手には弓を 頭には冠を   作:八堀 ユキ

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次回投稿は5日以降を予定




 自称、優秀で熱烈な愛国者であるところのエージェント・ウィリスは会議室に通されて、そろそろ6時間目に突入。

 ここに通されてからは部屋の中にあるコーヒーポットは好きに飲んでくれてかまわないそうだ。腹の中はとっくにダボダボになってる。

 そして親愛なるCIA長官どのと、そいつの面倒を見てやらなくちゃならない苦労を背負わされた副長官方はいっこうにあらわれる気配がない。

 

 ラングレーにある本部ビル――7階建てのそこにはウィリスのような男はいない。

 情報を分析するって契約を交わしたスーツ共が給料(サラリー)のために毎日通い。遠い空の下で、鼻でもほじりながら書かれたであろう現地からの報告書を読んで、妄想する――楽なお仕事をやって稼いでいる。

 

 ウィリスにはちっとも理解できない連中だ、たとえ形の上では同僚であったとしても。

 きっとここにいる背広どもにジェームズ・ボンドは理解できないのだろう。現場でのひりつくような興奮、背中にびっしょり冷や汗をかくようなスリル。話術で巧みに相手を誘導し、利用する。時には痛い目にも合うが、同時にお楽しみを味わったりもできる――。

 

 それがスパイだろ?

 それがCIAエージェントだろ?

 

 しかしそろそろ我慢も限界に近い。

 今のところ計画としては、ポケットの中に残していたコカインを使い。この盗聴器やカメラがびっしりとしかけられているであろう会議室の中でハイになった最高のエージェントの姿を無料で見せてやることか。

 

 だがそんなバカをするまでは、机に並ぶ椅子の中で高そうな唯一のそれの上でふんぞりかえると大いびきをかいて寝てやった。

 どうやらそれは向こうも予想していたのか。唐突に無表情な長官と副長官が2人、足早に部屋に入ってきた。

 

「ごきげんよう、ウィリス君。またせてしまったな」

「いいえ。皆さんもお忙しいでしょうから。実のところ、日を改めようかと思っていたところですよ」

「そうはいかない、何せ君は”まだ”CIAに所属していて。私の部下なのだからな」

「――ええ、まぁ」

 

 そういうことか。

 彼らの中では汚れ仕事のゴミ処理係、つまりウィリスが。今回の活躍でホワイトハウスに必要以上に評価されていることに彼らは不満を持っているということだ。

 これが政治。優れた相手を認めたくないと言う、嫉妬。人の持つ正しい感情だ。

 

「といいましても、なにがあります?もう任務は終わってますし、新たに報告するようなことはなにもありませんが」

「ほう、そうか?」

「ええ。大統領の”便所の映像”は回収しましたし。コピーもない。

 もちろん我々が関与したと言う証拠もきれいにしてます。それこそ床をなめても大丈夫なくらいにね。太鼓判を押します」

「いつもと一緒、ということか」

「ワシントンじゃ、政治的野心を隠せていないFBI長官閣下は引き続き大統領の調査の続行を元気に宣言しているそうですが。モンタナでの彼らの動きはわかってませんでした。もしかしたら気が付いてすらいないのかも。

 これは……大統領にも言いましたが。別に好きに吠えさせておやりなさい、放っておけばいいと。どうせそれしかできない」

 

 前任の大統領は笑顔がまぶしかった優等生であったが。

 そのせいなのか、外交ではしくじりを連発し。あろうことかあのロシアと距離を作ってしまい。世界に新たな冷戦が勃発するのではという、誤ったメッセージを発信してしまった。

 これを解決するのは政治家として当然のことだが。心無いマスコミはそんな新たな大統領のまっとうな考えが間違っているなどと難癖をつけ、就任からずっと政府批判キャンペーンを続けている。

 

「証拠はない、と?」

「ええ、そうです。まさか今更提出しろとはいいませんでしょ」

「ホワイトハウスには戻ったその足で、直接むかったそうだな」

「いい方でした。それに誇りに思います。

 以前から自分は面白い方だと知ってはいましたが、活力(エネルギー)が凄い。私の仕事に満足していると、わざわざ直接会って握手までしてもらいました」

「――よかったな」

 

 そこが彼らには不満なのだろう。

 

 FBIは長官の首を挿げ替えても、局としての方針として大統領の追及をあきらめようとしない。だから点数稼ぎにと、CIAが出しゃばったわけだが。

 権利のない国内で、不正規の上に汚れ仕事だからだと、いつでも切り捨てられるウィリスを送った。

 そしてこの優秀な男は見事に注文通りの仕事をこなすと、ホワイトハウスは働きにふさわしい高い評価を与えてくれた。ウィリスにはこの後、CIAに籍を置いたまま。しかしホワイトハウスの、大統領側近の直属のエージェントとして役に立ってもらうとの約束が交わされている。

 

 つまり、女王様のジェームズ・ボンドならぬ。大統領のジャック・バウワーに自分はなるのだ。

 アメリカを、大統領を悩ませるトラブルは分刻みでスピード解決。しかもオリジナルと違って、拷問なんてやったりはしない。だが、消えてもらいたい奴には消えてもらう。

 

「それじゃ、これで――」

「ホープカウンティの報告がないぞ、ウィリス」

「……ああ、それは必要ですか?これは不正規の任務でしょ」

「確かに書類は必要ない。だが報告は必要だ……少なくともお前の話からあそこは面倒が起きているということだけはわかっている」

(俺の栄転に難癖をつけようとしてるのか?いや、新しいネタを探してるのか?)

 

 時間稼ぎにウィリスは冷めたコーヒーに手を伸ばし、わかるように喉を鳴らして飲み干して見せる。

 先ほどから会議室の長官席にだらしなく腰掛けるウィリスを相変わらずとがめはしないが。それを囲むようにして3人の上司たちの冷たいまなざしはウィリスに向けられたままだ。

 どうやら本気らしい。

 

「何が聞きたいんですか?」

「プロジェクト・エデンズ・ゲート。何が起こっていた?」

「別に――ただの田舎の集まりですよ。元気すぎる宗教オタクたちがいましたってだけで」

「つまり?」

「我らを見守る唯一の神の教えを信じる。バイカーにヒッピー、それに精神を病んでる連中が集まって乱交パーティしているんですよ」

「それは問題じゃないと?」

「CIAの仕事ではないでしょ。違いますか、長官?」

「だが正常とは程遠いわけだろ。ウィリス、お前の手にしている情報をここで公開しろ、あそこでは正確になにがおこっている」

「……わかりましたよ。あそこね、ホープカウンティ」

「ああ」

「彼らは内戦をやってるつもりですが、ただの混乱です。秩序はなく、目的もない」

「それでは納得しない。なぜモンタナ州は沈黙している」

「――わかりました。実は結構面倒くさい話でしてね、司法省もFBIも、本当はわかってますが。今はあそこを放置しているんです」

「なぜだ?」

「今のモンタナ州はガン細胞なんですよ。ところが問題があって、良性の結果が出てる。だから誰も手を出したくないんです」

 

 モンタナは真っ黒、政治や治安にエデンズ・ゲートの影が覆っている。

 あの辺のマスコミへの出資に必ず関係者の名前が載るし、政治にも警察にも信者が入っている。ホープカウンティを封鎖するために行われたと思われる交通網の分断は全国紙に小さく掲載されたものの。

 今のモンタナ州知事は、議会の予算案でつまづくと見せかけたパフォーマンスで復旧が遅れているとアピール。マスコミはそれを素直に”信じ”だれも現地に行こうとはしない。ホープカウンティで起きている悲劇については知らないどころか、知るためのきっかけをわざと潰している可能性が高い。

 

 知らないのではないだろう。

 知らせない側に立って動いているのだ。

 

「わからないな、ウィリス。混乱だか、内戦がそこに怒っているのに。どうして問題じゃないと言えるんだ?FBIや司法省はなぜ仕事をしない?」

「簡単です、誰も火の中に手を突っ込みたくないからですよ。

 この問題の行き着く先は、司法と政治に大きな傷を残します。カルト教団の暴走で終わらすには、田舎者は野蛮すぎる」

「なにもしないほうがいいこともある、と?」

「FBIはワシントンに集中、司法省は連邦保安官を送り込むことで後々の言い訳の準備をおこなってます。今の彼らは騒ぎが収まるのを待っているんですよ」

「――バカなことを。人民統治をどう考えているんだ」

「なぜです?私にゃ悪いこととは思いませんがね」

「軍を派遣するなりして、すぐに治安を回復させなくては」

 

 余計なことを、ウィリスは顔をしかめる。

 

「本気ですか?お言葉ですがあなたの正気を疑いますね。あと常識もね」

「言葉が過ぎるぞ、ウィリス!」

「いえ、そうは思いません。いいですか?

 この情報をCIAからホワイトハウスに知らせれば、大統領はすぐに動かなくてはいけないでしょう」

「当然だ!」

「それがマズいんですよ。我々――というより、あなたと大統領にとってね。

 

 軍が動くと察知すれば、きっと州知事は州兵をホープカウンティの出入り口に配置したりして封じ込めに入ったように見せるでしょう。次に大統領は州知事に考えを変え、政府の指示に従うように求めるでしょうが、きっと無駄です。軍に好き勝手にやられたら、ただでさえ無能な知事なのに、それが明らかにされてしまうわけですからね。だから時間だけが過ぎていく。ですが、記者の連中には気づかれてしまうでしょう。

 TVでさっそく大騒ぎになりますね。奴ら、政府を攻撃する材料に飢えてますから――」

「仕方ないだろう」

「いやいや、問題はここからですよ。

 治安が回復した後で、どうするつもりです?」

「どうする?私のことか?」

「ええ、当然でしょう。

 国内では誰も知らなかった事件を、なぜCIAからホワイトハウスに伝わったのか。大統領が動くことで騒ぎは大きくなるわけですから、隠そうとしても隠し切れませんよ。追及されます、当然私の任務についてもね」

 

 ウィリスは義理堅いという人間ではないが、それでも愛国者。

 もうすぐ自分の名前だけの上司になる相手に、わずかなりの奉公をやってやろうという気になっていた。もちろん、そこにはホワイトハウス出向後にこの男がやらかさないよう、きちんと状況を理解させ。その無駄な正義感で軽くなる口を閉ざしておかねば。大統領に「なぜ(CIA長官)はこちらにわざわざ伝えたんだ?」などと不機嫌にいわれてはたまらない、という打算からではある。世界の支配者(アメリカ大統領)に馬鹿にされるのは、優秀なエージェントには辛すぎる。

 

「被害を、無視しろというのか……」

「考えを変えましょう、長官。モンタナは今、手術室で静かに手術中なんです。ただ患者を前に誰も動いてないけどね、と」

「?」

「それじゃ、わかりやすいようにエイズに例えましょう。患者だって人間だ、楽しみたいときはある。

 だがそれには”やり方”をちゃんと守らないといけない。これならわかりますか?」

 

 上司たちはいっせいに顔をしかめるが、静かに首を横に振る。

 なんて理解力が低い男だろうか。これで長官になれるなら、自分はきっとヘヴィメタルのレジェンドになってる!

 

「そう、セックスはできるんですよ。だが気を使って、そういうやり方も学ばないといけない」

「それが?」

「この困ったチャンがいまのモンタナです。皆気軽に普通のセックスをしたい、だけどそのままでヤルのは相手がまずい。ここは本能に押し流されず。後々のことを考え、慎重になるしかない。つまりゴムが必要なんです」

「それでは……解決にならないだろう」

「なりますよ。モンタナがフリー・セックスに戻るにはこの困ったチャンからエイズを除去するか、その場所からおいだすかして別の子をそこに座らせるのが1番いい」

「ふむ――つまり州の政府組織の職員の一新を目論めるということか。なるほど、だから時間か」

「なんでしたら”私から直接”この後で大統領にお伝えしてもいいですが、やめましょうよ。あそこはどのみち火の海に沈みます。アメリカ政府の看板はどうしようと傷つきますが、リスクを引き受ける真似は弁護士ならやめるように助言しますよ。それがこの世界です、そして今は私があなたの弁護士なんです、長官。

 

 聖書にもあるでしょ、ソドムとゴモラ。神は滅ぼしました、ホープカウンティもそうなる、きっとね。

 だから今は時を稼いで、タイミングを待つんです。騒ぎが始まったら、強い政府がいきなりすべてを叩き潰せばいい。それでカッコはつくんです」

 

 ホープカウンティは祭壇にささげられた羊であることに変わりはない。

 

 ウィリスの考えを吟味する”もうすぐ過去の上司”となる彼らの顔色が良いものになっていくのを間近に見ていた。やはり根は政治家、自分の利益につながるならと考えればクソだって見事に平らげる人種だ。

 

(これなら”あの事”は触れずに済むかもしれないな)

 

 ウィリスはエデンズ・ゲートの探りを入れる傍ら、ちょっとした仕事も行っていた。もちろんそれは暗殺。

 しかし今回は出てきた情報は少しばかり面倒なものだった。CIAにとってのXファイルというやつだ。

 

 殺した……じゃない、死んだ男に贈られていたメッセージは中国とロシアにつながりのあるバイヤーのもの。

 ウィリスの接近に気が付いて警告を送ったのはさすがだが。到着した時にはすでにそいつは死んでいた。だから、わかった。

 

 エデンズ・ゲートは国外になんらかのつながりで客を持ち、彼らから危険なアルバイトを引き受けていた。

 そしてその見返りに――面倒なものを求めた。

 

 CIAの過去の黒い遺物。

 失われたはずのMKウルトラ計画、そのデータは封印されたはずだが。持ち出された分が国外に存在し、そして生まれた国へと戻り。彼らの手の中で使われていた。

 

 それこそがエデンズ・ゲートの操るマインドコントロールの正体であった。

 

 

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 

 

 ホワイトテイル・マウンテンの山の中をすすむグレースとジェスは草陰から先に見える平原に動く影をじっと観察していた。

 

「あれが?」

「うん、神狼だよ。ジェイコブが作って、この辺に放っているんだ」

 

 大型犬を思わせる体躯、不自然に感じるほど白い体毛。

 頭には赤いなにかが描かれているが。遠目に見れば、その動きは犬ではなく狼のそれであった。

 

「人を襲う?」

「うん。だけどあいつらはペギーには犬みたいに懐くんだよ。そうじゃない人たちを襲ってる」

「見分けているの?驚いた、信じられないわね」

 

 元軍人、というだけで正直な話。グレースはジェイコブを深くは知らない。

 ジョセフの側では寡黙な護衛。自分の兵士の前では優れた指揮官。だが、彼にはサイコパスを好んで従わせる狂気の部分もある、と聞く。

 それがわからないのだ。

 

ジョセフ(エデンズ・ゲート)はいつからあんな洗脳なんてものを使うようになったの?」

 

 ジェシカにそう問われても、グレースは答えられなかった。

 そして困ったことにダッチも、メアリー達もそれには答えられなかった。

 

 彼らが使う”祝福”もそうだが。ずっと近くにいたはずのエデンズ・ゲートには謎が多すぎる。

 

「グレース?」

「ジェス、考えてる。あれはこのまま置いていけない。でも、手を出していいものかどうか」

「ペギーがいないから。あれは一匹だけだと思う」

「どうしてわかるの?」

「神狼は普通の狼と違って大きな群れ(パック)を作らないみたいなんだよ。理由はよくわからないんだけどさ」

 

 それなら、信用してもいいだろう。

 グレースは背中からライフルを取り出して構えた――。

 

(狩りは好きじゃないんだけどね)

 

 それがオカシイことだと理解はしているが、グレースにはスコープの中に獣を見ても物足りなさを感じる時がある。

 認めたくないが、たしかに戦場は自分の何かを破壊してしまった。殺人にこそ意義を見出している自分の本心の、なんと救いのないことか。

 

 

 ドラブマンの名はこのホープカウンティの名士として知られている。

 ゴールドラッシュの時代から土地に長く住み着いている金持ち。引き継いだ遺産は今も利益を生み続け。ことさら細部にこだわりを入れた大きな屋敷に住んだりはしていないが、普通とは違う自家用のオモチャを倉庫やヘリポートに置き。ボートハウスを大きくさせている。

 とはいえ、ここ数年は静かなものだった。

 

 ドラブマン家の戦争は特に有名だ。

 あの情熱的な妻のアデレードとの殺し合いとまで表現された強烈な離婚劇のことである。

 普通の離婚を血を流しあう愛憎劇というなら、彼らのそれは相手を殺した後で猛威ぢ度殺す、くらいの憎悪にあふれる報復合戦が続いたのだ。

 

「いやァ、言い出したの俺だけど。やっぱりあそこには近づきたくないなぁ」

 

 車を運転しつつ、やろうとしていることの正反対の希望をシャーキーは思わず口にしてしまう。

 

 昔もそうだったが、あの家の住人たちは変人で有名だった。

 そしてその血の一部は自分の中にも流れている。自分が世間に誤解を受けている原因には、それも理由になっていると今でも固く信じている。でもそれをだれも信じてはくれないのだ……。

 

 

 ハーグ・ドラブマン・シニア。

 太陽の輝く空の下、テラスの長椅子に座り。足元にあるバケツには氷とビールがしこたま詰め込まれ、手にはスコープ付きのウィンチェスター銃をにぎっている。もちろん装填はされているから、いつでも発射可能だ。

 そんなアデレードの元亭主は、ジープを止めて降りてくる親族に向けて不機嫌な顔のまま迎えた。

 

「ドラヴマンの砦に客人が来る、か。お前だとわかったのは驚きだ、俺様がまだ素面だからかな」

「そうですね――俺もそう思いますよ。ドラヴマンさん」(注意)

「お前だとわからなければ。ここにたどり着く前に撃ったんだがな」

「ええ。だから太陽が高いうちに来たんです」

 

 これがシニアだ。

 太陽が出ている昼でこれなのだ。夜だったら近づいてきたと言う理由だけで平然と死ねとばかりにいきなり発砲しただろう。ビールよりウィスキーの方が酔いやすい。

 

「実はですね、ちょっと相談が……」

「そうだ!よくわかったな、お前に俺から相談があった。それをやれ」

「え、いや。だから――」

「やるんだ。俺のためにな、ちょっと待ってろ。ジュニア!おい、ジュニア!?」

「――マジかよ、このクソ親父」

 

 声がでかいが、そのせいで耳がよくない。

 もしシャーキーの言葉を聞いていたら、その手はすぐにも膝の上のライフルをつかんでいたはず。

 

 にしても、恐れていた通りまったくこちらの話を聞くつもりはないようだ。

 こうなったら話を聞いてやらないと、役立たずだなんだと怒りだして追い返されてしまう。

 

 さらにジュニアだって?

 自分の従兄弟は、こんなダイヤのようにクソ石頭の親父の子とは思えない気さくな奴でよかったし、嫌いじゃないが。それでも名前にはドラブマンが付いている奴だ。

 そんなのとそろって何かをさせようというなら、それは間違いなくトラブルだってことになる。

 

(目的も果たせないままは戻れないぜ。グレースに馬鹿にされるぞ、シャーキー!)

 

 やるしかない、やるしかないが。これは――想像していた最も悪い展開に向かっていた。




(設定・人物紹介)
・前任の大統領は~
MGS4の後のアメリカはどうなっていたのか?

2000年代は乱立する大統領達が失墜のイメージを強くする中で。
2大政党が予想もしなかった人権派弁護士出身の黒人大統領が誕生する。

力強いスピーチ力と、果敢な決断力が持ち味ではあったが。
ソリダス以降の混乱を収め、再び強いアメリカを目指すと口にしていたが。国内外で大きな失策を連発してしまう。

特に軍事面で、戦線を縮小する代わりに外交を活発に行うことで影響力を増すという方針は。他国を巻き添えにし、世界に混乱を振りまくだけの結果となってしまった。
「米国は世界の警察官ではない」をはじめとした、持てる力をあえて使わないという態度はしばしば軍関係者の不満にさせ、批判を浴びた。

一方で果敢な挑戦から、BIGBOSSがザンジバーランドであげたエネルギー問題に対し。新たなエネルギー施策を完遂して見せたことは偉業であるとの反論の声も上がっている。

ひとつ言えることは、彼の信念には間違いなく「核のない世界」を実現しようという理想があったことは間違いなかった――。


・政府の看板は傷つく
この物語の設定では2019年、現大統領の中間選挙の結果がよかったのかどうか。
通常、アメリカ大統領は2期を務めることが当然とされている。

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