絶望鬼ごっこパロディ(アーカイブ)   作:絶望鬼ごっこパロディアーカイブ

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桐山は仮面ライダーに変身しがち。


第四六章 Braver×ΔMurder×KaleidLiner (イリヤ、ニケ、桐山)
Braver×ΔMurder×KaleidLiner


???E06 東部???

 

……撒いたか。

桐山は先程の少女が追ってこないことを確認し、初めて走る速度を緩めた。

次に二つあるデイパックの片方を開け、大量にあるイングラムのマガジンの中から新しいものを選んで空のものと交換する。

その動きは先程軽度とはいえ脳震盪を起こしたとは思えないほど滑らかで淀みのないものだった。

 

「……」

 

作業が終わると桐山は無言でもう一つのデイパックに視線を向ける。

先程見捨ててきた少女の物だが、感情を失って久しい彼に良心の呵責はない。

そのため、迷うことなくデイパックのジッパーを開いて中を確認する。

 

「……?」

 

確認してみてまず最初に気づいたのはこのデイパック、重さもほとんど感じず底がない。

手を入れれば入れた分だけ入っていく。中を覗いて見れば、中は黒一色だ。

試しに自分がここへ来る前、戦闘実験プログラムにて使用していたデイパックに入っていた銃のマガジンを出し入れしてみる。

その結果、驚くべきことに全てのマガジンが入った、重さも感じない。

空になったただのデイパックは破棄することに決める。

 

「……」

 

物理法則を明らかに無視している奇妙なデイパックだが、現状の打開には繋がらない。

もう一度あの白い少女に襲われれば命はないだろう。

生に執着のない桐山にとってそれでも別に構わないが、ともあれもう一度デイパックに手を突っ込む。

すると、指先が銃のマガジンとは違う感触のものに触れた。数は二つ。

ゆっくりとそれを掴み、取り出す。

 

 

 

「??これは」

 

 

 

 

「あーあー、結局ほかのとこ漁ってみても収穫はこのペラい紙一枚とメダル一つか」

 

勇者というより盗っ人かストリートチルドレンの口ぶりで、ニケは手の中のメダルを弾く。

ここへ来てから一時間ほど周囲の民家を散策していたが、「ゆうしゃは ○○を てにいれた!」のテロップが出たのは結局紙切れと、小さなメダルが一枚。

食料などはあったが、ふくろがないため断念せざるを得ず。

その上美少女どころか誰とも出会わないし、空は変に赤く気持ち悪い。

ケチ臭い島だとくさしてメダルをもう一度弾く。

 

弾かれたメダルはピーンと小気味いい音を立てて弧を描き、受け止めようとしたところで……他の人間の視線を感じ取った。

そちらに意識を取られ、メダルが手の甲から零れ落ちる。

ちゃり、と金属音を立てて転がっていくメダル。

 

 

「あのー、これ、貴方のですか?」

 

 

それを拾ったのは、白髪の赤い瞳をした少女だった。

 

 

 

 

 

「へーイリヤも気がついたらここにいたんか」

「うん、お互い大変だね」

 

 

少年勇者と魔法少女の初邂逅は恙なく進んだ。

まずお互いの自己紹介から始まり、その後鬼ごっこのルールをよく知らないイリヤにニケは拾ったチラシを見せて把握させる。

双方役職は子であり、気性も激しくないため穏やかな雰囲気の元情報交換は進んだ。

 

「二行で済ませるとかどんだけ情報交換書きたくねーんだろな」

(……ニケ君と話してるとルビーと話してるみたい)

 

イリヤは高頻度で放たれるニケの意味不明な言動に大切な友である愉快型魔術礼装に似た匂いを感じ取り、わずかに警戒心を緩める。

 

「ふむふむ、とりあえずイリヤと俺の方針は一緒だし、どうせなら一緒に行かねーか?」

「え?」

「ほら、一人だと休憩するときとかに不便だろ」

 

鬼ごっこのルール上、固まって動くのは得策とは言えない。

人数が増えればそれだけ動きも悪くなるし、鬼に見つかる可能性も高まる。

けれど一人きりだと心細いし、得体の知れない島でうかつに休憩もできないのは確かで。

 

「……うーん。じゃあ、よろしくお願いします。ニケ君」

「あぁ、よろしく頼むよ。俺もさっさと帰らないと大人気勇者の俺がいないんじゃ打ち切り不可避だしな」

(勇者とか打ち切りとか何言ってるんだろう…ひょっとしてかなり気の触れた子なのかしら)

 

ちょっぴり失礼な事を考えたイリヤだったが、ニケに悪意や害意は無い事は薄々感じ取っていた。

ただ、発言が高頻度で意味不明でちょっと抜けてそうなだけで、悪い人ではないと思う。

そう結論付けて、これからどうするか切り出そうとした、その時だった。

 

 

『……ムムッ、その声、その魔力はやっぱりイリヤさん!』

 

 

聞き覚えのある、軽い調子の機械音声に息を呑む。

まさか、と思い瞬時にイリヤは声のしたほうへ振り向いた。釣られてニケも同じ方向を向く。

その視線の先に映るは、学生服をモデルの如く着こなした長身の少年と―?、

 

 

「ルビー!?」

 

 

 

 

 

「そうなんだ、じゃあルビーも気がついたら此処に……」

『そうなんですよ。今まで真っ暗な所にずっと閉じ込められて、やっと出れたと思ったら

モヒカンの代わりに鬼がひしめくイカれた時代にようこそとは参りましたね~』

 

愉快型魔術礼装、カレイドルビーはいつもと全く同じテンションでイリヤと言葉を交わす。

神秘の秘匿を是とする一般の魔術師が見たら思わず額に手をあてる光景だが、

『そういうもの』を見慣れているニケも、桐山もそれぞれ驚く様子はない。

 

「でも良かったじゃん。こうしてすぐに会えて」

『ええ、ルビーちゃんも助かりましたよ~桐山さんと一緒だと間が持たなくてー

それで、ニケさんはイリヤさんとどんなラブコメを―――』

「ほう、聞いてくれるか」

「会ったばかりでしょ!!」

 

会ってはならかった二人があってしまった気がする。

イリヤはその気配をひしひしと感じながら傍らの、この場で最年長であろう少年を見る。

瞬間、何か肌寒いものを感じた。

底なしの穴を見てしまった。本能的恐怖に近い怖気。

慌ててそれを誤魔化すように口を開く。

 

「……えっと、桐山さんはこれからどうするおつもりですか」

「特に考えてはいない」

 

「え?」と怪訝そうな声を上げるイリヤに、桐山は鬼ごっこに興味はなく、どう動くかはどちらでも良いと語った。

もとより、他人にあってから適当に決めるつもりだったのだ。

コイントスの結果で、多くのクラスメイトを殺すと決めたあの時のように。

 

 

「それじゃあさ、俺たちに協力してくれよ。桐山」

 

 

言い出したのは、ニケだった。

 

 

「ちょ、ちょっとニケくん」

「何だよイリヤ、別にいいだろ?見たトコ桐山は鬼じゃ無いみたいだし、何より―?」

「何より?」

「強そうだからいてくれたら俺が楽できる」

 

勇者を自称するには余りにも他力本願なその思考に思わずイリヤは桐山の反応を伺う。

だが彼は特に気にしている様子もなく、少し考えて、

 

 

「それはお前たち二人を勝たせる、ということか」

「あ?あぁ、うん。そういうことになるのか」

 

 

深く考える様子もなく、ニケは返事を返す。

桐山の声はひどく硬質で、感情が伺えない。

しかし、返答だけは即決だった。

 

 

 

「……そうだな、それも悪くない」

 

返ってきたのは肯定。

「やったぜ」とニケは笑み、ルビーと一緒にガッツポーズを取る。

 

「よーし、パーティー結成だ。流石俺!これが光の勇者のカリスマ!」

『ニケさんが勇者ならイリヤさんは魔術師(メイガス)って所でしょうかネー、RPG的に』

 

はしゃぐ一人と一本を尻目に、「これで良いのかなぁ」と思い、イリヤは桐山の方をもう一度見る。

すらりと立つその姿はとても落ち着いていて、先ほど感じた悪寒は感じなかった。

少なくとも、ただのアホにしか見えないニケとは別のベクトルで悪意だとか、害意だとかをこの少年が持っているとは思えなかった。

 

 

「気のせいだったのかな……うん、きっとそうだよね」

 

 

先ほど感じた寒気は「気のせい」だった。そう結論付けてイリヤは素直に仲間が増えた事を喜ぶ。

未だに良く分からない状況だけれど、ニケ君は能天気だし、桐山さんは落ち着いている。

ルビーとも再会できたし、何とかなる気がしてきた。きっと、何とかなる。

 

『で、ですねイリヤさん妹のクロエさんに対抗意識を燃やして最近は黒い下着にも挑戦しようとしてるんですよー』

「うーん、イリヤに黒いパンツが似合うかどうかは微妙だろうな、ここは競わずに持ち味を活かす方向で―――?」

 

そう心の中で強く思って、彼女は履いている下着の色で盛り上がっているステッキと少年勇者に怒りの突撃をしかけた。

 

 

【E-6/01時30分】

【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kareid liner プリズマ☆イリヤ】

[役]:子

[状態]:健康

[装備]:カレイドルビー

[道具]:水晶

[思考・行動]

基本方針:この島から脱出する。

1:ニケ君たちに協力する。

※ニケが見つけた紙により、自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・制限時間を把握しました

 

【ニケ@魔法陣グルグル】

[役]:子

[状態]:健康

[装備]:なし

[道具]:お守り、鬼ごっこのルールが書かれた紙

[思考・行動]

基本方針:ククリ達と合流してギリを倒しに行く

1:イリヤ達と協力してこの島から脱出する。

 

 

 

 

少年と空飛ぶペンダントを締め上げる少女を見つつ、桐山は黙考する。

 

――――それはお前たち二人を勝たせる、ということか。

―――――あ?あぁ、うん。そういうことになるのか。

 

この会話で彼のこのゲームにおける行動方針は決定した。

それは目の前の二人、つまりニケとイリヤをこの鬼ごっこの勝利者とすること。

その為にはあの鬼と思われる少女のような者から二人を守るだけでは駄目だ。

ニケが見せた紙のルールによると、親の人数が子よりも少ない場合、親が勝利してしまう。

よって、桐山はニケとイリヤを除く「子」に一定の間引きを行うことに決めた。

2人が気づけば同行は困難なものになると予想されるため、できる限り水面下で事を運ぶ必要があるが。

巧妙に、何もかもを欺く位に。

 

 

何人いるかは分からないが、親を積極的に減らそうとする親や2人に悪意や害意を持つ親も排除する。

そして、一時間ほど前に戦った少女のような超常の存在である鬼への対処も急務だ。

もっとも、これは既に解決策を桐山自身が有していた。

アリスから奪った現在のデイパックと、そこに眠るアタッシュケース。

少年勇者と魔法少女の2人に存在を秘匿された『デルタギア』は、静かに解き放たれる時を待ち続ける。

 

……武器とは使うものの性根によって如何様にもその存在意義を変えるものだ。

当然、性根の歪んだものが振えばその力は醜悪なものにしかなりえない。

しかし、もし、性根そのものが存在しないものが使えば……どうなるかはまだ分からない。

もし、桐山の真意を知った勇者と魔法少女がどうすのかも、今はまだ。

ただ一つ、ハッキリしていることは、

二人は知らず、ブレーキの効かないモンスタートラックのハンドルを握ってしまったということだけだろう。

 

 

【E-07/00時42分】

【桐山和雄@バトル・ロワイアル(漫画)】

[役]:子

[状態]健康

[装備]:イングラムM10サブマシンガン、デルタドライバー

[道具]:銃のマガジン(複数)、式札

[思考・行動]

基本方針:ニケとイリヤを勝利者とする。

1:「子(一定人数)」「二人に害意や悪意を持つ親」「親を減らそうとする親」「鬼」を水面下で排除する

※ニケの拾った紙により各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間を把握しました。

※アルシアと戦闘し、超常の存在がいることを知りました

※デルタギアは誰でも変身できるよう調整されていますが、オルフェノクや適合者以外が変身すると凶暴になります

 




ちなみに四次元デイパックはアリスのもののみです。
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