ポケットモンスター待雪草   作:プシュケ

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p.26-2 狂い咲キ(中編)

*リーフィアside

 

「チェリム…様……?僕です、ルクシオです!」

 

「そんなの私の知ったことではないわ。そこの2匹は期待外れでした。貴方たちはどうかしら?そこの2匹みたいにすぐに踊り疲れないでくださいね」

 

"花びらの舞"

 

桜の花びらが、さながら舞を踊るように一面を埋め尽くす。普段なら宴会料理と共にゆっくりお花見したいところだが、今回はそうもいかない。花びら1枚1枚に神聖な力ーーお守りの力に似ているーーが込められていて、私と本来味方であるはずのルクシオまでをも狙う。言動や漏れ出る狂気からも分かるように、やはりチェリムは正気を失っているようだった。

 

"リフレクター"

 

神聖な力が込められているということは即ち、それだけ威力も高いということで、防御も一時凌ぎに過ぎない。とは言え、ルクシオに伝えるには充分な時間だった。

 

「ここは私が凌ぐ!ルクシオは神様を探してくれ!」

 

「リーフィアさんだけに任せる訳には…」

 

「チェリムを鎮めるには神様の力が必要だと思う。私は神様と会ったこともないし、居場所も知らない。

…なるべく早く戻ってくれると助かるよ」

 

「……分かりました。呉々も無理はしないでくださいね」

 

ルクシオも今のチェリムの危険さを理解しているようで、それだけ言い残すと湖の方へ走っていった。

 

「…足手まといを逃したか。いい判断だ」

 

大人しく休んでればいいものを、マニューラがまた嫌味を口にする。ただ、マニューラの言うことも事実。チェリムは今、冬であるにも関わらず気候を春にするほどの力を持ち、"フラワーギフト"で攻撃面も防御面も大幅に強化された状態にある。言うなれば先ほどのグレイシアと同じ、一番力を発揮できる条件下にあると言える。傷がまだ癒えきっていないルクシオには荷が重く、ルクシオを庇いながら戦うのも厳しい。

 

また、チェリムからはミカルゲと似た性質を感じる。力の性質自体は正反対なのだが、エネルギーが膨大というべきか無尽蔵というべきか。出所はあの桜。推測ではあるが、このままではあの桜にチェリムが乗っ取られるのも時間の問題だ。強大すぎる力は使い方を間違えると身を滅ぼす。しかし、敵ではない、ましてや守護者様を封印する訳にはいかないので、神様に鎮めてもらう他方法はないという訳だ。

 

私がするのはそれまでの時間稼ぎ。

 

「あとはお前も逃げれば完璧だったのにな。どうしてあんな狂った化け物と戦おうとする?」

 

「聞いていたんだろう?グレイシアならきっと暴走したチェリムを放っておいたりしない。あのレントラーにもトラウマを克服して立ち向かったんだ。私が逃げる訳にはいかないよ」

 

「………………」

 

リフレクターが壊れると同時に残りの花びらを"リーフブレード"で散らす。幸いにもチェリムがルクシオを阻むことはなかった。

 

「あら、貴方がデュエットしてくださるの?」

 

「私じゃ不満かな?」

 

「いえ、全然。貴方となら素敵なハーモニーを奏でられそう」

 

「それは何より」

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