ちなみにロリコンである【完】   作:善太夫

23 / 23
最終話◆決戦! 魔法少女大戦

「ディバインバスター!」

 

 とてつもないエネルギーの束がマジカル☆ロリータに襲いかかる。

 

「……くっ……このままでは……」

 

 ソルトは唇を噛みながらピンクに振り返る。ピンクは頷き、ブルーとクイーンに合図する。

 

 相手チーム『聖幼女戦隊カルカン』の白黒のツインテール少女の魔法攻撃は予想以上に激しいものだった。他の二人はたいした脅威ではなかったが、タカーマチの強さはおそらくアリンス──シャルティアと互角に思われた。

 

 縦横無尽に暴れまわる白き悪魔に対してブルーとクイーンが攻撃をしかける。ピンクは身を隠しながらタカーマチの背後へと移動する。

 

 タカーマチの虚を突いてピンク──イビルアイことキーノが接近して自らのスキルを発動させる。

 

 白い光に包まれたキーノがタカーマチに抱きつき、共に閃光に包まれていき──

 

 

 

 

「……あのハーフエルフは強い。プレアデス──にゃんにゃん☆メイド隊ですら歯が立たなかった」

 

 マジカル☆ロリータの会議室でシズが静かに分析する。

 

 メンバーには言葉がなかった。無理もない。大会での優勝候補の一画を担うにゃんにゃん☆メイド隊が負け、しかもマジカル☆ロリータにはエースのアリンスがいないのだから。

 

「……ゴホン。……その……クイーンは真の竜王にのみ使える原始の魔法が使えると聞きましたが、どうでしょうか?」

 

 セバスの問いかけにクイーンは静かに首をふる。

 

「……無理ね。あれには万単位の犠牲が必要だし、それに私には真の竜王の血がさほど濃くないから威力もどうだか……」

 

 一同はまたしても黙りこむ。

 

 いつまでも沈黙が続くかと思えたその時──

 

「……ひとつ質問がある。あの聖幼女戦隊の強さはどこからくるのだろう?」

 

「……個別スキルかワールドアイテムだと思う。おそらく他の平行世界に存在する別の人格を再現するのだと思われる。あのタカーマチというのは博士のデータバンクにあった。魔砲少女とか管理局の白い悪魔といわれる危険な存在……」

 

「……もしも、もしもですが……それがスキルならなんとかなるかも……」

 

 ピンクが自信なさげに話す。

 

「──本当ですか? キーノ」

 

「「──?キーノ?」」

 

 突然のセバスの言葉にメンバーは面食らう。

 

「……ああ、いや、その……私の本当の名前がキーノというのだ……」

 

 ピンクの顔は真っ赤だった。

 

「……キーノ。せっかくですから皆さんにお話ししておきましょう。私とキーノさんは、いわゆる男と女の関係なのでして──」

 

 

「「えーーー! ま、マジ?」」

 

 

 

 

「──と、いうわけです」

 

 セバスが簡潔にキーノとの関係を説明する。

 

「……あの……セバス様は……その……」

 

 ドラウディロンがおずおずと口を開く。

 

「……セバス様は……一人で満足、いや、その……出来るのか? ……たとえば私ならペタンコとバインバインの両方が……その……楽しめると思うが……」

 

 セバスはじっとドラウディロンの顔を見詰めて、小さく首をふる。

 

「……今はまず魔法少女大戦を勝ち進む事だけを考えましょう。その後の事は『聖幼女戦隊カルカン』に勝ってから、それでよろしいですね?」

 

 セバスは毅然とした視線でメンバーを見渡す。彼女たちは黙って頷くのだった。

 

「……さて。話を戻しましょう。キーノ、貴女には何か策があるようですが?」

 

「……相手の強さの秘密が固有のスキルならばなんとかなるかもしれない……」

 

「それは本当ですか?」

 

 キーノは静かに頷く。そして彼女は自らの過去を語り始めるのだった。

 

 

 

 かつてキーノはインベルノ王国の王族に生まれた。そしてある日、王国は崩壊し、キーノを残しすべての生き物はゾンビとなってしまう。

 

 キーノ自身も吸血姫というアンデッドになってしまったのだが、それはどうやら彼女自身の固有スキルのおかげだったようだ。

 

 長年調べてわかったのは、キーノの固有スキルは何らかしらの固有スキルが発動した際にそのスキルを自分のスキルとして発動出来るものらしい、という事だった。

 

 つまりキーノが吸血姫になったのは『一つの国の住民をアンデッド化してしまうスキル』を発動した何ものかのスキルをキーノ自身も発動したから、というわけである。

 

 だから、仮に『聖幼女戦隊カルカン』の魔砲少女の強さが固有スキルであるならばキーノもそれを使用可能かもしれない。しかし、その場合は──

 

「……キーノさん。貴女は意思を持たぬゾンビとなってしまうのではないですか?」

 

 セバスの問いかけに対してキーノは無言だった。しかし、その無言が答えであると皆、理解していた。

 

「……すべては……セバス様の為……私はどうなっても……かまわない」

 

 キーノの眼には涙が溢れていた。

 

 そう、すべては愛のため……

 

 

 

 

 

 戦いの最中にキーノはスキルを発動させる。キーノとタカーマチの身体を包んだ白い光は拡がっていく。

 

「……こ、これは……ち、ちまった!」

 

 危険を覚ったカルカが逃げようとするが、もう遅い。

 

 カルカも光に包まれていく。

 

「……これでお前たちの固有スキルは私の手の中だ。相手が悪かったな」

 

 勝利宣言するキーノの胸に白い光は吸い込まれていき、やがて消える。

 

「……これで……わたしたちの……かち……」

 

 キーノの身体がゆっくりと崩れる。

 

「──ピンクーー!」

 

 駆け寄ったニニャに抱き起こされてキーノはゆっくりとタカーマチを指さす。

 

「……これで……」

 

 口もとに微かに笑みを浮かべてニニャの胸もとに顔を埋めるキーノ。

 

「……どうやらスレイン法国の至宝『セイユウ-マ-イーク』は無事だ。なんだったのだ? 固有スキルがどうとか……」

 

 タカーマチが身体をはたきながら立ち上がる。

 

「……あの女の顔、ツヤツヤなっている! わたちのシュキル、泥棒ちたのね! ゆるちゃない!」

 

 カルカの小さな身体が怒りの炎にそまる。カルカの言う通り、キーノの肌はツヤツヤになっていた。

 

 ニニャ、アルシェ、ドラウディロンはキーノを守るように前に立つ。しかしながら彼女達にはもはや打つ手はなかった。

 

 キーノの捨て身のスキルも不発に終わり、もはや『聖幼女戦隊カルカン』の勝利は揺るぎないものに思えた。

 

「これで終わり! 『スターライトブレイカー』」

 

 タカーマチのステッキから高出力エネルギー弾が発射される。

 

 マジカル☆ロリータはかろうじて身をかわした。

 

「諦めないで下さい! ロリータは正義なのです!」

 

 ステージの下からセバスが叫んだ。

 

 と、次の瞬間、奇跡が起きた。

 

 先程タカーマチが放ったエネルギー弾が一周して戻ってきたのだった。しかも、その速度は加速されており──

 

 

「グワー!」

 

 『聖幼女戦隊カルカン』は星になった。

 

 

 

 

「セバス様。やはり行くのですね」

 

 キーノを背負った旅支度のセバスをニニャ、アルシェ、ドラウディロンが見送る。

 

 意思を持たないゾンビとなってしまったキーノを元に戻す方法を求めて、セバスは旅に出る。

 

「……可能性は僅かだがある。真の竜王のどれかにキーノのアンデッド化の原因となったものがいるらしい。さらにこの世界の何処かに魔王のスライムがいて、取り込んだ相手の能力を自分のものに出来るらしい」

 

「……スライムの魔王、ですか……」

 

「……そのスライムは人の形をしていてボブゴブリンやハイオーガを従えているらしい……と、博士のデータにあった」

 

 セバスはシズに頭を下げ、背を向けると歩き始める。

 

 どれ程の時間がかかろうとも、きっとキーノを元に戻す。それがキーノが捧げてくれた愛に応える道なのだ。

 

 セバスの旅はこれから始まる。

 

 

 

 

 ─────────完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で……どうしたら?」

 

 ヤルダバオト役の憤怒の魔将は呆然としていた。

 

 魔法少女大戦の途中でなんとなく良い感じで終わってしまって、出番がなくなってしまったのだった。

 

「……仕方ない。今さらセバスに戻って来いとも言えないしな」

 

 アインズもまた、ため息をつくのだった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。