絶望鬼ごっこパロディ(アーカイブ)   作:絶望鬼ごっこパロディアーカイブ

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未だ投稿システムを使いこなせない。


プリーシア・ディキアン・おっこfeat.たえちゃん

「……なんか静かですねぇ、ここの外にも誰もいないし……」

 

 さっきまでとは全然違う、って言おうとして、でもけっきょくあたしは言えなかった。だんだん大きくなっていく不安が、喉につっかえたみたいに感じて――

 

 関織子ことおっこは若おかみで小学生だ。おばあちゃんがおかみをやっている春の屋旅館で、毎日頑張っている。その日もお昼ごはんをおなかいっぱい食べたあと、紺の着物に着替えて表を掃除していた。いつもと違ったのは、普段は掃除をしない奥まった所までほうきで掃いていたことと、その最中に見知らぬ場所――この『鬼ごっこ』の舞台にいつの間にかいたこと、だ。

 鬼ごっこと言っても、おっこも金谷章吾という同い年の男の子に言われただけなので正直ピンと来ていない。章吾はこれが鬼ごっこだと言うと、どこかに行ってしまった。追いかけてみたものの見つけることはできず、入れ替わるようにして出会った『たえちゃん』という女の子と共に、章吾が帰ってくるのを待っていたのだが……

 

「1時、ですね……」

「……うん。」

 

 別れてから30分、章吾は1時には戻ってくると言っていたのだが、まだ帰ってきていなかった。彼が言うには何か危ないらしく、そんなことあるわけ無いと思いながらもだんだんとおっこは不安になってきていた。それに、これまでにほとんど誰とも会わなかったのも気になった。おっこはいつの間にか見たことのない建物にいたのだが、その建物には何人もの人がいた気配はあるのにぜんぜん人が見つからないどころか窓から見える外にも誰もいない。そして上を向くと、赤い空があった。雲かどうかもわからない黒い何かがところどころに浮かぶ、嫌な感じのする空。すごく嫌な予感がした。

 外に出て章吾を探しに行きたい気持ちと、中にいて章吾を待ちたい気持ち、両方がどんどん強くなっていく中で、壁にかけられた時計に遅れて手もとのスマートフォンでも1時をむかえた。

 

「あ、なんだろう。」

 

 約束の時間を過ぎてもなにをすべきかは定まらずましてや深夜らしい時刻といえどもまんじりともせず、ただスマホをチラチラと見ること一分ほど、変化は外部から訪れた。外部といってもスマホの画面にだ。おっこにもたえちゃんにもよくわからないが、トークアプリのようなものがなにか動いていた。見たところ、桜井リク、そして綾波レイというユーザー(?)がコメントしているようだ。つまりはこれは通信機能があるということであり――

 

「あの、たえちゃんさんってメールできませんか?」

「さ、触ったの今日が初めて……」

 

 この二人には能動的に行える手段は無かった。豚に真珠猫に小判、いっそ機械オンチ二人に支給されたスマホくんが可愛そうである。

 はぁ、と揃ってため息をついた。何かしないといけないとは思っている。しかしどちらの道を選べばいいのかがわからない。章吾を探しに行くのが正解か。しかしどこを探す?もしかしたら鬼に襲われて怪我をしているかもしれない。だったら自分も襲われたりそれで章吾の足を引っ張ったりするのでは?じゃあここで待つのが正解か。それは時間を無駄にすることになるんじゃ?それなら使えそうなものでも漁ろうか。でもそれはこの農協で働く人に迷惑をかけるのでは?

 ぐるぐると巡り廻る思考の中で、おっこの手は半ば無意識に帯に仕舞われた飴玉へと伸びた。たえちゃんにお裾分けして二人とコロコロと口の中で転がす。考え事をする時は五分間隔で甘い物を摘むおっこの脳は、これがないとまともに妙案を出してくれないのだ。

 口の中に広がる甘みと香りが脳をスッキリとさせるのを感じながら何度目かの黙考を継続する。そして飴がすっかり欠片になる頃になっておっこはすっくと立ち上がるとたえちゃんに向かって言った。

 

「たえちゃんさん、手伝ってもらえませんか?」

 

 

 

「――それで、親戚のおじさんの家に引き取られることになって。」

「じゃあ荷物とかも失くしちゃったてことですか?」

「あ、それは先に送ってたから……これはこっちだよね?」

 

 数十分後、二人は農協の屋上にいた。おっこのだした結論は「ここで警察とか消防の人が来るのを待つ」というものだった。一度行き違いを経験したことと章吾の警告、二つのことから学習しこの建物で人を待つことにしたのだ。スマホが使えないことも影響し、とりあえず自分たちにできることは何かと考えた結果、現在はそれぞれ親戚に引き取られた繋がりでエピソードトークをしながら、屋上にあったものを中心に使って『SOS』の文字を書いている。よく災害のときにあるアレ、それをなんとなく作っておけばヘリとかで探してくれてる人に見つかるかもしれない。

 

「おっこちゃんのお母さんは?」

「あー……あたしの両親はさっき言った交通事故で……あ!死んではないですよ!こないだも三人で温泉プリンっていうのを食べて――」

 

 話しながらだがおっこはテキパキと、たえちゃんもそんなおっこの見様見真似で、広くはないといえそこそこのスペースがある屋上に文字を作っていく。上から見たときのことを考えて文字を太くしていけば、次第に横からでも字として見えるようになっていった。この分ならあと少しだ。

 

「おっこちゃん、これが終わったらどうしよっか?」

「そうですね……食べ物とか探しましょうか。もしかしたら助けが来るまで二日三日かかるかもしれないですし。」

「それはやだなぁ。お風呂とかどうしよう。」

「あ、水道使えるのかな。電話と電気は使えなかったけど。あと甘い物もあるといいですよね。」

 

 まるでキャンプかなにかのような穏やかな空気すら流れる。鬼ごっこ開始から約百分、二人は未だなんら直接の危機に遭遇していない。それが幸か不幸かはわからないが、しかし、ただ一人そんな二人を憎々しく見る人物がいた。

 

 

 

(二十四時間しか時間がないのになに言ってるんだ……)

 

 農協に潜む草加雅人は苦い顔をしていた。てっきりどちらかはこの農協から外に出て人を探しに行くなりするかと思ったらまさかの籠城。こういうときはホラー映画でよくあるように無駄に危険な行動をするのではと予想していたのだが、想像以上に堅実な行動をとっていた。想定外である。おかげで出ていくタイミングを完全に失った。二人はときどき屋上から降りてきたりもするため気づかれずに出ていくことも難しい。そして何よりあの二人と関わることは「なにかマズイ」。あの二人からは名状し難い、知っているようで未知の違和感がある。

 

(まあ……目に入るところに『子』を二人置けたと考えればいいか。)

 

 フン、と音なく鼻を鳴らして草加雅人は一人強引に溜飲を下げた。この鬼ごっこ、ルールを考えれば『親』である自分が『子』を二人確保したと見ればそう悪い状況ではない。あの二人がまるでルールを理解していないようであるのは気にはなるが、しかし草加の勝利にとってはむしろ好都合。各役の人数は不明だが、自分が知る範囲で『子』>『親』≧『鬼』という構図にしておくのは勝利への基本であろう。タイムアップまでこの構図を維持し逃げ切る、それが重要だ――そういうルールである以上、何かしらの妨害は入るだろうが。

 

(『子』にとっては『親』も敵、襲われないとも限らないし。)

 

 部屋の奥で耳をそばだてながら草加は自分が動くタイミングについて考え始める。残り時間約1350分。この長丁場のどこで仕掛けるべきなのか。今からでも動き出し未知のリスクを覚悟で動くべきか。真理が巻き込まれている可能性を考えれば妥当な判断だ。しかしまるで土地勘もなければ地図もないことは考えなくてはならない。では出遅れるのは覚悟で今は休み後の先をとるか。鬼ごっこであることを考えれば、昼になる頃には参加者は軒並み疲れ果てているだろう。自分が『鬼』で他の『鬼』と連携がとれるのならば、三交代ないし四交代のローテーションで休み無く追い立てる。であれば休める内に休んでおくのも悪くはないが、その場合鬼ごっこの流れから取り残される恐れや真理に危害が加えられる可能性もある。判断は慎重にしなくてはならない。

 

 

 参加者の空白地帯と化したH-06、周囲にいた者は皆遠ざかっていき、三名を残して農協は陸の孤島となった。仮におっことたえちゃんが外に出たとしてもおそらく小一時間は誰とも会わなかっただろうが、動かないことを選んだことで更に長い間人と会わないかもしれない。惨劇の舞台に生じた奇妙な凪がいつまで続くのか、それを知る者がいるのかもわからずとにもかくにも時間は過ぎていく。

 

 

 

【H-06(農協)/01時31分】

 

【たえちゃん@コロちゃん】

[役]:子

[状態]:疲労(小)

[装備]:『スマートフォン(子)』

[道具]:『コロちゃん』

[思考・行動]

基本方針:家に帰りたい

1:おっこちゃんと一緒に農協で泊まる準備をしながら章吾くんの帰りを待つ。

※その他

自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。

参戦時期は引き取られる直前

 

【関織子@若おかみは小学生!】

[役]:子

[状態]:疲労(小)

[装備]:『スマートフォン(子)』

[道具]:紅水晶

[思考・行動]

基本方針:家に帰る。

1:たえちゃんさんと一緒に農協で泊まる準備をしながら章吾くんの帰りを待つ。

※その他

自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。

参戦時期は劇場版の夏前(原作の六巻開始前)です。以後原作で明示されなかった事柄は劇場版に準拠するものとします(例:おっこの生年。原作ではおそらく1991年、映画ではおそらく2006年)。

 

【草加雅人@仮面ライダー555】

[役]:親

[状態]:健康、たえちゃんへの嫌悪感(小)、おっこへの嫌悪感(微)

[装備]:日本刀@現実

[道具]:デイパック(確認済支給品1)

[思考・行動]

基本方針:真理が巻き込まれているかを確認し、いるならば保護する。

1:子供達の様子を見ながら周囲を警戒する。

2:このまま潜む?真理を探しに行く?それとも接触する?いっそ寝る?

※その他

自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。




いわゆる灯台組。
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