ただ一言言わせて欲しい。……(待っていてくれて)ありがとう。
そして、これが私という一人の人間(という名の春巻き)が唯一返せる感謝の気持だ。
(´・ω・`)< コレヲ
⊃【最新話】⊂
(`・ω・´)< コウジャ!
⊃ ⊂
||| ビューン!
【最新話】
「はぁ、はぁ、くっくふふっ」
「はぁ、はぁ、くっハハハッ」
どれほどの間、殴り合っているのだろう。
風見幽香と星熊勇儀、二人は既に満身創痍だった。身体の何処にも無事なところなどありはしない。ボロボロの傷だらけで、真っ赤な血に塗れた酷い有様だった。
「かぁ―ッこれだけやって漸く互角かよッ! やっぱりアンタ強すぎるなッ!」
「ふふっ、私に此処まで力を出させたのは、霊夢を除けばお前が初めてよ」
――拮抗。
二人の力は完全に拮抗していた。
進化の光を浴びて極限まで高まった己の力を引き出し、更に周囲の妖気を集めて束ねて漸く互角。その事実に勇儀は絶望すれば良いのやら、呆れてしまえば良いのやら、それとも、そんな怪物じみた規格外を相手にして匹敵できている自分自身に驚けば良いのやらと、色んな感情が入り混じって複雑な心境だ。
「はんっ、力を出させた? 馬鹿を言ったらいけないねぇ。……アンタ、ホントはもっと上があるんだろ?」
「……へぇ、どうしてそう思うのかしら?」
「感じるんだよ力を……比べることも馬鹿馬鹿しい力をッ! アンタの中からなッ!」
勇儀は感じ取っていた。……幽香の力に近づけたからこそ、感じ取ることが出来た。
まるで聳え立つ果ての見えない断崖絶壁の前に立たされているかのような――そんな錯覚に陥ってしまいそうになる、幽香の次元違いな力を感じ取っていたのだ。
実際、”今”の幽香が出している力は、幽香が内に秘めている強大な力のほんの上澄み部分でしかない。その上澄み部分と互角になるのにもかなりの苦労をしたのに、当の本人の全力には程遠かった。……その事実に絶望せず、逆に闘おうとしている勇儀のメンタルは恐らく幻想郷でも最強であろう。
「うふふっ、うふっ、うふふふふふっ……良いわよ、気が変わったわ」
幽香の笑みが変わる。
狂気に満ちていた凶笑から、慈愛すら感じさせる綺麗な微笑みへと変化する。
変化と共に空気が重苦しくなる。……幽香を中心として、地底の空気が徐々に徐々に重苦しくなっていく。目に見えない圧力が空間を侵食し、物理的に地底を蹂躙していく。
「こんなに頑張ってくれたんだものぉ……ご褒美に少しくらい見せてあげても良いわよねぇ?」
別にこのままの状態でも時間を掛ければ勝てるだろう。元々の地力の差が違うのだ。勇儀の限界が訪れるその時まで待てば、遠からず勝手に自滅するだろう。……だが、そんなものはちっとも面白くない。
何故なら、自分は風見幽香だ。幻想郷で最も恐れられているのが自分だ。……そんな自分が、安い勝利で満足できるわけがない。否、満足などしてたまるものか。
幸い此処は深い深い大地の奥底だ。少しだけなら全力で遊んでも幻想郷に影響はないだろう(影響がないとは言ってない)。
「な、何だこりゃッ!?」
勇儀の背筋を鋭く悪寒が駆け抜ける。
己の生存本能が悲鳴を上げている。眼前で佇む妖怪から、圧倒的な生命の危機を感じ取る。……流石に霊夢の威嚇ほどではないが、それに限りなく近い絶望的なまでの圧迫感を感じ取る。
「折角、殴り合える
高まり続ける莫大な妖力。上昇していく妖力と共に、幽香の傷が癒え、同時にその姿形が変貌していく。
徐々に徐々に、深緑のごとき髪が、まるで草木が成長する様に伸びていき。見目麗しきその容貌はより美しく洗練されていく。更には、背中から六枚三対の悪魔を思わせる翼が生え、幽香の足元を中心として花畑が広がっていく。
神々しいまでに美しく、禍々しくも悍ましい。全てを蹂躙せしめる破壊の権化が深い大地の底にて顕現した。
「それが、アンタのッ」
「そうよ。……光栄に思いなさい。私のこの姿を見たのは霊夢以外ではお前が初めてよ」
「ははっ! そりゃあ、良いもんを拝ませてもらったねっ!」
しかし、勇儀は絶望しない。快活とした笑みを浮かべながら、拳を握り締め。絶望へと立ち向かう。
生存本能が叫んでいる。屈してしまえと、命を粗末にするなと叫んでいる。だが、それがどうしたと気合で誤魔化す。
足は恐怖で震えている。無謀だと、あの怪物に立ち向かってはならないと震えている。だが、それがどうしたと無理矢理力を込めて歩みを進める。
「今からお前をぶん殴るわ。もしもそれで立っていられたらお前の勝ち、倒れたらお前の負けよ」
「へっ、そいつは分かりやすくて良いじゃないかッ!――」
勇儀は全身全霊で防御態勢に入る。己の妖力を総動員して、全身の筋力を、力を、その全てを防御に回す。
「――来いッッッ!!」
「お前の奮闘は、此処で終わる――ハァッ!」
幽香の気合の声と共に、幽香を中心とした周囲の空間がひび割れ、発生した異空間が地底を侵食していく。
「ッ!? やっぱッデタラメッ、だねッ!」
空間を侵食しているのは、幽香の莫大な妖気が生み出した異次元空間、圧倒的な規模の空間が広がっていき、遂には勇儀も飲み込んだ。
そして、飲み込まれた勇儀は思わず息を呑んだ。眼前に広がる光景に、馬鹿げた光景に、己の目を疑った。
――宇宙。
無数の光り輝く光点が点在する空間。上下左右、前後の全てが見たこともない異空間に覆われてしまっている。
これがたった一人の妖怪によって作り出された光景だと誰が思う。天地を創造せしめた全知全能の神と同等。否、それ以上とも言える大いなる御技。
――風見幽香は世界すら容易く生み出せる力を持っている。
そんな怪物と相対している己のなんと矮小な事か。……勇儀の意識に一瞬の空白が生まれる。
「妖怪も神すらも滅ぼす圧倒的な暴力を見せてあげる!」
「ッ!?」
刹那、勇儀の懐に幽香が瞬間移動する。
まるで勇儀の意識の隙間を突くかのように、唐突に、彼女の懐へと幽香が現れた。
「逃がさないわぁッ!」
「ぐはっ!?」
繰り出された幽香の拳が、ガードの上から勇儀の身体を思いっ切り叩く。
しっかりとガードしていたにも関わらず、ガードの上から勇儀の肉体に重いダメージが刻まれ、吹き飛ばされる。
折れてはいない、折れてはいないが、刻み込まれたダメージは勇儀の腕に痺れを残し彼女の動きを極限まで阻害してしまう。これでは再びガードしようにも、まともに防ぎ切ることが出来ない。
「せいっ! はぁっ! せいやぁっ!」
「ぐっ!? がっ!? ぐわっ!?」
吹き飛ばされた先に、幽香が超スピードで先回りし、追撃の蹴りを繰り出す。
連撃、連撃、連撃、連撃、連撃ッッッ!! 超スピードで、まさに電光石火の勢いで、勇儀を追撃していく。
幽香のデタラメな威力の鉄拳が空を切り裂き、尋常ではない蹴りが空間そのものに甚大なダメージを刻み込んでいく。
さしもの勇儀も防戦一方、あまりにも激しい連撃の嵐を前に、為すすべもなく過ぎ去るのを待つことしか出来ない。
そして――
「その魂ごと叩き潰してあげるッ!」
――トドメ。
拳を解いて、そのまま指を揃えて伸ばし、闘気を纏う。更に、纏った闘気を研ぎ澄ませ、刃のように鋭く収束させていく。……いうなれば手刀、この世に並ぶものなどない。風見幽香という極上の素材で形作られた、最強の刀である。
ただ一人の妖怪に向けるにしては余りにも過剰だ。……一体どれほどの力を収束しているのか、収束しきれていない闘気が、幽香の全身から溢れ出し、空間そのものを捻じ曲げ、幽香が展開した世界に歪みを生み出していく。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、くくくっ、ハハッ、ハハハハハッ! 全く、本当にデタラメな奴だなアンタ!」
「私も呆れたわ。勝ち目なんて万に一つも、それこそ那由他の果てもありはしないというのに、笑顔で立ち向かってくる。……そんな貴女の馬鹿さ加減にね」
「アハハッ、鬼は馬鹿正直が一番だからねッ!」
「ふふっ、これで本当に最後よ。もしも、この一撃を耐え切れたなら貴女の勝ち、耐えきれなかったら私の勝ち」
「はんっ、耐えきった上で一撃叩き込んでやるさッ!」
しっかりと体勢を整えて、自分の全身に力を込める。
何処からの一撃であっても耐えられるように、どれほどの一撃でも耐えられるように覚悟を決める。
その佇まい、まさに肉の城壁。ズタボロでありながら、どんな攻撃すらも弾き返すであろう鉄壁の城壁、星熊勇儀という名の絶対防御である。しかし――
「アハハッ、楽しかったわぁ」
――太極・風見
幽香が振り下ろした手刀が、勇儀の絶対防御を、その覚悟ごと異空間諸共叩き切った。
「……ふふっ、驚いたわ」
瓦礫に腰掛けた幽香は嗤う。
戦いは終わった。地底の一角を破壊し尽くし、その挙句に幻想郷を覆う博麗大結界にすらも僅かに傷を刻み込んだ最強の鬼と最凶の妖怪の激突は終わった。
「……」
沈黙する勝者と――
「まさか、この私に土をつけるなんてねぇ?」
――悠然と佇む敗者という形で。
あの幽香の一撃の後に何があったのか。
簡単な話だ。たった一つのシンプルな答えだった。勇儀が幽香の一撃を耐え、なおかつ反撃することが出来た、ただそれだけの話だ。
己の作り出した世界ごと、勇儀を両断した幽香の規格外な一撃。
それをまともに食らった勇儀は、勿論無事では済まなかった。肩から、脇腹にかけての裂傷、勇儀の意識をも両断し、幽香の勝利が確定したかにも思えた瞬間。
勇儀は、手を出したのだ。それは緩慢とした動きでハエどころか蚊すらも仕留めきれない、僅かな力も込められていない、ただ単に手を前に突き出した。……その程度の攻撃にもならないもの。だが――
「良いわ、認めましょう」
――当たった。
確かに当たったのだ。
無論、ダメージは微塵もない。触れただけだが、確かに当てたのだ勇儀は。宣言通り、幽香の一撃をその身に受けてなお、反撃したのだ。
「お前――いや、勇儀。……貴女の勝ちよ。恐怖すること無く、この私にぶつかってきた貴女の勇気の、ね」
だから、この勝負は己の、風見幽香の負けなのだ。
「今回は霊夢との
最凶の妖怪は微笑む。慈愛すら感じさせる、柔らかな笑みを浮かべて。……その視線の先にいるボロボロの勇儀が、青い顔で冷や汗をかきながら、うぅーうぅーとうなされているように見えるのは、きっと気のせいではない。
ヤベェ奴に目をつけられた星熊勇ちゃんの明日はどっちだッ!? 答えは神の味噌汁。
ーーー
場面は打って変わって、地底の某所である。
「ハーッハッハッハッハッ! 神の御技を知れぇぇぇぇぇ!」
「OO! 避けてッ!」
【
「うみょおぉぉぉぉぉ!?」
【人の言葉を話しやがれぇぇぇぇぇ! バカ宿主がぁぁぁぁぁ!】
完全に超守矢神としての力を発現した、愛に狂う最強のしまっちゃう系ヤンデレ祟り神、洩矢諏訪子。
超高性能な近未来兵であるOKEを乗りこなし、世界に変革を齎さんと武力介入する期待の桶マイスター、キスメ。
己の背に天災級のヴィジョンを浮かばせ、奇妙な動きで奇妙な事を口走る地底のアイドル、黒谷ヤマメ。
馬鹿馬鹿しい程に強力な力を持った神妖が、地底の大地を荘厳なる神威で祟り、近未来粒子で照らし、悍ましい病魔で侵し尽くしていく。
「か・み・さ・ま・波ぁぁぁぁぁ!」
「ひえぇぇぇぇぇ!?」
【ぬぐぅぅぅぅぅっ!?】
両手を腰の方で上下に構え、神の、祟り神の力を収束し、溜まりきった絶大なエネルギーを前方へと放つ。
それは黒みがかった桃色の破壊の光、直線状に存在する全てを、祟り滅ぼす、絶対なる祟り神の力の放出だ。
これを喰らえば、進化の光を浴びて極限まで進化しているキスメ、ヤマメの両名と言えど、タダでは済まない。否、まともに喰らえばそのまま身動きも取れない程の甚大なダメージを受けてしまうだろう。
そのため、ヤマメは妙な叫び声をあげながらも、必死に避ける。彼女のスタンドのモンスペイラーもまた、その攻撃を宿主に直撃させまいと、仁王立ちになりながらその六腕を盾の様に広げて光線を受け止める。
「させないっ!」
【
更に、耐えるヤマメを救うため、キスメが近未来兵器で諏訪子を狙い撃つ。
桶より放たれる光線は、並みの存在であるならば、例え神であっても蒸発させる桁違いの力の奔流だ。
「甘いよっ! ハァッ!」
「っ!?」
【
しかし、諏訪子が気合と共に全身から放出した祟りの力によって、弾かれ霧散してしまう。
「……強くなってるっ」
【
馬鹿げた話だが、諏訪子が発している神の気が強くなっている。戦えば戦うほどに強く、より強くその力を増しているのだ。
――戦いの中で成長している。
まるで適応するように、戦いの中で成長を続けているのだ、この神は。
既にキスメとヤマメの攻撃では、諏訪子の肉体にダメージを与えることが出来なくなりつつあった。
キスメが駆る桶が、どれほど高出力の近未来的な粒子兵器をぶっ放そうが、諏訪子が全身から垂れ流している莫大な祟り神の気のみで防がれ。
ヤマメが己の力の結晶であるスタンドでやたらめったらに殴ろうが、その豪腕は諏訪子の細腕によって容易く捕らえられ、受け流され躱されてしまう。
「ハッハハハハハッ! 気分がいぃねぇ!」
諏訪子はラリっていた。全能感に酔い痴れ、まともな思考が働いていない。
超守矢神・タタリという恐ろしくも神々しい力の奔流が、諏訪子の思考を染め上げているのだ。
目の前の有象無象を薙ぎ払えぇ! この先で待っている愛しいあの人をしまっちゃうために、他の全てを薙ぎ払ってしまえぇ!……しまっちゃう系、土着神、洩矢諏訪子とは彼女の事だぁ!
「はっ!? ここは何処? 私はヤマメ?」
【このスカタンがァ!】
「いったぁぁぁぁぁ!? ナデェナグゥルゥノォウ(何故、殴るの)!?」
【オンドォル語は止めろォ!】
漸く混乱状態が解けた様子のヤマメである。
早速、ヤマメとそのスタンドであるモンスペイラーの二人による主従漫才が開始される。……いや、飽きないね、君らも。
「……ヤマメ、提案」
「き、キスメ?」
主従漫才を華麗にスルーしてキスメはヤマメに声を掛ける。
「提案って、何するの? あんなバケモノに勝てる手段なんて何にも思いつかないんだけど?」
「……私がなんとか隙を作るから、ヤマメの最大火力をぶつけて」
キスメの提案はこうだ。
あの祟りのバケモノは、時間が経過すればするほど、その力を適応させ恐ろしい速さで成長していく。即ち、このまま時間を掛ければ掛けるほど、あの土着神は徐々にその力を増していき、最終的には自分達では手がつけられないほどの馬鹿げた存在になるだろう。……そうなってしまう前に、こちらの攻撃がまだ通用するであろう今、こちらの最大火力で以て、相手を無力化するのだ。
「準備に少し時間が掛かるけど……」
「大丈夫、それくらいは持たせる。……じゃあ、お願い。いくよ、OO」
【
時間稼ぎ、そして、隙を作る。……キスメは我ながらよくもまぁ簡単に言ったものだと自嘲する。
この異常な覚醒をした神を相手に、極限の進化を果たしたとはいえ、元は中級程度の妖怪だった己が、真っ向から挑もうとしている。……何と無謀なことか、何と身の程知らずだろうか。
だが、キスメに後退の二文字はない。……意地でも時間を稼いで、このバケモノを食い止めてやる。
何故ならば、キスメには約束があるからだ。己とヤマメにこの場を任せて先へと進んだあの巫女との約束があるからだ。
あの短い邂逅で、その存在感を己の奥深くまで刻み込んだ巫女からの約束。……それを違えることなど、キスメには出来なかった。
――「頼みを聞いてくれたら、ご褒美をやるぞ?」
「OO、限界を超えるよ」
【
ぶっちゃけご褒美欲しいのである。
キスメの搭乗している桶が、これまでとは比較にならない、莫大な粒子を放出する。
それは暖かな光の輝き、闇を照らし出し、心を包み込んでいく対話の輝きだ。……純粋種として覚醒した革新者であるキスメが至りし奇跡。
桶が姿かたちを変えていく。そう、まるで桶であることを捨てるかのように、桶が桶としての役目を放棄し、遂に、キスメ自身と一体となり、その存在を鎧へと昇華させる。
まるで未来の兵器である人型決戦兵器の様に、キスメの鎧と化した桶。その新たな名は――
「私が、私達がっ! オケダムだァァァァァ!」
【
――オケダム。
絶妙にかっこ悪い。……しかし、当人達はカッコイイと思っているのだろう。僅かにキスメは興奮で頬を紅潮させ、桶の方も普段とは違って魂のシャウトを放っている。
「何をしようと私の相手になると思うなぁ!」
「世界の歪みッ! お前を破壊するッ!」
――激突
諏訪子の振り下ろした鉄輪と、キスメが展開したビームサイズが鍔迫り合い、衝撃と火花を撒き散らす。
「ハハッ!」
「ッ! 後ろっ!? アァッ!?」
「遅いんだよぉ! オケダムさんよぉ!」
キスメが背後から奇襲を受ける。……いつの間に召喚したのだろう。石で出来た大蛇がその牙を突き立てていた。
鎧のお陰でキスメの本体に牙が届くことはないが、衝撃までは殺せない。そのまま大蛇に咥えられたまま、地面へと叩き落されてしまう。
「調子に乗るなぁ!」
「ギシャァァァァァ!?」
大蛇の噛みつきを力任せに振りほどき、そのまま鎌を一閃――頭部を真っ二つにして破壊する。
「いない!?」
「何処を見てるのかなぁ?」
「あぐっ!?」
気付けば地面に押さえつけられ、首を締められていた。
大蛇に意識を持って行かれてしまったキスメの懐に忍び寄っていた諏訪子は、そのまま、死角からキスメの首を鷲掴み、地面へと叩き伏せたのだ。
首に掛かる絶大な圧迫感、鎧越しだというのに、キスメの首に耐え難い圧力が襲い掛かる。
「ぐっ!? は、離せっ! このっ! このっ!」
「がふっ!? げふっ!?……アハハッ! バァカ、離すわけ無いだろぉ! がぁ!」
「あっ、がっ!?」
キスメが首に掛かる手を退けようと、何度も諏訪子の身体に粒子兵器を叩き込む。
ビームライフルで撃ち抜いたり、ビームサイズで切りつけたりと、何度も何度も攻撃を叩き込んだ。……だが、離さない。まるで固定されてしまっているかのように、微動だにしないのである。
それどころか、その痛みにすら適応しているかのように、徐々に力が増している。そのままねじ切ろうとでもするかのように、首を締め付けてくるのだ。
「あっ……っ……っ」
「ほぉら、もう少し、もう少しだよぉ」
キスメの意識が消えていく。
身体から力が消えていく。最早、手足は動かない。……ギリギリと鎧が悲鳴を上げている。諏訪子の、超守矢神の圧倒的な握力の前に屈しようとしているのだ。
このままではキスメがアヘ顔を晒して失神するのも時間の問題。だが――
「真打ち登場ぉぉぉぉぉ!」
【うおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!】
「があぁぁぁぁぁ!?」
――殴打。
そんな事はさせねぇと言わんばかりに、諏訪子の横っ面を思いっ切り殴り抜いたヤマメである。
見れば、ヤマメもまたその装いを変化させていた。見慣れた地底のアイドルの姿はそこにはなく、代わりに傾奇者が着ていそうな豪華絢爛な着物を羽織、胸元には晒を巻いて、その髪をまるで獅子の様に振り乱していた。
「これが私と相棒の奥の手にして最大最強の切り札」
【俺の力を宿主が纏いィ、自由自在に殴り潰すゥ】
「【
己のヴィジョンを、肉体へと憑依させることで、その力を何倍にも高める荒業。
自分自身の身体とスタンドを融合させるため、この状態になるまでに僅かばかりの時間を要するが、それを加味してもなお、強力極まりないヤマメの切り札だ。
「キスメ、無事?」
「けほっけほっ……だい、じょ、ぶ。それよりも、アイツを」
「後はこのヤマメちゃんに任せなさいっ!」
胸をドンッと叩いて、後は任せろと笑みを浮かべるヤマメちゃんである。……その姿に、つい先程までの余りにも情けない地底のアイドルの姿は何処にもない。
あるのは、ただ一人の傾奇者の姿。地底を股に掛ける、殴打系トップアイドルの溢れんばかりの輝かしい勇姿のみである。
「くそっ、くそっ、くそっくそくそくそくそくそっくそがぁぁぁぁぁ!」
殴り飛ばされた諏訪子が怒り狂い、その神の気を放出させる。
神の気に呑まれた諏訪子が思うのは唯一つ。自分に屈辱を与えた馬鹿な妖怪をズタズタのボロボロのギッタンギッタンのケチョンケチョンにしてやるというあまりにも物騒? な思いのみだ。
「消えろぉぉぉぉぉ!」
神の気を収束させて放つ技、カミサマ波。
黒みがかった桃色の閃光が再び、ヤマメを焼き滅ばさんと地底の空気を切り裂きながら迫る、が――
「しゃらくせぇ!」
【欠伸が出るぜェ!】
「何っ!?」
――一閃。
ヤマメが思いっ切り振り抜いた拳の一撃でぶち抜かれて破壊される。
【続けていくぞぉ! 合わせろ宿主ぃ! オラァ!】
「任せろ相棒っ! オラァ!」
「ぐぅ!?」
【オラァ!】
「オラァ!」
「ぎぃ!?」
【「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァ!」】
「ぐっはぁぁぁぁぁ!?」
動揺する諏訪子の隙を突いた形で、ヤマメのオラオラが炸裂する。
超高速の拳による連続攻撃が、諏訪子が纏っている神の気すらも削り取り、その肉体に向かって直接ダメージを刻み込んでいく。
「こんなっ、ことっ、がっ!?」
諏訪子の混乱は相当なものだった。
神の中の神、守矢の中の守矢、究極にして意味不明な力の権化である、超守矢神となった自分が、たかが妖怪ごときに良いようにぼこぼこにされている!?
そんなっそんなことがーーッ!
「そんな事があっていい筈がないだろうがぁーーッ!」
「ぐぅっ!? ど、何処にこんな力がっ!?」
【油断すんなァ! コイツは普通じゃねェ!】
気合一閃、全身から神の気を噴出させて、ラッシュを仕掛けるヤマメを吹き飛ばす。
既にその身はボロボロで、体力なぞ欠片も残っていない筈なのに、何処からこんな力が出ているというのか。……これが神、土着神の最高峰。人間の、妖怪ごときの尺度では決して推し量ることが出来ない、恐るべき頂上の存在の力ッ!
「ふぅーっ、ふぅーっ、消してっ、消してやるぅ!……お前ら一人残らず、消してやるぅーーッ!」
此処に来て、諏訪子は更に力を増す。
怒りの感情を全て力へと変換しているのだ。圧倒的な神威で、周囲へと重圧を振りまきながら、破壊の嵐を巻き起こしている。
「はぁぁぁぁぁっっっ!!」
諏訪子が両手を思いっ切り上に突き出す姿勢を取る。
すると、その両手に向かって周囲から夥しい程の力が収束していく。……力の正体は、祟り神。この幻想郷という場所全てに存在している祟り神達の力を集め、膨大なエネルギーの塊を作り出しているのだ。
「――消えてなくなれぇぇぇぇぇ!」
ソレに名を付けるならば、祟り玉。
全ての土着神の頂点にして、祟り神の頂点に君臨している諏訪子が、超守矢神としての本領を完全に発揮した今だからこそ使用できる諏訪子にとっての最強で最凶の究極奥義である。
幻想郷中の祟りという祟りの力が集められたその力の塊は、まさに祟りの太陽と言っても過言ではない。近くにいるだけで魂の髄まで祟り殺してしまいそうな呪力が吹き出している。……直撃したら、どんな生命体でもタダでは済まないだろう(ごく一部の例外を除く)。
「は、はは。……終わったッ! オワタッ! 私達の冒険は終わってしまったッ! 完っ!」
【言ってる場合かッ!】
ヤマメちゃんのカッコイイシーンは此処で終わってしまうのか?
「ヤマメっ! そのまま突っ込んで!」
「ファッ!? キスメェッ! それ私死んじゃうんだけどォ!?」
「良いからッ! 突っ込めっ! 早くッ!」
「……あぁっもうっ! や、やれやれだじぇぇぇぇぇ! ちっくしょぉぉぉぉぉ!」
キスメの叱責を受けて、カッコよさが半減しているヤマメちゃんが祟り玉に向かって突っ込んでいく。……「やばいやばいやばいやばいヤバイ、ヤバイよヤバイよ」とはヤマメちゃんの心の叫びである。
「……OO、やるよッ!」
【OKENS-AM!】
キスメの全身を覆い隠している装甲が真っ赤に染まる。
「ここで決めるッ!」
【
キスメが握るビームサイズの出力が臨界点にまで達する。
背中に存在するエネルギー生成炉から、輝く粒子が溢れ、ビームサイズへとどんどん取り込まれていく。祟り玉の恐ろしい力に対抗するかのように、ビームサイズ自体が巨大化していく。
「未来を照らせぇぇぇ!」
――振り下ろす。
その直線上に存在する全てを切断しながら、キスメのビームサイズが、諏訪子の放った祟り玉と真正面からぶつかり合うッ!
「今だよヤマメェ!」
「おっしゃぁ! やったるよぉぉぉぉぉ!」
【全力だぁぁぁぁぁ!】
そして――キスメのビームサイズによって、僅かに勢いが落とされた祟り玉に向かって、ヤマメが物凄い雄叫びを上げながら、色々とアイドルとしては終わっているとしか思えないような、最高にハイな表情で、突っ込んでいく。
「私をッ!」
【俺達をっ!】
「【誰だと思っていやがるぅぅぅぅぅ!】」
Q,私を誰だと思っていやがる。
A,とても残念な地底のアイドルです。
――光の矢。
一直線に突き進むその姿、まさしく流星のごとし。……一条の光と化したヤマメが、吸い込まれるように祟り玉へと突き刺さり――
「ぎゃん!?」
「病めぇ!?」
――思いっ切りぶち抜いた。
そして、そのまま諏訪子と正面衝突である。
互いの額と額がごっつんこ、鈍い音と共に、二人はもみくちゃになりながら地面を転がり、そのまま沈黙した。……戦いの後とは思えない、何とも言えない静寂がその場を支配している。
「……きゅう」
「……や、病めぇ」
超守矢神タタリの力が霧散し、いつも通りの土着神の姿に戻った我らが守矢が誇るスーパー合法ロリ、諏訪子は、額を真っ赤にしたまま白目を剥いてアヘ顔を晒しながら仰向けに倒れ(ダメージの影響で服がボロボロ)。
己のヴィジョンを具現化し、スタンドへと覚醒させた地底が誇るトップアイドル、ヤマメは、尻を大きく突き出したアイドルの風上にも置けないみっともない様を晒していた(ちなみに色は汚れなき純白である)。
両者ともに完全に気絶している。気絶、してしまっているのだ。……何処ぞの巫女が見たら、大歓喜待ったなしな姿を晒しながら気絶してしまっているのである(●REC)。
「……締まらないなぁ」
【
最後の最後で締まらない勝利に、キスメは、はぁとため息を一つ。……桶から発せられる某電子でネギな歌姫風の機会音声が主に投げかける慰めの言葉が、妙に大きく地底に木霊した。
――END, 虚しい勝利。
少女よ、強く生きろ。
◆◆◆◆◆
敢えて言わせてもらおう! 博麗霊夢であるとッ!
(多分)乙女座の私は、センチでメンタルな運命を感じざるえないよっ! お空ちゃぁぁぁん! 八咫烏ちゅぁぁぁん!
大人しくぅ! 神妙にぃ! 服を半脱ぎしてぇ! 四つん這いになってぇ! その胸を強調してぇ! 口を半開きにしてぇ! 涙目でぇ! おねだりしながらぁ! お縄に付きなさいぃぃぃッッッ!
私は某マスターでアジアな師匠も真っ青な、上半身を一切揺らさない直立不動の構えで空中を踏みしめ、お空ちゃんを追い掛けていた。
古明地姉妹のお怒りに触れて、半泣きになっている見目麗しき愛すべき我がアホガールを追掛けているのである。……ぶっちゃけ、追いつこうと思えば何時でも追いつける。普通に追い掛ければ、速攻で捕獲することは可能だ。
「こらお空っ! 逃げるなっ!」
「やだやだぁ! 捕まったらっ! 怒られるからっ! やだぁっ!」
【我も怒られるのはいやだぁぁぁぁぁ!】
駄々っ子可愛いかよ。
そう、泣きながら逃げているお空ちゃんとそのお空ちゃんに同調する様に威厳のいの字の欠片もない勢いで残念ムーブを極めつつある八咫烏ちゃんが可愛すぎて可愛すぎて、博麗お姉さん、もう辛抱堪らなくなっちゃってるんです。ハートの股ぐらがいきり立っちゃってるんです、かしこ。
この博麗霊夢の最も好きな事は、美少女の可愛い瞬間をこの目に焼き付けて、脳内で焼き増しする事である。……脳内の記憶領域に新しく作ったお空ちゃんフォルダその①とやたがらす(いげんたっぷり)フォルダその①が満杯になるまでは、この逃走劇を終わらせるわけにはいかないのである、お分かりぃ?
「しつこいっ!」
【来るなぁ!】
私の追跡を振り切るため、お空ちゃんがその雄々しくそびえ立つ制御棒(意味深)を此方に向け、そのままお空ちゃんの温かいアレ(太陽光線的な意味で)を私に向かってぶっ掛けてくる。
迸る白いソレは熱く、恐ろしいまでに熱く、触れただけでイッてしまいそうな熱を孕んでいる(あの世的な意味で)。……お空ちゃんと八咫烏ちゃんの生命の輝きを感じせるソレを私はノーガードで顔面に受ける。
「ふぁっ!?」
【にゃんとぉ!?】
私の顔に降り掛かるお空ちゃんの白濁としたソレ(太陽の力的な意味で)を、余さず口へと運び、こくりと喉を伝って胃に流し込んでいく(※普通は死にます)。
お腹が、下腹部が熱を持っている(文字通り)。お空ちゃんの生命の輝きが私の体内で叫び狂っているからだ。
優しく、優しく下腹部を擦ると、暴れ狂っていたお空ちゃんの力は大人しくなり、そのまま私の身体に取り込まれて消えていく。……ぺろりんちょ、ごちそうさまでした。
「わ、私のメガフレアが食べられたぁ!?」
【え、人間こわい】
食ったら力が湧いてきたぁ!
何となく出来る気がしたからやってみた(粉ミカン)。これから私のことは
極めて簡単な話である。
私が
お空ちゃんの放ったメガフレアを
食べた ←今ここ
霊力とかそこら辺の関係で、力の流れを操る術に長けている私だから出来るのである。
ふっふっふっ、崇め奉るが良いっ! この私を、レームちゃんサイコーってヨイショしなさい! ふはははははっ!……良い子の美少女は真似しないでね? 普通に死んじゃうからね? 飲み込むのは相手の体えkげふんっげふんっだけにしておきなさいね!
「こ、こうなったらギガフレアで!」
【ストップっ! ストップだぞ空! また食われるのが目に見えている!】
「よく分かってるじゃないか」
おかわりは自由ですか?……出来れば今度は直接その身体をぶちゅけてきて欲ちぃなぁってぇ、れーむはぁ、れーむはぁ思っちゃったりぃ?
【こうなったら接近戦しかあるまいっ! いけぇ! 空ぉ!】
「合点だよぉ! けちょんけちょんにしてやるんだからぁ!」
【むぅ……いやいや空よ、此処は普通ギッタンギッタンだろう?】
「えーじゃあ、けっちょんけっちょんがよくない?」
【間を取ってぎっちょんぎっちょんでどうだぁ!】
「それだぁ! お前をぎっちょんぎっちょんにしてやるんだからぁ!」
あっ、可愛い。もぉむりぃ、死んじゃうぅ。お空ちゃんと八咫烏がおバカでかわゆすぎて、霊夢しゃんの霊夢しゃんがいただきストリートしちゃうにょぉぉぉぉ!……こりゃあ、お空ちゃんの攻撃を全部この身で余さず受け止めてやるしかあんめいぞ、いまでうすぅぅぅぅぅ!
「はあぁぁぁぁぁ!」
【もっとだぁ! もっと力をひねり出せぇ! 空ぉぉぉぉぉ!】
お空ちゃんの力が収束していき、彼女の身体が光り輝いていく。……そして、次の瞬間、太陽の如き閃光がまるで大瀑布の様に広がり、周囲の景色を染め上げていく。
「……うにゅぅ(気持ち的には低い声)」
【はっ! はははっ! 流石っ、流石だっ! 流石は空っ! 流石は我が依代っ! まさかここまで進化できるとは思っても見なかったぞっ! ハハハハハッ!】
薄い黃緑色のオーラを激しく全身から噴出させながら、その瞳を真っ赤に光り輝かせるお空ちゃん。
見ただけで分かる。自分の限界の壁を連続で何枚もぶち破って、有り得ない領域に到達したのだ。……私とか幽香とかがよくやらかしている事だから分かる(常習犯)。
名付けるならば、
急展開、もとい超展開すぎて着いていけてないお友達もいると思うけど、ちゃんと着いてきてね(無慈悲)。
分かりやすく表現すると。……【悲報】お空ちゃん、更に進化【何番煎じ?】と言ったところだろう。多分、「何度目だよ」「いい加減にしろよ」「進化のバーゲンセール」「何処の力の◯会だよ(ドラ◯ンボール感)」と言われちゃうこと間違いなしだね。
ウヘェ、強さ的には完全体幽香に一歩二歩だけ劣る程度かにゃぁ? 瞬間火力的には匹敵、もしくは凌駕してそう。……やだ、乙女の成長って早いのね、博麗お姉さんも流石に驚いちゃう。
ま、まぁ、私からしてみればこんなのお茶の子さいさいですしぃ? こーんな強い子でも割と簡単に倒せますしぃ?……ちょちょちょっと本気で頑張らんととと(震え声)。
「うにゅおぉぉぉぉぉ!(無理矢理出したであろう低い声)」
【ぶっ倒せ空ぉぉぉぉぉ!】
私に向かってお空ちゃんが空を駆けてくる。……私に勝って、古明地姉妹のお叱りから逃れるために(なお、勝敗に関わらず、怒られる運命の模様)。
よしよし、快く受けて立とうジャマイカ、お空ちゃんに八咫烏さんよぉ! 君達の激しい愛(妄想)を全て受け切って、抵抗しても無駄だと悟らせた上で、その身体に博麗式のお仕置きというお仕置きを叩き込んであげるじぇぃ、うえへへへへへぇ。
「フフフッ、面白くなってきたな」
まだまだ戦いは続いていく。私とお空ちゃんのどちらかが倒れるまで、戦いは続いていくのだ。……多分、尺的に次の話くらいで終わると思うけど(メメタァ)。
長らくお待たせしたね。
リアルの私が忙しさにかまけてヘタレていたのが原因なのだよ。……人間ってね、疲れていると、横になっただけで夢の国に逝けるんだよ(菩薩の笑み)。
最近、某ジョージ声の旦那が「諦めが人を殺す。諦めを拒絶した時、人間は人道を踏破する権利人となるのだ」って大変ありがたいセリフを言い放っているのを聞いたので、藁のように死ぬその時まで頑張ろうと思います(頭吸血鬼)。
それじゃあね、またのぉ!