やはり俺のクロスオーバーはまちがっている。   作:餃子の教え子

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俺ガイル3期楽しみだな〜!!

今回も……シリアス!シリアス!シリアスでお送りします!あと地味に、このサブタイ好き。
それではどうぞっ!!!!


第15話:言葉は偽りで出来ている

──ここはどこ、だ?

 

突然なのだが、俺──比企谷八幡は困惑している。

 

それもそのはずだ。考えてもみてほしい。

いきなり、目が覚めたら真っ暗闇の中にいたんだ。そう、ただ真っ暗闇の中にいるだけ。身体は動く。

けど、視界は真っ暗。何もない。

 

 

……意味がわからないだろ。

 

 

世の中には暗闇恐怖症みたいな人がいるらしいし、そんな人がこんな状況にあったら、これは怖すぎて意識失うまであるんじゃないか?

 

ってくらい、今の俺も怖い。あと、不安。

 

俺は駄目元でもう一度、周りを見渡してみるが、やはり真っ黒だという事以外何も無い。

 

言うなれば『無』。無の闇しか広がっていない。

 

そんな世界が俺の目の前に広がっている。

 

──WHY? なんでおれは、こんなところにいるんだ?

 

その疑問の答えは当然、未知としか言えない。

ほんと俺は此処で何をしているのだろう……こんな無駄な事をする為に異世界(・・・)に連れてこられ……生きているわけではない。

 

………ん?……いせかい………異世界?

 

あぁ、そうか。俺は異世界に来ていたんだったな。

 

そう気付くと俺の中で何かがスッポリと収まった気がした。

 

──んで? 何をした? 何かあったか?

 

何をしたんだったかな。思い出せそうで、思い出せない。

つい最近の記憶のはずだ。けど、なんか、テトに出会って、森を出て街に着き、それから……俺、何してたっけ。

 

買い物? いや、違う気がする。

なら、食事? いや、出来なかったような気がする。

じゃあ、寝たのか? ……眠った覚えがない。少なくとも、今日着いたんだと、思う。

 

その街に……いや、森に、か?

 

──ははっ、分かんねぇや。

 

頬を冷や汗のようなものが流れる。汗を流すような心当たりは無いはずなんだけどな……。

 

当たり前だが、俺は手でそれを拭おうとした。

 

けど、それは出来なかった。することが出来なかった。

 

だって、俺は見てしまったから。

 

必死に忘れようと……考えないようにしようと心の奥底で思っていた現実を見てしまったから。

 

 

何故なら、俺の手は真っ赤(・・・)に染められていた。

 

 

赤く紅い俺の手……それが今の(・・)俺の手。

 

 

……あぁ、あ、あああああぁあアァアア

 

俺はその場に倒れ込んでしまう。それを避けようとする抵抗すら今の俺には残っていなかった。

そうして、今も尚、声にならない声が溢れ出てくる。

 

 

………はぁはぁ、分かったよ。思い出した。思い出してしまった。

 

 

俺の手は血塗られている(・・・・・・・)んだな。

 

 

「はは……俺の手はこんなにも汚れてるのか」

 

 

そうだった。現実逃避をしていた。

 

気持ちが悪い。見ていたくない。そう思い、避けていた。

 

俺は急いで、手に付いたソレを振るい落とそうとする。

 

けれど、

 

「っ!? 落ちない! なんで、くそっ! 落ちないっ!」

 

手に付いた血は一滴すら落ちない。思いっきり振っても、何も変化せず俺の手に引っ付いている。

 

 

……あぁ、そうか。理解した。この罪は永遠に振る落とせない。目を逸らす事さえも許されない。俺は、この血塗られた手と向き合って生きていかなければいけない。

 

だから、この手の血は一滴すら落ちないんだな。

 

 

ははは、そうだよ、分かってる。

 

 

俺は最低な人間だ。

 

 

俺は、俺は……人を八人殺した男。

 

 

人殺しをした比企谷八幡だ。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「んぅ……知らない天井だ、な」

 

目が覚め、視界に映ったのは真っ白な天井だった。

それを見て俺は、俺のぼっち人生で一度は言ってみたかった台詞を口走ってしまった。

 

スッキリしたか? 答えは全く。

 

今の俺の気持ちは、最悪だ。

 

反吐が出る。吐き気だってする。

 

嫌だ、嫌だ。やめたくても止まらない。俺は自己嫌悪をひたすら続けてしまう。

 

もう真っ白な天井が真っ赤な天井に見えるまである。

 

本当に馬鹿らしい。そんなはずないのに……どうしようもなく視界が血のように赤い。赤い世界に俺の世界は塗り替えられていた。

 

「……比企谷さん」

「……ヒキガヤくん」

「……比企谷くん」

 

すると、横から声をかけられた。声でわかる。本当は見たくない。現実逃避していたい。けど、身体は正直みたいで……俺は頭を横に向けてしまった。

 

そしてそこには案の定、

 

「お目覚めになられたのですね」

 

リューさんとエイナさん、アスナさんがいた。

 

そうして思い出してしまうあの光景。

俺が人を弾け飛ばしたあの光景……殴り殺したあの光景………

 

──っっっ!!!!

 

それらが、頭の中をムカデのように駆け巡り、あの光景を鮮明にフラッシュバックさせる。

 

「……酷い顔、してるね」

 

アスナさんにそう言われた。本当にその通りだと思う。俺の今の顔は通常よりも腐り切っているだろう。

その言葉には肯定しかできない。

 

「……三日ですよ。ヒキガヤくんが気を失ってから、三日が経ちました」

 

……三日。その間、俺は眠り続けてたのか。

 

「……比企谷さん。何故気を失っていたのか。覚えていらっしゃいますか?」

「──っ」

「……その反応……覚えているようですね」

 

リューさんの問いに俺は震え上がる。

あぁ、忘れるはずがない。目覚めた瞬間から自覚している。忘れたいが、忘れない……忘れられないだろ。

 

手が……体全身が小刻みに震える。

 

「あぁ覚えてる。俺は人を殺したんだ……八人も……八人も、だ」

「っ! け、けど! そ、それは……」

「……そうですね。貴方は人を殺しました」

 

そう言ってリューさんは俯いてしまう。アスナさんも俯いて静かにしている。エイナさんは、そんな暗い雰囲気に戸惑っている。

 

──気にしなくてもいいのに。

 

すると、リューさんは再び顔を上げ、俺の目を真っ直ぐに見つめてきた。その表情は無表情ながら、どこか緊張しているようで、真剣そのものだった。

 

「……その後について話しましょう」

 

それから俺はリューさんに、何があったのかを聞かされた。

それは、俺にとってとても胸が苦しくなるものだった。

 

俺は人を殺した事により、暴走。

自我がない状態で《闇魔法》を無差別に放ったらしい。それも大規模に四方八方。その闇に飲まれたものは、なんであろうと消滅していったらしい。

 

その効果で、俺は彷徨いの森は消滅させたようだった。

 

そして……俺は自分の力で、

 

 

リューさんとエイナさん、アスナさん──三人すらも殺してしまうところだったようだった。

 

 

「……私達は安全の為に、今、アスナのギルドに匿って貰っています。そして、このギルドと私達は、共に一ヶ月後の夜、ラフコフの本拠地に奇襲を仕掛ける計画を秘密裏に進めています。私達はそこで、奴ら──ラフコフを全員……殺して壊滅させるつもりです」

 

 

そうして、リューさんの説明は終わった。

 

 

……あぁ、ダメだ。もう俺の体の震えが止まりそうにない。

 

 

三人を俺は殺してしまうところだったということを、知ってしまったから。

 

何も知らないところで、沢山の人をさらに殺してしまったから。

 

 

それに……俺は……俺は……

 

「……゛めん……ごめんなさい」

「「「──っ!!」」」

 

涙がこぼれる。止められない。本当にいつ以来だろうか、俺が泣いたのは。

 

「ごめんなさいごめんなさい……リューさん、エイナさん、アスナさん。俺は、最低な人間だ」

「そ、そんな、こと……」

「そんなわけない! 比企谷くんは私達を……」

「……」

「いやっ! あるんだッ! 俺は……俺は最低だ」

 

駄目だ。もう止められそうにない。

 

「俺は自分勝手に暴走して周りを巻き込んだ。それでリューさんやエイナさん、アスナさんを殺してしまうところだった。それだけで重罪だ。そ、それに、もしかしたら三人は死んでたかもしれない。そんな未来だってあったはずだ。少しでも《風魔法》の展開が遅かったらリューさん達は間違いなく死んでいたっ! そう、そうなんだ……俺は三人も殺そうとして……」

「けど、けれど、ヒキガヤくんは自我がなくて……」

「ち、違うよ。そんなの……もしもの話で……」

「……」

 

なんでそんな庇うような事を泣きながら言うんだ、エイナさん、アスナさん。

三人を俺は一歩間違えれば殺していた。それは紛れもない事実なんだ。

 

「いや、関係ない。俺は貴方達を殺そうとした張本人だ。自我がないとかそんなのは関係ない。殺しかけた事自体が真実だ。だから……そんな殺人鬼の俺に……そんな目で見ないでくれ。早く、離れてくれ。触らないでくれ。お願いだ」

「……っ嫌です! 嫌だ! 嫌だ嫌だ!」

「……私も……それは嫌だ」

「……ッ」

 

……三人ともそんな泣きそうな目で俺を見ないでくれ。

 

というか、エイナさんは泣き止んでくれ。涙で顔がくしゃくしゃじゃないか。

 

アスナさんは、躊躇泣く最低な俺の手を握らないでくれ。ほっといてくれ。ほっといてくれても、いいじゃないか。

 

俺はアスナさんに握られた手を振りほどく。

 

「……俺は自分が怖い。恐ろしい。この体の中には俺も知らない程の力が宿っている。それも人を簡単に殺せる程の力。それが、何より怖い。把握すらしていないし、制御することもままならないこの力が、もしまた他人を傷付けることに向いてしまったらと思うと、怖くて体が震える。現にもう人を殺している。俺の力だと……簡単に人は死んでいくんだ。そんな力が宿っているんだ、俺の中には……だから俺は怖い。俺自身がそんな強大な力に飲まれて、人を殺す化け物になってしまうのが……恐ろしく怖いんだ」

 

……だから、俺から離れてくれ。

 

「そんな弱くて脆い人間が、俺だ。比企谷八幡だ。だから、もう俺に関わらないでくれ。一人にさせてくれ。俺は人と関わりたくない。人と関わっちゃいけないんだ。そんな最低最悪の化け物なんだ。誰一人救えず、暴走して人を殺していった。きっと、彼らには彼らの人生があったんだ。たとえ、奴らが殺人集団だとしてそれは変わらない……あぁ、俺はなんで選ばれてしまったんだろうな」

 

 

……願うなら俺以外の誰かを勇者として連れてきて欲しかった。俺はこんな力なんて、求めてなかった。

 

なんで、俺だったんだろうな。

 

 

「……あぁ、俺は俺が大嫌いだ」

 

 

……そんな俺に、もう関わらないでくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……比企谷くん、貴方は私を助けてくれました」

 

アスナさんはそう言って再び俺の手を握ってきた。

 

……はははっ。俺はやっぱり腐っている。

俺みたいなやつが、その先を求めるだなんて。

 

やはりその先を求めてしまうのが、人という生き物なんだろうな。情けないが、俺は………

 

 

「確かに比企谷くんは人を殺してしまったかもしれない。けど、」

 

あぁ、俺は思う。これからアスナさんに、慰められたりでもするのだろう、と。

 

これは……そうだな、文化祭の屋上の時に少しだけ類似しているように見える。ソースは俺。

 

状況としては、アスナさんは……葉山だろう。

それで俺が……相模……かよ……。

 

 

「けれど、そのおかげで、私が今ここにいるんだよ? 比企谷くんのおかげで、私は今生きているの」

 

 

自分を認めてくれる人の存在が欲しいと願う。言わば、自己承認欲とでも言おうか。アスナさんに慰められるのは、それの証明に繋がる。

 

 

──ははっ、さぞ、必要とされるのは心地よいだろうな。

 

 

「比企谷くんが、私を守ってくれたから。守ってくれる力を使ってくれたから、私は今も生きているんだよ」

 

 

現に俺は、そう感じてしまっていると断言出来る。

 

けど、違う。そうじゃないんだ。

 

 

──そんな偽物(・・)、求めていないんだ。

 

 

言葉なんて偽りで固められて出来ている。

 

矛盾しているかもしれないが、俺は……慰めなんて欲しくない。欲しいと体が感じているが、心はそんな物、求めていないんだ。

 

結局のところ、『本物』があるのかもしれないのに。

 

 

「……だから、そんな泣きそうな顔しないで。私は……笑顔の比企谷くんを見たいよぉ」

 

 

そんな偽物を貰いたくない。

 

だから、これ以上俺に関わらないでくれ。

 

 

──喋りかけてこないでくれ。

 

 

──もう嫌なんだ。やめてくれ。

 

 

……俺の力(・・・)を求めないでくれ。




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