この素晴らしい天界に祝福を!   作:勾玉

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第22話 夢と現実と

瞼の裏に朝の陽の光の眩しさを感じ、私はそっと目を開いた。

 

「またこの夢か・・・」

 

最近、ある夢を見る。

おかしな三人組とパーティを組んでおかしな日常を送っているというおかしな夢だ。

本当におかしなやつらなのだが、夢の中の私はそのおかしな仲間たちのためなら命を張れると本気で思っているようなのだ。

 

私は盾職クルセイダー、他者のために盾となることは心得ているが・・・

 

しかし、夢から覚めると、その仲間たちの名前も顔も覚えていない。

 

「まったく・・・何なのだ・・・」

私は何度も夢に見るくらいに仲間というものに憧れているのか。

 

自分で言うのも難なのだが・・・私のような趣味全開なスキル振りをするような輩を仲間に加えてくれるようなやつもそうそういない。

故に私は基本的に独りだ。常日頃行動を共にする仲間がいない。

とある盗賊の子がたまに私と一緒に冒険に出てくれてはいるのだが、その子は他にも仕事があるようで常日頃私と一緒にいてくれるわけでない。

 

・・・・・・

 

「仲間か・・・」

 

いや、考えるのはよそう。

 

きっとこの夢は、昨晩、私の48の夜の一人遊びの中でも最高難易度のアレに挑戦していたからに違いない。

 

・・・・・・

 

「くゥウンっ・・・!」

アレを思い出して調子を取り戻した私は朝の支度を始める。

 

■■■

 

ここは王都。

 

私の実家であるダスティネス家の屋敷はアクセルの街にあるのだが、私は今、ダスティネス家の兵を連れて王都防衛にあたっている。

というのも今、王都はデストロイヤーの襲来を受けて深刻な被害を受けている。更に魔王軍に不審な動きがあり、王都が狙われるのではないかという噂もあった。

そこで、デストロイヤーに蹂躙された王都の復興の間、私は兵を連れて王都の防衛に手を貸しているのだった。

 

 

ある日の夕刻。

 

アイリス王女、側近のクレア殿、同じくレイン殿と私はこの日たまたま一緒に休憩をとることができ、王城の中庭でテーブルを囲み、束の間の休憩に話の花を咲かせていた。

 

 

「・・・という夢をここ最近毎日見ていて、何だか朝から妙な気分になるのです。」

「まぁ、ララティーナも最近おかしな夢を見るのですね。」

「え?アイリス様もですか?」

「そうなのです。夢の中では、私にもう一人お兄様がいて・・・そのお兄様なのですが、黒髪黒目で、何というか、その・・・すごく自由気ままな不思議な方で・・・」

「わ、私の夢にもそんな男がでてきます!」

私がおかしな三人組の夢の話を切り出したところ、アイリス様もおかしな夢をみているのだという。しかも、夢に同じような不思議な男がでてくるという。偶然だとは思うが・・・

 

それを聞いたクレア殿が口を開く。

「黒髪黒目というと、出生地不詳のどこからともなく現れる強力な能力や装備をもった者の特徴ですね。イケメンのミツルギ殿を始め、黒髪黒目の者達には王都の防衛でもお世話になっていますね。その夢の中の不思議な男というのはどんな強力な能力や装備をもっているのですか?」

クレア殿の疑問に私とアイリス様は目線を合わせる。

 

え?そんなんもってた?

いや、もってへんで。

せやろ、私んとこの男ももってへんわ。

 

的なことを目で語り合う。

「いや、特筆すべき能力や装備は持っていないな。それどころか、基礎的な戦闘力が低い奴で、できるだけ楽に生きたいと常日ごろ言っており、日がな一日家でゴロゴロしている冒険者兼ニートだな。」

私がその男のことを思い浮かべて言うとアイリス様もうんうん頷づく。

 

「アイリス様!たとえ夢であっても、そんな男をお兄様などと呼んで慕うのは許しませんよ!それなら、私をお姉様とお呼びください!」

「クレア様!願望が漏れています!」

語調強く鼻息荒いクレア殿にレイン殿が突っ込みをいれる。

 

「クレア、夢の中ではお兄様に随分とお世話になったのですよ。お兄様は私にいろいろなことを教えてくれました。」

「い、いろいろなエロいこと!?う、羨ま・・・でなく、王族に妙なことを吹き込もうとはなんと不届きな輩か!会ったら我が剣の錆にしてやる・・・!」

「エロいこととはいってません。」

アイリス様が真顔で否定する。

 

「まぁまぁ、クレア様、単に夢の話ですから落ち着いてください。」

レイン殿がクレア殿を宥める。そしてアイリス様と私に向き直り語る。

「ある書には、夢に見る世界とは、世界のありし可能性の一つである、と記すものがあります。もしかしたらアイリス様やダスティネス卿が見た夢も、この世界の可能性のひとつの現れなのかもしれませんね。」

 

「世界の可能性のひとつ・・・」

私にとってその言葉は妙に腑に落ちるものだった。

夢にしては、妙に現実味があったのだ。

 

「夢の中の世界は、今のようにデストロイヤーに王都を蹂躙されておらず、王都の住民の表情にも希望がありました・・・」

アイリス様の言葉に、王都の現状を知る我々は続ける言葉を失う。

 

私も、おかしな仲間たちとの笑いであふれる日々の夢を胸に思い浮かべる。

 

希望か・・・

 

「魔王軍の侵攻に日々おびえることのない、そんな世界があるのならば、それはとても素敵なことですね。」

 

アイリス様はぽつりと言った。




めぐみん編を読んだ方はぴんときてくれたかもしれませんが、めぐみん編14話のダクネスが語ったところの、王都サイドの話です。
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