホテルにセバスが戻ったのは夕暮れ過ぎであった。

 

「……随分遅かったでありんすな。で、話はついたんでありんしょう?」

 

 爪をヤスリで整えながら詰まらなさそうにロリータ☆アリンスが尋ねる。

 

「うむ? 話がついたとはどういう事かの? 妾にはよくわからぬが」

 

 ロリータ☆クイーンの言葉に他のメンバーも同意する。

 

「……実はデミウルゴス様とプレイアデスと打ち合わせをしてまいりました。我々マジカル☆ロリータとにゃんにゃん☆メイド隊とは決勝で当たるようにブロックを分ける事になりました。そして互いに勝ち上って決勝戦で相まみえる、という訳です」

 

「……それは構わんでありんせんが……大丈夫でありんすか? 我らが万が一はありんせんがプレイアデスにはちと荷が重い気がいたしんす」

 

「……マジカル☆ローズは私がいないからさほど脅威にはならないかもしれないが……あのハーフエルフは侮れないかもしれないな」

 

「……確かに彼女の魔力はイビルアイさんと同等です。あ、シャルティア様程ではなさそうでしたが……」

 

 アリンスの言葉にブルーとソルトが同意する。

 

「たしかタカマーチナノーハとかいう名前でしたな。おそらく偽名でしょうが……」

 

 セバスは何やら思い出した様子で大きな包みを皆に見せる。

 

「……そうでした。皆さんに新しい衣装を用意いたしました。早速着ていただけますか?」

 

 セバスがそれぞれのカラーの衣装を渡す。各自が身体にあわせて拡げてみると──

 

「──セバス! てめえ喧嘩売ってるのかぁ? ああん?」

 

 セバスが振り向くと怒りに燃えた紅い双眼があった。

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