東方博麗伝説   作:最後の春巻き(チーズ入り)

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やぁやぁどうも、春巻きですよー。
ちょっと遅くなっちゃったけど投稿の時間ですよー。

予告通りに博麗伝説の最新話は図書館のお話しですよー。


巫女、図書館

 本とは素晴らしいものだ。

 知識を深めたり、文章を読んで感動できたりと、本の数だけ一つ一つの物語が存在している。

 

 特に童話は素晴らしい。

 童話は面白い。子供向けに作られた内容ではあるが、深く読み進めると、その内容の裏には教訓などが隠されている。

 例えば、有名な童話の『白雪姫』を例に挙げる。

 あの物語は、可憐な美少女である白雪姫が、意地悪な義母に追い出され、森で七人の木こりに拾われ、魔女に騙されて、毒のリンゴを食べて、覚めない眠りに付いてしまう。しかし、そこにさっそうと現れる王子様のキスによって、目を覚まし。そのまま王子様と結婚して幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。……そんなお話だ。

 私はこの物語に疑問を抱く。もしも、もしもの話だ。

 義母に追い出され、七人の木こりに拾われたが、もしも木こり達が鬼畜だったらどうするのだろうか? どうして身も知らない魔女から渡されたリンゴを食べてしまったのか? 王子とはいえ、知らない男に唇を奪われたのに、そのまま結婚までしてしまったのだろうか?

 私には白雪姫が、無知ゆえに流されて生きているようにしか思えないのである。

 もしも私が彼女ならば、七人の木こりを最初から信用して一緒に住んだりしないだろうし、魔女の渡したリンゴも食べない。仮に王子のキスで眠りから覚まされたとしても、寝込みを襲った野郎とは絶対に結婚しない、むしろ助走をつけて全力で殴る。

 心根の優しいものは幸せの方から寄ってくるとも、見て取れる話ではあるが、私は別の解釈をしている。

 心優しいが故に人を疑うという事を知らず、人を疑わないがゆえに、自分の身に差し迫る危険に気付く事が出来なかった少女の、無垢で純粋であるが故の危機管理能力の欠如。

 穿った見方かもしれないが、私にはこの白雪姫という童話は、白雪姫という少女の危機に対する無知が描かれているのではないのか? と、考えるのだ。賛否両論もあるかもしれないが、少なくとも私はそう考えている。

 そもそもの話だ。白雪姫が義母が自分を疎ましく思っているという事に気付けたならば、何かしらの対策を取る事も出来ただろう。義母と面と向かって話し合い、お互いの腹の内にあるものを全て曝け出して語り合えば、もしかしたら、二人の間にちゃんとした絆が芽生えたかもしれない。……白百合姫的な話が始まったかもしれないのだ。それを思うと本当に残念でならない。

 兎にも角にも、童話には考えさせられるような、様々な教訓を得られる話が多いのだ。

 

 また、外国の童話以外にも、日本の昔話などにも面白い話が沢山ある。

 有名所を出すならば『桃太郎』や『鶴の恩返し』などだろうか? 桃太郎からは、正義は必ず勝つという、勧善懲悪。鶴の恩返しからは、良いことをすれば、自分に返ってくるという善因善果などの深い教訓を得ることが出来る。

 

 色々な物語があり、その物語に応じた教訓があるのだ。それらの教訓は、成長過程にある子どもたちの人格形成に役立ち、将来どのような人物に成長していくのか、という基盤にもなるだろう。

 私自身も、小さい頃はよくゆかりんに読み聞かせしてもらっていた。カチカチ山や金太郎などの日本昔話、外国の赤ずきんちゃん、不思議の国のアリスなど、色んな本を読み聞かせてくれた。

 最も私の場合は、最初っから人格がクライマックスだったので、影響もクソもなかったんだけども。……むしろ読み聞かせの内容よりも、ゆかりんのおっぱいの記憶しか無い。絵本なんて眼中になかったんや。本より乳なお年頃だったんだよ。

 いやーあの頃は、覇王モードぱいせんもいなかったから、結構自由に行動してたなー。揉んだり抓んだりするのは当たり前、吸い付くことだって出来たんだから。……ちなみに、美味しかったけど、ミルクは出なかった。出なかった。

 

 何かスマンね、少し脱線してしまったよ。

 まぁ、何やかんや色々と絵本素晴らしいって語ったけども、つまり私が何を言いたいのかーー

 

「霊夢、霊夢! この本読んでっ!」

「早くしなさい霊夢っ!」

「こらこら、慌てずともちゃんと読んでやる」

「「わーい!」」

 

ーー本、最っ高っ!

 

 だって読み聞かせを始めたら、すんごい勢いで幼女が寄ってくるんだもの。

 私に本を渡しながら、読んで読んでと抱き付いてくる吸血鬼姉妹の姿にほっこりするついこの頃です。押し付けられた、幼女のちっぱいの感触が大変心地良い。幼女特有の体温の温かさもあって、そのままベッドインしたくなっちゃうよ。……じゅるりじゅるり。

 

 さて、いつもの大興奮ド変態霊夢ちゃんはひとまず置いといて、可愛い可愛いスカァァァレッツシスタァァァズに御本でも読んであげようねー。

 霊夢お姉さんが読み聞かせしてあげちゃうからねー。じゃけん、私の膝に、ハァハァ、私の膝の上に、ハァハァ、その小さなお尻で、ハァハァ、座っちゃいましょうねー、ハァハァ。

 

「ちょっとフランっ! もう少し左に寄ってよ! 貴女だけ幅取りすぎよ!」

「お姉様の方がいっぱい場所取ってるよ! フランは絶対動かないんだから!」

 

 あ、あぁぁぁぁぁ! 私の膝で暴れないで、暴れないでよちょうだいスカーレッツ! わ、私の膝にダイレクトに貴方達の可愛らしい桃の感触が、感触がががががっ!?

 私の膝の上で繰り広げられる吸血鬼姉妹のキャットファイト。お互いに、膝の真ん中に行こうと左右からギュウギュウと詰めてくる。そのため、私の膝に伝わってくるのはダイレクトな桃の柔らかさ、動けば動くほどに体温が上がっていき、姉妹の熱量が私の心にあるバベルの塔に火を灯し、理性という名の鎖を砕こうとしてくる。

 正直、興奮のあまりこのまんま、二人をこの場でおかs……キャッキャウフフしたくなるね(必死の誤魔化し)!

 

「落ち着けレミリア、フラン。……ほら、こうすれば二人共ちゃんと座れるだろう?」

 

 あのまま放置してたら、何時までもキャットファイトしてるから、賢くて最高にクール(笑)な私は、二人を確実に仲裁できる手段を取る。

 二人のお腹に手を回し、シートベルトの様にしてから、膝の上に固定する。そして、回した手をそのまんま、前に持ってきて本を手に取ってしまえば、完成である。

 名付けてっ! 博麗霊夢のぉぉぉ! 抱っこ椅子ぅぅぅ! 私が全身で包み込むように貴女を抱え込むだけのシンプルな座法だぁぁぁ!……ひねりもネーミングセンスの欠片も無いとか、そんな冷たいこと言ったらいけない。博麗の巫女の心はボロボロの発泡スチロールをギリギリで砕く程度の耐久度しか無いから、すぐに泣いちゃいます。うえーん(棒)。

 

「あ……うぅ」

「うぅーうぅー」

 

 借りてきた猫の様に大人しくなったスカーレッツ。

 何でか知らないけど、私が抱え込んだら、大体のおんにゃのこって今の二人みたいに、カチコチに固まってほっぺを赤くしちゃうんだよね。

 この前、怒ってるのかと思って膝から下ろそうとしたら、凄い絶望的な表情で涙目になっちゃったから、基本的に膝に誰か乗っけたら、かなりの時間乗っけたままにしてるんだよねー。

 鍛えてるから別に疲れるってわけじゃないし、良い匂いするし、お尻の感触気持ちいいから私としては役得だから別に何時までも乗ってくれてて構わないんだけども。……私にバベルがあったら、抱え込むと同時に、彼女たちの秘密の花園にブツをねじ込んでいただろう。

 

「はぁ、全く世話の焼ける」

「人気者は大変ね」

 

 吸血鬼姉妹を落ち着かせて一息ついたところで、私に話しかけてきた者がいた。

 この図書館……紅魔館、ヴワル魔法図書館の司書を務めているパチュリーである。彼女はいつも通り、無表情で気怠げな雰囲気を醸し出している。……ダウナー系の美少女って何もしてないのにエロく感じる不思議。

 パチュリー……パチュリー・ノーレッジ。先程も言ったばかりだが、この紅魔館のヴワル魔法図書館の司書を務めている魔法使いの少女である。

 長い紫髪の先っぽ部分をリボンでまとめており、瞳の色は髪と同じ紫色。気怠げな雰囲気が彼女の魅力を引き立てる。

 服装は、紫と薄紫の縦縞が入ったゆったりとした服装を好んで着ており、更にその上から薄紫の服を重ねて着ている。また、頭にはドアカバーにも似たナイトキャップを被っており、ナイトキャップには三日月の飾りが付いており、彼女の魅力をより一層引き立て、まるで月の女神の様な神秘的な美しさを醸し出す。身に纏う服の各所には、可愛らしいリボンがふんだんにあしらわれており、大変可愛らしい。……脱がしたい、というか脱げよ。

 ぶっちゃけ、見た目的には寝間着にしか見えない。……寝る準備(意味深)は万端だってか? このやらしい娘め。

 冷静沈着にして、他人にあまり関心がないタイプの魔女っ子。本が読めれば幸せだと言い切る重度の引きこもり。知識人と呼ばれているだけに、かなり理屈っぽく、書物から得た知識から考察、行動する事が多い。……後、何故か私に対して微妙に辛辣で罵倒してきたりする事が多い。この前なんて「このッ唐変木ッ!」って言われて、本の角で脳天をぶっ叩かれた。……うん? ご褒美かな? かな?

 精霊魔法に長けており、それを使った属性魔法を操る。東洋で言われているところの五代元素、地・水・火・木・金に加えて、日と月という希少な属性も操れるため、魔法の腕はかなりの物。魔法という一点だけで見るならば、現段階で彼女以上に優れている存在はいないだろう。

 そして、私が色々と修行させたため、本を武器とした体術にも優れている。これにて近接戦もある程度はこなせるスーパーヒッキーの出来上がりである。……此処まで来るのに、パチュリーは何度も何度も私のシゴキ(意味深)を受けちゃったね? あの時の君の嬌声とか身体の感触は絶対に忘れない! 私の頭にある思い出フォルダーに完全保存してから、複製して複製して複製しちゃったからね!

 

「パチュリー……何だ、羨ましいのか? 代わってやってもいいぞ?」

「嫌よ、人気者なんて。疲れるし、何よりも五月蝿いのは嫌いよ」

 

 あーやだやだと片手で頭を抑えながら、首を左右にフリフリする、パチュリー。その仕草は妙に様になっていて可愛らしい。

 パチュリーはどっちかと言えば、静かなところとかが好きだからね。周りが五月蝿くなるのは嫌なのだろう。

 

「それよりも霊夢、図書館を利用するならもう少し静かにして欲しいものね」

「私に、ではなく、この二人に言ってほしいものだな」

「アハハ、ごめんねパチュリー」

「ちょっと騒ぎすぎちゃったわ」

 

 ちょっと罰が悪そうに笑っているフランと。済まし顔でふんすっとした態度を取るレミリア。

 姉妹でも性格に違いがあるのは面白いよね。素直で無邪気なフランに、ちょっと大人ぶってて生意気なレミリア。どっちも尊くてお姉さん沢山甘やかしたくなっちゃうよ。……具体的に肉体言語でのキャッキャウフフで。

 

「まぁ反省しているのなら別に良いんだけど……それで、何をそんなに騒いでいたの?」

「霊夢に絵本を読んでもらおうと思って!」

「お願いしていたのよ!」

 

 二人でお気に入りであろう絵本を掲げて見せる。一冊の本を両側から二人で持つという仲良し姉妹特有のあざとすぎるコンビネーションである。……可愛すぎかよ、忠誠心出そうだわ。

 

「絵本って……子供じゃあるまいし」

「私はまだ五百歳よ」

「フランもまだ四百九十五歳だよ?」

「……ちなみに霊夢は?」

「十四だな」

 

 待ってパチュリー、嘘だろお前、みたいな目で見ないで、地味に傷ついちゃう。

 そうだよ、私はまだまだ思春期真っ盛りのティーンエイジャーだよ。花の十代だよ。恋に恋するお年頃なんだよ。

 そりゃあ、見た目はそんじゃそこらの大人にだって負けてない圧倒的なスタイルを確立しているけども、これでも十四歳なんだよ。スタイルだけだったらゆかりんとか幽々子ちゃんとか、幽香とかえーりんとかに匹敵してるけど、十代の成長期なんだよ。……最近、胸元が重たくなってきたから、確実にバストがアップしてると思う。やだ、私成長し過ぎぃ。

 

「霊夢が年齢詐称レベルな見た目なのはともかく。……レミィ、それにフランも、五百年近くも生きている吸血鬼が、自分の五十分の一しか生きていない人間に甘えるのって恥ずかしくないの?」

「あら、甘えるのに年齢なんて関係有るのかしら?……それに、霊夢に甘えられるならプライドなんていくらでもかなぐり捨ててあげるわ」

「霊夢お母さんみたいだから、フラン全然恥ずかしくないよ!……ほ、ほんとのお母さんになってくれないかなぁ」

 

 パチュリー何気に私に対して辛辣すぎないかなぁ。美少女からの罵倒ならむしろご褒美だから甘んじて受け入れられるけども。

 最後の方は聞こえなかったけど、レミリアの言っていることは正しい。甘えるのに年齢は関係ない、と私は思っている。幻想郷の重鎮とか、結構な年数を生きている妖怪達って世間体とか色々気にしすぎてあんまり甘えてくれないのよね。ゆかりんとか、幽香とかは特に甘えてくれない。

 私としては抱き締めてあげたりとか、頭を撫でてあげたりとか、膝枕とかしてあげたりとかして、ベロンベロンに甘やかしたりしたいんだけどね。……ふ、深い意味はないよ? け、健全な意味でですよ?

 そしてフラン、今日から私がお前のマミーだ。存分に甘えてくれて良いよ。お料理作ってあげたり、本を読んであげたり、一緒のお布団で子守唄を歌ってあげよう(慈愛)。ところで、私がフラン達の母親になったとしたら、名前って霊夢・S(スカーレット)・博麗になるんかね? 知らんけど。

 

「フランは良いとしても、レミィはもうダメね。手の施しようがないわ」

「ふんっ、甘え下手のパチェには言われたくないわね」

「だ、誰が甘え下手よ! レミィ、勝手なことを言わないで頂戴!」

「私、知ってるわよ? 前にパチェが物憂げに「……霊夢」って呟いているのとか」

「し、知らないわよ!」

「フランね。パチェの部屋の前通りかかった時、「あっ、霊夢。そこはっダメッ! あんっ!」って苦しそうに霊夢の事呼んでたの聞いtふにゅっ!?」

「フラン、それ以上は言わないで頂戴、ね?」

「ふぁ、ふぁい」

 

 私を放っておいて何をコソコソと秘密のお話をしているんだね?

 取り敢えず、パチュリーが私と戯れたいという事だけは理解したよ。そういうわけで……。

 

「きゃっ!? ちょっと霊夢! いきなり何をするのっ!?」

 

 はいはい、三人目入りまーす。

 丁度真ん中辺りにスペースを作って、パチュリーも抱え込む。パチュリーもレミリアやフランと同じか、少し上程度の身長しかないから、抱え込むのに何の支障もない。流石に、レミリアとフランとパチュリーと三人抱え込んでいると、大分キツキツ感というか、狭い感じはするけど、そこら辺は私の腕でしっかりと固定して抱えてしまえば問題はない。

 そんな事よりも、流石はパチュリーその小さな身体に不釣り合いな立派なお胸様をお持ちですな。着ている服が大きめだから、そこまで目立たないけど、随分と大きなお山がある。それに身体はムチムチとしているワガママボディ。座っているだけだというのに、私の膝に吸い付くようにむっちりとした柔らかさを伝えてくる。……むしゃぶりつきてぇ。

 

「降ろして頂戴!」

「だが、断る。この私、博麗霊夢の最も好きなことは、お前達の可愛いらしい姿を見ることだからな」

「このっ、変態っ!」

「ふっ」

 

 ヤバイ、パチュリーからのご褒美のせいで、私の大事なところが危ないことになっちゃってりゅよぉぉぉ!

 簡単に言ってしまうと……イッちゃいましたね。これまた見事にイッちゃいましたね。下着が若干ベチャベチャしてて大変な事になっている。

 私が身に付けている巫女服が厚手のものじゃなく、薄手のものだったら、膝に抱えてしまっている少女たちの可愛らしいお尻も濡れ濡れにしてしまったかもしれない。

 特にパチュリーの被害は半端ないことになっていただろう。ちょうど真ん中に抱え上げている状態だし。位置的に私の花園と彼女の花園は重なってしまっているからね。もしもあのまま私が夢想封印ッッッってスプラッシュしてしまっていたら、私の花園から溢れ出た博麗霊夢が、パチュリーの花園へと侵略を開始していたに違いない。……薄手のッ! 薄手の服で来るべきだったッ! 博麗霊夢一生の不覚ッ!

 

「はぁ、もういいわよ。……それに貴女、一度決めたらテコでも動かないしね」

「良く分かっているじゃないか」

「それで、何を読み聞かせするのよ?」

「これだ」

「『レミリアとフランドール』?……私の知っているタイトルと微妙に違うのだけど?」

「当然だ。この本は私の手書きだからな」

 

 可愛らしいスカーレッツのおねだりには勝てなかったよ。

 私が知っている童話とか昔話の内容を元に、フランやレミリアを主人公にして話を作ってみたのである。イラストやら何やらまで全部手描き、本の材質やら何やらにも気を遣いましたとも。

 本の紙は樹齢うん千年にもなる木を使用し、革には前に異世界から侵略してきた魔龍の皮を使用した。そして、空気中に飛び交う魔素を自動的に吸収して、自己修復機能も付与してみた。

 折れず、曲がらず、破れず、潰れず、燃えず、濡れない、まさに究極の絵本。そんじゃそこらの魔法書よりも高性能な絵本が誕生したのである。……材料の無駄遣い? 知らんな。

 私のモットーは、美少女イズマイライフだ。美少女の笑顔、美少女の喜び以上に大事なものなど存在しない。美少女のためなら、この命すらチップにするのに何の躊躇いもない。ビバ美少女ッ!

 

「ちなみにレミリアとフランドールは、見ての通りフランとレミリアを題材にしたものだ」

「本当、呆れるくらい何でも出来るのね、貴女は」

「何でもは出来ないさ、私は私が出来ることしか出来んよ。……最も、出来ない事の方が少ないがな」

「……その自信は何処から来るのかしらね」

 

 だって(博麗霊夢)は幻想郷最強ですし、お寿司。これぐらいは出来て当然でしょうよ。

 私の上に人は無く、私より先にも人はいない。唯一絶対の頂点として、この幻想郷に君臨しているのが(博麗霊夢)だ。

 (博麗霊夢)は誰にも負けないし、誰にも劣らない。それが真理であり、絶対の法則。……つまり、(博麗霊夢)以上に幻想郷を守護できる者もなく、(博麗霊夢)以上に幻想郷の平和を維持できる者もいないのだ。

 

――私の足元までは許そう。だが、私よりも上に立たれるのは我慢ならない。

 

 それが例え、彼女たちの誰かであっても。私より上に立つことは許さない。

 何故なら(博麗霊夢)は最強に、この幻想郷(世界)で最も強い存在でないといけないのだから。

 

 まぁ単純に、私よりも優れている存在がいるのが気に入らないから、色んな知識を集めたり、身体を鍛えたり、技術を磨き上げたりとかしているだけなんだけどね。

 だって、何でも出来る完璧超人って女の子的にポイント高いでしょ? この幻想郷の美少女たちに注目されたり、ちやほやされたいから、最強のままでありたいんだよね。

 実際、私の最強とかいう肩書目当てで勝負を挑んでくる、可愛い娘って多いしね。

 お仕置きが目当てとか、罰ゲームが目当てとかそんな事実はない。ないったらない。……勝負中に服とかがちぎれ飛んだり、事故で見たり、触ったりしてしまう事は偶に有るけど。そんな卑猥な目的で勝負したりなんかしない。私、淑女アルネ、そんなイヤらしい事しないヨ。

 

「じゃあ、そろそろ読み聞かせの時間だ。……お話しの最中は?」

「「お静かに!」」

「これ、私も言う流れ?……お、お静かに」

 

 はい、よく出来ました。ではでは、ゆっくりとお話ししましょうかね。

 

 

 

ーー『レミリアとフランドール』ーー

 

 

 

 むかしむかし、ある湖の近くのお屋敷に吸血鬼の姉妹が住んでおりました。

 姉がレミリア、妹がフランドールです。二人は仲睦まじく、楽しく毎日を過ごしていました。

 

 しかし、ある日の事、突然の嵐が襲い掛かり、お屋敷が吹き飛んでしまいました。お金も食料も、何もかも一瞬で無くなってしまいます。

 

「見てフラン、私のお屋敷が吹っ飛んでるわ」

「何それ恐い」

「ちなみに、お金も食料も何一つ残っていないわ」

「何それも恐い」

 

 さぁて、困りました困りました。

 家が吹き飛ぶというあまりにも突然な悲劇に姉妹は、途方に暮れてしまいました。

 その上、お金も食べ物もありません。このままでは如何な吸血鬼と言えども、空腹で死んでしまいます。

 かと言って、山菜を集めたり、動物を狩ったりする事も出来ません。仮に食材を見つけても、調理する知識がありません。

 

「や、焼けば大抵のものは食べられるよね?」

「フラン、落ち着いて。その明らかにヤバイ色しているキノコを捨てなさい」

 

 フランが危ない色をしたキノコを食べようとしたり。

 

「見てフラン、このケーキ美味しそう」

「お姉様……それ石、だよ?」

「最近のケーキって固いし、味がしないのね」

「石、だよ?」

 

 レミリアが色々と末期な状態になり始めた頃。

 

「あ、あれは」

「建物だ! 建物だよお姉様!」

 

 森の中で、飲まず食わず(石は食べた)の日々を送っていた二人の前に、綺麗な鳥居を構える神社が現れました。

 漢字で博麗神社、と書かれている神社には人の気配はありません。どうやらこの神社に住んでいる人は留守のようです。

 

「ここの人が戻ってくるまで待ちましょう」

「そうだね」

 

 二人は待つことにしました。しかし、待てども待てども、神社の人は帰ってきません。

 姉妹の空腹に限界が差し迫っていました。そんな時の事です。

 

「あ、良い匂いがする」

「ご、はん」

 

 神社の方からとても良い匂いが漂ってきました。

 とっても美味しそうな匂いです。嗅いでいるだけで、お腹が鳴ってしまいそうな、美味しそうな匂いでした。

 

――きゅるるるるる!

 

 言ったそばから二人のお腹が鳴りました。空腹はもう我慢できません。

 

「お、お邪魔しまーす」

「お邪魔するわ」

 

 いても立ってもいられず、二人は神社に無断で入ってしまいました。

 

「こ、これはっ!」

「美味しそう!」

 

 台所についた二人が目にしたのは、とっても美味しそうなお鍋。

 グツグツと煮込まれた具沢山のお鍋です。キノコ、白菜などの野菜、タラや蟹などの沢山の魚介類が入った海鮮鍋です。見れば見るほど食欲をそそります。

 そして、その横にあった釜戸にはふっくらと炊かれたご飯がありました。ツヤツヤでお米がひと粒ひと粒立っている、とっても美味しそうなご飯。

 ごくりっと二人の喉が鳴りました。食べたらいけない、食べたらいけない、と考えるほどに食べたい、食べたいと食欲が湧いてくる。

 

「もう、ゴールしても良いよね?」

「い、いただきまーす!」

 

 もう二人は我慢なんて出来ませんでした。

 一心不乱に二人はお鍋を食べます。釜にあったご飯も全部全部食べました。米粒すらも残さず食べました。

 

「ふぅ、満足したわ」

「お腹一杯、もうフラン動けないや」

 

 お腹いっぱいになった二人は満足そうです。その場で、大の字になって寝っ転がり笑顔でお腹をポンポンと叩いています。

 そして、此処が人の家だということをすっかり忘れて、思い思いに寛ぎ始めてしまいました。

 

「おや、これはこれは可愛らしい泥棒だな」

「う、うーーっ!?」

「にょわっ!?」

 

 何てことでしょう。家の持ち主が帰ってきてしまいました。

 いきなりの声に、二人は素っ頓狂な声を上げて、お互いに抱きつき合いながら、声の方に振り返ります。

 

「き、綺麗」

「カッコイイ」

 

 そこにいたのは女の人でした。

 背がスラッと伸びてて、ボンッキュッボンッとスタイルも良い女の人です。後、強いです。最強です。

 

「私は博麗霊夢という。お前たちは誰だ?」

「私はレミリア、レミリア・スカーレット。それでこっちが……」

「フランは、フランドール・スカーレット」

「「吸血鬼よ(だよ)」」」

 

 レミリアはない胸を張って自信満々に、フランは可愛らしくにこやかな笑顔で言い切りました。

 

「そうか、どうして人の家に土足で上がり込み、勝手に食事までしたんだ?」

「じ、実はーー」

 

 二人は霊夢にわけを話しました。

 突然の嵐で、家が吹き飛んだということ。

 何日も何日も飲まず食わずで、森の中を彷徨っていたこと。

 運良く、この神社に辿り着くことが出来たということ。

 お腹が空き過ぎて、用意されていた料理を全部食べてしまったこと。

 

「ふむ、成る程な」

 

 腕を組み、何かを考えている霊夢。

 不安そうにレミリアとフランドールは霊夢を見ます。

 自分たちがいくら切羽詰まっていたとはいえ、霊夢には何も関係のないことです。勝手に霊夢のお家に入って、用意されていた料理を勝手に食べるのはいけないことです。

 この綺麗な人に怒られるかもしれない、と二人は不安でいっぱいでした。

 

「事情が事情とはいえ、お前たちが悪いことをしたというのは覆しようがない事実だ。これに対する罰は与えなければならない」

「そう、よね」

「フランたち、悪い子だ」

 

 咎めるように霊夢は言う。どんな理由があろうとも悪いことは、悪いこと、それに対するお咎めは受けなければならないと言う。

 それを受け、涙目でションボリとする二人。分かっていたことだけど、怒られるのはやっぱり悲しいものです。

 

「お前たちには私の虐待を受けてもらう」

「ぎゃくっ!?」

「たいっ!?」

 

 笑顔でそんな恐ろしい事を言ってのけた霊夢の姿にギョッとする二人。確かに悪いことをした、だけど罰が重すぎる。

 

「うぅっ!?」

「にゃっ!?」

「逃さないよ」

 

 咄嗟に外に逃げ出そうとした二人であるが。仲良く捕まってしまいます。

 ああ、これから自分たちはどんな酷い目に遭うのだろうか? 差し迫ってくる恐ろしい未来に絶望する姉妹。

 

「先ずは水責めだ」

 

 霊夢は、手始めに、二人の身に付けている薄汚れた服を剥ぎ取り、生まれたままの姿で熱く煮え滾ったお湯の中に二人を投げ込みました。

 そして、驚きで固まる二人の頭に、目に入ると途轍もない痛みが走る薬品をぶっかけ、ゴシゴシと擦り付けました。

 同じように、身体の表面を削り取るザラザラした布に、同じく身体の表面を削りやすくする泡を使って、彼女たちの柔らかそうな素肌をゴシゴシと擦り付けました。痛みで身体を震わせる二人に構うこと無く、執拗に擦りました。

 そして、トドメに熱く煮え滾ったお湯を頭からぶち撒けるという、余りにも非道な事をしました。

 

「そして、食べれば食べるほど止められなくなる麻薬を与える」

 

 白い三角形型で、上にイチゴという果物が乗った麻薬を、二人に食べさせる。

 恐る恐る一口目を口に運び、気付けばレミリアとフランドールは、その麻薬と呼ばれる食べ物を一心不乱に食べてしまっていた。

 霊夢は計画通りとほくそ笑む。その麻薬は一度魅了されてしまったら、最後、吐きそうになるまで止められない止まらない。

 これを食べまくってブクブクと肥え太るがいい、と霊夢は嗤う。

 

「最後にお前たちには私の関節技の餌食になってもらう」

 

 そう言って、重たい布団の中に二人を引きずり込んで、思いっ切り両の腕で締めました。

 霊夢は胸に押さえつけるように、二人の小さな頭をガッチリとホールドしました。どんなに抵抗しても逃げられません。逃しません。

 二人が気絶するまで、霊夢は力を緩めることはありませんでした。

 

「ふふふっ、どうだこれが私の虐待だ」

 

 気絶した二人を尻目に、霊夢は満足げにむふーっと鼻から息を吐くと。そのまま二人を抱えたまま眠ってしまいました。

 

「お姉様」

「なぁに、フラン」

 

 霊夢が眠ったのを確認して、レミリアとフランは目を開け、お互いに抱え込まれたまま視線を交わします。

 

「この人、優しいね」

「……うん」

 

 レミリアとフランは霊夢にギュッと抱き着きました。

 水責めは、単にお風呂に入れてくれただけ。麻薬と言ったのはとっても美味しいショートケーキのこと、そして関節技は、こうして抱きしめて一緒に寝てくれること。

 虐待と称して行われたそれらの行為には、何処までも優しさと慈しみが込められていました。

 

「お姉様。フラン、ずっと此処にいたいな」

「……私も同じよ」

 

 お互いの手をつなぎながら、霊夢により強く抱き着く。二人の顔には安心しきった可愛らしい少女の笑顔が浮かんでいた。

 

 それからというもの、家をなくした吸血鬼の姉妹は、巫女の家の居候としてお世話になり、三人でいつまでもいつまでも仲良く暮らしましたとさ、チャンチャン。

 

 

 

ーーおしまいーー

 

 

 

「ちなみにこの話は、半分が事実だ」

「嘘っ!?」

「以前に一週間ほど、レミリアとフランが行方不明になった事件があっただろう?」

「……もしかして」

「あれは、私の家でホームステイしていただけだ」

「やっぱりね!」

 

 パチュリーツッコミ上手だねぇ。博麗の巫女感動しちゃうわ。

 そう、このお話は半分が実話である。

 捏造したのは、紅魔館が吹き飛んだ、という事。レミリアとフランが何日も飲まず食わずで森を彷徨っていたという事だ。

 虐待云々は、ただ単に勝手に人の家に入った悪い子をお仕置きしようとした話。お仕置きの内容は、一緒にお風呂に入って、デザート食べて、お布団で寝たって事である。

 つまり、ヘン◯ルとグレー◯ルをベースに、ロリっ子と戯れてたのを絵本にしてみただけである。……何故か、この絵本はスカーレット姉妹のお気に入りになっている。

 やれやれ、この絵本を読み聞かせするのは、もう何度目になるのやら。少なくとも、私の記憶が正しければ、百は軽く超えていると思う。

 

「面白かったわ!」

「また今度お願いね!」

「流石に同じ話を何度もするのは私も疲れるんだが。……次は別の話にする気h」

「「ないわ(よ)!」」

「あ、はい」

 

 ふえぇ、偶には別のお話しさせてよぉ〜。

 他のお話しとか色々作ってるんだよ? 『不思議の森のアリス』とか、『泣いた伊吹童子』とか、『ぐーや姫』とかあるよ? 面白いよ? モノによってはR指定もあるよ?

 

「ふぅ……それで、パチュリーは何か読んで欲しい本はあるか?」

「わ、私は別に」

 

 遠慮せんでもええんやで? パチュリーに満足してもらえるように、精一杯読み聞かせさせていただきますとも。

 

「霊夢さん、霊夢さん」

「む、お前は小悪魔か。何の用だ?」

 

 背後から私に声を掛けてきたのは小悪魔。パチュリーの使い魔で、悪魔の少女である。

 赤い長髪に、真っ赤な瞳、悪魔特有の尖ったお耳が特徴的で、頭と背中には悪魔らしい羽を生やしている。

 服装は、上は白いシャツに黒のベストにネクタイを着け、下はベストと同じ色のロングスカートを着用している。

 基本的には真面目ではあるが、時折悪戯を仕掛けたりするなど中々に愉快な性格をしている。

 悪魔としての特性かは不明ではあるが、割りと直ぐにエロい方向に話を持っていったりするため、大変けしからん。良いぞもっとやれ。

 

「これをどうぞ読み聞かせてあげて下さい」

「……『魔女と巫女、図書室の一時』?」

「パチュリー様が書いた恋愛ものです!」

「ほう?」

 

 どんな内容だろう? 私、気になりますっ!

 

「ちょっと小悪魔っ! どうしてそれを此処に持ってきたのよっ!」

「え、私てっきり霊夢さんにお見せするために書いているとばかり思っていたんですが?」

「そんなわけ無いじゃないの! 霊夢、読まないでよ? 読んだら嫌いになるからね? 絶対に、絶対に読まないでよ?」

「パチュリー様、言ってたじゃないですか。霊夢さんへの想いを文章化して吐き出さないと、霊夢さんの前で冷静に振る舞えないって」

「な、何のことかしら?」

「『巫女の指先が、私の頬をゆっくりと撫で付ける。ほんの少しの熱が私に伝わり、二人の唇がーー』わっぷっ!?」

「わあぁぁぁぁぁっ!?」

 

 私の膝から飛び降りて、小悪魔に飛びかかり、彼女の口を塞ぐ。

 まさかパチュリーがインドア派とは思えないアグレッシブな動きを披露してくれるなんて、激しい動きと共に、彼女の胸部にある大変豊かな物体が、ブルンブルンと動いている。……アレでビンタされたい。

 そんなにまでパチュリーが必死になって読むのを防ぐ本。これにはどんな秘密が隠されているのだろうか? 博麗の巫女として調査しないといけないな。

 パラリッとめくりじっくりと読み進めていく。

 

「やめ、ヤメロォー! 止めなさい! 読まないでっ! 読むのをっ! 話を聞けっ!」

 

 何か背中をポカポカ叩かれている気がするけど、本の内容に集中したいので無視する。

 

「やめ、えっぐ、読まないで、読ま、ないでよぉ、ひっく」

 

 何やら背中にしがみついて来る何かの感触を感じるが、敢えて無視する。

 

「うっ……っ……ぐすっ……ふぇ」

「済まない、意地悪しすぎた。ちょっと読むふりをしただけだ。内容は一切読んでいないよ」

 

 本格的にガチ泣きし始めたので、本を閉じて、パチュリーに向き合い真正面から優しく抱き締めてあげる。

 読んでないよー博麗の巫女、本読んでないよー、大丈夫だよー。そもそもの話だよ? 私がパチュリーの嫌がることするわけないじゃないか(信用ゼロ)。

 

「このっ、バカ巫女っ」

「ああ、バカだな」

「このっ、唐変木っ」

「そうだな、唐変木だな」

「貴女なんてっ! 貴女なんてっ!」

「うん」

「だい、すき、よ」

「私もお前が大好きだよ」

 

 見てよ皆、この可愛らしい司書を。涙目で上目遣いで私に向かってあんなっ! あんなっ! いじらしくも可愛らしい事を言ってしまうなんてっ!

 お姉さん、もうゴール(意味深)したくなっちゃったわ! くぅぅぅこんな時、覇王モードぱいせんが疎ましく感じるぜい! 私にもっとイチャイチャのドロドロのくんずほぐれつの【ピ―――ッ】や【ピ―――ッ】な日常を謳歌させてくれよっ!

 

「パチュリーずるいっ! 霊夢! 私も霊夢のこと大好きだよ!」

「私は霊夢を愛してるわ!」

「じゃあフランも愛してる!」

「私の方がもっと霊夢を愛してるわ!」

「私が!」

「私が!」

 

 横で私とパチュリーのやり取りに嫉妬したのかな?

 どっちかと言えば、近所のお姉さんを取られた子供的な心境なんだろうけども(唐変木)。どんな理由にせよこんなおんにゃのこに取り合いされると、ハッキリ言って嬉しい気持ちになる。

 

「だ、ダメよ! 今は私の霊夢なんだから!」

 

 身体全体を使って、私にひっしりと抱き付いてくるパチュリー。……グチャグチャニオカシテクレヨウカ?

 彼女のムチムチとした身体の感触と、ダイレクトで私の下腹部を刺激する巨大なマシュマロの柔らかさに、私の思考回路が一瞬、けだものになりかけたが、何とか踏みとどまることが出来た。出来たんや、出来た筈なんや。

 だから、ドサクサに紛れて、パチュリーのおっぱいに張り付いている私の右手はただの事故なんや。事故なんや。すごい嫌らしい手つきで指がワキワキと動いて、おっぱい柔らかいけど事故なんや、事故なんやで。

 

「んひゃ!? 霊夢っあふっ何処をっ触ってっあんっ」

「……」

 

 は、覇王モードぱいせん? 事件発生ですよ? 仕事を、仕事をして下さい! 私の獣の右腕(ビースト・ライト)を止めて! 私の理性が千切れる前に! 止めてぇぇぇ!

 

 何やかんやあったが、これから先の話は割愛する。

 取り敢えず、パチュリーと私が図書館でイケない遊びをおっぱじめたという事はない。私も未経験のまんまだし、パチュリーも清い身体のままだ。

 ただ、覇王モードぱいせんが機能するのが遅すぎて、パチュリーの身体が私の獣の右腕に蹂躙されたのと、密かにスカーレッツ姉妹を付け狙っていた楽園の左腕(エデンズ・レフト)の手によって、昇天し掛けるという事態に陥っただけだ。

 それと、小悪魔が何処からとも無く取り出したカメラらしきもので、その光景を撮りまくっていただけの話だ。……勿論、カメラは回収したし、両腕の餌食にしてやった。乱れた姿は流石は悪魔だと思いました。

 

 読み聞かせに来ただけなのに、最後の最後でとんでもないプレゼントを頂いてしまった。

 脳裏に浮かび上がる、司書の艶姿。吸血鬼姉妹の幼い肢体。小悪魔の痴態が私の興奮を誘う。……やれやれ、今夜は眠れないぜ(妄想する的な意味で)。

 

 今宵も博麗の巫女の夜は長い。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 紅魔館にあるヴワル魔法図書館。

 そこの司書を務めるパチュリー・ノーレッジにとって、博麗の巫女、博麗霊夢とは、気兼ねなく接することの出来る友人である。

 元々パチュリーは人と関わり合うのがあまり好きではない。そんな無駄な事に貴重な時間を使うよりも、静かな場所でゆっくりと本を読んで知識を蓄えていたほうが、よっぽど為になるからだ。

 

 しかし、そんなパチュリーを無理矢理外に連れ出し、執拗に誰かに関わらせようとする人物がいる。……それが霊夢だ。

 どんなに嫌だと言っても、どんなに抵抗しても、本を取り上げられて、無理矢理担ぎ上げて、外に連れ出してしまう。騒がしい場所に連れていき、皆と関わらせようとしてくるのだ。

 

 パチュリーは、霊夢のこの行為が大嫌いだった。

 こちらの都合なんて一切考えないで、自分勝手の自己満足で、パチュリーにあれやこれや余計な世話を焼いてくるあの巫女の事が心底から嫌いだった。

 日陰者である自分を、無理矢理日の当たる眩しい場所に連れて行く、あのお節介焼きが鬱陶しくて仕方なかった。

 

「パチュリー、また徹夜したな? 目元のクマが取れていないぞ? ほら、ベッドに横になれ、私が心を込めて、子守唄を歌ってやろう」

 

 本を取り上げられて、無理矢理寝かしつけられたり(子守唄は凄い綺麗だった)。

 

「パチュリー、昼食を抜いたそうだな? それだと健康に悪いぞ?……そうだ、今からピクニックにでも行こうか? レミリアやフラン、咲夜に美鈴、小悪魔。紅魔館の全員でのピクニックだ」

 

 拒否しても、無理矢理抱き上げられて、そのまんまピクニックに連行されたり(出されたサンドイッチはとても美味しかった)。

 

「宴会を欠席するつもりだったんだろう?……ほら、行くぞ?」

 

 騒がしいところは嫌いだと言っているのに、宴会なんて場所に出席させられたり(不覚にも楽しいとか思ってしまった)。

 

「パチュリー」

 

 見惚れるほどに綺麗な笑顔で名前を呼ぶ。

 

「パチュリー」

 

 優しい声で、気安く触れてくる。

 

「いい加減にしてッ! どうして私に構うのよッ!」

 

 何度もそんな事が繰り返され、遂にパチュリーの堪忍袋の緒が切れる。

 理解できなかった。こんな日陰者に構うのかが、どれだけ邪険にされても笑顔で手を引っ張り、抱え上げるこの巫女の事が全く理解できなかったのである。

 

「目障りなのよッ! いつもいつも私の邪魔をしてッ!」

 

 自分は本を読んでいられたらそれだけでいい。知識を蓄え、魔法を研究していられれば、それだけで良いという魔女の筈なのだ。

 だからこの巫女の事は、お節介好きなこのどうしようもないお人好しは邪魔、邪魔だった筈なのだ。

 

「もう、私に関わらないでッ!」

 

 なのにどうしてだろうか? 胸が痛い。張り裂けそうなほどに胸が痛むのだ。

 違う、自分はこの巫女が嫌いな筈なのだ。静かとは無縁で正反対なこの巫女の事が、大嫌いでないといけない筈なのだ。

 なのに、なのにーー

 

「貴女の事なんてッ! 大ッ嫌いよッ!」

 

ーーどうして、涙が止まらないんだろうか?

 

 パチュリーには分からなかった。

 どうして自分の胸がこんなにも苦しいのか、どうして涙が止まらないのか、理解できなかった。

 これまで生きてきた長い時、人付き合いを必要最低限に抑えてきた彼女にとって、此処まで関わってきた人物は非常に稀だ。……この紅魔館で共に暮らしている吸血鬼の姉妹や、従者、門番とは家族のような関係であるために除く。

 つまり、パチュリーにとって、霊夢という人物は、外部の、身内以外で明確に関わり合いになった初めての人物なのである。

 対人経験が少ないからこそ、パチュリーは自分の本心に気付けない。自分が本当は何を求めているのか? この巫女とどういう関係になりたいのか? 気付くことが出来ないのだ。

 

「そうか、パチュリー」

 

 静かに霊夢の声が紡がれる。顔を伏せているため、表情は見えない。

 

「残念だーー」

「ッ!?」

 

 紡がれた言葉は、刃となってパチュリーの心を貫いた。

 心臓に杭を突き立てられた吸血鬼の様に、何か大事な物が傷付いてしまったように、パチュリーは呆然と涙を流し続ける。

 自分の本心に漸く思い至ったからだ。そうか、自分はあの巫女とーー

 

ーー友達になりたかったのか。

 

 素直になれないのは、初めて出来た友達と何を話せば良いのか分からず、気恥ずかしかったから。

 胸が張り裂けそうなほどに痛むのは、本当はあんな酷い言葉を霊夢に言いたくなかったから。

 

 もっと霊夢のあのお節介に巻き込まれていたかった。手を引っ張って連れ出して貰いたかったのだ。

 

 本当は分かっていた。自分が霊夢の訪れを毎日心待ちにしていたということも。

 本を読んでいるのに、内容は頭に入ってこず、頭では今日は来ないのか? 今日は何処に連れていくつもりだ? なんて事を考えていた。……来なかったら来なかったで、何だか寂しくなり、本を読む気もなくなり、ふて寝した。

 気付けば、咲夜や小悪魔に頼んで、二人分の紅茶を用意させていたり。霊夢に読んでもらいたい本を無意識に探していたり。

 

 これからも霊夢に振り回されて、連れ回される日常が続くとずっと考えていた。……だが、それはもう叶わない。

 

 誰でも考えれば分かることだ。

 霊夢がいくら優しいと言えども、こんな面倒な女、いつまでも相手にするわけがない。こんな偏屈で、頭でっかちで、素直になれない引きこもりのモヤシみたいな女など嫌われて当然だ。

 

「ふっ、くっ」

 

 パチュリーの頬を伝って、いく筋もの涙の雫が流れていく。

 これまで感じたことのない激しい感情が自身の心をかき乱す。混乱する頭ではまともな思考も出来ない。

 霊夢に嫌われるというのが嫌だった。霊夢と話せなくなるのが、霊夢と関われなくなるのが、霊夢に引っ張ってもらえなくなるのが、嫌だった。

 

「ーー私はお前の事が、こんなにも大好きだというのに」

 

 だから、霊夢の言葉が理解できなかった。

 いつもと変わらない微笑みを浮かべながら、私にそんな好意的な言葉を投げかけてくる霊夢が理解できなかった。

 

「嘘よ、こんな、こんなっ、面倒で、分からず屋で、根暗な私をっ」

「嘘じゃないさ」

「ふぁっ!?」

 

 パチュリーは何が起きたのか一瞬理解できなかった。

 全身を包み込んでくれる柔らかい感触と、温かさ。絶対的な安心感が、パチュリーを包み込んだ。

 

ーー抱き締められていた。

 

「れ、霊夢っ!? 何をっ!?」

「聞こえるか? パチュリー」

「え?」

「私の心臓の音だ」

「お、と?」

 

 とくんっとくんっと霊夢の心臓の音が聞こえる。

 

「高鳴っているのが分かるだろう?」

 

ーー大好きなお前に触れているからだ。

 

「れい、む」

 

 霊夢の想いに触れ、パチュリーは自分の胸が何かに満たされていくのを感じた。甘くて、暖かくて、とても心地よい感覚だった。

 頬が熱くなる。霊夢に顔を合わせると、心臓が早鐘を打ち始める。甘く微笑まれると気恥ずかしくなり、触れられると、胸がキュッと締まり、もっと触れていて欲しくなる。

 パチュリーはこんな感情は知らない。いや、知識としては知ってはいるが、自分自身で感じたことは初めての経験だった。

 

「霊夢」

「何だ?」

「責任、取ってよね?」

 

 散々振り回してくれているのだから、これから先もずっと手を引っ張って欲しい。

 頬を染め、パチュリーは思う。この先、ずっとこの友人と過ごすことが出来たのならば、それは何て素敵な事なのだろう。

 

「ふふふっ……ああ、勿論だ」

 

ーー貴女の笑顔、貴女の優しさ、貴女の強引な所も全て

 

「大好きよ」

 

 今はまだまだ素直になれなくて、心にもない事を言ってしまう。でもいつか、とパチュリーは思うのだ。

 

「だから、ずっと私を振り回してね?」

 

 素直に慣れない魔女は笑う。友との未来を想って笑う。

 明日は何処行く? 何をする? いつもの様に連れ出して、愛しい愛しい素敵な友人。

 




かくたのぉ!

文章が思い通りに書けている時が一番幸せ。
何やかんやネタが被ったりしている部分とかあるのが気になるけど……まぁいいや(思考放棄)。
何気にスカーレット姉妹の登場率が多いのは、私がロで始まってンで終わるタイプの人間だからかな?

そんなわけで、後書き短めだけど、此処らへんで切り上げます。

では、次回の投稿まで! またのぉ!
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