絶望鬼ごっこパロディ(アーカイブ) 作:絶望鬼ごっこパロディアーカイブ
※二話投稿『(稗田礼二郎登場話)鬼踊り』&『黒い探求者』
「ここは……この世か……?」
見上げれば明るくも暗くもない、火花を散らす異様な赤い空。見回せば無人の街。
男は、こうした雰囲気の場所に幾度か出くわしたことがある。常世、異界……人ならざるものが棲む領域。
飛行機やパラシュートといった現代的なものが使われているからといって、人間の、少なくともまともな人間の仕業とも思えない。
壁に貼られたビラや、上空から飛行機が撒いているビラには、同じ文面。
「鬼ごっこに、子を守る親の役を加えたゲーム、ということか……。しかし、これは……」
聡明な彼は、3つの勝利条件を見て困惑する。鬼と子は分かる。だが、親は。親だけが勝利する時、子はどうなる。
しかも、「死ぬ」「生きている」といった文言。殺し合いか。常識的に考えれば、親と子が揃って生き残り、脱出する方法を考えるということになる。
とはいえ異常な状況だ。鬼はともあれ、親や子も、果たして自分のような常人だけだろうか。そして制限時間は24時間。グズグズしていられない。
「ともかく、このデイパックの中身を確認してみるか……」
【???/00時02分】
【稗田礼二郎@妖怪ハンター】
[役]:親
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:デイパック(不明支給品2)
[思考・行動]
基本方針:生き残り、現世へ帰還する。
1:デイパックの中身を確認する。
※その他
自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。
『人物解説』
漫画『妖怪ハンター』シリーズの主人公。元K大考古学教授。いくつかの大学の客員教授をつとめ、著述活動も行っている。
日本中の奇怪な事件の研究を生業としており、若い学生やマスコミからは「妖怪ハンター」というあだ名がつけられている。
痩躯長身で黒い長髪、黒いスーツに黒ネクタイという出で立ち。ジュリー(沢田研二)に似ていると言われたこともある。
年齢は不詳。1974年から現代まで容姿上は加齢の描写もないが、一応ただの人間。特に妖怪を捕獲・退治しているわけでもない。
奇怪な事件や災害、怪物に遭遇しても冷静に解釈・解説し、不思議と逃げおおせて生き残る。
沖木島の中部、座標E-04、ホテル跡。と言うか、廃ホテル。
おそらくはバブル期、リゾート誘致のために建設され、バブル崩壊と共に放棄されたと思しい。
日本中にいくらでもあるような廃墟だ。電気や水は期待できないが……。
「香川県の沖木島、か……」
残っていた標識や看板から、それは読み取れた。知らない島だが、ではここは、地獄や常世ではなく、現世なのか。
いや、現世に存在した島が、異界に移された……もしくは、写された、のだろうか。
長髪の男、『稗田礼二郎』は、ブツブツと呟きながら腕組みをし、顎を撫でる。
無用な考察のようだが、何か脱出のヒントになるかも知れない。
そもそも、なぜ自分のような者が、こんなところで異様な『鬼ごっこ』に参加させられているのか。
借金をした覚えも、ヤクザの恨みを買った覚えもない。突然目の前が真っ暗になって、こうなった。
何者かに無作為に選ばれてしまったのか。支給された手裏剣と鉄球は、武器と言えば武器だが、銃ほどの殺傷力はない。
とすれば少なくとも殺人ゲームではなかろうが、殺人ゲームに発展するようにしているか……。
ザク、ザク、と砂利を踏みしめ、廃ホテルに足を踏み入れる。中は暗いが、薄っすらと外の光が漏れ入る。
「ん? これは……足跡だ。二人ぶん……新しいぞ」
床を覆う埃の上に、足跡がついている。自分が来る以前に、誰かが連れ立ってここへ入って来たようだ。
おそらく、鬼から逃げて来た子や親だろう。ならば合流して、情報を共有するとしよう。
稗田は足跡を追い、ホテルの奥へ進んでいく。
◆
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ………」
どこをどう走って来たか、もう覚えていない。
恐怖の余りパニック状態になった超能力少女『名波翠』は、モブ少年『中沢』の手を引っ張って山道をひた走り、気がついたらここにいた。
廃ホテルの一室、だろう。パニック・ホラー映画だと、怪物とか狂人とかゾンビがドアをぶち破って襲ってきて、『Here's Johnny!』とか言う感じの。
男の子と二人でホテルに来るとは思わなかったが、そんなロマンチックな事態ではまったくない。いちゃついたヤツらから死ぬ。それが流儀。
「あの……大丈夫?」
「大丈夫に見える?」
「いえ、その……」
「オーケー、大丈夫、オーライ。ビックリし過ぎて、パニクっただけ。ごめんね」
「ああいえ、こっちこそ……無理も無いよ、なんか怖い人っぽかったし」
中沢は割と冷静だが、こっちは猫を被ってる余裕もクソもなかった。感受性が強すぎるのも問題だ。
いや、アレはマジでヤバかった。神にも匹敵する凄まじいオーラ。只者であるはずがない。あのオーラが出てる時点で確定的に只者じゃない。
追っては来ないか。来たら来たで逃げるしかない。中沢を犠牲にする、のはまあ倫理的にアレとして。
こっちだってお前、超能力少女様やぞ。多少のお前、チンピラとかならお前、スーッ、ハーッ。
スカム映画脳か銀魂じみた支離滅裂な思考をやめ、ゆっくりと呼吸を整える。周囲を確認する。埃があたりに舞い散っている。口と鼻を覆う。
だいぶバタバタしたせいで、このへんの埃に足跡がついてしまった。やつがこれを追ってきたら。いや、『バックトラック』とか仕掛けてみるか。逆に。
「……あの……なんか、足音が」
「ひっ!?」
急に中沢に話しかけられ、心臓が喉から飛び出そうになる。こんなモブ野郎と吊り橋効果でラブデスターしてどないすんねん。
あの鬼が追って来たか。部屋の中へ隠れるか。いや、逃げ場がない。玄関ホールの方から男の声。
「おーい、誰かいるのか? 私は親の役だ! 安心してくれ!」
◆
名波さんに言われて、僕が様子を見に出る。玄関ホール近くにいたのは、長身痩躯で黒尽くめの男性。
さっきの、なんか音を出していた、あの男ではないようだ。黒髪で長髪、年齢はわかりにくいが、子どもではない。
「あ、あの……、そちらのお名前、は」
「ああ、『稗田礼二郎』だ。稗田でいい。君は?」
「な、『中沢』と言います……。子の役、だと、思いますけど」
距離を保ち、学生鞄で胸元を守りながら、おずおずと名乗る。殺気や悪意は感じない。
「君だけかね? 足跡は二人ぶんだが、奥に隠れているのか?」
「えと、あの。ほんとに、鬼じゃないんですね」
「そうだ。少なくとも、無害な子どもに危害を加えるような人間じゃないよ。安心してくれ」
稗田、という男は両手を挙げ、敵意がないことをアピールする。狡猾な鬼かも知れないが、かと言って見分ける方法も……。
あ、そうだ。『お守り』を鬼にぶつければ死ぬ、と書いてあった。いざという時はそれがある。
「ええと、じゃあ、その、奥にもうひとりいます。さっき鬼っぽい人に出くわして、パニックになって。
―――その、女の子なんで、僕が様子を見に」
包み隠さず話す。対応者として、ここは素直に話した方がいいと思った。それだけだ。
男は頷き、頬を緩める。
「そうか。偉いな、中沢くん」
褒められた。言われてみれば、褒められてもいい行動かも、知れない。警戒心が緩む。
「……私は別に喧嘩が強いわけでもなく、超能力者でもないし、大した武器もない。
だが私は、与えられた役目以前に、教育者であり年長者だ。君たちを守ろう。約束する」
「あ、ありがとうございます!」
【E-04(ホテル跡)/00時40分】
【稗田礼二郎@妖怪ハンター】
[役]:親
[状態]:健康、やや疲労
[装備]:スリケン@ニンジャスレイヤー、ジャイロの鉄球@SBR
[道具]:デイパック
[思考・行動]
基本方針:生き残り、現世へ帰還する。
1:廃ホテルで他の人や道具、情報を探す。
2:中沢くんを信頼し、もうひとりの子と会って、情報を共有する。
※その他
自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。
【名波翠@テレパシー少女蘭】
[役]:子
[状態]:疲労(小)、キングへの恐怖
[装備]:『お守り』
[道具]:
[思考・行動]
基本方針:こんなアホなことをしでかした奴に一発焼き入れて帰る。
1:外へ出るのが怖い。
※その他
各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。自分の役を子と推測。
テレパシーなどの超能力が使えるが、普段よりは疲れやすい。
【中沢@魔法少女まどか☆マギカ】
[役]:子
[状態]:健康
[装備]:『お守り』
[道具]:学生鞄(中身は教科書とかノートとか筆記用具とか)
[思考・行動]
基本方針:とりあえず人を探す。知り合いがいたら合流したい。
1:名波さんに着いていく。
2:稗田さんをとりあえず信用し、名波さんに紹介する。
※その他
各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。自分の役を子と推測。
ネット中を探せばどれか二つのクロスはありそうだけどこの三つのクロスはまずないと思う。