ぬいぐるみ
私は今日、お母さんに買い物を頼まれて妹のるーちゃんと一緒にショッピングモールへと買い物に来ていた。
「るーちゃん、お買い物の紙見せてくれる?」
お母さんが、るーちゃんに買うものをリストにした紙を渡しておいたはずなので、あるかどうかを確かめるためにも聞いた。
「うん、りーねー。ちゃんともってるよ。」
そう言って、渡されたであろう紙をヒラヒラと持って歩く。
「それじゃあ、早めに買っちゃいましょうか。それに手伝ってくれたらるーちゃんにお菓子買ってきてもいいって言われてるからね。」
お菓子を買ってもらえるという言葉に反応したのか、るーちゃんはやる気に満ちていた。
「うん!早く行こう、りーねー!」
ーーそれから1時間ほど経った頃ーー
「こんなものかしらね。」
買い物を終えた2人は家へと帰るために、入ってきたショッピングモールの玄関口に向かっていた。
突然、るーちゃんがあるお店の前で足を止めた。悠里の服の裾を引っ張り、悠里を止めた。
「ねぇねぇ、りーねー、このぬいぐるみ欲しい……。」
るーちゃんは、ショッピングモールに入っていた、おもちゃ屋の前で足を止めていた。
そこには、クマの顔に立派なヒゲが生えたようなぬいぐるみが置かれていた。
「そうね……。」
(このぬいぐるみを買ってあげたいけど……)
悠里は、ぬいぐるみを手に取り足に付いていた値段のタグを見た。
そこには、2,000円(税込)と書かれていた。
(やっぱり高い……。ここは我慢してもらおうかしらね。お母さんからは余分なお金を貰ってないし……。)
そう思い、悠里は意を決しるーちゃんに言い聞かせるように話した。
「るーちゃん、このぬいぐるみは買ってあげられないの。さっき買ったお菓子で我慢できないの…?」
その言葉にるーちゃんはふるふると首を振って否定した。
「ヤダよ!このぬいぐるみが欲しいんだもん!」
どうしても、このぬいぐるみを欲しいようで珍しく、悠里に反発していた。
「ぬいぐるみ買ってくれないならりーねーのことなんか嫌い!」
そう言って、るーちゃんが駆け出してしまった。そのままショッピングモールのどこかに走り去ってしまった。
「るーちゃん、どこ行くの!」
悠里が声を掛けても聞く耳を持たなかったようでるーちゃんの姿は見えない。
るーちゃんが居なくなり、1人になった悠里はショッピングモールのどこかに行ってしまったるーちゃんを探すために追いかけようと思ったが、思い直し、ある物を買ってから走り出した。
(もう!りーねー嫌い!ぬいぐるみ買って欲しいのに…)
そんな事を思いながら、るーちゃんは1人ショッピングモールの中を走っていた。いろんなところを巡り、るーちゃんは自分がどこにいるのか、分からなくなってしまった。
「ここ………どこ?」
1人つぶやく。
しかし、周りにはるーちゃんの知らない人たちばかりが通り過ぎて行く。
1人で悠里の元を離れてしまい、急にるーちゃんは心細くなってしまい、終いには泣き出してしまった。
「ううっ、グスッ、りーねーどこ?怖いよ、りーねー、助けてよ……。」
1人立ちすくみ涙を拭いながら自分の1番好きな姉の名前を呼ぶ。
「わ、わたし、もうワガママ言わないから、りーねー、会いたいよ、グスンッ。」
すると、るーちゃんの前にあの欲しがってたぬいぐるみが現れた。
「もう、るーちゃん心配させないで!」
悠里が、ぬいぐるみを買って手に持ち、るーちゃんを探してついに見つけたのだった。
あまりの嬉しさにるーちゃんは悠里に飛び込んだ。
「りーねー、会いたかったよ!ごめんなさい、わたしが勝手に走り出して………」
涙をぼろぼろとこぼしながら悠里に抱きついていた。
今は、ぬいぐるみよりもりーねーと会えたことが嬉しい
そう、るーちゃんは呟いた。
もう、心配本当にしたんだから。そう答えながら私はるーちゃんを抱きしめていた。
「その日からるーちゃんはそのぬいぐるみを大切にしていたわ。」
そう、悠里先輩は目の前のクマのぬいぐるみに話しかけていた。
今は、聖イシドロス大学に向けて学園生活部でキャンピングカーに乗っていた。
ある日、鞣河小学校に近くに来た時に悠里先輩が1人突然車から出て戻って来ていた。
鞣河小学校から、助けてきたというクマのぬいぐるみを抱えていた悠里先輩はそれをまるで人の様に認識しているようだった。
由紀先輩は、その子がいるように話し掛け、胡桃先輩はぬいぐるみを撫でて話を合わせていた。
でも、私にはただのクマのぬいぐるみにしか見えない。
「それでね、あなたのことは、るーちゃんって呼んでもいいかしら?」
「・・・」
ぬいぐるみは答えない。
悠里先輩が1人納得したように頷き話しかけた。
「そう、じゃあこれからはるーちゃんって呼ぶわね。」
その言葉に、クマのぬいぐるみは答えない。
いかがでしたでしょうか?
やっぱり、みーくんの視点に戻ります。
最後をなかなかいいラストになったのではないのでしょうか?
それでは、謝辞を。
ここまで読んでくださったあなたにとっておきの感謝を。
この話の元を考えてくださった小松菜さん、ありがとうございました!
それでは、またいつかお会いしましょう。