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「はっ!?」
唐突に意識を取り戻して、目を開く。
そこは公園だった。
・・・・・そうだ、この公園には見覚えがある。ニホンだ。
爆裂散歩の時点には戻れなかったのか。
「えーと、これから・・・・・」
「×××××××××」
「え?」
これからのことを確認しようとした私は、唐突に声を掛けられ、びっくりして声の主の方を向く。
声の主は黒髪黒目の美女だった。
カズマをおぶっているこの子、どこかで・・・・
と、タイムリープで時間を遡ったからか、私に過去の日本での記憶が戻ってくる。
・・・そうだ、この子はアクアだ!やばい、接触してしまった!
バニルの説明では、私がアクアとカズマのやり取りに介入してはダメなのだ。アクアの祝福魔法を妨げてしまう。
私は急いでその場を駆け出した。
「×××××××××!!」
アクアが後ろから声をかけてくるが、これ以上の接触は危険だ!
そして公園を後にしてアクア達から見えないところまで来た。
「ハァ・・・ハァ・・・・」
・・・・と、途端に不安に襲われる。
もし今の接触でまた歴史を変えることになってしまったら・・・・
「・・・ハァ・・・ハァ・・・2人の様子を見てみましょう。」
私は今来た道をUターンして、公園まで戻る。
■■■
隠れながら公園のベンチにいる二人の様子をうかがう。
そこには、カズマに膝枕をするアクアの姿があった。
普段絶対に見れない光景だ。
多分、アクアはカズマにお金を請求するだろう。
「×××××××××」
アクアが独り言を言っているようだが、二ホン語だからか、私には聞き取れない。
アクアは膝の上のカズマの顔を眺める。
そのまま数秒眺めて、
ふふっ、と笑顔になる。
・・・・どんな意味の笑顔なのでしょうか。
その心中がとても気になる。
すぐにでも出て行ってアクアと話したいところを、グッと我慢する。
「×××××××××」
っと、・・・・どうやらカズマが目を覚ましたようだ。
「×××××××××」
「×××××××××」
相変わらずカズマ達が、何を言っているのかわからない。
ところで、二ホンのカズマは私の世界の言葉が理解できなかったようだが、私と初めて出会ったときには随分と流ちょうに話していた。猛勉強して習得したのだろうか。それであれだけ流暢に話せるようになったのならば、紅魔族以上に頭が良いと思う。
カズマとアクアの様子をみつつ、そんなことを考えていると二人に動きがあった。
どうやらアクアがカズマに別れを告げて歩き出したようだ。
カズマはそれをぼーっと見送る。
と、思ったその時、
「××××!!!」
カズマがアクアに向けて、何かを叫んだ。
アクアはその大声にビックリしたようで、小動物のように少し怯える感じでカズマの方を振り返る。
そしてカズマの緊張した表情・・・・
気のせいかカズマとアクアを包む雰囲気が真剣味を増しているようだ。
私もゴクリ、とつばを飲み込まずにはいられなかった。
カズマは緊張しつつ、少し震える声でアクアに語り掛ける。
「××××××××××××××××」
・・・何だろう。
カズマはアクアに何を言ったのだろう・・・
言葉が理解できないのがもどかしい・・・
アクアは、ぽかーん、としたほうけ顔になる。その後、少し困ったような顔をしてカズマに返答する。
「××××××××××××××××」
私の心臓はドクドクとなりっぱなしだ。
何だろう。
カズマはアクアに告白したのだろうか。
好きだと想いを伝えたのだろうか。
例えそうだとしても、アクアの表情を見ると、付き合うことにはならなかったようだけれども・・・
過去にこんなことが・・・
そうですか。そうですか。
今、カズマの想いはアクアに・・・
「うぅ・・い、いたい・・・」
胸がぎゅっと締め付けられ、うずくまる。
もう過ぎ去った筈の出来事なのに・・・
彼は将来、私に好きと言ってくれるのに・・・
でも・・・・・
あぁ・・・・・
私はこんなにも嫉妬してしまっている。
「カズマ・・・・私は・・・あなたが他の誰かにとられてしまうのが怖いです・・・」
いつの間に私はこんなに強欲に、こんなに弱くなったのだろう。
・・・・思えば、タイムマシンの一連の出来事で、私は自分の弱さをとことん思い知らされた。
泣きじゃくって、
周りが見えなくなり、
周りにすがって、
こんなにも嫉妬して、
・・・・・・
・・・ふと、誰かの言葉が胸に浮かぶ。
『私がカズマを、絶対、絶対、二ホンにいた時よりも、もっと幸せにしてみせます!出会ったことを、カズマに後悔なんてさせません!!』
そう、それは私の決意だ。
「・・・そうです、カズマの過去に何があったとしても、私は絶対にカズマを幸せにするって決意したのです。」
顔を上げて前を向く。
「・・・だから、来てくださいね。カズマが来るのを私は待ってますよ。」
・・・・・と、その時だった・・・・・
アクアがカズマに手をかざした。
そして・・・・・・
「『ブレッシング』」
淡い光がカズマを包む。
もとの歴史で何度も目にしたアクアの祝福魔法の光だ。
随分と懐かしく感じるその光を眺めつつ、私は自然と言葉を漏らす。
「・・・・この瞬間に到達するのにどれだけ苦労したのでしょう・・・・」
アクアの祝福魔法はカズマに届けられた。
私はそれを確認して、
「では、また後で会いましょうね。カズマ、アクア。」
静かにその場を後にした。
さて、めぐみんは、このまま何事もなく仲間のもとに帰れるのか。
と、フラグを立ててみる。