東方博麗伝説   作:最後の春巻き(チーズ入り)

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お待たせしたのですわ!

どうも春巻きザマス! 色々と長引いてしまったザマスが、それはよーござんしょ。

これよりお待ちかねの博麗伝説の続きを投下するザマス!

用意は良いザマスか? では……

ホィザマスゥ~(ノ゚∀゚)ノ ⌒ 【最新話】


【地霊殿】少女、対峙

 これより語られるのは、博麗霊夢と古明地姉妹が去った後の地底での出来事である。

 

 

 霊夢の言いつけを守り、その場で地底への侵入者の迎撃に努めるキスメ、ヤマメ、パルスィ、勇儀の四人。

 

「ふぇぇぇ!」

「な、何で私はっ、あ、あんな事をぉぉぉあばばばばばっ!」

「あぁぁぁぁぁああ!」

「何だアレッ! 何だアレッ! ぐおぉぉぉおおお!」

 

 既に狂気は過ぎ去り、正気を取り戻した地底組。……彼女たちは悶えていた。

 キスメは顔を真っ赤にしてあたふたと手足をバタつかせ、ヤマメは錯乱したように首をイヤイヤと振り回す。

 パルスィは崩れ落ちるように膝を折りながら頭を抱えて絶叫し、勇儀は四つん這いになって悲痛な叫び声を上げる。

 

――穴があったら入りたい。

 

 それが、地底組に共通する心境である。

 いくら正気を失っていたとはいえ、初対面の人間に甘えたり、駄々をこねたり、甘えたり、駄々をこねたり、甘えたり、駄々をこねたrああぁぁぁああ!

 

 キスメは、親に甘える子供の様にあの巫女の手にひっしりとしがみついた。

 ヤマメは、抱き締められたまま、あの巫女の豊満な胸に顔をしっかりと埋めて匂いを堪能した。

 パルスィは、パルパルするのも忘れて、ただただ笑顔で巫女の腕に己の腕を絡めてまるで恋人の様に横に並び、巫女の腕に頬ずりした。

 勇儀に至っては、発情した猫みたいな鳴き声をあげながら、巫女の背中にひっしりと抱き着き、ガッチリと大しゅきホールドを決め込んだ。

 これは恥ずかしい。いや、恥ずかしいを通り越して恥ずか死ぬ。耐え難い羞恥心が、四人の精神に多大なるダメージを与えていた。どうしようもなく恥ずかしい、恥ずかしいが。しかし――

 

「「温かかったなぁ」」

 

――思い出す。

 

 あの時の感触を、匂いを、温かさを……。

 巫女との触れ合いは、ちょっと意味が分からないくらい心地良かった。

 頭を優しく撫で付けてくれる手の平の感触。見ているだけでこっちも幸せになってしまいそうな笑顔。何よりも愛おしいと言わんばかりに抱き締めてくる柔らかい胸の中。……その全てが地底組の心の底に刻み込まれてしまっていた。

 

 強制的な進化による、妖怪としての本能の暴走。

 剥き出しにされた本能は、己よりも圧倒的強者である存在を感じたことにより屈服し、屈服した存在から与えられた優しさと温かさに、完全に魅了されてしまったのである。

 理性を取り戻した今もソレは変わらない。気付けば、あの時の触れ合いが脳裏を過ぎり、体の芯から熱く熱く、火照ってしまうのである。

 

 またあの時みたいに触れ合いたい。出来れば、優しく頭を撫でて欲しい。……屈服した本能が巫女への恭順を促してくる。

 本能の奥深くへと刻み込まれた恭順欲。……支配されたいという強い思い。自分よりも強い存在に屈服し、その存在の思い通りに、意のままに、犬猫の様に扱われたいという強い強い願望。

 

――ペットになりてぇ。

 

 ぶっちゃけてしまえばそんなところである。

 

「いやいやいやいや、何を考えているんだ私はぁぁぁ!?」

「ペット、ペット、かかか飼い主に嫉妬ととと」

「ヤバイ病んでる。今の私めちゃくちゃ病んじゃってるよぉぉぉ!」

「お姉さんと一緒、ずっと一緒、ふぇぇ」

 

 理性を取り戻しても、飛んでいるときと殆ど変わっていないとかそんな事言ってはいけないのである。

 

「何だ、この状況」

「霊夢がまた何かをやらかしちゃったようね」

「そうね。逆にあの馬鹿霊夢がやらかしていない方が不思議だわ」

「んっふぅ……くふふっ、霊夢は何処かしらぁ?」

「あそこで悶えている奴らに聞こっか、早苗GO!」

「ご自分で行って下さい、諏訪子様」

 

 感情を持て余す地底組の元にやって来たのは、地上組。……地上から地底へと、一人の巫女を追い掛けてやって来た少女たち。

 魔理沙、アリス、パチュリーの魔法使い三人娘。幻想郷で最も危険な妖怪、幽香。今回の異変の原因を解き放った超守矢神のお仲間である諏訪子と早苗の守矢神社の二人。

 魔法使い三人娘は、場の雰囲気からあの巫女のやらかしを悟り、幽香は場に残った霊夢の匂いに軽く絶頂しながら霊夢を探し、守矢の二人は地底組を指差しながら、どちらが声を掛けに行くかで揉めている。

 それぞれの我が強すぎてマイペースにやりたい放題である。……余りにもまとまりがない。これこそまさに幻想郷クオリティ。

 

「良いから行けってのッ! 早苗GOォ! GOォォォ!!」

「はぁ、騒々しい。全く以てこの神は、仕方がないですね」

 

 しきりに行け行けと声を荒らげる諏訪子を冷たい目で一瞥し、ため息を一つ溢した早苗は、やれやれと首を振りながら、未だに這い蹲っている地底組へと歩み寄る。

 

「もし、そこの方々、何やら悶えているところ申し訳ないのですが、少しお時間宜しいですか?」

「ッ!? だ、誰だっ!」

「おやおや、これは失礼しました。……私は東風谷早苗、後ろで喧しいのはその愉快な仲間たちです」

「「誰が愉快だってっ!?」」

「ご覧の通り愉快な仲間たちです」

 

 仲間を適当に説明した早苗にツッコミが入るが、流石は傲慢なる風祝、抗議の一切合切を無視して問答無用に切り捨てる。

 

「さて、自己紹介は終わりました。此処に巫女服の女性は来ませんでしたか? 夜の帳の様に黒い髪に、赤と黒の露出過多な巫女服を身に付けた大変見目麗しい女性です。……後、近い内に私の物になる女性です」

「「誰が、誰の物になるだってっ!?」」

 

 挙句、本人の同意なく勝手に自分の物宣言(巫女本人は喜びそうだが)。……早苗さん、マジ早苗さんである。

 

「来たと言えば来たんだけどね。……悪いけど、此処から先にお前たちを通すつもりはない」

「それはそれは……何故かお聞きしても?」

「それが、あの人間との……あの巫女との約束だからさ」

 

 そう、約束である。……ご褒美込みの約束である。

 巫女は言っていた、此処から先に誰も通すなと。お願いを聞いてくれたらご褒美をあげると。……ご褒美、ご褒美だ。だったら頑張らないといけないじゃないか。

 

「だから、意地でも此処から先には行かせないよ」

「面白い事を言いますね。貴女達程度で、そこにいる魔法使い達、風見幽香、諏訪子様……何よりもこの私を止められるとでも?」

「止めるさ」

 

 止めてやる。ああ、止めてやるさ。

 それぞれがそれぞれの決意を込めて、地上からやってきた少女達を睨みつける。

 星熊勇儀――鬼として、一度した約束を違えることなど有り得ない。……己の誇りと、本能の奥深くに刻まれた恭順欲のままに、漢気溢れる迫力で、地面を踏み砕きながら力強く。

 水橋パルスィ――妬ましい、妬ましい、己にこんな気持ちを植え付けた巫女が妬ましい。……此処を去った巫女への嫉妬混じりの強い想い。そして、そんな巫女を付け狙う少女たちへの憎しみが吹き出していく。

 黒谷ヤマメ――病めぇ……。……巫女の豊満な胸に包み込まれ、そのままその匂いやら体温やらを直接堪能してしまった彼女は、もう色々と手遅れかもしれない。

 キスメ――お姉さんと一緒。……巫女に好かれたい、その役に立ちたいと考えている純粋な少女。ある意味ではこの地底組の中で一番まともな感覚で巫女からのお願いを守ろうとしているのは彼女だけである。

 まぁ地底組の想いを簡単に説明するなら――

 

「これでも昔は星熊童子と言われてた鬼さ、真っ向からの力比べでは負けないよっ!」

「黙って聞いてれば貴女、さっきから偉そうで妬ましいわね」

「もう悩むのは止めたぁ! きっちりと足止めしてご褒美貰っちゃうよ!」

「頑張るっ!」

 

――ペット舐めんなファッ○ユー。

 

 拳を鳴らし、鋭利な爪を光らせ、瘴気を放ち、鎌を構える。

 それぞれの想いを胸に、地底の少女達は地上より来たりし少女達へとその牙を向けた。

 

「うふふっ、霊夢とヤる前の準備運動くらいにはなりそうねぇ」

「あーうー、やっぱりこうなったかぁ……霊夢のやつ、ほんっとうにっ! めんどくさい事してくれたねぇ」

「ふぅーっ、嘆かわしい。実力差が理解できていないのですか?」

 

 応じ、構えたのは地上の実力者達。

 風見幽香――ああ、霊夢。ああ、ああ、霊夢。ああ、霊夢。……完全にイッちゃてる目で舌舐めずりしながら、霊夢の匂いが強く残っている地底の少女達を品定めする(主に誰から一番霊夢の残滓を感じ取れるか的な意味合いで……)。

 洩矢諏訪子――へぇ、私らを放っぽって、こんな地の深くで新しい女を引っ掛けたのかい。……自分達に構ってくれなかった馬鹿巫女をどう困らせてやろうか考えながら、あの馬鹿巫女に何やら熱意を燃やしている少女たちを睨め付ける。

 東風谷早苗――私の物に懸想するなど、実におこがましいですね。……天井知らずの傲慢さを振りまき、その身に宿る奇跡を増大させながら、強者たる己に挑み掛からんとする無知なる少女達を遥か高みから見下ろす。

 そう、彼女たちの心境を簡単に説明するならば――

 

「良いわぁ、お前(霊夢の匂い的な意味で)。そう、鬼のお前よ。貴女から先に相手してあげる。……うふっうふふっあはっあはははははーっッッ!!」

「なぁにがご褒美だってぇ? あの馬鹿には私ら守矢がきっちりと落とし前付けさせるんだよ。……残念だけど、あんた達の取り分はなしだよっ!」

「偉そう? 当然でしょう。何故なら私は奇跡を起こす者。即ちこの世全ての頂点に立つ存在なのですから」

 

――黙れぽっと出の新参がっ! 調子に乗んじゃねぇぞッッッ!!

 

 優雅に傘を回して凶笑しながら、神の力を漲らせて鉄輪を取り出しながら、何処までも傲慢に異質な奇跡の力を高めながら払い棒を手に取る。

 巫女への想いを(変な方向に)燃え上がらせながら、牙を向けてきた少女たちを、真っ向から切って落とさんとする。

 

「此処はやる気のある奴等に任せて、私らはとっとと奥に進むとしよう。……離れると同時に目くらましでぶっぱするからよろしく」

「同感ね。……なら私は撹乱用のデコイでもバラ撒いとくわ」

「此処での消耗は馬鹿のすることよ。……念のため、邪魔されないように適当に妨害用の罠でも置いときましょう」

 

 戦意を漲らせる面々を他所にさっさと離脱の準備を整えるのは、魔法使い組。

 霧雨魔理沙――いや、私は別に戦いに来たわけじゃないし、霊夢の手伝いに来ただけだし。……箒に飛び乗り、八卦炉を構え、魔力を収束させながら離脱準備を整える。

 アリス・マーガトロイド――当然、回避一択でしょう? 此処でまともに相手するのは馬鹿か脳筋のすることよ。……内心、挑発に乗って構え出した幻想郷屈指の実力者達にため息を吐きながら、離脱用のデコイ人形たちを大量に喚び出す。

 パチュリー・ノーレッジ――普通に面倒くさい、アイツら強そうだし。……地底組の少女たちの実力に内心冷や汗をかきながら、その有り余る魔力を用いて、空間上に、地面に、ありとあらゆる場所に魔法陣を出現させ、不可視の罠を仕掛けていく。

 彼女たちの考えを簡単に説明するならば――

 

「んじゃ、お先に失礼するぜ!」

「さようなら」

「また会わないことを願っているわ」

 

――サラダバァァァ!

 

 全速力で空を駆けながら後方に向かってドデカイ砲撃をブチかまし、魔法使い三人にそっくりな人形たちが四方八方に散らばり、見えない罠がそこら中に張り巡らされる。

 先に向かった巫女を追って、その場にいる全ての者を置き去りに一目散に離脱していく。……計画通り(By、某新世界の神)。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 はっ!? 今、何処かで面白い事が起こっているような気がする!

 今日も京都で怪電波を受信中、皆のアイドルにして、オ◯ズの超絶美少女、博麗霊夢だよ! やぁ、このオス豚、メス美少女共ぉ! 今日も元気にシコシコ自◯行為してるぅ? そんな君たちには博麗お姉さんからのご褒美を、ア・ゲ・ル(はぁと)。……いや、嘘だよ(真顔)。そんなのあげるわけねぇじゃん、気持ち悪っ。

 ねぇ、期待した? ねぇねぇ、期待した? ハハッ! 期待した卑しい卑しい変態は挙手したまえー。この社会で最も価値のない卑しい卑しい畜生は手を挙げたまえぇー。お姉さん怒らないから挙手しなさァァァい!(最高にゲス顔)

 

 う・そ(レ◯プ目)、清く正しい幻想郷の守護者であるこの博麗お姉さんが、そんな酷い事を言う筈がないじゃないの。

 ごめんねー、お姉さん言い過ぎちゃったねぇ。さぁおいでー、今なら博麗お姉さんが抱き締めてイイ子イイ子してあげよう。精一杯の愛情と、その他諸々の色んな気持ちを込めてやさしーく、抱き締めてあげよう(ただし美少女に限る)。……何してんだろ、私。

 

 はい、何時もの悪ふざけは、次元の彼方に放り込んどいて……本題である。

 唐突だが、一言だけ言っておきたいことが……否! 言わねばならぬ事があるのだ! これを言わなかったら私は、私である存在意義を失ってしまうほどに重要な事だっ!

 私が博麗霊夢である以上、決して無視することの出来ない重大な事。それは――

 

「さ、とりさまぁ、お空がっお空がぁっ!」

「よしよし、お燐。良い子だから泣き止んで、ね?」

「そーだよ、お燐、助っ人も連れてきたんだから大丈夫だよ!」

 

――百合って良いよね(何時もの色ボケ巫女)。

 

 いや、シリアスな空気なのは理解している。ちゃんと理解しているとも。

 お友達であり、共に同じ主に仕える家族でもあるお空ちゃんが暴走している。そんなお空ちゃんを想って涙しているお燐ちゃん。

 涙を流すお燐ちゃんを圧倒的母性で包み込みながら、泣き止ませようと頭を優しく撫でてあげているさとりちゃん。

 横ではこいしちゃんが、さとりちゃんと同じようにお燐ちゃんの頭を撫で撫でしながら、身振り手振りで励まそうとしている。

 いやいや、何度も言っているが、シリアスな光景でこーんな下衆な想像をしてはいけないのは、ちゃんと、ちゃーんと理解している。それは私の師匠であり母であり、女神でもある由緒正しきスキマ妖怪のゆかりんに誓っても良い。

 でもね、知っての通り、私はガチレズで、百合の化身と言っても良いくらいには美少女大好きお姉さんだ。そんな私が、目の前で少女たちが抱き合いながら、頭をナデナデなどしている光景を目の当たりにしてみろ。……そんなの色んな意味で元気になるに決まってるだろうが、ふざけんなこんちくしょう(お前がな)。

 

「霊夢さん、紹介します。この娘が私のペットの一人、お燐……火焔猫燐です」

「ほら、お燐! 自己紹介っ!」

「ぐすっ、は、始めま、して、火焔猫、燐、です。ひっく、お、お燐って、ひっく、呼んで、下さい、うぇ」

「ああ、始めましてだな、お燐。私は霊夢、博麗霊夢だ。お前の主であるさとりとこいしから依頼されてな、今回の異変の中心となっている霊烏路空……お空の救出のため、この地霊殿に来た」

 

 目をグシグシと拭いながら、涙声で自己紹介するお燐ちゃん。……ああ、もう鼻水出てるじゃないか、ほらほらお姉さんのハンカチを使いなさい、ほらチーンして、チーンするんだよ、うんうん、チーンしたね? ハハッ!(←ハンカチに付着した液体をガン見する変態の図)

 

 火焔猫燐……通称、お燐。

 地霊殿の主である古明地さとり、その妹である古明地こいしのペットであり、地底の萌キャラ筆頭でもある美少女だ。灼熱地獄跡で怨霊の管理や死体運びを任されており、本人の趣味も灼熱地獄の燃料になる死体集め、と中々にイイ趣味をしている。……また、その特性故か、霊や死体と会話することが出来る。

 深紅の髪を両サイドで三つ編みにして、根本の方と先の方を黒いリボンで結んでいる。所謂おさげという奴、前髪はパッツンで揃えられている。後は、瞳の色は髪と同じ赤色の猫目ね。

 何より特徴的なものが、その頭部にてニョッキリ生えている黒い猫耳である。……可愛い。後、猫耳あるのに、人間としての耳もあるので、実質耳が四つある事になる。……可愛い。ぶっちゃけた話、どちらの耳でも楽しめるのはポイント高いと思うのよね、まさに耳フェチ歓喜ってやつだよ。

 服は黒の下地に何やら緑の模様の入った物を着用している。……簡単に言ってしまえば、ゴスロリファッションに似た服装だ。そこにプラスして、手首と首元には赤いリボンを、左足には黒地に白の模様が入ったリボンを巻いている。

 そして、その形の良いお尻の方には、ニャーンと揺れている二本の黒い尻尾。……思いっ切り掴んで、シュッシュッって擦ってあげたい(息ハァハァ)。

 

 その性格は陽気で人懐っこい。

 前世の知識によると、主であるさとりちゃんやその妹であるこいしちゃんに対しては、親に対する子供のような感情を持っており、非常によく懐いているそうだ。また、仲間意識も強く、同じペットの霊烏路空ちゃんに対して良く世話を焼いている世話焼きな一面もあるらしい。

 今はお空ちゃんの件もあって元気がない様子。……さっさと異変を解決して、この可愛らしい猫娘の元気いっぱいな姿を拝みたいものである。出来れば、私に懐いてくれるととても嬉しい。

 いやー猫耳属性は、まだ橙ちゃんくらいしか見た事がないから正直テンションアゲアゲですな。あの猫耳をこねくり回してみたいし、あの尻尾も弄んでみたいし、猫がだーいすきなマタタビをコレでもかと嗅がせて、思いっ切り発情させてみたいとか色々と考えてしまう。……是非ともこれからイイ関係を築いていきたいものである。

 それに、さとりちゃんとの話では、私と内面が似ているそうだし(誤解です)、これは是非ともじっくりねっちょりと語り合いたいものだねぇ(酷い誤解です)。

 能力は『死体を持ち去る程度の能力』、あるいは『怨霊や死体を操る程度の能力』である。

 死体を持ち去る程度の能力と言ってはいるが、ただ単に死体を素早く猫車に乗せて運び去るという、呼んで字の如くの技術の事を指している。

 彼女のメインとなる能力は、怨霊や死体を操る力の方であり、文字通り怨霊や死体を自由自在に操ることが出来るそれなりに強力な代物だ。その能力故か、幽霊や怨霊、死体などと会話することも出来る。

 また火車という妖怪としての特性なのか、炎を操る力も持っており、かなり芸達者な娘である。

 私個人としては、美人の幽霊や怨霊、また死体と会話できるという能力は非常に興味あるところではある。流石に、霊や死体と致したいなどというとんでもない事は考えていないが(明後日の方を向きながら)、既に死んでいる美少女とも会話し放題とは大変素晴らしい力だと思う。……これから先、私の前に立ち塞がるであろうキョンシー少女とも会話を楽しめる様になるかもしれないしね。うーあー!

 

「それにしても、お燐、お前はあの太陽の影響を受けていないようだな。……いや、お燐だけじゃなくお前たちもと言った方が良いかもしれんが」

「は? 太陽? えっと……何の話をしてんですか?」

「いや、可笑しいとは思っていた。地底の全ての妖怪が影響を受けている中、一部の妖怪……地霊殿に住んでいる、お空に最も近しい存在だったお前達が、何の影響も受けていないことに、な」

「「っ!?」」

 

 いやー実際おかしいとは思っていたのよね。どうして、この三人だけが、お空ちゃんの家族である地霊殿の三人だけが、何の影響も受けずにピンピンとしていられるのか。

 既に八咫烏に取り込まれている筈のお空ちゃんが、どうしてこの三人だけを見逃しているのか、それは、つまり――

 

「ああ、お空! 貴女って子はっ!」

「自分が大変なのにっ、そんな無理してっ!」

「あたいなんかの事よりも、自分の事を考えてればいいのにっ!」

 

――間に合う。

 

 というか、間に合わせるけども。……恐らく、お空の精神は、まだ八咫烏のクソ野郎とは完全に融合していない。

 それは、古明地姉妹や、お燐ちゃんが進化の影響を全く受けていないという事実から証明できる。……完全に融合していた場合や、身体の制御が奪い取られていた場合は、此処にいる三人は無事では済んでいない。悪ければ、進化の影響を受ける前に、あの太陽の圧倒的な熱量によって蒸発していた可能性すらあった。……不幸中の幸いとはこの事である。

 

 万が一、億が一の話ではあるが、もしも幻想郷の美少女が、さとりちゃんやこいしちゃん、お燐ちゃんが、私と出会う前に死んでいたみたいな事になったら、私は――発狂する。発狂して、全てをぶち壊そうとするだろう。……元凶を討ち滅ぼし、彼女たちがいなくなった世界を認められず、全てを滅茶苦茶にして無かったことにしようとする事だろう。そして、救えなかった己自身に幻滅し、絶望し、二度と転生できないように、己の全てを殺し尽くすことだろう。

 まぁ、あくまでももしもの話だから、単純に元凶をぶっ殺してから、ハラキリするだけかも知れないけどね。

 

 とにかく、この考えの通りであるならお空の救出はかなり楽になる事は間違いない。

 何せ、融合しきっていない八咫烏の力をお空の身体から摘出して、八咫烏の精神を握り潰せば終わりだからね。……その前の無力化が少々、いやーかなりめんどくさそうなんだけどね。

 

 地霊殿より深く――旧地獄の方から感じる力の波動。……それはドクンッ、ドクンッと心臓が脈打つように、強く重い響きを撒き散らす。

 

――強くなっている。

 

 ほんの僅かな間に、急速に、確実に、その力を増している。

 ただでさえ、この幻想郷でも強力極まりなかったその力が、時間が経つ毎に、徐々に徐々に引き上げられていく。……そうだよね。あのアホみたいな太陽を作り上げた本人が、その進化の力を自分自身に適用できない筈がないよね。

 

――進化。

 

 既にその力は、幽香の本気モード(全力モードではない)や常識外の奇跡(アンリミテッド・ミラクル)の早苗(無論、一騎当千天地無双(ザ・ネオ)は除く)にすら差し迫っている。……いや、このまま放置してイタズラに時間を消費していったら、ほぼ確実に幽香や早苗にすら匹敵する強者に進化を遂げるだろう。

 あの太陽の莫大な火力を秘めたまま、幻想郷の例外連中と同程度の実力を持つ。……うん、幻想郷どころか、世界とか宇宙とかがヤバイね。ヒェッ(今更である)。

 

「お空の力が、八咫烏の力が増している。……これは、一刻を争う事態だ」

「なら急がないとっ!」

「急ぎたいのは山々なのだがな。……どうやら、お客様のご登場らしい」

「「――ッ!?」」

 

 後方から、こちらに向かって物凄い勢いで迫る三人の少女の気配を感じ取る。

 快活とした魔力に満ち溢れた気配――魔理沙たん。静謐な魔力に満ち溢れた気配――あーちゃん。ツンと尖った魔力に満ち溢れた気配――パチュリーちゃん。

 魔理沙たんを筆頭にした、幻想郷の魔法使いっ娘トリオが、超スピードで迫ってきていた。サラマンダーよりも速ーい!……アカン(関西風)。

 

「やっと追いついたぜ!」

「ごきげんよう霊夢」

「ふん、私から逃げ切れるなんて思わないことね」

 

 降り立ったのは三人の少女。

 魔女帽子を被ったちんまい少女、ビスクドールの如き美貌の少女、寝間着のようなゆったりした服装の少女。

 ちんまい――魔理沙たんは目を爛々と輝かせながら、ビスクドール――あーちゃんは頬を少しだけ膨らませながら、寝間着――パチュリーちゃんは無駄にドヤ顔をかましながらである。

 あれか、私が何も言わずに置いていったのが、そんなに嫌だったのか? 可愛い奴らめ。愛でるのは最後にしてやる。

 

「れ、霊夢。あの人たちは?」

「友人だ。……はぁ、どうやら私を追ってきたらしいな」

「霊夢、私を仲間外れにするなんて酷いじゃないか!」

「ねぇ、霊夢。今日は私とお茶会の約束をしていた筈でしょう? 何時まで経っても来ないから、こうして探して、探して、探したのに……まさか、こんなところで他の女と一緒にいるなんて」 

「私が態々新しい本を持ってきてあげたってのに、留守にしているのはどういう了見なのかしら?」

 

 いやいや、魔理沙たん、別に仲間外れにしたわけじゃないんやで? ただ、今回の異変が特殊過ぎて、私一人で対処した方が良さげだったから、声掛けなかっただけなんやで?

 あーちゃんは、何で「信じていた彼氏が、他の女とイチャついていた光景を見てしまった可哀相な彼女」みたいな面しているん? 涙目可愛いけどさ。

 パチュリーちゃんは、理不尽すぎてワロタ。でも、本云々の話が友達である私に会いに来るための口実だって知ってるから許しちゃう。

 

「こんな地の底まで私を追ってくるとは、物好きな奴らめ。……そんなに私に構って欲しかったのか?」

「おう!」

「ええ!」

「そうよ!」

 

 やだ、魔法使い組可愛過ぎぃ。

 全員が何でかドヤ顔しながら、私に向かってサムズアップである。いや、本当マジ無理ぃ。死んじゃう、可愛さとか尊みとかで私死んじゃうぅぅぅ! はあぁぁぁんっ!(胸を抑えて仰け反ってるイメージ)

 でも、ごめんね。今回は君たちに構っている時間はないのよね。……残念だけど、君たちの冒険は此処までにしてもらわないといけないんだ。

 

「突然だがお燐、お前に一つ頼みがある。報酬はお空を無傷で助け出す事だ」

「あ、あたいに出来ることなら何でもするよ!」

 

 ん? 今、何でもするって言ったよね? じゃあ、脱gゲフンッゲフンッ!

 

「んなっ!? い、いきなり頭を撫でないでよ!」

「騒ぐな、気が散る」

 

 えーっと、お燐ちゃんの潜在能力はー……うんうん、な・る・ほ・どねぇ。

 これなら、此処をこうして、アレをあーして、私の霊力を呼び水にして、此処を上手く統合して引き合わせて、固定してしまえばー。

 

「妖気固定、潜在能力最大開放。……覚醒(おきろ)!」

「うにゃ!? あ、あたいに何がぁ!?」

 

 お燐ちゃんの身体を溢れんばかりの閃光が包み込む。周囲一帯を照らし、地底の空に光の柱を形成する。……私がガキの頃に、一度だけ橙ちゃんを相手に使った技だけど。どうやら上手くいったみたいだねぇ。

 

「お、お燐?」

「さ、さとり様? あたいに何が起こってるんですか?」

「わぁー! お燐が大きくなったぁー!」

 

――博麗さん式覚醒術。

 

 私の霊力を呼び水にして、周囲からあらゆるエネルギーを集め、膨大な妖力を作り出し、作り出した妖力を覚醒させたい対象に向かって注ぎ込む技である。

 この技の特徴は文字通り覚醒。対象者の潜在能力を引き出し、その者が成長し、最終的に行き着くであろう全盛期の力を再現する荒業である。

 欠点は、その効果時間、僅か数時間という短い間のみしか強化できない。そのため、長期戦には不向きの技である。……最も、その欠点に見合った効力は発揮するんだけどね。

 かつてこの技の対象になった橙ちゃんは、幻想郷最強クラスまでその力を引き上げ、敵対していた馬鹿な妖怪や、阿呆な神を血祭りに上げていた。当時、中級にも満たなかった弱小妖怪だった橙ちゃんが、自分より何百倍も実力のあった妖怪を一方的に惨殺できたのだ。その上、当時この技を使った私の技量は今の私よりも遥かに劣っていた。つまり――

 

「お燐、お前への頼みというのは、この三人娘を怪我させないように足止めする事だ」

「あ、あたいにそんな事が出来るんですか?」

「試しに、そこら辺に爪を振ってみろ」

「え、は? そ、それぇ!」

 

――覚醒完了。

 

 お燐が振り下ろした爪、その直線状にあった景色に五本の爪跡が刻み込まれた。

 

「え?」

「「えぇぇぇぇぇッッッ!?」」

 

 その場にいた全員が、目玉も飛び出さんばかりに驚愕の声を上げる。

 当然だろう、精々中級クラスの力しか持たなかった妖怪が、突如として幻想郷の例外連中には届かないまでも、それらのつま先程度には迫っている馬鹿げた力を出したのだ。……その事実に驚愕しないものなどいる筈もない。

 

「どうだ驚いたか?」

「あ、あたいどうなっちゃったのぉぉぉ!?」

 

 そう、これが今の私が行える覚醒術だ。

 対象となる相手の潜在能力を全て開放した上で、その開放した潜在能力が極限まで引き出された状態を更に強化した状態で固定化する。

 どんな弱小妖怪でも、瞬時に幻想郷でも屈指の実力者へと変貌を遂げる。その辺の有象無象の虫けらが、その次の瞬間には遥か見上げる天空の竜すらも噛み殺せるほどの存在へと昇華するのだ。

 

――たかだか数瞬余りで、蚊トンボを獅子に変化(かえ)る。覚醒とはそういうものだ。

 

 お燐ちゃんの姿は、もう少女と呼べるそれではなく、大人の女性としての魅力に溢れた姿へと変貌していた。

 少しだけ慎ましかった胸も、すっかりと実を付け、まるでスイカかメロン、否、それ以上に豊満な代物へと変化し、少し身じろぎするだけで、重力に逆らって弾む弾むッ弾むッッッ!!

 身体の艶めかしさ、括れは流石猫の妖怪とでも言えば良いのか? 手足は長く靭やかでしっかりと引き締まっており、その姿、先程までのお燐ちゃんがキティだとするならば、今のお燐ちゃんは獲物を狙う美しきハンターである。

 更にその色っぽい大人のエロスに満ち溢れてた肉体を、少女然としたゴシックロリータで覆い隠しているのである。しかし、ゴシックロリータのサイズが微妙に合っていないのか、胸は窮屈そうにパッツンパッツで、下はその白く長い足が露わになっており、ミニスカートにしか見えない。

 エクセレント! ディ・モールトベネ! もう最高だよお燐ちゃん! 異変が終わったらお姉さんと一緒に、夜の狩りの練習しようね!

 

「お燐、やれるな?」

「な、何が起こってるのか正直全然分かってないけど。……分かった、やってみる」

「よし、良い子だ」

「うにゃ、だ、だからいきなり頭を撫でないでよ! もう!」

 

 猫耳ゴスロリ美女が、顔真っ赤でプンプンしている光景だけで、軽くご飯五合くらいはかき込めそう。そう、私は思いました(粉ミカン)。

 

「そんなわけだ。……私を追いたいなら、此処にいるお燐を超えてから来るといい」

「へんっ! そんなの言われなくてもぉっと!?」

 

 いきなりお燐ちゃんを無視して、特攻をかましてきた魔理沙たんが、思いっきり仰け反る。

 

「行かせないよ!」

 

 お燐ちゃんが放った炎が、魔理沙たんの顔面ギリギリコースを横切っていったからである。……うん、見た感じ、ちゃんと怪我はさせないように攻撃できているみたいだね。これなら任せても安心できそうだ。

 

「さて、行くぞ。さとり、こいし。お空が待っている」

「お燐、私達は先に行くけど、無理だけはしないでね!」

「お燐頑張ってぇ!」

「分かりました!……霊夢! さとり様とこいし様をちゃんと守ってよ! お空もちゃんと救ってよね!」

「フフッ、任せろ。博麗の巫女に二言はない」

 

 お燐ちゃんに見送られながら、私達は地霊殿の奥深くへと進んでいく。その先にて助けを待つお空ちゃんを救うために、今回の異変をしっかりとハッピーエンドに導くためにッ!

 

「あの、霊夢さん。流石にちょっと恥ずかしいんですけど……」

「ちょっと霊夢! 自分で歩けるってば!」

「喋るな、舌を噛むぞ?」

「ひゃああぁぁぁああ!?」

「へにゃぁぁぁあああ!?」

 

 ちなみに、古明地姉妹に合わせて移動するより、私が抱えた方が早いという事実に気付いてしまったので、片腕に一人ずつお姫様抱っこで抱え込んでいます。……腕に伝わる古明地姉妹の感触、程よい体温が大変心地いい。これだけで私は千年は戦える気がします。

 高速移動の際に二人が涙目で騒いでいる光景は素直に可愛かったので、脳内カメラで激写しました。……ふふーん、別にエロい光景だけ保存しているわけじゃないんやで? むしろ、私にとっては幻想郷の美少女たちのこういう可愛らしい光景や、ちょっとした日常のシーンの方が大変美味しい代物なんや、むふふっ!

 

 無論、降ろした後に私の脇腹が抓られたのは言うまでもない。……いてぇよいてぇよ!(唐突なハート様)

 





か・く・た・のぉぉぉぉぉおおおお!!!(いつものぉぉぉおお!)

色んな意味でテンションが上がっている伝説を語りたい系職人の春巻きです。
え? 何の職人かだって? そんなの納豆混ぜ混ぜ職人に決まっているじゃないか。

来る日も来る日も、納豆を混ぜて混ぜて混ぜまくる日々。
熱い日も、寒い日も、風の強い日も、混ぜて混ぜて混ぜる。そして、遂に到達する混ぜの境地、納豆という発酵食品が最後に行き着く未知なる領域。
その果てに至らんと、日夜混ぜを行っている職人だ(此処まで全部嘘)。

はい、意味の分からない話はゴミの日にでも捨てておいて……春巻きです。皆さん、最新話楽しんで頂けましたか?
いつも通り、軽快なステップとノリとテンションと、その他の謎要素で書きまくっている当作品ですが、そろそろ、皆さんに「このっ変態めっ!」と罵倒をされないか心配になってきているところです(何を言っているんだコイツ)。

何か色々とアウトに限りなく近いグレーゾーンを相変わらず爆走させていますが、大丈夫です、安心して下さい。これから先も完全なシリアスは書くつもりはありません(書いているとぽんぽんがペインペイン)。
これからもどうか、皆様には巫女(ヤバイ)の暴走を生暖かく見守って欲しいと考えています。

以上、尻切れトンボの春巻きからでした(これ以上語るの秋田)。
では、次の更新までまたのぉ!

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