*マニューラside
「あら、貴方がデュエットしてくださるの?」
「私じゃ不満かな?」
「いえ、全然。貴方となら素敵なハーモニーを奏でられそう」
"花びらの舞"
「それは何より」
"マジカルリーフ"
チェリムが華やかな桜の花吹雪とするならば、リーフィアは鮮やかに橋を架ける虹。二つの技が空で衝突し、煌めきを放つ。
そう言えば聞こえはいいが、そのバトルは華と呼ぶには程遠い壮絶なバトルだった。チェリムはあの悍ましい桜から湧いて出てくる無尽蔵のエネルギーを傍若無人に振るい、一方のリーフィアも助けが来ると分かっているからこその後先考えないハイペース。最初からお互いの全力がぶつかりあっていた。
「まぁ綺麗!もっとステージをライトアップしましょう!」
"ウェザーボール"
まるで小さい太陽のような火の玉が連続でリーフィアを狙う。しかし春の陽気の影響か、リーフィアの動きは速く、当たれば致命傷にもなりかねないウェザーボールを擦れ擦れで避けながらチェリムとの距離を詰めていく。
「派手なのはいいけど隙だらけだよ!」
実際チェリムには疾うに理性など残っておらず、気分が高揚するあまり、威力と質量だけの攻撃になっていた。どれだけ威力が高くとも、量が多くとも、精度が疎かになっては意味がない。
それは防御においても同じだ。
圧倒的な弾幕の前に遠距離戦を挑むのは分が悪い。精細を欠いた防御は近距離戦において顕著に現れる。
"リーフブレード"
チェリムに初めての一撃が入る。攻撃を躱しつつ、加速して入れた重い一撃。チェリムが数
「いい一撃ね」
だがそれだけだ。桜の力とフラワーギフトで能力が跳ね上がったチェリムは防御する必要すらないのだ。ちょっとやそっとじゃダメージを与えるにすら至らない。
「私も華麗な
瞳孔が大きく開く。
"ソーラーブレード"
チェリムは先のリーフブレードよりも巨大な草剣を溜め無しで即座に出現させる。あまりの切り返しの速さにリーフィアも防御が追いつかない。
「カハッ」
リーフィアが血を吐いてボールのように地を転がっていく。
「私がリードしてあげるから遅れないようについてきて!」
"ソーラーブレード"
相当のエネルギーを剣の形成・維持に使っているはずなのにチェリムは休む暇を与えることなく畳み掛ける。
"リフレクター"
リーフィアは辛うじてダメージを軽減しようとするも、あの馬鹿げた威力のソーラーブレードを防ぎきれるはずもなく何度も苦しそうにのたうちまわる。
「まだ演目は始まったばかり!まさかあれで壊れちゃった訳じゃないよね?さぁ立って、心ゆくまで踊りましょう?」
"ソーラーブレード"
普通なら諦める。
あんな化け物相手なら仕方ないと。
なのにリーフィアは何度も傷だらけの体を奮い立たせる。
たかが今日初めて出会った敵の暴走を止めるために。
放っておけば辺りへの被害は出るかもしれないが、ルクシオが呼びにいった神様が勝手に止めてくれるだろうに。
レントラーもチェリムも勝ち目なんて万に一つもない絶望的な相手なのにどうしてあいつらは諦めない?
「守るには強さが要る。あんなの見せられて、立ち止まっていられるかよ!」
"ソーラーブレード"
2つの草剣が異様な轟音を響かせ衝突する。
防御するのも馬鹿らしいソーラーブレードをリーフィアが同等のソーラーブレードで受け止めてみせた。
何度も剣がぶつかり合う。何度も鍔迫り合いになる。
「あはは!あなた素晴らしいわ!」
分からなかった。決して少なくないダメージを負って、立っているのも辛いくらいだろうに、どこからそんな力が出てくる?
……どうしてそんなに頑張れるんだ。
ふと、リーフィアの得体の知れなさに恐怖を感じた。
あの日もこうしてアカギ様の野望を阻止したのだろうか。
あの日の真実は知る由もないが、俺がアカギ様の意志を受け継いで理想の世界を作るとしたら、リーフィアはどんなに絶望的な状況だろうと立ち憚るのだろう。
そう思うと身の毛がよだつような寒気を感じた。
やはりここで消さなければ。
チェリムとのバトルで疲弊しきっている今しかない。
二匹は戦いに必死で俺など眼中にない。
少しでも俺への警戒を解いたのがお前の敗因だ。
今ここでリーフィアを倒してしまえばチェリムの矛先は俺に向くだろうが、そんなことは関係ない。アカギ様の障害になり得る者を消せるなら命だって惜しくない。
残っている力を振り絞ぼって、最高潮に盛り上がる
"氷の礫"