*ガブリアスside
"黒い霧"
黒い霧が晴れていくとともに剣の舞で増幅したパワーが抜けていくのを感じる。この技の存在によりリフレクターがより厄介な技へと昇華する。剣の舞をしなければ1発で破壊できないし、剣の舞をしたとしてもリセットされる。
問題ない。剣の舞をしていなかったとしてもパワーは俺様の方が上だ。神様だろうと守護者だろうとパワーで俺様の右に出る奴はいない。仮にリフレクターで防がれたとしてもリーフィアの攻撃は決定打にはならないし、グレイシアの遠距離攻撃は警戒すれば躱せる。リフレクターを展開するエネルギーが尽きるまで破壊し続ければいいだけだ。
「私にできるのはこれくらいですが、治療の手間は減らせそうですか?」
「充分」
リーフィアは短く答えると目を閉じる。闘いの最中に目を閉じる…?
「随分と余裕じゃねーか!」
"ドラゴンダイブ"
しかし、予想に反してリーフィアはリフレクターを展開しなかった。リーフィアが目を開きお互いの目が合った次の瞬間、リーフィアの姿は一瞬にして消えていた。否、本当に消えたのではない。ドラゴンダイブを遥かに上回るスピードで躱し、後ろへ回り込んだのだ。
「味方が頼もしいからね」
"葉緑素・リーフブレード"
ーー反応できない。背中に鋭い痛みが生じる。だが、所詮はスピードを重視した軽い一撃だ。頑丈な鮫肌の前にそれほどダメージは通らない。すぐさま振り返ってカウンターをーーと思った時には既に充分な距離を取られていた。
リーフィアは再び目を閉じている。太陽のエネルギーを取り込んでいるのか?いや、それだけじゃねぇ。この土地に流れる神聖な力も取り込んでいる…!心無しか身体の色も濃くなっているように感じる。神様からは記憶を無くしていると聞いたが…こいつ一体何者だ?
"葉緑素"
そんなことを考えている内にもリーフィアは次の攻撃に移る。葉緑素による異次元のスピードは常時"電光石火"をしているのと何ら変わりない。直線的ではなく後ろに回ったり、切り返したり、こちらを撹乱するような動きーー厄介極まりない。そして先ほどまでと違うのは取り込んだエネルギーによる高密度の草剣。
"ソーラーブレード"
ギリギリで両カマをクロスさせてガードするが、数メートル後退させれる。その威力はドラゴンダイブには及ばないものの、並のポケモンなら一撃で瀕死になっているだろう。
"葉緑素"
息をつくのも許されない。感覚を研ぎ澄ませて、集中を極限まで高めて、それでも後手に回ってガードするのがやっとだ。
"ソーラーブレード"
"ドラゴンクロー"
少しずつ、少しずつではあるが、目が慣れていく。ソーラーブレードはリーフブレードよりも強力であるが故にエネルギーを溜める時間が必要だ。日本晴れで短縮されていることを鑑みても異常な早さではあるが。
"葉緑素"
反撃のタイミングがあるとすれば、溜めが生じるソーラーブレードだ。どれだけ速かろうと攻撃するタイミングを予想することができるから。
"リーフブレード"
リーフィアもそんなことは分かっている。だからそれほどダメージが通らないリーフブレードも敢えて混ぜることでタイミングを計らせないように緩急を付けている。
"葉緑素"
全く以て厄介極まりない。
"ソーラーブレード"
だから、全部吹き飛ばさせてもらう。
"竜巻・砂嵐"
荒れ狂う竜巻がリーフィアを吹き飛ばし、撒き上がった砂嵐が澄んだ快晴を埋め尽くす。
○
*マニューラside
理不尽とは今まさに目の前で起きていることを言うのだろう。リーフィアは想像以上に健闘したと言っていい。だが、その上を行くのが
チェリムの時は暴走して正常な判断力が欠如していた。攻撃は荒く、防御も
ガブリアスはチェリムのそれとは訳が違う。理不尽が正常な判断の元、適切に振るわれる。灼熱の壁に囲われ、逃げられない劣悪な環境下で時間稼ぎも許されない負けが確定したバトルだったという訳だ。
…少しは期待していたんだがな。
「あれだけ健闘しても結局は理不尽に押し潰される。さぁ帰りましょう。あんな化け物がもう1匹…万が一神様の所へ辿り着いたとしてもチーム"スノードロップ"と同じように無駄死にするだけです」
「あぁ、そうだな。せめてお前だけでも逃げてくれ」
「マニューラさん、何を言っ」
"ボーンラッシュ"
「お前ら、何をしている。空中という安全圏で高みの見物とはいいご身分だな」
時を同じくして2匹のポケモンがもう1匹の守護者によって撃ち落とされる。