絶望鬼ごっこパロディ(アーカイブ)   作:絶望鬼ごっこパロディアーカイブ

43 / 114
徐々に始まっていく戦闘。


真っ赤ネ Magenta

「時間だな。で、どれから殺すよ。結構いるぜ」

「処理とか隠蔽とか、調整するとか言い換えろ。それぐらい状況判断しろ」

「オーライ。じゃ、ここでいい。そろそろ行って来るわ」

「ああ」

 

島の上空を飛行機が一周し、20数名の親を投下し終わった。馬頭鬼が操縦するこの飛行機は、ひとまず上空から島を監視し、主催者本部と通信する。

一方、彼より一段低い待遇の牛頭鬼は―――不正な参加者を密かに排除するため、この飛行機から島へ降下する。武器は金棒と重火器。

確か、『彼』を投下したのはこのあたりからだ。投下からしばらく経ってはいるが、そう遠くへは動いていないはず。

 

「5、4、3、2、1、ゼロ。牛頭鬼、行きます!」

 

 

「よーしよし……『拳銃』があるぜ……ちょいと小さめだがなぁー……グスッ」

 

島の東側、『無学寺』の寺務所。そこにいるのは、左目を失ったシルクハットの男『マジェント・マジェント』。

彼はデイパックから支給品を取り出し、確認しているところだ。

支給された武器は『レミントン・ダブルデリンジャー』。1866年から1935年まで製造された、彼にも馴染みの深い小型拳銃。

威力は高くなく、射程距離も短く、装弾数は2発しかないが、隠し持つには最適。暗殺向きだ。

 

とはいえ、今回の任務は暗殺ではない。『鬼ごっこ(tag)』だ。そして自分は『鬼(it)』ではなく、『親』ってやつだ。

鬼に追われる『子』を護り、逃げ延びさせれば勝ち……だっけ? そんなルールあったか?

 

生憎、この『マジェント・マジェント』は―――脳ミソが少なめだ。

目隠しをされて自分の役、各役の勝利条件、制限時間を説明されたはずだが、

川底からいきなり連れて来られて混乱していた彼は、ちゃんとルールを把握していなかった。

具体的には、このうち『勝利条件と制限時間』を把握していない。

実は親用のルール説明はデイパックの内ポケットに書かれているが、まだ気づいていない。

代わりと言ってはなんだが、彼には支給品が『3つ』ある。ひとつはデリンジャー、あと2つは……?

 

 

 

「……ッキしッ」

 

一方その頃。筋肉ムキムキで体格のいい坊主頭の男が、道をさまよい歩いていた。全裸で。

自分の部屋でYouTubeにあげるための動画撮影をしていたら、いつの間にかここにいた。全裸で。

なんか飛行機に乗っていた気もするが気のせいだろう。

 

「……どこかで、服、調達せんと……風邪引くわ」

 

鼻水を啜り上げ、男は震えながら呟く。どうも無人のようだし、どこかの民家に忍び込んで、拝借するしかないか。

後からなんか言われたら、洗って返せばいいだろう。だいたいこの異常事態で、細かいことは言ってられない。しかし、うーん。

渡されたスマホは通じない(「01:00から使える」と表示されたままだ)。飛行機からバラまかれるビラやパラシュート。

空は赤くて火花が散ってて、やれというのは『鬼ごっこ』。しかも自分の役が知らされていない。なんだこれは。

 

「テレビの企画、なわけないか。犯罪やん。ヤクザのホモビデオの撮影、でもなさそうやし。YouTubeにアップして大丈夫なやつ?」

 

まさか自分が拉致被害者になるとは思わなかった。個人情報の漏洩には気をつけていたはずだが。

ビデオカメラの充電は80%ぐらいあるが、鬼ごっことやらがいつまで続くか分からない。充電器があれば、民家で充電出来るだろうか。

それは盗電になる気もするが、この異常事態で細かいことは言ってられない。しかし、うーん。

 

気がつくと、彼は寺の前にいた。立て札には『無学寺』とある。仏なら、僧侶なら、困った人には施しをしてくれよう。

門をくぐり、境内へ。脇の寺務所へ向かう。ドアに鍵はかかっていない。

「お邪魔しま―――――す……」

そっとドアを開け、小声で挨拶。誰もいないとは思うが、一応。

 

 

オイオイ、誰か来やがったぞ。ドアを開けて、挨拶しやがった。不用心なヤローだ。

ま、オレは暗殺者や『鬼』じゃあねーし、このマヌケも『鬼』じゃあねーだろーし。

挨拶してみっか。気の合う奴ならコンビを組んでもいい。裏切るとかナメたマネしやがったら始末してやる。

 

 

油断なくデリンジャーを懐に忍ばせ、デイパックを背負い、身を隠す。相手が武装してる恐れもある。

よく確認して、危険じゃあないと判断すれば――――

 

マジェントは目を見張る。こいつは、危険だ。違う意味で。

大柄な東洋人だが、武装はない。丸腰だ。全裸だ。裸の銃を持つどころか、裸でナニを晒していやがる。

妙に顔が濃ゆい。筋肉モリモリマッチョマンの変態だ。撃ち殺した方がいいんじゃあねえかな。いや、タマが勿体ねえ。

クソ、どうする。たぶん服とか調達に来たんだろーが……こいつが親でも子でも服着ても、あんまり友達になりたかねーぞ。放置しとくか。

 

 

マジェントも、全裸の男『源元気(げんげん)』も知らないことだが―――、

何かの手違いで連れて来られた彼らは、主催者から排除対象になってしまっている。特にマジェントだ。

彼の持つスタンド能力『20th Century BOY』は、自分の身に纏って動かなければ、あらゆる攻撃や被害をそらしてしまう。

彼が川底で生き延びたのは、この能力のせいだ。そこそこ強力な超能力。ゆえに、彼は理不尽にも、殺されねばならない。

 

源元気の方は、もっと理不尽だ。彼は殺し屋でもなんでもないが、『版権キャラではない』というメタ的な理由で殺される。

さらにメタ的に言うと、彼の場合、殺されるまでが―――否、殺されて異世界で雑に復活(?)するまでが持ちネタだ。

異世界転生ならぬ世界観リセマラ。歩く死亡フラグ(自分が)。殺されるためにこの鬼ごっこに参加させられたまである。

 

もし主催者から逃げ切った上で親や子が勝利しても、彼らは復活出来ないだろう。ここは『地獄』なのだから。

 

そして、主催者だけではなく、このゲームには『鬼』がいる。殺す気満々の鬼たちが。

 

 

赤い霧のようなものが、移動し、広がっていく。霧、空気、樹木、地面といった概念を破壊しながら。

それは人間の女性の姿の様であり、あるいは、胎児の様なカタチをしていた。

 

 

「アー……ヤ、キ、ウ……バ、ッ、ト……」

 

それは、自我も、知能も、悪意も、心も、全て自ら破壊した、全てを破壊する悪そのもの。

この島の『鬼』の中でも最悪の存在である『ギーグ』は、じわじわと寺へ接近しつつある……。

 

「ネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサン

 ネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサン

 ネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサン

 ネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサン」

 

 

【F-08(無学寺)/00時30分】

 

【マジェント・マジェント@ジョジョの奇妙な冒険 SBR】

[役]:親

[状態]:健康(戦闘で左目を失っており、偏頭痛やよだれ・鼻水を垂れ流す後遺症がある)

[装備]:スタンド『20th Century BOY』(動かなければ絶対防御)、レミントン・ダブルデリンジャー@現実

[道具]:デイパック(不明支給品2、確認済み)

[思考・行動]

基本方針:鬼ごっこで優勝する。

1:とりあえず『子』を守れば良いのかぁ?任せろ!

2:なんだこの変態ヤローは。ひとまず放置したがいいな。

※その他

各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。

レギュレーション違反に気づいた主催者から追手がかかっている。優先順位は比較的高い。

 

【源元気(げんげん)@Gengen Channel】

[役]:子

[状態]:健康、全裸

[装備]:『スマートフォン(子)』、ビデオカメラ(充電80%)

[道具]:

[思考・行動]

基本方針:とりあえず人を探す

1:とりあえず服を探す。

※その他

自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。

レギュレーション違反に気づいた主催者から追手がかかっている。

 

【ギーグ@MOTHERⅡ】

[役]:鬼

[状態]:健康

[装備]:無し

[道具]:無し(支給品は全て破壊済み)

[思考・行動]

基本方針:皆殺し(ギーグがそう思っているわけではなく結果的にそうなるのである)




たぶん原作より強い鬼達。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。