絶望鬼ごっこパロディ(アーカイブ) 作:絶望鬼ごっこパロディアーカイブ
先程の邂逅から約二十分。
夕焼けに似た不気味な空の元、二人の少年、織田敏憲と豊穣礼佑は連れ立って歩いていた。
「ねぇお兄ちゃん。どこへ行くの?」
「なるべく鬼の来なさそうな所へさ。僕一人だけならともかくお前も連れてるからね」
「ふーん、でもそれだと他の参加してる人にも会えなんじゃない?」
「心配いらない。まず鬼のいなさそうなところへ行こうっていうのはみんな考えることだ。
だから学校みたいな如何にも人が集まりそうな所よりも少し外れた所の方が人には会いやすいはずだ」
バイクにも乗っていないのにフルフェイスヘルメットで表情を隠しつつ、織田はわずかにその不細工な眉をひそめた。
今同行しているこのクソガキ奴僕、時々発言が妙に聡いところがある。
最初出会った時は迷子のように語っていたにも関わらず、今は鬼ごっこの参加者の視点に立って自分に話しかけてきている。
それも、至極冷静に。
勿論そこまで違和感を感じる訳ではないし、今の所脅威は感じない。
ただ、少し引っかかるだけだ。
(まぁ、いい。このまま人と出会わず昼を過ぎるか、おかしな動きをしたら撃ち殺してやるだけさ)
懐のワルサーの感触を確かめつつ、「イヒッ」と下品な笑みを漏らす。
彼はあまり人と出会わない様ならば足手まといを抱えて歩くつもりは毛頭無く、この見た目幼児を容赦なく切り捨てる心づもりだった。
第六十八回戦闘実験プログラムでも彼はゲームに乗っていた人間であり、例え幼児であろうと、利用し、切り捨てられる人間だった。
(なーんて、不細工面に似合った事考えてるんだろうなぁ)
そんな織田の下卑た考えは、四歳児をはるかに超越した頭脳を持つ礼佑にはお見通しなのだが。
とは言え、このままでは不味いのは事実である。
四歳児離れした頭脳を持っているとはいえ、礼佑は肉体的には幼児でしかないし、武器になりそうな物も取り上げられてしまっている。
彼はそれを丁度いいハンディだと思っているがそろそろ状況を変える新たなカードが欲しい。
そう思った時だった。
―――ザザッ
はいぱーびじょんだいありーからノイズのような音が走る。
未来がまた、変化した音だった。
子供らしい無邪気な表情を崩さず、礼佑は織田に感づかれていないか様子を伺う。
あくまで冷静に。あまり未来日記を信用しすぎず、慌てて予知を確認しないのが『エリート』というものだろう。
しかし、彼の懸念に反して織田は別の音に気を取られているようだった。
次いで、礼佑もまた近づいてくる音を聞き取る。
足音ではない――これは、エンジン音だ。それも、大型車両の。
■
「WRYYYYY!タンクローリィだッッッ!」
邪悪の化身DIOは、紙袋に入っていた支給品であるタンクローリーを『世界』に運転させつつ、そのパワー・スピードにそれなりにハイになっていた。
初めて運転するため、時折ハリウッドのカーチェイスもかくやという勢いで電柱や看板にぶつかっていたが、気にせず走り抜ける。
帝王に後退はないのだ。
「ムッ!」
機嫌よく走り初めて十分ほど後、吸血鬼として異常発達した視力が、二つの人影を捉える。
背丈から類推するに、あれは子だろう。つまり捕まえるべき獲物だ。
世界にハンドルを切らせ、DIOは邪悪な笑みを浮かべた。
そして、世界を支配する力を放つ。
「世界―――時は止まる」
■
「……な、何ッ!?」
「えっ…?」
織田と礼佑。二人の少年は揃って驚愕の声を上げた。
無理もないだろう。先程までこちらに向かってきていたタンクローリーのトレーラーが忽然と消えてしまったのだから。
どこかにぶつかった、というわけではない。それならば二人も無事では済まないはずだ。
あのトレーラーは一体何処に…奇しくも二人の心境が重なったその時だった。
「―――君たちは、ドードーという鳥を知っているかな?」
背後で、良く通る男の声が響いた。
「モーリシャス諸島に生息していた鳥なのだが…その鈍重さと鳥であるにも関わらず、
『飛べない』という弱点を持っていた彼らは人間の進出により僅か80年余りで絶滅した」
2人がゆっくりと振り返る。
「飛べもせず、ノロマ、外敵のいない平和な島で育ち、警戒心もない彼らが滅びるのは必然だったと言えるだろう」
傍らには紙袋を抱えた。ギリシャの彫刻のように筋肉を漲らせた美しい男。
紡ぐ言葉には思わず聞き入ってしまう、魔的な力がある。
「だが…私は彼らが絶滅した原因は『勇気』が無かったからだと…思っている
堕落した日々に甘んじ、彼らは『進化』しようとはしなかった
現在の『限界』を超えようとしない生物は種を問わず脆い…君たちはどうかな?」
男はDIOと名乗った。
■
―――織田敏憲には嫌いな人種が三種類いる。
その一、顔の良い男。その二、背の高い男。その三、下品な男だ。
DIOという急に話しかけて下品に自分を驚かせ、同行を提案してきたパツキン奴僕はこのうち三つをコンプリートしている。
「驚かせて悪かったね、これでも『親』なものだから。『子』らしき者を見ると捨て置けなかった」
「い、いいですよ、気にしてませんから!」
(クソがぁ~!何故高貴な俺がこんなパツキン奴僕に…いや、クールになれ織田敏憲。
こうなるのは計算通りのはずだろ)
このままクソガキ奴僕共々肉壁として使い倒してやる。
織田少年はそう強く誓い、下手に出続ける。
(……ちょっと手強そうなのが出てきたね。面白くなってきた)
豊穣礼佑は対照的に無邪気に新たな同行者の分析楽しむ。
彼は先ほどのタンクローリーを突然消したのはこの男だろうとあたりを付けていた。
それもチャチなトリックではない。未来日記の予知能力のような、本物の異能だ。
更に、予知した内容ではこの男は自分にDEAD ENDフラグを立てなかった。
少なくとも昼までは。
DIOがこれからどう動くかはわからないが、これで織田も自分に手を出しにくくなっただろう。
(次は、このDIOってヤローがどんな奴かを見極めないとね……)
礼佑の口から笑みが零れる。
そして、先行しているため二人からは表情が伺えないDIOも、同じ笑みを浮かべていた。
(……最初は即刻捕まえて牢屋に連れていこうと思ったが、考えてみれば一人二人チマチマ捕まえていくよりも纏めて『一網打尽』にした方が良い)
それが、DIOが自分の役職を親だと偽った理由だった。
無論、自分が鬼と発覚したときは世界で捕まえるか、殺す必要があるだろうが、スタンドに目覚めていない子供など、それこそ赤子の手をひねるが如く、だ。
(もっとも、豊穣礼佑とか言った子供は何か隠しているようだがね…織田敏憲という少年は何の力も無いようだが……良い悪の素質がありそうだ)
悪の才能とはすなわち、弱者を自分のために踏みにじることができる者だ。
悪の帝王であるDIOは、2人がそんな人種である事を直感していた。
そのため生かして泳がせる事を選んだのだ。
(フフ、せいぜい利用させて貰うぞ二人とも―――)
(((勝つのは私/俺なのだから)))
それぞれの思惑を抱えながら、絶望鬼ごっこは進んでいく。
【H-08/01時15分】
【豊穣礼佑@未来日記】
[役]:子
[状態]:健康
[装備]:はいぱーびじょんだいありー@未来日記
[道具]:『スマートフォン(子)』
[思考・行動]
基本方針:このゲームに勝利してエリートであることを示す。
1:DIO、織田敏憲を利用しながら情報を集める。
2:ピエロ(ペニーワイズ)との接触を避けるため、西北西方面に逃走したい。
3:未来日記所有者は優先的に殺す。
※その他
自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。
未来日記による予知である程度の未来を把握しました。この場に留まると高確率でペニーワイズに殺害されます。
【織田敏憲@バトル・ロワイアル(漫画)】
[役]:子
[状態]健康
[装備]:ヘルメット、防弾チョッキ、ワルサーP38、ランドセル、トートバッグ
[道具]:ランドセルに飲食物、トートバッグにガスマスクや包丁、洗剤といったもの
[思考・行動]
基本方針:利用できそうな親か子と合流する。鬼らしき相手がいたら逃げる。
1:豊穣礼佑、DIOを利用しながらプログラムに備える。
※その他
各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。
自分の役が『子』だと推測。
【DIO/ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[役]:鬼
[状態]:健康
[装備]:タンクローリー、不明支給品(確認済み)
[道具]:無し
[思考・行動]
基本方針:子全員捕まえ、親は血を吸うか下僕とする。
1:織田敏憲、豊穣礼佑を利用して子を集める。
※自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間を把握。
※時間停止は五秒ほどです。
パロロワではだいたいスタンドはスタンド使いでない一般人でも見えますがこの鬼ごっこには能力制限とかないんで見えません。