早いもので、もう部活動体験期間が終わった。
別に期間外でも入部、退部は自由なのだが、新入生の入部希望率は圧倒的に期間内が多い。
集まった入部希望用紙を見て、友希那はほくそ笑む。
思ったより多く集まった。
今年の子達はキャラが濃さそうだ。
茶髪の子と金髪の子のコンビの子や5人組の子の後に、
訳の分からない事ばかり言う長身の美少女。
パン屋の娘らしい子と大人しそうな女の子。
背の高いハーフだと言う子やテンションの高い2人とそれを抑える子の3人組。
中等部の子が土下座をして部に入れてくれと懇願しに来たのには驚いた。
無論、許可したのだが。
花羽は中高一貫校なので、中学と高校が一体になっている部も多い。
しかし、吹奏楽部は特例で、中学は『ブラスバンド部』、高校は『吹奏楽部』と
中高で別れている。
別に中学生が吹奏楽部に入っても構わないのだが、そんな子は殆どいない。
中学生から吹奏楽部に入ろうとするなんて、将来有望だ。
今日は1年生の初めての活動日だ。
今日は楽器紹介の後、楽器を決める。
金管楽器が欲しいところだ。
クラリネットも必要。
サックスもいるだろう。
あと、オーボエも欲しい。
オーボエが1番危うい。
…まあ、何とかなるだろう。
友希那が考えを巡らせて居る内に、部員が全員揃ったようだ。
人口密度が尋常じゃない程低かった音楽室も、幾分かマシになった。
友希那は壇上に立つ。
「では、ミーティングを始めます。」
「はい!」
部員の目が自分に集まったのを確認する。
この動作にも大分慣れた。
「今年の入部者の数は、15人です。」
2年に比べれば結構な人数だ。
「今日は楽器紹介と担当楽器の決定をします。
…クラリネット。」
「はい!」
ピッコロなどの担当者がもう決まっている楽器は紹介しない事になっている。
楽器は基本的にパートリーダーが紹介するが、担当者がいない場合は他の楽器の担当者が紹介する。
「クラリネットは木管楽器の中のリード楽器です!
柔らかい音が特徴…なのかな?
まあ、個人的にはクラリネットの音、大好きなので、希望してくれると嬉しいです☆」
クラリネットは今はリサ1人だ。
あと2人は欲しい。
「テナーサックス。」
人数的にアルトサックス2人は無理だと判断したので、サックスパートはテナーサックスのみとなった。
紹介は紗夜が担当する。
「テナーサックスは中低音を担当する楽器です。
メロディーも裏メロも伴奏も出来る、お得な楽器だと思います。
表現法も豊かなので、吹いていて楽しい楽器です。」
流石紗夜だ。
完璧な紹介文。
次は、オーボエ。
今オーボエ奏者は居ないので、部長である私が紹介する。
「オーボエは、世界で1番難しい木管楽器として、ギネスブックに登録されています。
ダブルリードの楽器で、見た目はクラリネットに似ていますが、全然違います。
音色は、神秘的で、美しいです。希望してくれると嬉しいです。」
…その後も続々と楽器紹介は進んでいき、パーカッションの紹介へと移った。
「えっと、パーカッションって言うのは、簡単に言うと打楽器の事です。
ドラムとか、シロフォンとかティンパニもここに分類されます。
みなさんが知っているものだと、マラカスとかタンバリンとかっすかね。
2人くらいは欲しいですね。」
麻弥はスタジオミュージシャンをしているので楽器にも詳しい。
友希那は未だにシロフォンとかビブラフォンとかマリンバとかの違いがわからない。
昔から、パーカッション奏者はよく全部名前を覚えて全部演りこなせるなぁと思っていた。
器用な子が向いているのだろうか。
…友希那には無理だ。