微動だにせずに鎮座する電池二つ。
固まる僕と園崎。
この静寂を破ったのは、
『うわ今月電気料金たかっ!』
『それは今真っ先に言うべきことかい!?』
僕だった。というかそれほど使った覚えがないのにどうしてだ…?先月までの使用量なら下手したら半年過ごせる金額だぞ、これ。
『ど、どうして増えたとか、心当たりはないのかい?』
ふむ。僕は電池に何かしただろうか。記憶の糸をたぐって、たぐって、たぐって……。
『あ。』
『何かあるのかい?』
食い気味に尋ねてくる園崎に、指で電池の下の方を示す。
『そこみて。』
園崎は言われた通りに屈んで電池の下の方を見つめる。
『これは……ケーブル?一体どこにつながって…』
ケーブルを目で追って行く園崎。その先には、
『昨日の夜さ、見つけたんだよ。だからとりあえずコンセントにさしといた。』
『なんでそんなことしたんだい!?』
園崎が僕に詰め寄ってくる。
『いやなんかさ、あったら、さすでしょ?』
『もうボクには君がわからないよ……』
ふっわからんだろうなこの浪漫は。ケーブルといばコンセント。コンセントといえばケーブルだろ………
ん?コンセント?
コンセント、電気、使用、使用量、料金……。
『てめえのせいかあああ!!!』
『それは君の自業自得だろうに…』
そりゃ電気食うわなだって二つに増えてんだもん!というかいったいどういう仕組みで二つに増えたんだ、質量保存の法則って知らないのかこいつは。いや僕もよくは知らんけど。
『…気を取り直して、まずは調査してみよう。君の言った通り見た限りだと金属製に見えるね。』
『あと思ったより軽いぞこれ。』
『そうなのかい?』
『布団敷く時とかその辺にどかしてるし。』
部屋の真ん中にあるから邪魔でしょうがないのだ。なので毎晩動かしている。
『多分人一人より少し重いってくらいじゃないか?』
『なら、この中身は空洞だと見るべきだね。もちろん、とてつもなく軽い未知の金属で出来ている可能性も否定はできないけど…。』
『いや、実は中には故郷の星で起こった戦争から命からがら逃げ出してきたロリ宇宙人が二人ほど入っている可能性もある。』
『君ってばロリコンさんだったのかい?』
『いや特に。』
『じゃあどうしてそんな歪みきった予想を立てるんだい…』
そっちの方が面白いじゃん。これでまた中から大家でも出てこようものなら今度こそ奴の息の根を止める自信があるね。
フラグじゃないよな……?
『ふむ、たいして分かったこともないな……。でもこのままじゃ……、うん、よし、決めたぞ。』
少しの間俯いて逡巡した後、園崎は弾かれたように顔を上げ、
『ボクも今日からこの部屋に住まわせてもらう!』
突然の同棲宣言をしたのだった。
『よろしく!』
『いや即決かい!?』
突然の同棲宣言をした
迷走してますね。