海底都市の管轄保護区   作:片椅子

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前線部隊を目指して白海を走るレフェルとエストレープ
右目を失いふらふらしつつも影から告げられたタイムリミットは、首の鎖が消えるまで
行くしかないという思いが、今の自分を保つ最後の希望だった


前線部隊と黒海の夜

「…あれかな〜」

『皆…だ』

「って、俺の事知らないよね…」

『挨拶しないとね』

「今きみ話せないし…それとなく伝えて…」

『分かった』

地下深く、明かりのみで照らされた黒に近い足元は滑ったりしたら奈落のそこまで落ちそう…

レフェル君は上手く滑って下で休憩している前線部隊に寄っていく

「………」

何かを話してるけど…聞こえない

と言っても、怪我してる状態じゃ話なんて聞いてくれそうもないけど…

しかもまだ痛みが引いてないし、片目の訓練なんかしてないだろうし…

「………!」

あ…戻ってきた

「………っ!」

レフェル君が俺に突進するかというほどの勢いで走ってくる

目の前まで来ると急いで紙に描書いて見せてきた

『元々この部隊に配属される予定だったし、戦力外だったら切り捨てていくからっていうのを条件について行ってもいいってさ』

「おー、よかったね」

『うん!』

「じゃあ行くか」

 

 

 

 

「えっと、ぜ、前線部隊へようこそ!」

「あ…よろしく?」

前線部隊の隊長とやらは猫目が特徴の細っぽいやつで、タルテットと名乗った

見た目はレフェル君より少し高いくらいで、弱そう…

「え、えっと…レフェル君のことは知ってるよ!

でも…まさかレフェル君がこんなにぼろぼろなのはボクも見たこと…ないよ」

『…戦力になれなくてごめん』

「あ、ううん! レフェル君が負けちゃうくらいの敵がいるんだよね?

その情報だけで十分ありがたいから大丈夫だよ!」

「…」

「あ、犠牲になって嬉しいとかじゃないからね!?」

「もしそうなら殺す…」

「ひっ…ご、ごめんなさい!!」

「あはは、なんて冗談

…じゃないから覚悟しとけ」

「は…はいぃ」

「…で?この遠征はどこまでもぐるの?」

「あ、はい

今向こうでレスフィールが見てきてくれてます

何かあったらすぐに戻って来るはずなので、その時海底生物なら戦闘をします」

「その子1人で平気?」

「…むしろ1人の方が強いです」

「そ、そうなのか」

「普段は静かでとっても可愛くていい子なんだけど…

ここに来てからは何故か性格が変わっーーーーーひっ」

「…どした?」

「あ、…いや、レスフィールが戻ってくる」

その声と同時にすっ、と風を切る音がした

その方向に目を向けると、小柄で腰まである長い髪

そして、一瞬だけ俺たちに向けられたその瞳は暗く

けれど、タルテットに見せる表情は、どこか慈愛に満ちていて、けれど彼は気づいていない

「おかえり、レスフィール

どうだった?」

「…私、向こうで一体も海底生物を

見なかったわ」

『…それはどういうことなのかな』

レフェル君が紙を見せてくる

「…ここって結構深いよね?

海底生物がいないなんてことあるのかな」

返事をする

小声で話していたから特別話が向こうに聞こえた訳じゃないけど、

どうしようか、とか声が聞こえる

「ひとまずはこの先にある第10防壁地帯まで行きた…あ、れ?」

「…タルテット?」

「…何で、みんないないの?」

「え…?」

「ボクとレスフィール、レフェル君に、エストレープさん

その他のメンバーが誰もいないんです…ほら、後ろにいたのに」

「俺達の後ろには数人いた…よね」

「物音を立てずにさらわれた?

…レスフィール、何かわかる?」

「…そうね、隠密特化の海底生物は腐る程いるけれど、前線部隊が気づくまもなく全滅…なんていうのは今までは無いわ」

「ここって危険だったりするのかな?」

「そうですね…ひとまず先に進みましょう」

「…了解」




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