*リーフィアside
私たちの前にとんでもないことをしてくれたなと思う。神様が弱っているらしいこのタイミングでのルクシオ襲撃。おかげで私たちはこうして無実の罪を着せられて守護者様と戦う羽目になっている。
しかし、ただ悪いことばかりじゃない。ルクシオ達は確かに「神様」と「幻の花」の存在を知っていた。神様なら怪現象のことを知ってるかもしれないし、なんなら
それもこれも目の前の守護者様に
"リフレクター"
"オーロラベール"
霧で視覚を封じられた私たちは背中を合わせて防御に徹することしかできないのであった。
○
*??side
ウォンシ地方はシンオウ地方とは似て非なる世界。一番の違いはトレーナーがいるかいないかだろう。俺のトレーナーは怪現象の日を境に姿を消した。怪現象の日に何が起きたかは覚えていない。気が付いたらウォンシ地方にいた。
分かっているのはただそれだけ。
○
*リーフィアside
レントラーと戦っていて1つの疑問が生まれた。
ーーどうして私たちを的確に狙えているのか?
考えられるのは「目が霧に適応している」「電気を感知している」この辺りだろうか。いずれにせよこの地に住まい守護者を務めているレントラーに地の利があるのは言うまでもない。
こればかりは仕方のないことなので逆に「どうしたら私たちがレントラーに攻撃を当てられるか」を考える。防戦一方では負けることはなくても勝つことはできない。
導き出した答えは単純
ーー攻撃が飛んできた方向に攻撃する。攻撃が飛んでくるということは即ちその方向にレントラーがいるということに他ならない。
しかし、それを実行するには1つ問題がある。「電撃を認識してから攻撃できるかどうか」である。防御でさえギリギリ凌いでいる状況だ。攻撃となると難しさは格段に増す。まず前提として後ろにグレイシアがいるため、避けずに電撃の威力を上回る攻撃をしないといけない。これに関してはレントラー側に「攻撃されない」という
真の問題は先に言った通り、「
やれるかは分からない。
でもやらなければ行き着く先は確実に「敗北」だ。
だったらどれだけ可能性が低かろうと私は賭ける方を選ぶ。
そしてリーフィアは静かに目を閉じた。
○
*??side
怪現象の日の記憶がないということは、裏を返せば
ご主人は全てが完璧だった。1つの崇高な理想に向かって貪欲に知識を貪り、だからといって周りのトレーナー達のように俺たちを蔑ろにすることはなかった。この防霧ゴーグルも、ズイタウンとカンナギタウンを結ぶ霧の深い210番道路で俺たちが不自由しないようにと作ってくれた代物だ。
また、ご主人は「感情」を嫌っていた。曰く「心」は「曖昧で不完全なもの」であり、感情が存在しなければ醜い争いも起こりえないとのこと。真下でレントラーがロクに犯人の捜索もせずに無実のチーム「スノードロップ」を排除しようとしてるのがいい例だろう。だから争いの絶えないこの世界をリセットして感情が存在しない世界を作り出すことを理想としていた。
しかし、崇高な理想とは時に理解されないもので、多くのトレーナーに反対された。皆、変化が怖いのだ。現状に安心し、未知を恐れる。
それでもご主人は理想を果たすべく行動に移した。今こうしてご主人が隣にいないということは
ご主人亡き今、理想は俺たちが果たしてみせる
ーーそれが残された俺たちの使命
幸運なことに俺たちを含むウォンシ地方のポケモンは怪現象の記憶を失っている。更には呑気に「何てことのない記憶だったんだろう」などと呆けている始末だ。
2匹を除いて。
怪現象の謎を解かれては、また理想の実現が遠のいてしまう。他のポケモンよりも記憶を多く失ったのは気の毒だが、怪現象の謎を解こうとしたのが運の尽きだ。霧が深くて太陽の光も届かない土地で花なんて育つはずがないのに、面白いように罠にハマってくれて実に愉快だったよ。
その時、ちょうどリーフィアが目を閉じた。
そのまま諦めて、死んでくれ。