本編には一切登場しなかったウィズですが、番外編としてコメディ重視の話を用意してみました。※天界要素は皆無
短期連載になると思いますがお楽しみ頂ければ幸いです!
なお、番外編の更新は不定期になります。ご容赦を。
第1話 借金店主
【ウィズ視点】
「はわ…はわわわわ…」
「おい借金店主。これはどういうことか説明してもらおうか。」
魔道具店の前に佇むバニルさんと私の目に映るのはいつもの魔道具店の扉………に打ち付けられた木の板。
「こここ、これはですね、たたtたぶん私達の魔道具のああゝあまりの有用性に危機感をもった競業の魔道具店のししshしs仕業で・・・」
「ほうほう、変換ミス店主よ。どれ、ちょっと我輩の全てを見通すこの眼を見るがよい。」
「きょ、拒否します…」
店の扉に打ち付けられた木の板にはデカデカとこう書かれていた。
『差押え』
「拒否します。ではないわ!!!!貴様!いつの間に新しい借金を作った!!先月にようやくこれまでの借金を返済できて、いざこれから、というところだったではないかっ!!!!」
「ひぃぃぃ!ご、ごめんなさいごめんなさい!超高級ポーションを購入するにあたって、ちょっとお店の資金では足りなくて…即日にお金を貸してくれるという親切な金融業の方から…いえ!絶対ポーションは売れると思ったんです!借金なんてあっという間に返せると思ったんです!」
「なるほどなるほど、それが例の賞味期限切れのポーションであるな…して、その金融業者に借りたという借金の元本と利子と弁済期を教えてもらおうか。」
「うっ………」
じりじりと滲みよるバニルさん。
だらだらと顔中に汗が流れる私。
これは…観念するしかない。
振るえる手で懐から金融業者との間で交わした書面を取り出して、おそるおそるバニルさんに提示する。
バニルさんはそれをしげしげと眺めて、
「なん…だと……」
途端にギョッとした顔をする。
あぁ、仮面越しでもわかるその表情。
バニルさんの全身から放たれるそのオーラ。
悪魔でもない私でも分かる。
とてつもない怒りの悪感情。
わなわなと身を震るわすバニルさんが口を開く。
「…ふむ。利子が、といち、とはどういうことか。」
「さ、さぁ…どういうことでしょう…」
今にも爆裂しそうな仮面の男性から少しずつ後ずさって距離をとる。
「…ふむ。計算すると返済しなければならない額が2000万エリスほどのようであるが…」
「…わからない…私には何のことか、さっぱりわからない……」
この距離なら本気で逃げれば逃げ切れるだろうか…
「…ふむ。1か月後までに返済しないと魔道具店が競売にかけられるようだが…」
「わからない……何もわからない……」
そうだ!テレポート!
…いや、今逃げたら、とんでもない目にあわされる気が…
…でも、逃げないのもヤバいような…
バニルさんは、書面から目を離して天を仰ぎ…
…ほどなくして、ふぅ、と息をはく。
おそるおそるバニルさんの一挙手一投足を注視する私。
そして、バニルさんは私にニッコリと優し気な笑みをくれる。
仮面越しではあるが慈愛に満ちたその表情に私は安心して…
「バニルさん!ふたりで力を合わせれば借金なんてすg
「『バニル式殺人光線』!!!!」
ぎゃあああああああああああああああああああああああああ」
アクセルの街の一角に私の叫び声が響いた。
■■■
残債務:2000万エリス
猶 予:残り1カ月
賞味期限切れポーション、めぐみん編の最終話にもちょこっと名前が出たりする。