…ジリリリリリ
「んっ。」
目覚ましの音で目が覚めた。
もう朝か。
友希那は朝が苦手だ。
窓から差し込む眩しすぎる光に目が耐えられない。
でも、同時に朝が好きだったりする。
明るくて、楽しい気持ちになるから。
制服に着替え、リビングに降りた。
朝食のトーストと目玉焼きを食べ、洗顔と歯磨きを済ますと、
花羽学園2年生、湊 友希那の出来上がりだ。
友希那の家は父子家庭だ。
父親は朝から働いているので、友希那はいつも1人で朝食を食べる。
料理は苦手だが、トーストと目玉焼きくらいは作れる。
…たまに失敗するが。
学校にはいつもリサと登校している。
これは、幼稚園の頃から変わっていない。
今年はクラスが離れてしまったので、少し悲しい。
花羽のクラス分けは少し特殊だ。
ざっくり言うと、
A組は個性の強い生徒が所属する。
天才や問題児や変わり者、何らかに特化した者などだ。
スポーツ推薦者などもここに入る。
B組はA組程ではないが態度的に優秀とは言えない生徒が集まっている。
友希那はここに所属している。
友希那が優秀で無いと言うわけでは無い。
…多分。
C組は優等生の集まりだ。
態度的にも、成績的にも。
成績的で言えば個々の能力はA組の方が優秀なのだが、態度的には圧倒的にC組が優勢だ。
これは教師によって分けられるので、生徒の意見は受け入れられない。
まぁ、私立の中高一貫校なので、しばらく居れば慣れる。
家の外に出ると、そこには既にリサが居た。
「遅れてごめんなさい。」
「別に遅れてないよ〜。アタシが早かっただけ☆」
ちなみに彼女はA組だ。
見た目がギャルなので、風紀委員によく補導されている。
でもギャルなのは見た目だけで中身は凄くいい人だ。
「ん? どうしたの、友希那?」
「いいえ、なんでも無いわ。少し考え事をして居ただけよ。」
「ふ〜ん。」
「まって、やっぱりなんでもなく無いわ。」
すっかり忘れて居た。
部長としてあるまじき行為だ。
「何々? 何の話?」
「リサ、吹奏楽部に入ってくれない?」
「え? アタシ?」
やっぱり入ってくれないのか。
リサなら入ってくれると思ったのだが…。
自然と表情が暗くなった。
「ちょ、ちょっと待って!
アタシ、ベースとピアノはちょっとやってたから楽譜は読めるけど、吹奏楽器何もできないよ!」
「ええ。知ってるわ。でも、どうしてもリサの力が必要なの。」
吹奏楽は、1人多いだけで音の厚みが凄く変わる。
一人一人が最重要人物となるのだ。
「え、えぇ…。そんなに言われたら、入ろうかな。最近する事なくて暇だったし。」
「本当?」
「うん☆ 初心者だけど、大丈夫かな。」
「もうすぐ1年生も入ってくる予定だから大丈夫よ。」
本当に入ってくれるかどうかは分からないのだが…。
こちらの2年勧誘大作戦は大成功だ。
きっと向こうも成功している事だろう。
…成功して居ますように。