やはり俺のクロスオーバーはまちがっている。   作:餃子の教え子

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久しぶりに投稿です!
エリートぼっちともなると……自己紹介が難しい……らしい。


第11話:ぼっちに自己紹介は難しい(2回)

「同行させて貰っても宜しいでしょうか?」

 

 リューさんの口からそう言われた時、俺は不意に目を見開いてしまった。

 

「え……あ、えっと……」

 

 よく覚えていない俺を恨みたいところだが、確か『ダンまち』の中では、リュー・リオンというキャラは強かったはず。

 それこそ、元冒険者?だったけ……なんか、ワケありっぽかった、よな。

 

 あと多分、レベル3、4くらいの実力はあったはず。

 

 あぁ……こうなるんだったら、もっと原作読み込んでおけば良かった。何してたんだ、あの時の俺。

 

 けどまあ、この人達のことを思い出せただけ、マシと思っておくか。そうしないと、やっていけねぇ。

 

 けど、そんな俺でも思った。いきなり会話に入ってきて、同行しようとする彼女の不自然さを。

 

 俺は当然、不思議に思った。

 

 

 ───なにが、目的なんだ。と。

 

 

 俺はいつもよりも目が鋭くなっていたと思う。

 それが、どうやら伝わったのか、リューさんと俺の目が合った。

 

「駄目、でしょうか?」

「……」

 

 

 ……

 

 

 …………

 

 

 永遠のようにも感じるリューさんとの、見つめ合い……

 

 

 ……………………

 

 

 ………………………………

 

 

 ………………………………………………ぷいっ。

 

 

 

 い、いや、まじで、ぼっちには見つめ合うとかレベル高すぎるから。

 ほんと、見つめられすぎて、全身が視線によって溶けちゃうまであるから。

 

 

 こう言ったことは、俺みたいなエリートぼっちには刺激が強すぎる。

 

 

 ……はぁ、なんでだよ。何見つめ合っちゃったんだよ、相手はエルフだからってさ。何デレてやかをる。けど、エルフだしな、エルフだしなぁ〜、エルフさんですもんね……綺麗だな」

 

 ふとリューさんの方を見ると、ほんのりと頬の赤くするリューさんがいる。

 

 え、これはもしや……

 

 い、いや、そんなわけない。

 ほ、ほんとにまじなんなの、惚れてるの?俺に惚れちゃってるんの? 惚れてるんなら、俺は今すぐ告って振られるまであるからね、いいんだね、いいんだよね? 告っちゃうよ?けど、振られちゃうのは分かってる。出会って数分だよ。馬鹿なの。ねぇ、俺の頭馬鹿なのだろうか。やはり俺の脳内妄想はまちがっている。

 

「ヒキガヤくん……」

 

 ……そして、エイナさんは俺を睨んでくるし。あっ。まさか、貴様、心の声を!?

 

「さっきリューさんに向かって『綺麗だな』とか声に出ちゃってたからね」

「……へ?」

 

 ま、ままま、まじかよ。顔が熱を帯びていくのがわかる。うわっ、恥ずかしすぎるだろ。何口走ってんだよ、おれ。

 

 ちらっと俺はリューさんのほうを見てみる。そこには顔を俯けつつ未だに赤いリューさん。可愛い。これってなんて名前のギャルゲー?

 

 って、違うだろ。怒らせてしまったみたいだ。

 

「えっと……その……」

 

 こういう時、なんて言えばいいんだよ……あっ、リューさんが顔を上げた。それで、俺の方をまた見てくる。

 

「同行させて貰っても宜しいでしょうか?」

 

 え? 同じ台詞を二回目だとっ!?

 

 ……そういうことか。テイク2ということだろう。先程のは無かったことにするらしい。

 いい策だ。それに乗っかるとしよう。うんうん、そうしよう。

 

「も、もちろんです」

 

 俺は勢いよく肯定の返事をした。何が目的とか、どうでもいいだろ。多分、大丈夫だ大丈夫。この人、原作だと主人公の味方ポジだったし。

 

 そんな俺の返事に安堵したのか、リューさんは肩を撫で下ろす。

 

「はぁ、ヒキガヤくんがそう言うのなら、私も同行を認めざるおえませんね。それに貴方なら戦力として申し分もないですし」

「いえ、此方こそ、機会を与えて下さった事に感謝を」

 

 ふぅ、エイナさんも認めてくれたようで良かった。

 

「では。ご存知かどうか分かりませんが、私の名前はリュー・リオンと言います」

 

 そう言ってリューさんは、俺に向かって右手を差し出した。これは……握手か。

 

 そういえばだが、俺は今、リューさんの名前を知らない設定だった、な。

 

 ってことは……次は俺の自己紹介か……。

 

「ええっと、その……俺の名前は、ひきぎゃや、はちまんです」

 

 くっ、噛んでしまった。ひきぎゃやになってしまったじゃないか。くそぅ、あの時の俺を殴りたい。

 

 そう思いつつ、俺はリューさんと握手を交わす。

 

「ふふっ、これからよろしくお願いしますね。比企谷さん」

 

 けれども、リューさんは俺の噛みを華麗に修正して、正しく読んでくれた。や、優しい。

 

「は、はい。此方こそよろしくお願いします」

 

 そうして、俺とリューさんの共闘の契りは結ばった。

 

「……して、エイナさんは彼の事を随分と高く評価しているようだ」

 

 

 ……ん? 彼って俺の事か?

 

「へ? あぁ〜うん。そうだけど……」

「強いのですか?」

「え……そ、そういえば……」

 

 ………ん? んん? なんか俺睨まれてる? ぼっちは視線に敏感なんだぞ。

 

「……ヒキガヤくんって強いの?」

 

 エイナさんにそう聞かれた。そんな事を俺に直接聞きますか、普通。弱かったら、精神的に来る質問ですよ、それ。

 

 ……はぁ、どうしようか。どう答えようか。

 

 多分、俺はチートだ。勇者の称号を与えられている時点で強いと思う。

 

 世界を救う為に異世界から連れてこられたくらいだしな。

 

 

 てか、これはあれだ。まるで……

 

 

 ──俺の異世界生活の在り方を決める分岐点だな。それも大きく二つに分かれる分岐点。

 

 一つは、俺のステータスの全てを打ち明けて無双するルート。名付けて八幡TUEEEEルートだ。どやっ。

 

 そしてもう一つは、俺のステータスを秘密にする影の実力者ルート。実は俺って強いんだぜっていう男のロマン溢れるルートだ。どやっ。

 

 ……はっきり言ってどちらも捨てがたい。

 

 けど、強いて、強いて選ぶとすれば、

 

「俺は強くないですよ、多分」

 

 俺──比企谷八幡は後者を選ぶ。

 だって、目立ちたくないもんっ!てか、影の実力者とかめっちゃやってみたいし。何より、そんな俺が勇者だとバレた時なんて……

 

「そ、そうなんだ」

「そうでしたか。なら尚更こうしてはいられませんね。今からの食後の予定、お二人は空いていますか?」

「え? う、うん。大丈夫だと思うけど」

 

 そう言ってちらっと俺の方を見るエイナさん。

 

 面倒臭いが、牡羊座の勇者為だ。「俺も大丈夫だ」と伝える。それに、無一文の俺がする事なんて野宿以外にないのだから、暇人だったしな。

 

「それは良かった。森に行く前に寄っておきたい場所があります」

「寄っておきたい場所?」

 

 寄っておきたい場所か。当然だが検討もつかないな。

 

「はい。そこに住んでいる方に助っ人を頼もうと思います」

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「……それで、その寄りたい場所というのが……この家ですか」

「はい、そうです」

 

 そうして俺たちは店の奥へと戻り、ウエイトレス衣装から黄緑のローブ姿に着替えた戦闘着姿のリューさんに連れられ、店を出て通りを歩き、ある一軒家の前に来ていた。

 

 その一軒家は、何処にでもあるような大きくも小さくもない。それでいて、どこか落ち着いた雰囲気のある一軒家だった。

 

 見覚えは……ないな。まあ、普通はあるわけがないか。

 

「……あ、まさか、ここって」

 

 ん? 隣で家をずっと見つめていたエイナさんが、突然何かを思い出したように声を上げ、リューさんへと顔を向ける。

 そんなエイナさんを見て、リューさんは応えるように頷き、呼び鈴を鳴らした。

 

 ……なんか二人で通じ合ったようだ。

 

「やっぱり……あ、ヒキガヤくんは知りませんか? ここって、あの有名な冒険者さんのマイホームですよ! そうですよ! 絶対そうだった気がします! ですよね、リューさん」

 

 エイナさんの呼び掛けに、リューさんはもう一度頷いている。

 有名な冒険者か。

 そう言われても……俺は異世界から来たばかりの新米だから、この世界の冒険者事情なんて知らない。

 知っている事、俺が持っている事といえば、原作知識しかない。

 

 

 ……ん? 原作知識?

 

 

 ……ま、まさか『ダンまち』の誰かの家だったりしてな、ははっ。

 

 

 …………え、まじで、そういう事なんじゃないか? なんか、ダメもとで言って答えが当たってしまった系じゃないのか、これ?

 

 どうしよう……当たっていそうな気がする。

 

 

「その通りですよ、エイナさん」

「へぇ〜噂には聞いていましたが、本当にギルドのホームには、住んでいなかったのですね」

 

 

 誰だ。『ダンまち』の冒険者って誰がいた?

 

 その中で、有名な冒険者って言ったら……あの……アイズ……ヴァレンなにがしさんだっけ?

 それとも、その人が所属していたロキファミリアの仲間達の誰かか?

 

 確か、相当に強かったと思う。

 

 あとは……フレイヤ?の隣にいつも居た筋肉ゴリゴリの男とかが強かった気がする。

 けど、こんな落ち着いた雰囲気の家に住んでそうにないしな。いやでも、もしかしたら……

 

 え、本当に誰なんだよ、八幡わからん。

 

『ダンまち』には他にも強者は沢山いた気がするし、本当に、誰なんだよ……。

 

 

「比企谷さん、ここはですね……」

 

 

 すると、呼び鈴を鳴らしていたリューさんが振り返って俺に話しかけてきた。

 

 

 

 ………………ゴクリ。

 

 

 

 

 

「【閃光】の家なのですよ」

 

 

 

「あっ、こんな夜に誰かと思えば、久しぶりね、リュー。それと、エイナさんもお久しぶりです」

 

 

 すると、リューさんの言葉と同時にその奥の玄関から一人の女が出てきた。多分、俺と同じくらいの歳だと思う。

 

 栗色の長い髪に、容姿は可愛いと言ってしまう程の女性。腰にはレイピアを携え、白に赤のラインが特徴的な服を装備している。それにより、カッコ良さすらも感じる。

 

 

 なんだ、リューさんが紹介したかった人ってこの人か。

 俺の知っている人だ。それも、そう、有名人だ。

 

 

 

 ……っておいいいいいいッぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!

 

 

 

 らしくもなく、心の中で叫んでしまった。

 

 普通はこれから紹介される人を、俺が知ってるのおかしいから。

 

 え、え、まじか、完全に予想外だった。

 ここって『ダンまち』の世界じゃなかったのか?

 

 俺の目の前で家から出てきた人って違う作品じゃないか。

 

 だって、だって、この人って……絶対に……

 

 

 

 どう見たって『アスナ(・・・)』だろ。

 

 

【閃光のアスナ】さんじゃん。Asunaさん!

 

 

 おいおい、一体どういう事だ。

 

 何故、『SAO(ソードアート・オンライン)』のキャラがいるんだ。

 

 俺は頭を抱え込みたくなる衝動に襲われる。

 

 確かにSAO(ソードアート・オンライン)に登場するラフコフというギルド名が存在していたけれども、それは単なる偶然で、俺は多少は違えど此処が『ダンまち』を舞台にしている世界だと思っていた。

 

 けれども、まさか二つの作品が融合していたなんて、俺の想像を超えていた。

 

 この世界は一体どうなっているんだ。

 

「ん? リュー、その後ろにいる男は誰なの?」

「あぁ、この方は……説明するのならば、そうですね……先程知り合った冒険者です」

「先程って……危険じゃないの?

  ……まあ、いいわ。リューが信用しない男を此処には連れてきたりはしないよね」

 

 そう言って俺を値踏みするように見てくるアスナさん。

 だから、ぼっちは視線に敏感なんですよ? めっちゃ見てるのは分かっちゃいますからねぇ……

 

「私の名前はアスナよ。冒険者の中では【閃光】って呼ばれてるかな。よろしくね!」

 

 ……俺に向かって今、ちゃっかり自己紹介しやがったな。アスナさんや。

 

 自己紹介……か……次は俺の番だよな。

 

 大きく深呼吸をする。よし。

 

 

「俺の名前は比企谷八幡でしゅ。よろしゅく」

 

 

 

 

 …………あぁ……もう俺なんて、俺なんて…………穴を掘って埋まってますぅ………

 

「ヒ、ヒキガヤくん!? 何処からそのスコップ取り出したの!? てか、何で穴を掘ってるの!?」

「……凄まじい魔力コントロールだ」

「あははは。比企谷くんって面白いね」

 

 って、なんで俺の手にスコップがあるんだよ……あ、これは俺の闇魔法か。闇魔法でスコップを形作っちゃってるんだ。

 というか、今は穴を掘って埋まっていたいんだ。止めないでくれ。

 

「はいはい、ヒキガヤくん。お外に出ようね!」

 

 ……エイナさんによって俺の穴埋まり生活は阻止され、一分も持たずに終わった。[完]

 

「それで、リュー。何の用件なの?」

「はい。ラフコフについての件です」

 

 それを聞きアスナさんの目が真剣になる。

 

「……ラフコフね。私のギルドも今、作戦を練っている所よ。あそこはこれ以上放置できない! 調査した結果、人殺しの証拠だって集まりつつあるし。確か、リューだって昔……」

「……アスナ。その話はやめてください」

 

 やっぱりリューさん、過去に何かあったんだな。それを俺が深く聞くのは……駄目だな。

 

「あ、ごめん、リュー」

「いえ……大丈夫です。それで、用件はというと、私達はこれから奴らの新人潰しを止めに行きます。一人の少年を救う為なので、奴らにそこまでの戦力は居ないと思いますが、アスナには、念には念として助っ人を頼もうと思い、此処に来ました」

「そう、なら私はその助っ人引き受けるよ!」

 

 アスナさんは胸を張ってそう言った。ラフコフには何かしらの思いでもあるのだろう。

 

「丁度運がいいことに、遺跡の調査が終わって帰ってきたばかりで装備したままだし、今すぐ行けるよ」

「あ、極東に出来た新しい遺跡の調査終わったんですね!」

「うん! 団長達が今頃、組合に報告に言っているはずだよ」

 

 ……今思ったけど、エイナさんとアスナさん……声似てる。というかこれ、声優さん、同じだっただろ!?

 

 ご都合主義かなんか知らんが、いいの? 声同じだよ?

 

 微妙に違う感じはあるけど。

 

「二人とも、その話はまた後程にでも。今は時間が惜しい。これ以上、夜も深くなり日を跨ぐわけにはいきません。ただでさえ、夜は魔物が活発になるのですから」

「そうね。私も直ぐに準備してくる。少し待ってて」

 

 

 そうして俺は、四人で『彷徨いの森』に向かう事となったのだった。




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