絶望鬼ごっこパロディ(アーカイブ)   作:絶望鬼ごっこパロディアーカイブ

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人情紙袋メカニカル・アニマルズ

「私は、『子』の役だけど、『鬼』なんです。」

 

時刻01:02、座標E-05。森の中の木の上。名波翠は生き残るため、口から出まかせの嘘をついた。

 

そう言われた男……吸血鬼ヤン・バレンタインは、「何いってんのこいつ」って表情だ。翠も「何いってんのウチ」って表情だ。

 

状況を整理しよう。

ヤンは雲雀&夜叉猿Jr.から逃走した後、なんだかんだで稗田・中沢・翠と合流。親を装って近づき、情報をある程度交換した。

彼らは地図情報を西の廃ホテルで少し把握しており、神塚山の山頂から島の反対側のどこかを目指そうとしていた。

その山頂にこそ鬼の本部があり、ヤンも当初そこを目指していたのだが、合流前に支給品として巨大ロボが出て来たことで状況が変わった。

これを置いていくのはもったいない。こいつを操れるやつがいないかと、ヤンは思ったのだ。これを動かせたら無敵ではないか。その程度の理由だ。

 

だが、翠にテレパシーで心を読まれかけたため、ヤンは吸血鬼の身体能力で彼女を攫い、音もなく近くの木の上に跳び上がった。

木の下、見えない位置に中沢と稗田がいる。稗田はヤンと、心を読もうとした翠を訝しんでいる。翠はヤンに縊り殺されそうになったが、生き残るため「自分は鬼だ」と嘘をついた。

ヤンは翠の首を掴んだまま、鬼用のスマホを開いてグループトーク・アプリを確認し、十二人の鬼の中に名波翠の名も顔写真もないことを知った。

雲雀や夜叉猿Jr.もいなかったが、それはどうでもよくなった。翠は、ヤンが他の鬼の名や姿を把握しているだろうと推測し(それは実際正しいが)―――冒頭の台詞を吐いた。

そういう状況だ。

 

「…………」

 

ヤンは考える。子の役で、鬼。つまり、鬼のような能力を持った子だ。子に違いはない。十二人の鬼ではないのだから。

確か子や親には超常能力を持った奴らはいないってルールだった気もするが、主催者側の気まぐれとか「面白そうだから」とかそんな理由で、そういう奴も参加してるんだろう。

ああそうか、あのトンファーのガキや大猿が鬼のリストにいないってことは、そういうことか。ああいう子や親もいる、ってだけだ。

ヤンは足りない頭なりの理解力で理解し、翠を「利用価値のある『子』」だと考えた。首を絞める手を、緩める。

 

 

「……じゃあ、まあ、生かしておいてやるぜ。有り難く思えや。俺の言うことなんでも聞かなきゃあ、すぐブッ殺すがよ」

「あ、ありがとうございます。ゲホッ」

 

翠は安堵し、涙目で息をつく。何故か不明だが、殺されずに済んだ。とりあえずは。

だが。言うことをなんでも聞かなければ、殺すと言われた。どうする。たとえば、このいたいけな乙女の肉体を要求されたら。

舌噛んで死ぬか。いや、『お守り』というのがあった。鬼に当てると鬼が死ぬとかいうやつ。この状況では、どれだけ近づいていても命中はすまい。

怪しい動きをしたら今度こそ殺される。相手は鬼だ。中沢も稗田もただの人間、瞬く間に殺されるだろう。

 

「じゃあ、要求だ。あのロボットを動かしてみろ。出来なきゃ、動かせるやつを探せ。なるべく急いでだ」

「え」

「あのおっさんとガキは……まあ、どうでもいい。おめーに超能力があるなら、なんとかできンだろ。どうにかしろ。しねーと殺す」

「え」

 

 

物音に稗田が振り向くと、ヤンと翠がいた。翠はやや青褪めた顔をし、首の周りを爪で掻いている。

「どうした」

「……ちょっと、虫に刺されて」

別にヤンにキスされたわけでも、血を吸われたわけでもない。首を絞められた跡を見咎められてはまずいと双方が思ったからだ。

ヤンはヘラヘラしながら、稗田に話しかける。

 

「えーと、ヒエダさん、だっけ。この子がさァ、この巨大ロボに乗ってみたーいんだってさ」

「……ほう」

稗田は眉根を寄せる。彼は自分の心を読もうとした翠を、半ば『鬼』ではないかと疑っている。中沢は自分の意見がないのでまごまごしている。

「どう思う、中沢くん」

「え。……乗るって、上に? それとも、コックピットに? まさか、動かせるわけじゃないです……よね」

「どうだろうな。アニメに出て来るような代物だが、本物の物質だ。操縦席に入れば何かわかるかもしれん。本当に動かせたら、鬼にも対抗できるかもな」

 

翠は……脂汗を垂らし、目をぐるぐるさせている。動かせるのか? 動かせなくても、動かせるやつが都合よくこの島にいるのだろうか?

こんなもんを支給品にするぐらいだから、吸血鬼やなんやらがいるぐらいだから、一人ぐらいいるかもしれない。もし、それが自分だったら?

これを動かして、うまいことやれば、ヤンが外にいればぺちゃんこに踏み潰せるだろう。外にいれば。当然こいつはコックピットに入る気だ。心を読まなくてもわかる。

 

「よォし、善は急げ! お嬢ちゃん、やってみな!」

 

ヤンが手を叩き、翠を急かす。翠は呆然と、赤いロボットに触れる。まず、コックピットはどこか。

物へのサイコメトリーは、よほどのもので無ければ、つい数分前の強い感情のものぐらいしか読み取れないが……。

 

 

【AMX-004-3 キュベレイMk-2。プルツー専用機。カラーリングは赤。ヘッドセット型サイコミュ・コントローラーを通じて、外部からの遠隔無人機体制御が可能な改良型。】

 

すらすらと頭の中にメッセージが流れ込んできた。あり得ない。まさか、説明書が読み取れるとは。

サイコミュとは。サイコ・コミュニケーター。精神感応による伝達。そんなものはないはずだ。自分にもそれほどの力は。

 

同時刻。島の北西部で―――少女、プルツーが顔をしかめ、頭をおさえた。何かが起きようとしている。

 

 

 

【E-05/01時12分】

 

【名波翠@テレパシー少女蘭】

[役]:子

[状態]:疲労(小)、キングとヤンへの恐怖

[装備]:『お守り』

[道具]:

[思考・行動]

基本方針:こんなアホなことをしでかした奴に一発焼き入れて帰る。

1:アカン口からデマカセ言うたけどこれどないして信じさせたらええねん。

2:巨大ロボを操縦なんてできるかアホ! …あれ、なんやこれ。

※その他

各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。自分の役を子と推測。テレパシーなどの超能力が使えるが、普段よりは疲れやすい。

 

【ヤン・バレンタイン@HELLSING】

[役]:鬼

[状態]:健康

[装備]:FN P90 短機関銃 2挺 サプレッサー&スコープつき(弾丸を多少消費)、スマホ(鬼)、五千万円@ランナウェイ、キュベレイMk-2@機動戦士ガンダムZZ

[道具]:四次元っぽい紙袋

[思考・行動]

基本方針:殺し、犯し、食らう

1:トンファー使いの少年と大猿を「鬼を襲う狂った鬼」と認識。一旦撤退し、本部や他の鬼へ連絡に行く。のはまあ、後回し。

2:翠は生かしておいて利用してみる。

3:巨大ロボを翠が動かせるか興味津々。できなきゃできるやつを探させ、無理だっつうんなら皆殺し。

※その他

生きている人間の血を吸って殺すと、知能のないゾンビのような食屍鬼(グール)に変えてしまう。

 

※E-05にて1時数分前にキュベレイMk-2が出現し木々を押し倒しました。周囲に音が響きました。

 

 

※ヤンはトンファー使いの少年と大猿を「鬼っぽいが子や親だろう」と推測しました。

 

【稗田礼二郎@妖怪ハンター】

[役]:親

[状態]:やや疲労

[装備]:スリケン@ニンジャスレイヤー、ジャイロの鉄球@SBR

[道具]:デイパック

[思考・行動]

基本方針:生き残り、現世へ帰還する。

1:ロボットに興味。一度四人でしっかり情報共有をしたい。

2:中沢くんは信頼するが、名波くんとヤンは警戒。

※その他

自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。

 

【中沢@魔法少女まどか☆マギカ】

[役]:子

[状態]:健康

[装備]:『お守り』

[道具]:学生鞄(中身は教科書とかノートとか筆記用具とか)

[思考・行動]

基本方針:とりあえず人を探す。知り合いがいたら合流したい。

1:稗田さんに着いていく。名波さんを守れたら守れたらいいかも知れない。

2:ヤンさんがちょっと怖い。銃持ってるし。

※その他

各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。自分の役を子と推測。

 

 

 

 

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