*ドンカラスside
「お前ら、何をしている」
"ボーンラッシュ"
突然背中に鈍い痛みが走る。この砂漠に鳥ポケモンなんて1匹もいないはず…なぜ
柔らかい砂の絨毯に叩きつけられ、すぐに快晴を仰ぎ見る。
「空中という安全圏で高みの見物とはいいご身分だな」
太陽を背に浮かんでいたのは快晴の青とは対照的に深く冷徹な紅の瞳ーールカリオだった。理解が追いつかない。空は鳥ポケモンの領域…なぜ翼を持たないルカリオが空に留まっていられる?
「貴方、何者ですか?」
「私はこの地を守る者。悪しき者よ、生きて帰れると思うな」
「守護者ともあろう方が不意打ちですか。これじゃどっちが悪しき者か分かりませんね」
「不意打ちの機会を窺っておいて何を言ってる。油断したのはそっちだろう」
軽く挑発してみるが、挑発に乗る様子が全く無い。それどころか清々しいまでの正論と敵意。
「不意打ちとはいえ、数で不利を取る私たちに勝負を挑むとは相当自信があるようですね。しかも鳥ポケモンの私に空中戦まで」
バトルは例えどれだけ強かろうと条件次第でいくらでも逆転する。幸い、ルカリオは向こうで暴れているガブリアスのように何もかもを無に帰す法外なパワーを持っている訳ではない。
2対1、動きを取りづらい空中。こちらに有利な要素は揃っている…ここで一気に仕留める!
"エアスラッシュ"
無数に風の刃を放つ。この数を鳥ポケモンでもないルカリオが空中で捌ききるのは不可能だろう。撃ち落としたところをマニューラさんにーー
"電光石火"
ルカリオは足底から青い波導を放出し、こちらへ向かって加速する。なるほど、ルカリオは波導ポケモン…波導を制御することによって空中を飛ぶことも可能にしたということか。
驚くべきはそれだけではない。あれだけのスピードを出しながらエアスラッシュ1つ掠らないのだ。
「自信?悪しき者を排除するのは守護者として当然の務めだ」
"ボーンラッシュ"
○
*リーフィアside
"ソーラーブレード"
リーフブレードでは大したダメージが通らない。ガブリアスにダメージを与えるにはエネルギーの溜めが必要。エネルギーを溜めているのがバレようとも、それをカバーする葉緑素(速さ)がある。分かっていてもギリギリ付いていくのが精々。
"竜巻・砂嵐"
だからガブリアスは範囲攻撃を選んだ。砂嵐が巻き起こるほどの竜巻ーーソーラーブレードの威力は去なされ、竜巻の直撃は免れない。守りを捨てた速さが仇となった。このままでは編入試験の時と同じだ。あの時は横槍だったが、今回は正面からぶつかってこれだ。
ーー神様に仕える守護者というのはここまで圧倒的なのか。
「リーフィア!」
刹那、グレイシアの叫びが諦めかけた私の背中を押す。
「私を信じて!」
"オーロラベール"
私の周りにだけオーロラの結界が展開される。リフレクター同様、全てのダメージがカットされる訳ではないが、私が竜巻に阻まれることはない。
対してこれだけの竜巻を起こしたガブリアスは隙だらけ。これ以上の好機はない。
ーー竜巻ごと切り裂け。太陽と
"ソーラーブレード"
○
*マニューラside
ルカリオも例に漏れず化け物だった。確かにガブリアスほどのパワーは無い。スピードだってリーフィアの葉緑素に比べたらまだ常識的な範囲内。飛行タイプでもないのに飛べるのも、言ってしまえばそれまでだ。
何がルカリオを化け物足らしめるのかーーそれは波導のコントロールにあった。空中の制御は言うまでもないが、真の脅威は正確無比な感知能力だ。技を避けることにだけ集中するなら普通のポケモンにもできる。ルカリオは電光石火でこちらへ加速しながらエアスラッシュ1つ掠らない。ガブリアスとは違った意味で勝てるビジョンが見えない化け物だった。
「自信?悪しき者を排除するのは守護者として当然の務めだ」
"ボーンラッシュ"
"メタルクロー"
爪を硬化させボーンラッシュを受け止める。
"黒い霧"
「さぁマニューラさん乗って」
ドンカラスもこの数刻でルカリオに勝てないと判断したようで、黒い霧による撹乱で逃走を図る。2対1だろうとチェリムの時と同じ轍は踏まない。
黒い霧から飛翔し、抜け出そうとした矢先
"波導弾"
直撃。2度目の墜落。