この素晴らしい天界に祝福を!   作:勾玉

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第11話 そこは・・・

カズマと別れた後、私はタイムマシンのある丘まで戻り、タイムマシンを起動させて過去のニホンから現代の元いた洞窟までもどってきた。

 

『戻る』ボタンを押すだけだったので、自動車の操作ができない私でも余裕で戻ることが出来た。

 

しかし、移動中は激しい揺れで体が打ち付けられる。

 

「いたた・・・全く。もう少し揺れを抑える設計にできなかったのでしょうか・・・」

そう呟くと同時に、タイムマシンが『可動限界に達しました』というアナウンスを発し、ボンッという音と共に煙を立てて動かなくなる。

 

私はタイムマシンのドアを開けて外に出た。

 

 

「・・・えーと、確か私は、この洞窟でタイムマシンに乗って空を飛んで・・・」

 

・・・・・・

 

「・・・あれ?そのあとどうなったのでしょうか。」

 

全く記憶がない。

 

そういえば記憶が失われる仕様だ、などとあのフザけた手記を読むアクアが言っていた気がする。本当にポンコツだ。

私はニホンの地を踏むことができたのだろうか。

 

「まぁ、無事に戻って来れたのでよしとしますか。」

なんだか知らんが、とにかくよしだ。

 

私は深いことは考えないようにして、一緒に洞窟に来ていたアクアに声をかけることにする。

「アクアー!戻りましたよー!」

 

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

 

アクアを呼ぶが返事がない。どこか近くの散策にでも行ったのだろうか。

と、いうか、私はどれくらいの時間ニホンに行っていたのだろう。

戻るのが遅くなったのであれば、アクア1人で先に帰ってしまったのかもしれない。

 

少し周りを探してみよう。

 

そう思って、洞窟の周辺でアクアの姿を探そうとするが・・・

 

「あれ?周辺の地形、変わってませんか??」

 

木々が所々倒壊して随分と荒れている。

 

「な、なんでしょう。そんなに長い時間二ホンにいたということでしょうか・・・」

 

言いようのない不安が私を襲ってくる。

 

いや、多分、そのうちアクアが、神レベルのドッキリ宴会芸でしたーどうどう?、とか言って出てくるに違いない。うん。

 

 

 

「・・・とりあえず、アクアを少し待ちますか。」

 

洞窟の壁によしかかり、杖で地面にちょむすけやカズマの似顔絵を描いて不安を紛らわせつつ、アクアを待つことにした。

 

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

 

・・・待てども待てどもアクアが洞窟に戻る気配は無い。

 

不安はどんどん増していく。

 

地面の絵はもう身近な人のネタが切れ、1人○×ゲームなどをやりだしていた。完全にゆんゆんだ。

 

「・・・どうやらアクアは一人で帰ってしまったようですね・・・私も帰りますか。」

 

 

私は屋敷に戻ることにした。

 

 

 

■■■

 

 

「なん・・・ですか・・・これは。」

 

 

アクセルの街の景色は一変していた。

 

 

街を囲う壁が破壊され、家々は倒壊し、がれきで溢れかえり、人の顔には覇気が無い。

一面スラム街のようになっていた。

 

私があのタイムマシンでニホンに行っていた間に何が起きたのだろうか。

 

 

「そ・・・そうだ、カズマは?ダクネスは?アクアは?」

 

 

嫌な予感がして私は屋敷に早足で向かう。

 

 

 

■■■

 

 

 

「・・・あれ?」

 

屋敷に戻った私はすぐさま異変に気がついた。

 

屋敷の前に妙な立札が立ててあったのだ。

そこには、『売出中』との表記があり、不動産屋への連絡先が記されていた。

 

私は急いで屋敷の扉を開けようとするも鍵がかかっていて扉が開かない。

そういえば、鍵はアクアが持っていたのだった。

 

私の帰宅を知らせるべく扉をドンドン叩く。

 

「カズマー、ダクネスー、戻りましたよー、鍵を開けてください。なんですか外の立札は。またどんな遊びを思いついたのですかー?」

 

叫ぶが一向に扉の開く気配がない。

 

「ちょっと!!悪い冗談はよしてください!開けてくれないと、爆裂魔法で新しい出入り口を作ることになりますよ!!!」

 

声を張り上げるが返事は返って来なかった。

 

 

「そ、そうです!きっとみんなでクエストに行ったにちがいありません!ギルドに行けば・・・」

 

言いようの無い不安が押し寄せる。

 

 

・・・思えば過去から戻ってきてから何かがおかしい気がする。

 

なにか過去で取り返しのつかないことを・・・。

 

いや、まだそうと決まったわけじゃない。

 

 

気が付けば私はギルドに向けて全力で駆け出していた。

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・わ、私のパーティーは!!!?私のパーティーがどこに行ったのか知りませんか!!!?」

 

ギルドの受付のお姉さん、名前をルナと言っただろうか、彼女に対して、早口で回答を迫る。鬼気とした剣幕になっていたのだろう。彼女は、ヒッ、などと少し怯えている。

 

ギルドに来る間、倒壊した建物など街の景色が嫌でも目に入り、有り得ない現実を突きつけられ、心の中の楽観的な部分が失われつつあった。

 

 

「め、めぐみんさん!?どうしたんですか!?」

「いいから!!!!」

「ヒッ!!!」

 

彼女は慌てて言葉を続ける。

「・・・パーティーと言いましても、その・・・めぐみんさんは、ソロでいろいろなパーティーに混じりながら活躍されていたのではないでしょうか・・・・」

「ソ・・・・ソロ・・・・?」

私は杖をカラン、と取り落とす。

取り落としたようだが、それに構っている余裕は無い。

 

 

「そんな訳ないじゃないですか!!!アクアは!?カズマは!?ダクネスは!?」

私の声がギルド中に響く。

 

私には完全に余裕が無くなっていた。

傍から見たらマジキチだ。

 

 

「ヒィ・・・!!!あ、あの、ダクネスさんは、基本的にクリスさんという盗賊の方とパーティーを組まれています。たまに他の冒険者のパーティーにも混ざっているようですが・・・・」

 

確かに、ダクネスは私たちと会う前、クリスとパーティーを組んでいたようだった。それは覚えている。

 

 

でも・・・・

 

 

 

「じゃあ・・・・」

 

 

声が震える。

 

全身から嫌な汗が吹き出す。

 

心臓が有り得ない強さで鼓動する。

 

 

「か、か、カズマとアクアは・・・・」

 

 

ルナが眉をよせる。

 

 

「めぐみんさん・・・・」

 

 

 

 

 

 

「カズマさんとアクアさんって、」

 

 

 

 

 

 

「どなたのことでしょうか?」

 

 

 

急速に血の気が引いていく。

 

頭が真っ白になっていく。

 

私を支える足の力がフッと無くなり、その場に崩れ落ちる。

 

 

そのまま、私は気を失った。

 

 

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