この素晴らしい天界に祝福を!   作:勾玉

21 / 47
さて、初公開のダクネス編スタートですが、めぐみん編を読んでいただいていることを前提で書いています。(個人的にはダクネス編→めぐみん編と読むのも逆に面白いかもと思ってみたり。)


原作は、書籍版既刊14巻まで読んでいる方を想定しています。


アクア編よりすこし長い程度の文量になるかと思います。

では、ダクネス編、お楽しみください。(最初はアイリス視点から)


第3章 ダクネス編
第21話 ある紅魔族の少女


【アイリス視点】

 

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・気付くと私達は王都の近隣の村まで移動していた。

 

遠くに王城を眺められる位置にある場所の村だ。

 

 

・・・と、私の後ろに立っていた人物がドサリと崩れ落ちる。

 

「はッ!!レイン!!」

 

私は慌てて振り返る。

 

「ハァ・・・ハァ・・・すみません・・・アイリス様・・・あまり遠くまで行く余裕が無くて・・・」

「よ、よいのです!あなたのおかげで助かりました!それよりあまり喋ってはいけません!!」

レインはハイデルによって止血を終えていたが、かなり血を失っているようで顔が真っ青だった。

 

「・・・レインは私がおぶります。早く回復魔法で傷を塞がないと・・・」

レインの隣にいたクレアがレインを支えながら言う。

見ると、クレアのトレードマークである白いスーツはレインの血で真っ赤に染まっていた。

 

「そ、そうですね。この村の教会は・・・」

 

 

私が言いかけたその時だった。

 

 

 

遠くに見える王城の上層・・・

 

カッという光が走り、大きな赤い爆炎が王城の上層階を飲み込んだ。

 

ビリビリと大地が震動する。

 

数秒後れてゴゴゴという音が到達し、

 

王城からかなり距離があるこの場にまで爆風による圧が届く。

 

 

その爆心地は今まで私達がいた場所だった。

 

 

 

「ら、ララティーナ・・・」

「ダスティネス卿・・・」

私と一緒にクレアやハイデルもその光景を見て息をのむ。

 

 

ほどなく王都の上層部を覆う煙が晴れていき、上層の吹き飛んだ王城の姿が明らかになる。

 

 

「「「・・・・・・」」」

 

 

誰もがその光景に言葉を失う。

 

・・・・・・

 

・・・しかし私たちはここで呆然としているわけにはいかないのだ。

 

 

「・・・行きましょう。早くしないとレインが危ないです。」

「アイリス様・・・」

 

 

クレアの呟きを背に、私は一歩前に進む。

 

感傷に浸っている暇はない。

 

王族として生まれた私が進む道は地獄すら生温い修羅の道。

 

民を見捨てて逃げた私は、きっと地獄に落ちるだろう。

 

「先に地獄で楽をしようなど許しませんよ、ララティーナ・・・」

 

 

私は王都に背を向けて、一歩、また一歩、道を踏みだす。

 

来るべき人類の反撃の日に向けて、私は道を歩み続ける。

 

 

■■■

 

 

【ダクネス視点】

 

 

 

この日も平和なアクセルの街の近隣の平野に私達はいた。

 

 

「『エクスプロージョン』っ!!」

大気を震わせ、全てを飲み込む爆炎が一帯に吹き荒れる。

 

 

うむ、いつ見ても惚れ惚れする迫力だ。

ちょっと爆心地に立ってみたいが、下手をすると爆死して周りのみんなに迷惑をかけてしまうからな。今は自重しておこう。

 

 

「すす・・・凄いです!」

私の隣には姪のシルフィーナ。私に縋り付き、目を輝かせて爆炎を眺めている。この子は最近爆裂魔法にお熱なようだ。

 

「ふぐぅ・・・」

 

全てを凌駕する強大な魔法を放った小柄な紅魔族の少女は力を使い果たしてその場に倒れこむ。彼女はシルフィーナの前で随分と張り切っていた。いつもよりも力を籠めて魔法を放ったのだろう。

 

「ママ!凄いです!凄い!」

シルフィーナは私を揺さぶりながら連呼する。

私はシルフィーナの母ではないのだが・・・

 

シルフィーナの頭を撫でながら私は語り掛ける。

「そうだろ・・・私の仲間の魔法使いは凄いだろう。」

「わ、私もいつか爆裂魔法を・・・」

「シルフィーナ、それだけは止めるんだ。」

頭のおかしいことを言い出した姪に、私は真顔で言って聞かせる。

 

「おっとダクネス、うら若き者の将来の可能性の芽を詰むのは止めてもらおうか。」

傍で倒れ込む紅魔族の彼女が恨みがましい顔を私に向けてきた。

「うら若き者の将来の可能性を広げるため悪しき芽は摘んでおくのだ。」

倒れて動けない彼女をおぶりつつ私は彼女に応える。

「あ、謝って!爆裂魔法を悪しき芽とか例えたことをちゃんと私に謝ってください!」

彼女は私の背中で暴れながら、どこかのアクシズ教徒のようにわめく。

 

爆裂魔法を放っても消耗しきっておらず、まだ結構体力が残っている気がするのだが・・・

 

「悪かった悪かった。私もお前のスキルを馬鹿にできるほどマトモなスキル振りをしていないからな。」

まぁ、私らパーティーはみんな極端に癖のあるスキル振りをする連中ばかりなのだが・・・

 

「さて、まずはこのままシルフィーナを家まで送っていこう。」

シルフィーナの手をとって私は帰り道を歩き出す。

 

歩き出した矢先、私は、ふと同じパーティーメンバーの男のことを思い浮かべる。

 

えーと・・・

「今日は、あの男は何をしているんだったか・・・あの男・・・カズ・・・えーっと」

「あの男はクリスと一緒に神器回収に出かけてますよ。何でも魔法無効化の腕輪の神器を狙っているとかなんとか。」

「全く・・・自分らに懸賞金が掛かっているというのにそんな危険なことを・・・まぁ・・・あの二人なら、そうそう簡単に捕まらないだろうが・・・」

 

私は、ハァと息を吐く。

 

すると、ぼそっと背中から声が聞こえる。

「それにしても、ダクネスにおんぶしてもらうのは久しぶりですね。」

「そうだったか・・・だが、私なんかよりあの男におんぶしてもらったほうが良いだろう。」

そう、私がおぶっているこの紅魔族の少女は確か、あの男に強い好意を抱いていて・・・

そして私も・・・

 

しかし、背中の少女は、

「確かにあの男の背中は安心できます。・・・けど、ダクネス・・・私はこの頼れる背中も大好きですよ。」

そういって私にしがみつく腕に少し力を込める。

 

まったく、この少女は、よくもまぁ、こういう恥ずかしいことを何気なく言えるものだ。

 

この魔性の少女、最強魔法の使い手、めぐ・・・

 

めぐ??

 

誰だろう?

 

名前は・・・?

 

えぇっと・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。