絶望鬼ごっこパロディ(アーカイブ)   作:絶望鬼ごっこパロディアーカイブ

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学校を出よう!

座標D-06、鎌石小中学校。

ここに子が二人、親が二人、鬼が一人いる。ただし、子はふたりとも「レギュレーション違反者」だ。

『間田敏和』は、年齢が16歳以上であるため。『ジャック・ザ・リッパー』は……強すぎるため。

 

主催者側が何を考えてこの二人を会場に呼び寄せたのか。それは不明だ。当の主催者側の鬼たちさえも。

とにかく、そうであるからには始末せねばならない。『牛頭鬼』はそのために派遣された。通信機に馬頭鬼からの情報が入る。

 

『鬼があの学校にひとりいる。ペニーワイズだ』

「つってもな……あからさまに鬼の手助けするのも、どうよ。つーか、俺が行っても大丈夫か?」

『同じ鬼で、知性と理性はある。さっきのギーグみてえにこっちを襲ったりはしないはずだ。たぶん』

「たぶん、か。……しばらく外で様子見したがよさそうだな」

 

そう言って牛頭鬼が観察していると、校庭から奇妙な霧が立ち込め始めた……。

 

 

「……なんか、やな気配がしますね」

「ああ……ヤバいやつが……たぶん、鬼が来てる、な……」

 

ヒデノリと間田は、冷気を、鳥肌が立つのを感じた。常人より少しは勘が鋭い二人だ。危険の接近を感じるのも早い。

「どうします。逃げますか」

「そうだな。罠がどれだけ通じるか……足止めぐれーにゃあなるかもな……」

 

脱出経路は当然準備してある。窓からロープを垂らせば、すぐにも脱出できる。

拠点をいきなり捨てることになるが、これは鬼ごっこだ。危険な鬼が相手なら、固執せずに逃げるが勝ちだ。

他の親や子と合流した方がいい。木製人形をコンパクトにまとめ、最低限の必要物資をデイパック等に詰め込む。

 

「……ん」

 

間田の手が震え、持ったものがポトリと落ちる。なにかおかしい。ヒデノリも気づく。

 

 

「なんか……空気が淀んでる、感じが……換気を……?」

「いや、窓は開いてる……室内の空気が悪いとかじゃあない……これ……は!」

 

外からだ。外から有毒のガスが漂ってきている! 二人は即座に口と鼻を抑え、カーテン布でマスクをし、荷物を背負って窓の外へ!

 

 

「子より少し大きいな。親か……? あの子鬼のせいで勘違いしたのか……?」

 

ペニーワイズは少し失望しながら、獲物を狙い、学校の水道管を縦横無尽に駆け巡る。

気配を感知する。別の鬼が一、親が……三。校舎の外、別の鬼の近くに親が一。校舎内に、二。狙うならこちらだ。

だが……見当をつけて飛び出した先に、標的は既にいなかった。窓にロープ。別の鬼の接近に気づいて逃げたか。

 

ふと、気づく。妙なにおいが漂っている。霧だ。窓の外……校舎の外からじわじわと広がってくる。

別の鬼のしわざか。いちいち余計なことを。鬼同士で殺し合ってもしょうがないが、一言文句でもつけてやるか。

そう思い、霧の出処、その鬼のいる方へ目を向ける。そいつといた別の親は、もう殺されただろうか。

 

「……なんだ、あれは?」

 

 

「るーちゃん」が周囲を警戒している。ならば、私はこの子を守らねばならない。

若狭悠里はそう判断し、先程のようにカードケースを水たまりに掲げ、『変身』と叫ぶ。

瞬時に彼女の体を緑色の戦闘服が包む。戦車をイメージさせる装甲、肩のランプ。右腰には銃。

 

彼女に与えられた支給品は、「仮面ライダーゾルダ」のカードデッキだ。

常人に恐るべき戦闘力を与え、鏡面から契約したミラーモンスター『マグナギガ』を召喚することもできる。

ここで呼んでもいいし、学校にはいくつか鏡もあるだろう。るーちゃんと協力して鬼を倒す。可能だ。私たちなら!

 

 

 

「ゲホッ、ゲホッ……フーッ、危なかった……」

「まさか、毒ガス使うとは思わなかったッスね……」

 

座標C-06、観音堂付近。二人は深呼吸し、新鮮な空気を肺に満たす。火をかける程度は予想していたが、ある意味それよりヤバい。

やはり、籠城は危険だ。鬼ごっこというからには、身軽になって逃げ回らねばならないようだ。

鬼を迎撃して殺せるようなやつがいれば話は別だが、現状ではどうしようもない。

 

「どうします、これから」

「他の親や子と合流する、ってのが一番だろーな。仲間を探そう。いざとなりゃあ、そいつらを囮にして逃げる」

「いや倫理的にどうかとは思いますけど、生き残るなら……個人的には子を守りたいんですがね」

「じゃあ普通にオレを守ってくれよ。確か、親が勝つには子の方が……あっ」

「?」

「い、いや、なんでもない。とにかく頼むぜ、ヒデノリくん」

 

間田はようやく気がついた。親が勝つ、イコール、子が負ける。自分がマジで子なら、親が勝てば自分は帰れない。

子が親より多ければ、子は勝つために何人か間引かねばならない。逆に親は、子をより多く生かさねばならない。

敵は鬼だけじゃあない、『お互い』もだ。これはただの鬼ごっこじゃあないのだ。背筋が寒くなる。気づかれないようにせねば。

 

ヒデノリと間田は、道と民家と標識を辿り、学校から北西……鎌石村へ向かう。幸い牛頭鬼は学校の方へ注目していた。

 

 

【D-06(鎌石小中学校)/01時16分】

 

【鬼(校舎内)】

【ペニーワイズ@IT/イット “それ”が 見えたら、終わり。】

[役]:鬼

[状態]:ダメージ(中)、ペニーワイズの姿で行動中、川尻早人への怒りと恐怖

[装備]:

[道具]:四次元っぽい紙袋(不明支給品3つ)

[思考・行動]

基本方針:恐怖させ、喰らう

1:喰いやすそうな獲物を狙う。手頃な相手は幻術で追い詰める。

2:なんだ、あいつらは?

※その他

下水道で繋がっている場所なら何処からでも出現できます。

川尻早人の最も恐怖するもの(川尻しのぶの死)を把握しました。

同類(ジャック・ザ・リッパー)の気配を感じました。鬼だと誤認しています。

 

 

【チーム・りーねえ&るーちゃん】

 

【ジャック・ザ・リッパー@Fateシリーズ】

[役]:子

[状態]:健康、魔力消費(小)

[装備]:ボロボロのコート、ナイフ数本

[道具]:ランタン、不明支給品(式札か水晶、ベルトポーチの中)

[思考・行動]

基本方針:りーねえ以外は全員解体する。

1:美味しい魂の持ち主がいたら食べる。

2:りーねえ(若狭悠里)についていく。

3:こいつ(ペニーワイズ)は敵だ。ここで始末する。

※その他

自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。自分の役を鬼だと思っている。

霊体化、及び神秘を纏っていない攻撃の無効化は制限されています。レギュレーション違反っぽいため、牛頭鬼が始末に来るかもしれません。

気配遮断、霧夜の殺人(夜間のみ先制攻撃)、情報抹消(目撃者の記憶を消す)、精神汚染(精神干渉魔術を遮断)、外科手術のスキルを持ちます。

弱体化の程度は不明。ここが地獄であるためか魔力はそれほど消費しませんが、大規模な術の行使には魂喰いなどを必要とするでしょう。

 

同類(ペニーワイズ)の気配を感じ、敵と認識しました。恐怖を感じなさそうですが。

ランタンから宝具『暗黒霧都(ザ・ミスト)』を周囲数メートルに展開しました。幻惑等の効果を持ち、吸い込むと常人なら数分で死にます。

標的を選んだり外したりすることも可能で、りーねえには効果を及ぼしません。風が強ければ吹き流されます。

 

【若狭悠里@がっこうぐらし!】

[役]:親

[状態]:健康、精神錯乱気味、ゾルダに変身中

[装備]:ゾルダのカードデッキ@仮面ライダー龍騎

[道具]:チョコレート×10

[思考・行動]

1:るーちゃん(ジャック)を守り抜く。

※その他

自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。

精神が錯乱してジャックをるーちゃん(妹)だと思っています。

 

 

【チーム・根暗&メガネ】

【C-06(観音堂付近)/01時16分】

 

【ヒデノリ@男子高校生の日常】

[役]:親

[状態]:健康

[装備]:真田北高制服(ブレザーの冬服、上着なし)、鉈@ひぐらしのなく頃に、フライパン(民家から拝借)

[道具]:デイパック(中身は医薬品少々、うまい棒@支給品、発煙筒など)

[思考・行動]

基本方針:生き残り、現世へ帰還する。

1:学校から離れ、鎌石村へ向かう。

※その他

自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。親が帰還するためには「子を減らす」必要がある可能性には気づいていない。

学校内部にいくつか罠を張りました。

 

【間田敏和@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない】

[役]:子

[状態]:健康

[装備]:即席の木製人形(背負っている)

[道具]:『サーフィス』(スタンド能力)、式札、学校から持ち出したいくつかの道具

[思考・行動]

基本方針:家に帰りたい。

1:学校から離れ、鎌石村へ向かう。

2:スタンド能力のことはとりあえず秘密。

※その他

各役の勝利条件・制限時間を把握。自分の役を子だと推測。「間引き」の必要性に気づきました。

実は16歳以上なので、レギュレーション違反に気づいた管理者から追手がかかっている。そのうち殺しに来るかも知れない。

 

 

投下終了です。ヤンほかで予約します。


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