*リーフィアside
結論から言えば私たちが案内されたのは出口ではなかった。
案内された先は更に霧の濃いエレキ平原-奥地。隣のグレイシアを視認できるかも怪しい。
「これはどういうことかな?ルクシオ」
「それはこっちのセリフですよ。演技までして」
助けた時のルクシオとは思えないほどの低い声が返ってきた。そこに感謝の色は無く、明らかに警戒…否、敵視している様子だった。
「演技?」
「そうですよ。僕を助けていいポケモン気取りしてますけど、僕を襲ったのも貴方達だって分かってる」
「どうして私たちが襲ったと言い切れる?」
「氷の礫。エレキ平原に氷タイプはいないし、こんな辺境に冒険者はほとんど来ない。火を見るよりも明らかです」
「さすがにそれは早計なんじゃないか?仮にそうだったとしたら助けるメリットがない」
「白々しいんですよ。霧の中で気付かれないように襲って、偶然を装って助ける。そうして恩を着せて幻の花のことを聞き出そうとしたんでしょう?」
「なるほど、それで私たちを疑ってる訳か。私のことを悪く言うのは構わない。でもね、グレイシアの優しさを演技と言うならそれは見当違いだよ。グレイシアは怪現象で大切なパートナーの記憶を失った。失ったことを覚えた上で。普通なら正気を保っていられないだろう。それでもなお、テンガン山で倒れていた私を助けてくれた。他のポケモンに気を遣ってる余裕なんてないだろうに。私はその優しさに救われたんだ。これでもまだグレイシアが犯人だと思うか?」
「僕だって信じたくはないですよ。演技とは思えないほどにその優しさは暖かかった。でも、『氷タイプ』『幻の花の存在を知っている』『神様が弱っているこのタイミングでの襲撃』…合致しすぎてるんですよ。
ーーだから報告せざるを得なかったんです。危険である可能性が1%でもあるなら、…エレキ平原の守護者として貴方達を排除しなければならない」
「報告?」
いや、他にもツッコミどころはあるのだが。
「それで、今の話は本当なんだな?」
霧の向こう側から別のポケモンの声だけが聞こえる。ルクシオはそれに対して弱々しく首肯した。
「俺はエレキ平原の守護者、レントラー。ルクシオをここまで傷付けるとは相当実力者のようだな」
ええ、見事なまでの勘違いですね。信じてもらえないだろうが一応否定はしてみる。
「私たちはやってないけどね」
「口でなら何とでも言える。状況が状況だ、疑わしきは排除させてもらう」
ですよね。
「何で私たちはこう、面倒事に巻き込まれるんだろうね」
「知らないわよ!」
ーーバトル、開幕