ブルーム・エール!   作:コリーヌ

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4月18日〜楽器体験〜

全ての楽器紹介が終わり、担当楽器決めに移った。

 

まず、1人ずつ希望楽器を吹いていき、希望者の数により、小規模なオーディションを行う。

 

各楽器ごとに1,2人が付く事になっている。

 

友希那はオーボエ担当だ。

 

トランペットやトロンボーンも順調に集まっているようで安心した。

 

 

「あの…。」

 

 

「何かしら。」

 

 

あの赤メッシュの子だ。

 

確か、蘭と言ったか。

 

 

「オーボエ希望で…。」

 

 

オーボエ希望者は初めて見た。

 

オーボエは良い楽器なのだが、いかんせん知名度がない。

 

中高と吹奏楽部に入っている友希那も、第1希望者は初めてだ。

 

 

「なんでオーボエ希望なの?」

 

 

そんな事聞かれると思っていなかったのか、彼女は少し驚いた表情を見せた。

 

 

「難しいとおっしゃってたからです。

 

簡単よりも難しい方が燃えるでしょう?」

 

 

…とんでもない子が来てしまった。

 

 

「では、1度リードだけで吹いて見ましょうか。」

 

 

オーボエはダブルリードの楽器だ。

 

クラリネットなどと違い、音を出すにはリードが2枚必要。

 

1枚で3000円程で購入後も微妙な調整が必要なので、オーボエはお金がかかる。

 

 

「今回のリードは学校の備品を使うけれど、オーボエ担当になったら自分でリードを買ってもらうわ。

 

高いから割らないようにね。」

 

 

すると蘭はリードをしげしげと眺めた。

 

 

「わかりました。」

 

 

そして、息を目一杯吸い込み、思いっきり吹く。

 

 

 

……!

 

初めてでこんなに音が出るものなのか。

 

 

「あの、先輩?」

 

 

「え、ええ。じゃあ、楽器に付けて見ましょうか。」

 

 

蘭からリードを受け取り、本体に取り付ける。

 

友希那はオーボエを吹いたことは無いが、運指や吹き方は知っている。

 

去年もダブルリードとはパート練の場所が一緒だったのだ。

 

 

「これがB♭。チューニングの音よ。」

 

 

蘭が楽器に息を吹き込む。

 

…吸い込まれそうな音色だ。

 

初めてだからかどこかたどたどしさはあるものの、惹かれる音がする。

 

 

「…これがC。ピアノで言う『ド』の音よ。」

 

 

〜♪

 

本当に綺麗な音色だ。

 

彼女には才能がある。

 

友希那は確信した。

 

 

「合格よ。貴女はオーボエ担当ね。」

 

 

「あ、えっと、有難うございます。」

 

 

彼女も少しテンションが上がっているのだろうか。

 

頬が桃色に染まっている。

 

…よく見ると、とても美人だ。

 

 

烏の濡れ羽色の細い髪。

 

繊細そうな白い肌。

 

儚さと情熱を兼ね揃えた柘榴色の瞳。

 

目鼻立ちの整った顔。

 

 

オーボエという楽器を体現したような子だ。

 

…思い込みすぎだろうか。

 

 

じっと見つめていると、蘭が首を傾げた。

 

 

「どうしたんですか? …先輩。」

 

 

「友希那よ。湊 友希那。友希那でいいわ。」

 

 

「友希那先輩ですね。あたしも蘭でいいですよ。」

 

 

では、遠慮なく呼ばせてもらおう。

 

我がフルートパート唯一の1年生だ。

 

親睦を深めた方がいいだろう。

 

 

「友希那先輩はオーボエなんですか?」

 

 

どうやら勘違いさせてしまったようだ。

 

入部したばかりなので、まだ全員の名前と楽器を覚えられていないのだろう。

 

 

「いいえ。私はフルート担当よ。」

 

 

「…ぽいです。」

 

 

「あら? そうかしら。」

 

 

2人見つめ合い、クスリと笑い合う。

 

 

 

蘭とは、いい関係が築けそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

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