この素晴らしい天界に祝福を!   作:勾玉

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第8話 タイムマシン

アクセルの街をでて、いつもの爆裂スポットへと向かう。

 

 

「・・・それでですね、最近はカズマの提案で、合体技なるものを考えていまして。」

「めぐみん!ついにカズマの毒牙にかかってしまったのね!あぁ、私がもっとしっかり見張ってあげていれば・・・それで、どこまでの合体技を試したの?駅弁?つばめ返し?ちんぐり騎乗?」

「違います。」

全く乙女力はどこに行ってしまったのか。

レベルの高い事を言い出した頭の中がピンクなプリーストを制して話の続きをする。

「私の奥義、爆裂魔法とカズマのスキルで何か有用な合わせ技はないかをいろいろ試してみているんですよ。」

「ふーん、何かいい組み合わせは見つかったの?」

「敢えていえば、クリエイト爆裂アースでしょうか。」

「・・・何それ?」

「爆裂魔法の爆風でクリエイトアースの目潰しの飛距離を結構伸ばせます。」

「・・・・・・」

アクアが口をHの形にして私に目を向ける。

 

 

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「アクアとなら・・・ターン爆裂アンデットか、リザレクエクスプロージョン、あ、花鳥爆裂風月なんてどうでしょう。」

「めぐみん、なんで爆裂魔法をサンドイッチしたがるの?意外にめぐみんは、二人になると如実にポンコツ具合が現れると思うの。」

 

などと、アクアが失礼なことを言ってきたので、顔をふいと背けた。

 

と、視線のその先、妙な洞窟が目に入る。

「あれ?あの洞窟は何でしょうか。」

「あら、本当。っていうか、洞窟の手前が妙なかたちで、えぐれてるんですけど。」

「もしかして、この前、爆裂魔法を使ったことで掘り起こしてしまったのかもしれませんね。」

「お宝があるかも!入ってみましょう!」

アクアが目を輝かせて言った。

 

 

ちょうど私も洞窟探索を提案する所だった。

 

 

■■■

 

 

洞窟の中は、私たちの屋敷の居間くらいの広さだった。

踏み荒らされた形跡は無い。

 

 

「あ、あれは何でしょうか。」

洞窟の奥に人が4人くらい中に入れそうな箱型の物体を見つけてアクアに声をかけた。

車輪が4つ付いている。

 

「あれは・・・自動車かしら。」

「自動車?」

その単語に聞き覚えはないが、変形とかしそうで、かっこいい。紅魔の血が騒いでいる気がする。

 

私の疑問符にアクアが答えをくれる。

「そうよ。中に乗り込んで操作することで馬車のように高速で移動ができるというものよ。でも、何でこんなところに自動車が置いてあるのかしら。」

 

どうやら、中に入って使うもののようだ。アクアはたまに驚く博識ぶりを発揮することがあるので侮れない。

 

それにしても・・・

 

「カッコいいですね・・・どうやって乗り込むんですか?」

側面を杖でごんごんやってみるが、自動車はピクリとも動かない。

 

そこで、アクアが説明してくれる。

「そこに取っ手があるでしょ。それを引くとドアが開くはずよ。私も助手席乗ろっと!」

 

そういって、アクアが私の反対側に回って、ドアを開いて中に乗り込んだ。

アクアがやったことを真似するとドアが、ばかっと開いた。カッコいい。

 

中に乗り込むと、手前にドーナツ形状の筒がついており、手の届く範囲にいろいろなボタン、足の先にはペダルがついている。すごくカッコいい。

 

アクアが隣で自動車の中をあれこれいじりながらいう。

「これ動かせたら、移動がすごく楽そうね。そうだ、あの変態仮面に言って量産して売り出してひとやま築けないかしら。」

その言い方だと、何となく頭に女性ものパンツをかぶってるイメージだが、仮面の悪魔、バニルのことだろう。

 

「あのね、めぐみん・・・って、何つけてるの?」

「え?」

何って、眼帯ですが。

 

テンションが昂ると、意味なくつけたり外したくなるのですが。

 

「運転する時にそんなのつけちゃダメよ。ダメ絶対。危ないのだから。」

 

私は渋々眼帯を外してアクアに聞く。

「それで、アクアは何を言おうとしたのですか。」

「そうよ。めぐみん、自動車に乗るときはね、シートベルトを締めなければならないの!法律でそう決まっているのよ。」

と、法律という言葉に最も縁のなさそうなアクシズ教のプリーストは、そう言って私にシートベルトなるものをつけてくれた。

肩口から腰のあたりまで、斜めに伸ばして、ガシャっと固定する。絶対にカッコいい。

 

私は調子に乗って、ドーナツを回してみたり、運転席の周りのボタンをポチポチ押してみたりする。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「なにこれ。」

アクアが何か見つけたようだ。私もアクアの手元を覗き込む。

「手記でしょうか。かなり古いですね。」

 

 

「えーっと・・・。」

 

アクアはその手記を開いて読み始める。

 

■■■

 

 

 

『――― ○月×日 大国ノイズに来てから俺はこの国に多大な貢献をしてきた。俺の能力でノイズは繁栄を極め、魔王軍への対抗策も着々と積み上がっていった。しかし、ここに来て俺の研究は行き詰まりを迎えた。』

 

この自動車を作った者の日記だろうか。ノイズといえばデストロイヤーを作ったとされる国だ。そこの研究者が書いたものらしい。

 

 

『――― ○月×日 どうしても研究が先へと進まない。俺には悔やんでも悔やみきれない過去があった。過去の過ちに今更ながら苛まれているのだ。こみ上げる悔しさに夜も眠れず昼寝を繰り返して、女研究者に蹴り起こされる日々。もう、この女なんなの?暴力系ヒロインなの?俺のこと好きなの?』

 

同情するべきかどうか悩ましいところだけれども、一応、研究者の苦難が感じられる。

 

『――― ○月×日 その日、俺は女研究者の一撃を喰らった瞬間ひらめいた。そうだ、タイムマシンを作ろう。それで過去の過ちをやり直すのだ。そう、あの時見逃してしまったパンチラを拝むために!いざ逝かん!バックトゥーザフューチャー!!いや、フューチャーじゃありませんけれどもね。』

 

引っ張りに引っ張って過去の過ちってこれですか・・・何というガッカリ感。バニルあたりが好みそうな悪感情が湧いてくる。

アクアも、散々盛り上げておきながらオチで滑った素人芸人を見るような、うわーやっちまったなぁ、という表情になっている。

 

『――― ○月×日 タイムマシンを作りながら気がついた。あれ?そういや、これ、日本に行けるの?俺、日本から来たんだから日本に行けなきゃダメじゃん。急遽、日本に行ける仕様に作り変える。戻ってくるときには『戻る』ボタンを押すだけで戻れるようなお手軽仕様にしておく。』

 

 

ニホンという地名は聞いたことがある。屋敷の幽霊騒動の時にカズマが言っていた。確か、トイレの前で歌う習慣のある国で、カズマの故郷だ。

このタイムマシンはニホン行きのようだ。

 

 

『――― ○月×日 タイムマシンに乗って過去に行った。はずだった。いや、行ったのだろう。タイムマシンを起動させた記憶はある。しかし、次の瞬間には、もといた世界だ。なんてこったい。過去に行った記憶は全て消えてしまう仕様のようだ。それじゃあパンチラ見れても覚えてないんじゃん。タイムマシン作った意味ねぇじゃんかよ。まじファック。』

 

どうやら記憶が消えるらしい。

 

「記憶が消去されるなんて、欠陥もいいとこね。これが小説なら、つじつま合わせに最適じゃない。まるで作者に都合のよく書かれた二次創作のようだわ。」

アクアはよくわからないツッコミを入れている。

 

 

『――― ○月×日 っていうかー、この世界って日本と違って戦士職の姉ちゃんがいつもパンツ晒して歩いているような恰好してんじゃん。よく考えたら、わざわざパンツ見るために日本行く意味ねぇわ。もうタイムマシンとかどうでもいいや。でも壊すのも勿体ないし、適当な洞窟に隠しておこ。』

 

 

「・・・終わり。」

「・・・・・・」

なんだか無性に腹立たしい手記だ。

 

 

・・・と、タイムマシンらしいその自動車が、突然キューンとか妙な音を立てて動き出した。

 

「え?何これ?なんかマズいわ!めぐみん!出るのよ!ほら早く!」

そういって、アクアはタイムマシンから外へと飛び出した。

アクアが飛び出すと同時に、タイムマシンは宙に浮かび上がる。

 

「あ、アクア!ちょっとまって!このベルトが・・・とれな・・・」

「めぐみん!!!」

 

そして、タイムマシンは私を乗せたまま洞窟の天井を穿ち、空に飛び出す。

 

空を飛んで移動するなら車輪のついている意味が全くないじゃないか!!

 

 

ガタガタと揺れるタイムマシンの中、私は必死にドーナツにしがみついた。

 

 

「めぐみーーーーーーーーーーん!!」

地上からアクアの声が聞こえる。

 

 

間もなくタイムマシンから見える景色が白一色に染まって・・・




アクア編の最後はアニメ準拠なのに、幽霊屋敷騒動部分は書籍版準拠です。

ごめんなさい。深く考えてませんでした。
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