海底都市の管轄保護区   作:片椅子

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かつて見ない事を望んだこと

「あぁ、来たんだね」

影はやたら丁寧な動きで振り向いた

「ざっと100人くらい連れてきたけど…そもそも人数聞いてないんだよね〜」

「はは、そうだっかな?

まぁいいさ、足りなくなったらまた任せるからね」

「…え、っと、これから何をするの?」

「それは見届けさせてくれるのかしら?」

「うん、もちろんいいよ

ここまで協力してくれたんだ、見たくなる気持ちは分からなくはないからね!

………ああごめん、君の気持ちは尊重できないよ」

「さぁ!儀式の始まりさ!」

 

 

 

 

「これが終わったら…全てが上手くいくよ」

微笑んで、影は笑った

 

 

 

 

 

人々を殺し、その流れた血が地面を辿る

「良かった…どうにか足りたみたいだ」

「…それは良かった」

「じゃあ、見せてあげるね」

 

『甦れ、さすれば訪れるだろう

悲しき運命を辿りし「ヘルメイア」

今ここに生まれ落ち、生前の糧を生贄に生成せよ』

「…」

 

 

…物語としては、不十分だった

だから君は行ってしまった

『影』の自分は、魂まではここに封じ込められない

だから、この時を待っていた

 

 

「おかえり、ヘルメイア」

「…なぜ?」

「僕は君をずっと待っていた」

「…私は死んだのよ?」

「そんな事…どうでもいいさ」

「………その為に、この子を犠牲にしたの?」

「…」

「あなた達…」

「は、はい」

「この子…もう遅いわよ?」

「…え」

「…そうね、それを黙っていたのね」

「な、それは…」

「…教えてあげる

影…アバストレーク

この子は私のかつての仲間」

「…仲間?」

「ええ、私はヘルメイア

この地がまだ地上にあったとき…

共にこの地で生きていたもの」

「この地は…地上にあったって?」

「…そう、あなたたちはこの場所がどう出来たのか知らないのね」

「ええ、…私たちは何もしらないの」

「なら、教えましょう

この地が…どう出来たのかを…」

 

 

 

海底地下都市…

それは地上で戦争が起きていた頃の話よ

私、ヘルメイア・ニルクロークは東の国との戦いをしていた

私を含めた西の国の者は、いくつか班を作り、別働隊で動いていたの

その時の同じ班だった者…それが彼

アバストレーク…

そして、彼の妻…シーク・ニスティアーナ

当時幼かったシーク・レティレンディ

…私達は、戦って負けたのよ

私は死に、妻も死んだ

その時ね…アバストレークは、あまりの悲しみに耐えきれなかった

彼は…当時中立国の科学者たちの所へ行ったわ

そして、そこで禁忌の術を教わった

…まず地上に穴を開け、そこに呪いをかけたの

外側からは、中が見えない呪いを…

そして、その時の余波で生まれたのが

海底巡回兵生物…そして彼らたちも利用されたのよ…全て、アバストレークに…

人間を襲うように仕向け、その血を私の蘇生のために使うため…

そして、いつの日か、彼自身も死んだ

…肉体を求め呪い彷徨う影となって

この子は…本当に残念ね

アバストレークは、この子の精神を破壊して乗っ取ったのよ

…離れる気もなさそうね

さぁ、分かった?

アバストレークの為に過ちをこれ以上起こしても、なんの意味も無いの

…私は死ぬ

それで終わりにしましょう?

 

 

 

「…どうしてもなの?」

「何度言えば分かるの?

アバストレーク…貴方もその子を返してあげなさい」

「…」

「そう、その姿が1番いいよ」

「…だって、これは成れぞこないの体だもの」

「いいえ、影としてでも、この子としてでもない、今の姿が1番あなたらしい」

「…そう、か」

「ね、だから分かって?

こんなことをしても意味は無いの」

「…でも!まだあそこにはレティがいるんだ」

「いいえ、あの子は死んだはずよ?」

「…っ」

「…私達、全員死んだじゃない

もう、長いときがたった、レティも人の子

…生きていないの」

「じゃあ…僕は!」

「認めなさい!」

「…」

「出来ないことはいつまでも叶わないものよ

迷惑をかけたの、謝りましょう?」

「…ごめんなさい」

「ほら、じゃあもう行こうよ」

「…うん」

「あなた達?」

「…」

「この子は返します…私の為にして下さったこと、感謝しています

…どうか、忘れて下さい」

「…そう、か」

「…さようなら」

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