*リーフィアside
「あばよ、氷の嬢ちゃん」
「え?」
"ワイドブレイカー"
グレイシアに致命的な一撃が入る。
「
…やられた。スケイルショットは完全に陽動で初めから狙いはグレイシアだったという訳か。リフレクターを壊すことで次の手を考える隙を作り出し、その隙をスケイルショットで上げた素早さにより一瞬で仕留めるーー敵ながらその戦闘センスには感服するばかりだ。
「タマンタはグレイシアの治療に専念してくれ」
「もちろんでs…ってリーフィアさん1匹でガブリアスに立ち向かうなんて無謀すぎますよ!私が両方サポートしてみせますから」
「ありがとう、その気持ちは嬉しい。けどグレイシアに怪我を負わせたのは私の責任だ」
「それとこれとは話が…」
「グレイシアにとって過酷な環境でこんなに頑張ってくれたんだ。もう充分すぎるくらいのバトンを貰った。だからグレイシアの治療に専念してやってくれ」
「……分かりました。グレイシアさんをおぶって帰れるくらいの体力は残しておいてくださいね?」
「善処する」
「話は終わったか?早く再開しようぜ!」
「あぁ、そのつもりだ」
"日本晴れ"
「そのスピード、正面から叩き潰してやるよ」
"スケイルショット"
先と同じように鱗の多段攻撃が迫る。避けるとタマンタ達の方へ、リフレクターで対応すると追撃に被弾する…導き出された対処法は
"リーフブレード"
撃ち落とす。鱗1つ1つにどっしりとした重みと威力がある。道理で守りも堅かった訳だ。重りを捨てたガブリアスは更に速くなる。
"ドラゴンダイブ"
"葉緑素・アイアンテール"
避けて後ろに回り込みアイアンテールを叩き込む。まだ私の方がスピードは上だ。
「俺様はまだまだ速くなれる!」
"ツイン・スケイルショット"
左右から同時に鱗を飛ばすことで物量が2倍になる。リーフブレードだけだと処理できない…なら!
"ソーラーブレード"
まとめて撃ち落とす。ガブリアスは鱗を飛ばすごとにスピードを上げていく。それこそ私の葉緑素と張り合えるくらいには。
だが、そのスピードは堅い守りと引き換えに手に入れたに過ぎないーーガブリアスも勝負を決めにきている。
"ドラゴンダイブ"
"リフレクター"
"ワイドブレイカー"
技のキレも1段階上がっている。リフレクターは即座に連続攻撃により破壊され吹っ飛ばされる。
「さぁ次はどうする」
"ドラゴンクロー"
ガブリアスは一息つく間も与えず追撃を。
"葉緑素・電光石火"
対して私はギアを更に上げる。ガブリアスは私の最高速が"葉緑素"だと思っていたのだろう。まさか避けられると思っていなかったとばかりに驚愕の表情をする。
「…面白え!」
ドラゴンクローを外したガブリアスの懐に
"ソーラーブレード"
手応えありーーやはりスケイルショットで装甲が脆くなっている。ガブリアスが泥の上を転がっていく。
「ここで決める!大地よ力を分けてくれ」
筋肉の繊維や骨が悲鳴を上げる。当然だ。私のキャパシティを遥かに超えるエネルギーを取り込んでいるのだから。
「太陽の恵みを凝縮しろ」
エネルギーを頭の葉に集中させる。キャパシティから溢れ出たエネルギーが枯れ果てた砂漠を緑化する。
「受け取れガブリアス。
これが今の私の全力、だぁぁあああ゛あ゛」
"グランブルームエクストラ"
ソーラービームよりも巨大な超高密度の太陽光線、届け。
○
*マニューラside
ルカリオから引き出した
「今まで相手してきたポケモンの誰よりも速い」
あぁ…何て嬉しいのだろう。ウォンシ地方1の感知能力を持ちつつも、決して研鑽を怠らない最強とも言えるポケモンから引き出した嘘偽りのない賞賛ーーそれだけで諦めない理由には充分じゃねえか。
だからこそ
「お前を倒してアカギ様のエースに相応しいことを証明する!」
"氷柱針"
「私は守護者だ。相手が誰だろうと負けは許されない」
"ボーンラッシュ"
速度の遅い氷柱針が打ち砕かれるのは言うまでもない。
"高速移動・氷の礫・連弾"
速さは緩急を付けることによって際立つ。最初の数発が氷柱針とタイミングが重なりルカリオも対処できない。
"高速移動・辻斬り"
…違う。対処できなかったんじゃなかったんだ。わざと隙を見せて俺の攻撃を誘導したんだ。ルカリオの右手に波導が宿っていく。
「例えそれが認めた相手であっても」
"発勁"
直撃。
○
*リーフィアside
"グランブルームエクストラ"
これを外したら戦う体力なんてものは残ってない。だから、だから、当たってくれ。
しかし、残酷にもその願いは届かない。
「…リー、フィアぁぁあああ゛あ゛」
確実にダメージが蓄積しているガブリアスが雄叫びと共に自身を奮い立たせる。最後の力を振り絞って
"流星群"
太陽光線と
○
*マニューラside
"発勁"
…意識が飛びそうだ。肋骨は完全に折れただろう。
でもこのチャンスを逃す訳にはいかない。
ルカリオの腕を掴む。
「お前、まさか…離せ!」
*リーフィアside
躱された。私の負…
「「まだ私たちがいる!!届けぇぇえええ゛゛」」
"ダブルミラーコート"
*マニューラside
「離す、訳ねぇだろうがぁぁあああ゛あ゛」
"カウンター"
消えゆく炎の渦が短くも長い長いバトルに終幕を告げる。
○
*ルカリオside
体が動かない。隣には気絶したマニューラと吹っ飛んできたガブリアス。
「…負けたのか」
ガブリアスの動揺した声。
「俺様より先にお前を負かすやつがいるとはな…」
「負けてはいない。引き分けだ。お前こそ負けるとはな」
「俺様も負けてねえ。体さえ動けばお前を負かした奴とも今すぐ戦いてえぐらいだ」
「「ははっ、ははははっ。楽しかったなぁ」」
勝てなかったというのに不思議と気分は澄み渡っていた。
○
*リーフィアside
体が動かない。隣には同じく動けない様子のタマンタと気絶したグレイシア。
「…タマンタ、グレイシアは大丈夫なのか?」
「…ええ。ダメージはひどいですが命に別状はありません」
「…無茶するなって言う割に自分が1番無茶してるじゃないか」
「…本当ですよ」
「…タマンタも。本来は自分にもかけないといけない"アクアリング"をグレイシアだけにかけて…」
「…リーフィアさんに言われましたからね。グレイシアの治療に専念してくれって」
「…そこまで傷付いてるのにできる奴はタマンタくらいだよ」
「お話中悪いけど、意志の試練はまだ終わってないよ」
エムリットのようなフォルムをしたポケモンが目の前に現れると同時に視界が歪み、意識が遠のいていく。タマンタが私の名を叫ぶ声が薄れていく。
○
*リーフィアside
体が軽い。ここはどこだ…?この世ならざる不思議な感覚…私は生死の境目を彷徨っているのか…?
「やぁ、目が覚めたかい?」
声をかけるのは意識を失う前に見た神様であろうポケモン。
「ここは…?」
「意志の試練の間だよ」
「私は死んだのか?」
「うーん…それはこれからの答え次第かな」
「随分と物騒な神様だな」
神様は無視して続ける
「単刀直入に言うよ。助けてほしいポケモンが1匹いる」
「…意図が分からないな。私が見捨てるほど悪いポケモンに見えるか?」
「そのポケモンが記憶を奪ったポケモンだとしても?」