第3捜索隊が初の任務でまず到着しなければいけない地点である第2防壁地帯… しかし…
「誰もいない…?」
本来防衛を任されているはずの兵士もいなければ、先程送った部隊のメンバーもいない
「…おかしい、遅れたとはいえ最短ルートを通ってきたのに」
仕方ない、今は一旦報告に戻るか…
「……っ!」
突然背後から影が現れ僕の事を掴もうとする
即座に回避し、そのまま下の防衛地帯の方へ走る
壁から少し顔を覗けば、影は人の形をしていた
………人?
服装が違えば体つきも違う
僕の国でも、強国の人間でもない…
そう警戒していると、それは近づいてきた
必然と僕は武器を構える
対生物とは言え人を殺すことも可能な武器だ
当たればひとたまりもない…はず
「…なっ!?」
思わず声が出た
いない…ずっと目を離さずにいたのに
そこからは、影が消えていた
「…どこに」
辺りを見渡すも何一つ気配を感じない
人の感知を抜けて物音を立てずに移動した
「(…本当に人か?)」
ここは海底地下都市
何が起こるかなんて誰も分かりはしない
人になりすました海底生物がいてもおかしくないんだ
それにすでに海底生物は人を数多く食らっている
姿を覚えていることも十分考えられる
「………」
この地点には海底生物が入って来ているわけではない
…なのに、誰もいないという状況
さっきのやつが何か関係している?
「何か………」
すっと
それは現れた
「…え」
後ろから、『また』だ
「………お前、生きタイ?」
「………は、……あぐっ!」
僕の二倍はあるだろうか…
黒い影を纏った何か、すぐさま僕を突き飛ばす
衝撃と対応の遅れで地面に体は投げ出される
僅かな痛みの中、なんとかたち直して上を見上げると
同時にその影の中から鋭利な爪のある腕を出す
……それは僕の喉元に向かって腕を振り上げられ、
腕はは弧をを描き、速かった
「…ぁ…かふっ、…ぅ、…あ」
僕は避けることも出来ずに攻撃を受ける
つぅ…っと首元に傷が横線に開いた
血が少しずつ流れていく
痛みで息が出来ない
…腕の爪先には赤い、今僕の喉元を裂いた時の血が付いていた
座り込むことも出来ず、ふらふらとする意識と、ぴりびりとする感覚もあって、やがて目の前が霞んでくる
敵はまだいる
目を擦ろうと腕を動かそうとするが
動かない
……さっきの、感覚は、きっとあの爪には何か作用があったんだ
だめだ…本当に、何も…
「…ガ、…ヅイテ………イチ、ド
…ル」
「………?」
聞き取れない…
ただ、もうその時には、僕の視界からは、何も捉えられなくなっていた
「………っ」
追撃がある訳でもなく、影はただ僕を見下ろしていた
僕では勝てない敵が見下ろしていた
「…(報告、しないと…)」
僕の意識は、ゆっくりと闇に沈んでいった…
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