俺はサイヤ人の王になる   作:SHV(元MHV)

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久々に書くとえらい疲れました。

ちまちま書いてたから改稿するかも。

とりあえずこれで終わりです。

細かい設定はあったりするのでメッセージででも聞いてくだされ。


敗北の果てに

あ惑星プラント──後に惑星ベジータと名付けられる星の果てでかつて起きた戦いを知る者はもはや存在しない。

 

王になると誓った俺はあの日──。

 

◇▫️◇▫️◇▫️◇▫️◇

 

閃光を伴うエネルギー波が次々とリルドへ襲いかかり、その全身を焼き尽くさんと激しい爆発を起こす。

 

俺はさっきまでの様子が嘘のように全快した体を十全に動かし、肉体の導くままに目の前のメタルミュータントを攻め立てていた。

 

『…………リルドよ! 何をしておる!! 早くソレを始末しろ!!』

 

思った以上に拮抗し始めた俺たちの様子に焦りを覚えたのか、モニター越しにツフル王がこちらへ向かって叫ぶ。

 

馬鹿め。精々こいつを焦らせろ。目の前のこいつさえ始末してしまえば俺は貴様を殺し、王として君臨できる。

 

俺はリルドに急接近し、その無防備な背中へ向けて全身の反動を効かせた肘を落とす。

 

「むぐっ……!」

 

会心の一撃だった。だがそれでもリルドに大したダメージは入っていないように見える。

 

……まずいな。圧倒的な実力差もかなり埋まったと思ったが、それでもなお奴の方がパワーもあるし、相当にタフだ。

 

──負けるつもりはないが。

 

俺は右手に螺旋状にエネルギーを集束させていく。必要なのは奴を貫くだけの出力だ。だがそれには時間が掛かる。

 

「らあッ!!」

 

ひとまず奴よりも勝っているスピードで撹乱する。俺は奴の周囲を滅茶苦茶にかき回しながら跳び回り、一撃入れては離れるを繰り返す。

 

「ぬッ……! ぐぅ……ッ!!」

 

それにしても硬い体だ。ダメージがないとはいえストレスは貯まるのだろう。奴はイラつきながら目眩撃ちにエネルギー弾を乱射する。

 

甘い。サイヤ人にそんな適当な攻撃が当たるものか。

 

「そらそらどうしたぁ! 目を撃った覚えはないぞ!!」

 

「ぬがあぁぁぁぁ!!!」

 

あと少しだ。もう少しでエネルギーが貯まる。

 

俺は再び太陽拳で奴の目を眩ませると、距離を取り全エネルギーを指先へと送り込む。

 

この技は『ドラゴンボール』の中でも特に気に入ってるんだ。タフなサイヤ人を死に追いやった技だからな。

 

「魔貫光殺砲!!!」

 

俺が全力で放った螺旋の光撃がリルド目掛けて突き進み、俺は奴が胸を貫かれ倒れる姿を想像する。

 

──だが。

 

「……ふん、予想していないとでも思ったか?」

 

「……ちぃ!」

 

リルドは片腕を犠牲に俺の魔貫光殺砲を防ぎきってしまった。恐らくは俺と同じようにエネルギーを腕へと集中させて。

 

仕切り直しと俺は距離を取ろうとするが、そんな俺の足を妙な機械が絡めとる。

 

「なんだこれは!?」

 

「ヒャイヒャイヒャイ! ワシが何も出来ぬとでも思うたか!? この程度──げびっ!?」

 

わざわざ出てきて俺を挑発した馬鹿な大臣を高速エネルギー弾でバラバラに吹き飛ばす。だがその時には、すでにリルドが目の前まで来ていた。

 

「……せめて敬意を込めて殺してやる」

 

「諦めんぞ、俺は……!」

 

「カアァァァァァ!!!!!」

 

自身にもダメージがあるであろうほどの威力で、リルドのエネルギー波が放たれる。

 

そのエネルギーは地面を反射し、直上へと向けて恐ろしい勢いで吹き上げる。

 

「ぐぅ……! が、あああああああああっっ!!!」

 

生まれ変わった肉体が焼かれ、崩れていく。

 

(負けたのか……? 俺は……)

 

だが宇宙の彼方へ打ち出されながら、俺は地上で倒れていくリルドを見ていた。

 

そしてリルドの放ったエネルギーサークルは、反射したかに思われた地上へも影響し、地下に埋没していたツフル王の宇宙船をも破壊していく……。

 

そして俺の意識は……。

 

 

◇▫️◇▫️◇▫️◇▫️◇

 

 

「馬鹿な……! こんなことが……!!」

 

リルドの放ったエネルギー波が私の乗る宇宙船を破壊していく。

 

全宇宙ツフル化計画において、惑星プラントのツフル人はそれほど重要ではない。

 

あくまでこの計画の要は“ベビー”なのだ。既に私の遺伝子は組み込んだ。しかしこれほどのダメージを負ってしまっては予定通りベビーを成長させることができない。

 

後は成長したベビーを宇宙に解き放つだけだというのに。

 

そうすればあのフリーザのような凶悪な個体であろうと、ベビーの持つ力の前に必ずやひれ伏させるというのに。

 

「おのれ……! おのれおのれおのれ……! たかがサイヤ人一人に私の計画が邪魔されようとは!!」

 

私は思わず頭を掻きむしりながら、出来ることはないかと考える。

 

間抜けな大臣は死んだが、本来この宇宙船は私ひとりで乗り込むことを想定して造らせたもの。……よし、まだトップエンジンは生きている。

 

「……申し訳ありません、陛下」

 

「リルドか……!」

 

……思わず激しい怒りが込み上げるが、この状況で利用できるものは全て利用するべきだろう。

 

「……ベビーを守るがいい。完全なる成長を遂げるには時間が掛かるだろう」

 

私はそれだけを告げて揺れる宇宙船を歩き、コンソールのあるメインルームまで戻る。

 

「我が野望は潰えぬ……」

 

宇宙船の上部のみが分離し、天空高く舞い上がっていくのをモニター越しに見守る。

 

何年……否、何十年経とうと、必ずやベビーは我が野望を……。

 

 

◇▫️◇▫️◇▫️◇▫️◇

 

 

……随分と眠っていたみたいだ。

 

リルドに負けて、俺は一体どうなったんだ。

 

「おめえこそそんな格好で……! どうなるんだ……!! あのピカピカのクウラは、助けに来ちゃくんねえぞ……!!」

 

なんだこの声は。妙に聞き馴染んだ声だな。どこかワクワクとした気持ちが持ち上がってくる。

 

「ふん! 俺自身のパワーはそれほど落ちてはいない。ビッグゲテスターは後程ゆっくり直せばいい。今の貴様を倒すのには、これで十分だ……!!」

 

誰だ。機械を通して放たれたような声。それが外から聞こえてくる。

 

「やっぱ……二度と悪さできねえように、するしかねえようだな……!! クゥ!!!」

 

「ムカつく野郎だぁ!!」

 

強いエネルギーを感じる。間違いない。これはサイヤ人のエネルギーだ。

 

ならばそれと対峙しているコイツは一体。

 

──いや待て。コイツ、俺と一体化していやがるのか。

 

む、どうやら無理矢理肉体を形成したようだな。ケーブルを束ねた巨大な肉体を関知したぞ。

 

それにしても随分と巨大なパワーを持ったサイヤ人だ。あれからどうなったんだ。

 

もし歴史通りに進んだなら、俺がいない以上サイヤ人は滅んでしまったのか。

 

もうひとつエネルギーを感じる。これは……ベジータか? ひどく弱っているが、もうひとつのエネルギーと同じく潜在的には莫大なエネルギーを秘めているのが分かる。

 

ふむ、ここは先人として若いのを助けてやるとするか。

 

「お前にこの俺を倒すことなど! 無理なんだぁ!」

 

体の大きさと相まって、消耗したサイヤ人二人では厳しいようだな。

 

「無理とわかっていても……やんなきゃなんねえ時だって、あるんだぁ!!!」

 

強い気持ちのこもった声だ。自然と応援したくなってくる。

 

「ぬお……!」

 

俺の体を使っている奴の腕がベジータもどきによって腕を切断されたのを感じる。

 

「俺たちに……不可能など、あるものか……!」

 

『その通りだ。サイヤ人に不可能など──ない!!!!!!』

 

「「な……!?」」

 

驚く二人のサイヤ人。

 

ようやく状況を理解できてきたぞ。俺の体を勝手に使っていたのはフリーザ一族のクウラか。なるほど大したパワーだ。死にかけた体をビッグゲテスターに取り込ませてパワーアップを図っていたようだな。

 

──しかし残念だが、この力は俺のものだ!!

 

『おおおらあああああああああああッッ!!!!!!』

 

巨大なパワーを秘めたクウラの核を中心に、俺はビッグゲテスターそのものを奴のエネルギーを利用して取り込んでいく。

 

「な! なんだ! どういうことだ!!」

 

混乱するクウラ。それもそうだろう。今の今まで俺の存在などビッグゲテスターに記録された情報のひとつに過ぎなかったのだから。

 

しかしクウラよ、貴様と俺とでは気力が違う。

 

『おおおおおお!!!!』

 

「こ、今度はいったいなんだってんだ!?」

 

俺の姿が徐々に形を成すに連れて、外の様子が確認できるようになってくる。

 

かつてクウラだった頭の一部は、突如形成された俺の腕によって握りつぶされた。

 

そうか、あの声は悟空か。そして彼が支えているのはベジータの息子だろう。……そうか、サイヤ人は滅びたか。

 

一抹の寂寥さを感じつつ、俺はビッグゲテスターの大部分を宇宙空間へとパージする。

 

無論、中にいた二人は俺が保護した。

 

二人のサイヤ人を抱えた俺は、力尽きた二人が自由落下しないように支えた状態で地上へと降りていく。

 

「え、だ、誰ですか?」

 

「何者だ……」

 

データと照合し、降りた場所にいた連中を解析する。

 

ひとりはナメック星人。周囲にいるナメック星人と比べて遥かに図抜けたパワーを所有している辺り、彼がピッコロか。他には悟空の息子の悟飯。悟空の親友であるクリリン。悟空の師匠である亀仙人にウーロンまでいる。

 

ううむ、かつて物語として見てきた人物らを目前とするのはなんとも感慨深いものがあるな。

 

ピッコロは流石に俺を警戒しているな。無理もない。今の俺の姿はどこかメタルクウラと似かよった全身メタリックのピカピカなのだから。

 

出来れば生身が欲しいのだが、現状では材料が足りん。肉が食いたいところだな。

 

「俺か。ふむ、お前はベジータの息子か?」

 

仙豆を食べて回復したベジータへ尋ねる。警戒心だけを向けていた彼だが、俺の言葉に反応し次いで俺にある銀色の尻尾へと注目する。なんだ、気がついていなかったのか。

 

「まさか……サイヤ人なのか……?」

 

「一応、な」

 

「あれぇ? でもベジータ、前に生き残ったサイヤ人は、俺のにーちゃんとあのつるっぱげの奴しかいねえって言ってなかったか?」

 

ベジータ、俺、悟空の順番である。

 

「……そうだ。そして今では、俺と貴様だけが純粋なサイヤ人だ。貴様は一体何者だ?」

 

父親の存在を出しただけありベジータの警戒心は先程よりも上がっているが、同時に抑えきれない好奇心が顔を覗かせている。

 

「俺の名はロマネス。かつてお前の父親と同じくサイヤ人の王を目指し、夢敗れながらも何故か生き延びた男さ。まあ、まだ諦めちゃいないがな!」

 

「おいおい」

 

「ふん、サイヤ人の王子である俺を差し置いて何を抜かしてやがる……!」

 

仙豆で回復したこともあってか、意気軒昂とばかりに体内エネルギーを高めるベジータ。それを察してか早速悟空が止めにかかってくれているが、俺と彼では水と油だ。絶対に相容れることはないだろう。

 

「今回は特別に見逃してやる。いずれその王位を簒奪してやるから、精々修行して力をつけるんだな」

 

「言わせておけば……!!」

 

「ちょ、ちょっと待てよベジータ!」

 

悟空が止めてくれている間に、俺は空へと飛び上がる。挑発した自覚はあるからな。

 

「また会おう、孫悟空。そしてベジータよ」

 

不敵に笑みだけを残し、俺は宇宙へと飛び出す。普通のサイヤ人ならば死んでしまう環境も、機械で構成された俺の体には何の問題もない。

 

──さて、それじゃ地球へと向かうとするかね。

 

俺はごく近い内に再会して驚くであろう連中の顔を想像しながら、真空の宇宙を地球へ向けて飛び立つのだった。

 

◇▫️◇▫️◇▫️◇▫️◇

 

【おまけ】

 

──数ヵ月後──

 

 

「おいベジータ! なんだあの化け物は!!」

 

「知ったことかぁ!!」

 

次に会った時は命のやり取りをする時。そう思っていた俺だが、俺はベジータと共闘せざるを得ない状況に陥っていた。

 

あれから修行を繰り返し、以前よりも遥かにパワーアップしたベジータだったが、それと同じ程度の強さを持つ俺と悟空の3人がかりでも勝てないほどに目の前の男──伝説のサイヤ人ブロリーは凶悪だった。

 

時折悟空を介して挑発してやったおかげでベジータのプライドを散々くすぐることができたからか、思わず俺も悟空も戦意喪失しそうなほどの強さを誇るブロリーを前にして、ベジータだけが心を折らずに立ち向かっていた。

 

すでに未来から来たというサイヤ人、ベジータの息子であるトランクスや悟空の息子である悟飯は気絶している。二人とも素晴らしい潜在パワーの持ち主だが、少々相手が悪かった。

 

今はメタルロマネスに避難させているが、これは早々にこの星から脱出させてやった方がいいかもしれない。

 

……くそ、この星にはまだ生き残っていたとかいうサイヤ人の確認と、この機会に王位簒奪をしに来たというのに、とんだ災難だ。

 

「だがまあ、腐ってもいられん、な!」

 

超圧縮したエネルギー弾をブロリーへと叩きつけ、さらに連続でエネルギー弾を放ちつつ距離を取る。

 

「言うまでもないことをのたまうな! ファイナルフラーッシュ!!!」

 

爆煙による目眩ましの効果もあったからか、ベジータ最大の必殺技が星を削りながらブロリーへと襲いかかる。

 

──しかし、爆煙の向こうから現れたのは無傷のブロリーだった。

 

「今のはなんだぁ?」

 

「おいおい……!」

 

「ビッグバンアタック!!」

 

思わず引いてしまう俺とは対照的に、ベジータは間髪いれずさらなる必殺技を繰り出す。しかしブロリーはそれをも片手で弾き、ベジータの首を掴んで巨大な壁面へと叩きつけ盛大にクレーターを生み出す。

 

「ぶった切れろぉ!!」

 

ベジータへとどめを刺そうとするブロリーへ、俺は手に形成したクウラの部下の技、サウザーブレードでブロリーに切りかかる。

 

しかし、高速回転するチェーンソーのごときこれならば或いはと思った俺の願いも空しく、ブロリーは俺の腕ごとサウザーブレードをもぎ取る。

 

「がッ……ッ! この、化け物めぇ……!」

 

少しでもダメージになればと蹴りで無防備な首を狙うがブロリーはびくともしない。むしろ俺の言葉に笑っている。

 

「俺が化け物? クックク……違うな、俺は悪魔だあ!」

 

「ごあっ!?」

 

悟飯に言われた言葉が気に入ったのか、自らを悪魔と自称するブロリーは巨大な緑のエネルギー球を俺に叩きつけ、その半身を消し飛ばす。

 

とはいえ散々に追い詰められてなんだが、俺はまだ諦めていなかった。何故ならば、この場には悟空がいるからだ。

 

残った片目から空に見える、グモリー彗星に匹敵するほどの巨大な元気玉が落ちてくるのを見届けながら、俺は瞬間移動を使ってその場から避難した。

 

 




書き殴った。以上

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