絶望鬼ごっこパロディ(アーカイブ)   作:絶望鬼ごっこパロディアーカイブ

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クロッキー人形って言われてもピンとこない人、私もです。


男子高校生の奇妙な非日常

タブレット端末をいじっていた鬼が、新たな連絡に眉をしかめる。

「……おい、まだなんかレギュレーション違反者がいるらしい」

「またかよ、めんどくせーな。どんな奴だ」

「名は……『間田敏和』。外見のせいか手違いで子として喚ばれたが、高校3年生……つまり明らかに16歳以上だ。

 スタンドって超能力を持ってるが、大したことはない。親ってことにするか、現世に還すか……ってことだが、まあ」

「想定外の事態は現場判断で処理、隠蔽だな。こうあんまりミスが多いと、担当者がケジメしねえとなあーっ」

 

名前と外見、簡単なプロフィールを確認する。黒髪で長髪の、いかにも根暗そうな少年だ。

「まあ大した奴じゃあねーし、後回しにしても問題ない。ヤバそうな奴からだ」

 

 

「ちっくしょお――ッ……だが『学校』へ行けば……あるかもなァ……『クロッキー人形』がよォー……!」

 

死にかけたコオロギのようにフラフラと、少年は道を進む。脂汗を流し、周囲をキョロキョロ見回しながら。

地図看板は乱暴に破壊されている。が、標識はある。近くに『学校』があることを知った少年は、彼方に見えて来た『鎌石小中学校』を目指す。

 

村の民家や書店、雑貨屋を漁ったが、『クロッキー人形』や『この場所の地図』は見当たらない。地図が簡単に手に入っては困るのだろう。田舎過ぎるのかマネキン人形もない。

ここが香川県の沖木島という、聞いたことのない島だとはわかった。しかし周囲の雰囲気は明らかにおかしい。現実なのに現実的でない。

東北地方のM県から瀬戸内海まで瞬時に飛ばされるというのも奇妙だ。新手のスタンド使いの攻撃か。もしくは、ここは『あの世』なのか。

 

鬼には出遭わないが、親や子との合流もできていない。何か霊的なパワーによって出会わないようにしているのでは、という妄想すら浮かんだ。

いや、冷静に考えれば、疑心暗鬼になった連中が『鬼』に掴まらないよう隠れ潜んで、準備を整えているってだけだろう。鬼の方もだ。

 

とにかく『クロッキー人形』さえあれば、自分のスタンド能力『サーフィス』が使える。単純に手駒が増やせる。

もしなくても、学校にはいろんな道具や書籍が揃っているはず。素材をかき集めて時間をかければ、人形が作れるはず。

襲撃されても隠れられるし、他の子や親も集まってくる可能性もある。ということは、鬼も来るかも知れないが。

 

それと、気になることがひとつ。いや幾つもあるが、とりあえずひとつ。

 

「今年は1999年だよな……なんで、ここの日付はどれも『21世紀』のなんだ?」

 

 

どうにか下痢が止まった。というか、腹の中のものを出し尽くして無理やり止まった。

あの妖怪め、今度見つけたら『上着返して下さい』と伝えよう。口頭は怖いから、置き手紙でもしよう。

公衆トイレを出て、こっそり民家に忍び込む。誰もいない。この非常時だ、やむを得ない。戸棚を探って薬を探す。

……よし、あった。下痢止め、胃腸薬、風邪薬。電気はつかないが、水道の蛇口を捻れば水は……出る。よし。

 

「ん?」

 

薬を飲み終えたところで、窓の外で何か動いたのに気づく。前の道路だ。誰か通ったのか。

静かに民家を出て、門柱からそっと覗く。……学ランを来た、小柄な長髪の男だ。何か、ブツブツ呟きながら歩いている。

危ない奴かも知れないが……味方は多いほうがいい。親か子か。鬼なら急いで逃げる。女性ならスカしたセリフでもかけるところだが。

とりあえず支給品の『鉈』を右手で持って、左手には厨房から拝借したフライパン。背後からそっと近づいて、と。

 

「おい! 親か子か、鬼か!」

 

 

「おい! 親か子か、鬼か!」

 

いきなり背後から押し殺した男の声。思わず両手を上げて振り向く。

茶髪でメガネの、高校生ぐらいの少年だ。手には鉈とフライパン。……鉈!?

 

「ひイッ! こ、殺さないでくれッ! お、おれは……多分、子だと思う。鬼じゃあないはずだ!」

「名前は?」

「は、『間田敏和』だ。―――――あ、黙って襲って来ないってことは、鬼じゃあないよな? あんたは……?」

「親の役だ。安心してくれ。名前は……」

 

 

「なんだあ、2年生かぁー。じゃあおれの方が先輩だなァーッ、『ヒデノリ』くん」

「はぁ……そっすね、先輩」

 

ひとまずヒデノリのいた民家に隠れ、情報を交換する二人。相手に敵意がなく、自分の方が年上だと知った途端、間田は横柄になった。

彼は結構なゲス野郎なのだ。口論した友人の目玉を潰す程度には。ヒデノリは面倒なので相手に合わせることにした。

まあ実際、1999年に高3だった間田と、2009年だか2012年だかに高2のヒデノリでは、随分な年の差があるのだが。

 

「しかし、君が『親』だってことはわかったが、おれの方が年上だろ? じゃあ、おれも親なのかなあー」

「わかんないっすね。年齢とは無関係に役割り振ってるのかも知れないし……」

「まあいいや、おれが親でも子でもいいから、一緒に行動しようぜ。仲間がいた方がいいって」

 

それは否定できない。ただ間田もヒデノリも、戦闘能力は期待できない。

ヒデノリの支給品のひとつは剣呑な『鉈』だったが、もう一つは駄菓子『うまい棒』。間田の支給品はないという。

親と子の違い、ということか。現地調達でしのぎ、鬼と出会ったら必死こいて逃げるしかなかろう。

 

「でさ、ヒデノリくん。おれ『学校』に行きたいんだよ。親や子が逃げ込んでたり、いろいろ便利な道具もあるかもだしさ」

「学校、ですか。いいアイデアですが、どこにあるんですかね。このへんの地図看板は破壊されてましたし」

「フッフッフッ、鋭く見なよ! 地図はなくても『標識』を辿りゃあいいんだよ。この近くに『鎌石小中学校』ってのがあるらしい」

「なるほど、さすがッスね間田先輩!」

「な、おれは冴えてるだろ。ラッキーもある。それに……」

 

それに『スタンド能力』もある、と言おうとして、間田は言い止めた。

味方とはいえ奥の手を晒してしまうのは、マズイかも知れない。第一、クロッキー人形がなければ発動できない。

 

「それに?」

「……ルックスもイケメンだろ? アハ、ハハハ」

 

【チーム・根暗&メガネ】

【D-06(鎌石小中学校付近の民家)/00時22分】

 

【ヒデノリ@男子高校生の日常】

[役]:親

[状態]:健康

[装備]:真田北高制服(ブレザーの冬服、上着なし)、鉈@ひぐらしのなく頃に、うまい棒@支給品、フライパン(民家から拝借)

[道具]:デイパック、医薬品少々

[思考・行動]

基本方針:生き残り、現世へ帰還する。

1:腹具合は治った気がする。

2:学校へ向かい、仲間や使えそうな道具を探す。

※その他

自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。各役の人数と会場の地図は未把握。

親が帰還するためには「子を減らす」必要がある可能性には気づいていない。

親はある程度の情報を与えられてパラシュートで投下され、子は説明なしに迷い込むらしいことを把握。

 

【間田敏和@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない】

[役]:子

[状態]:健康

[装備]:不明支給品(上着のポケットの中にあるが、まだ気づいていない)

[道具]:『サーフィス』(スタンド能力、発動には『等身大クロッキー人形』が必要)

[思考・行動]

基本方針:家に帰りたい。

1:『サーフィス』に使えそうな人形を探すため、学校へ向かう。

2:スタンド能力のことはとりあえず秘密。

※その他

ヒデノリと情報を共有し、各役の勝利条件・制限時間を把握。各役の人数と会場の地図は未把握。自分の役を子だと推測。

実は16歳以上なので、レギュレーション違反に気づいた管理者から追手がかかっている。そのうち殺しに来るかも知れない。

身長が異常に小さく見えるのは漫画上の誇張であり、実際は165cm。なんかオーラ的に小さく見えるのかも。




デスゲームなのに主催に明らかな不備がある、それが絶望鬼ごっこパロディ。
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