ポケットモンスター待雪草   作:プシュケ

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p.39-2 意志の試練(中編)

*リーフィアside

 

「決めろ、グレイシア!」

 

「言われなくても!」

 

"れいとうビーム"

 

「クソっ、寒いなぁ!」

 

"大文字"

 

氷と炎が衝突する。一方はタイプ一致の、一方は環境の恩恵を存分に受けており、その威力は一瞬拮抗するかのように見えた。

 

…が少しずつ押され始める。氷は炎に弱いーーそれはいつどんな時代であろうと変わることのない自然の摂理。拮抗が崩れてからは早かった。瞬く間に炎が氷を飲み込んでいく。本来、特殊攻撃に対してはあまり有効ではないが…無いよりはマシだろう。"リフ

 

「その必要はありませんよ」

 

今まで回復のサポートに徹していたタマンタがリフレクターを展開しようとしていた私を制して一歩前に出る。

 

"ワイドガード×水のベール"

 

水を纏ったシールドが生成されるとあれだけ燃え盛っていた炎がいとも容易く消えていく。氷が炎に弱い様に炎もまた水に弱いのは自明の理。氷も水も元を辿れば同じ物質だというのに、状態によって相性が変わるのは当たり前のようで面白い。

 

「助かったわタマンタちゃん。多彩なサポートだけじゃなくて守りも堅いのね」

 

「私の"水のベール"の前では弱火同然です!」

 

タマンタが右翼を胸にあてて自慢げに言う。そんな微笑ましい光景も束の間、

 

"スケイルショット"

 

「油断してる暇はないよ」

 

"リフレクター"

 

ザっザっザっザっパリンっ

 

鱗による多段攻撃によってリフレクターが破壊され、ガブリアスが横を飛び抜ける。あれ、さっきよりも速度が上がっている…?そう思った時には既に遅い。

 

「あばよ、氷の嬢ちゃん」

 

「え?」

 

"ワイドブレイカー"

 

風を切る轟音。グレイシアに致命的な一撃が入る。

 

 

 

 

*マニューラside

 

「「面白くなってきた」」

 

確信した。ルカリオにも攻撃は当たる。ルカリオは波導による感知が突出しているだけで、他は何ら普通のポケモンと変わらない。変わらないと言ってもどれも高水準のオールラウンダーではあるが…重要なのは突出しているのが感知だけであるということ。回避の行程は大まかに感知、情報の処理、運動の3つに分かれており、ルカリオに攻撃を当てるにはその"感知"の部分を限りなく削り取ればいい。ギリギリまで感知させなければ情報の処理と運動が追いつかないからだ。

 

「来ないのか?ならば、こちらから行かせてもらう」

 

"ボーンラッシュ"

 

実体化した波導による突き攻撃。回避はギリギリまで我慢ーーここだ。攻撃が脇腹を掠める。さらに踏み込んでの薙ぎ払いーーこれも後方にジャンプすることで躱す。回避はできても到底反撃する隙を与えてはくれない。

 

"真空波"

 

ーー動きが誘導されている。空中に浮かせて自由に身動きが取れないところを狙ってきた。ギリギリで回避するということは被弾を増やすリスクが上がる上にその後の行動にも制限を生む。

 

"氷柱落とし"

 

氷柱を生成することにより空中に足場を作り、横に回避・着地する。

 

「っぶねぇ」

 

"波導弾"

 

"高速移動"

 

ルカリオがやっていたように遠距離攻撃の合間を縫って距離を詰める。感知が得意な相手に一撃入れるには近付かないと始まらない。

 

"辻斬り(フェイント)"

 

"ボーンラッシュ"

 

"高速移動"

 

"辻斬り(フェイント)"

 

"ボーンラッシュ"

 

"高速移動"

 

"辻斬り(フェイント)"

 

"ボーンラッシュ"

 

感知を遅らせて遅らせて遅らせてルカリオをバトルから置き去りにする。

 

ここで決める。

 

"高速移動・辻斬り"

 

「バレバレだ」

 

"ボーンラッシュ"

 

「グハっ」

 

少し大きく振りかぶったところを的確に振り抜かれた。肋骨の軋む音がする。なぜだ…素早さではこちらが確実に圧倒していたはず。感知で補えるはずがない。どうして俺は今砂の上を転がっている?

 

「波導が揺れている。一番の武器である速さが通じなかったことで絶望したか?」

 

「……俺の速さはまだ足りねえのか?」

 

「いや、今まで相手してきたポケモンの誰よりも速い」

 

「なら、何で…」

 

「お前ほどじゃないにせよ速いバカ(ガブリアス)との手合わせをさせられてるから慣れている」

 

「ははっ、はははっ」

 

「どうした、諦めるか?」

 

「バカ言っちゃいけねえ。この程度諦める理由になんてならねえよ」

 

「お前ならそう言うと思っていた」

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