ポケットモンスター待雪草   作:プシュケ

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原作と違って覚える技とその数に制限はありません。


p.4 雪の女王

*ムックルside

 

「聞いちゃいないわね。そっちがその気なら力尽くで奪い取るだけ!行くわよ、リーフィア!」

 

…………どう見ても気絶してるよな。あれは痛そうなんてレベルじゃない、哀れなリーフィアに合掌。あっ気絶させてたことに気付いて落ち込んでる。このグレイシア一見クールに見えるけど恥ずかしがったり落ち込んだり忙しいな。

我らが副隊長も副隊長で体裁は何とか保っているが、その嫉妬の炎は抑えきれていない。副隊長に惚気はあれだけタブーだと。副隊長の本気モードを相手にしなきゃいけないグレイシアにも合掌。

 

「敵地で自ら相方を気絶させるとは随分と間抜けですね。しかしこちらも1匹バトルする手間が省けて好都合、あなた1匹くらいこの私だけで充分です。散々見せつけてくれたお礼に1撃で片付けてあげましょう!」

 

"ブレイブバード"

 

ムクバードは遥か上空から重力を味方に加速し、やがて風をも置き去りにする弾丸となる。あれに直撃したら例え防御の固いトリデプスであってもただでは済まない。今回は我々黒鷹隊が出るまでもないだろう。

 

"霰・雪隠れ"

 

「あら、そんな直線的な大技、わざわざ当たってあげると思って?飛行タイプ風情が冬の氷タイプに挑んだこと、後悔させてあげるわ」

 

吹雪が強くなり、グレイシアが見えなくなる。

 

我らは冬に備えて体毛が厚くなってるとはいえ、霰はじわじわと体力と削りとっていく。これはたかが1匹と侮らない方がいいかもしれない。そこにさっきまでのあたふた少女はいない、白銀の世界に霰を統べる雪の女王が君臨した。

 

 

*ムクバードside

 

霰に雪隠れ…思った以上に厄介な相手だ。元々飛行タイプは氷タイプを苦手としている上、視界が悪く、長期戦になればこちらが消耗していくばかり。さっきは私だけで充分だと啖呵を切ったが、この際四の五の言ってられない。何より我ら黒鷹隊の真価は連携にある。

 

「黒鷹隊、作戦変更だ。ムク五郎は隊長を呼びに行け!残りのムックル達は隊長が来るまで私と持ちこたえろ!」

 

「「「「「ラジャー!」」」」」

 

「まずはこの視界をどうにかしないとな」

 

"霧払い"

 

刹那、吹雪に対抗するように強風が巻き起こり視界が晴れる。尤も、霰までは防ぎきれないが無いよりはましだろう。

 

「へぇ…やるじゃない。でもあなたはそれに手一杯のようね。ムックル達だけで私を倒せるのかしら?」

 

「あまりムックル達をナメない方がいい。確かに1匹1匹の力はそんなに強くないが黒鷹隊のムックルはその辺のムックルとは一味も二味も違う」

 

「ムックルはどこまでいこうとムックルよ。すぐに撃ち落としてあげるわ!」

 

"氷の礫"

 

拳大の尖った氷がグレイシアの周りを×の字に渦巻き、物量に任せた弾幕を放つ。しかしムックル達にそれらが当たることはない。決して氷の礫が遅い訳ではないのだ。それらを上回るスピードで空の軍隊は隙間を掻い潜り、あるムックルは追い風でサポートし、あるムックルは追い風に乗って翼を打ち付け、あるムックルはよろけた所に追い討ちをかける。先程とは打って変わって攻守が入れ替わりグレイシアの体力がどんどん削れていく。相性の差はあれど当たらなければ意味はないし、素早い鳥ポケモンに対して1対多数だ。四方どこから来るかも分からない攻撃と統率のとれた連携は充分すぎるほどに脅威であった。

 

ーーグレイシア、万事休すか?

 

答えは否だ。

 

「ちょこまかとうざったいわね。ところで、私が何も考えずに礫を撃ち続けてると思う?」

 

「それはどういう意味だ!現に素早い我らに一発も当てれていないじゃないか」

 

「下ばかり気にしすぎて知らないかもしれないけど

 

 

雨って空から降るのよ?」

 

 

直後ムックル達の背中へ氷の雨が降り注ぎ、グルグルと目を回し墜落していった。

 

ムクバードも例外ではない。寧ろ霰による吹雪を抑えるためにずっと霧払いで強風を起こし続けていたのだ。体力の消耗は霰だけのムックル達よりもずっと大きい。

 

「全く、手こずらせてくれたわ。私はそんなにバトル好きじゃないのに…これだから戦闘狂(バトルジャンキー)は嫌なのよ。リーフィア、起きなさい!あなたがサボってるせいで私1匹でこの群れ倒す羽目になったじゃないの!今度バトルになったらあなた1匹で戦わせてやるんだから!」

 

「分かった、分かったから病み上がりで寝起きの私の胸ぐらを掴んでブンブンしないでくれ。元はと言えば君に気絶させられたんだけどな」

 

「知りません!何と言おうとレディに1匹で戦わせる男は悪です!」

 

「あの右ストレートがあれば誰でも瞬殺できると思」

 

「またくらいたいのかしら?」

 

「滅相もございません」

 

「まぁいいわ。久し振りにバトルして疲れたし、早く復活草を摘んで帰りま…きゃっ!?いきなり何するのよ!」

 

「説明は後だ!」

 

リーフィアは焦った様子でグレイシアを突き飛ばす。その視線の先には

 

「よくも部下のムックル達を…こんな時に隊長は一体何をやっているんだ!隊長がいない今、復活草を、部下達を守るのは、私しかいない!!」

 

"敵討ち"

 

ボロボロになりながらもムクバードは副隊長としての誇りを以て立ち上がる。倒された部下への思いをも力に変えて長のオーラを纏った流星がリーフィアへと突っ込んだ。

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