東方博麗伝説   作:最後の春巻き(チーズ入り)

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二週間ぶりの投稿なのだよ!
待たせてしまって本当に申し訳ないです。
リアルがな、リアルがな、忙しくてな、忙しくてな。

取り敢えず、見てって下さいな!


巫女、竹林

 時は、満ちた。

 遂に、遂に待ち望んでいたこの時が、やってきたのだ。

 停滞した時が動き出し、新たなる変革の時が訪れるのだ。

 

 私、博麗霊夢はこれ以上無いくらいに歓喜していた。

 瞳孔は開き切り、息は乱れ、その身体は興奮により震え出し、その身からは莫大な霊力が溢れ出している。

 我ながら、無理もないと思う。……何せ、今日この日を以て、私は生まれ変わる事が出来るのだから。

 

 私は、興奮に暴れ出しそうになる身体を必死に理性で押し留めながら、ある場所に向かっていた。……その場所とは、永遠亭である。

 

 永遠亭。

 迷いの竹林と呼ばれる、無数の竹が生い茂る広大な林。その奥深くにそれは在る。

 昔話にも伝え聞く、かの有名なお姫様と、その従者たちが住まう場所であり、幻想郷で唯一の診療所を営んでいる場所でもある。

 私はそんな場所を目指して迷いの竹林の中を歩いていた。そう全てはーー

 

「漸く、漸く私の望みが……」

 

ーーあの大いなるバベルを、手に入れるためにッ!

 

 そのために、永遠亭に住まう医師、八意永琳……えーりんの力を借りるのだ。

 前々からえーりんに頼みこんでいたモノ、それが完成間近まで迫っているらしい。今日はそのブツを受け取るために、こうして永遠亭に向かっている。

 

 私がこの幻想郷という地に生を受けて、十と余年の歳月が流れた。

 その長いとも短いとも言えぬ時間、私はずっと歯がゆく思っていた事がある。

 それは私の身体が女の身であるが故に、幻想郷に存在する美少女たちに真の快楽を教えてあげることが出来ない、という事だ。

 確かに私の磨き上げた指の動き、感度を引き上げる技を使えばそれなりの快楽を刻むことは出来るだろう、だがそれは真の快楽とは言えない。真の快楽とは、めしべとおしべが出会うことで、アワビとマツタケが戯れる事で、漸くその先にある、本物を味合うことが出来るのだ。

 めしべとめしべだけではダメだった。アワビとアワビだけではダメだった。如何に私の技術を持ってしても、バベルの代わりは出来なかった。

 そして、バベルのない身では、美少女の秘密の花園の奥深くを暴き、堪能する事など出来はしない、それが何よりも悔しくて仕方なかった。

 

 だが、この耐え難き股座の空白は終わる。

 

「ーーこれからは私が天(比喩表現)に立つ」

 

 バベルの上から、この世に存在するあらゆる美少女に快楽を与えるのだ。……そのためには、先ずバベルを、マイバベルを手に入れなければならない。

 

 フハハハハハッ! 迷いの竹林とは片腹痛しぃ! 今の私を迷わせることなど出来はしないわ!……まぁ、私の美少女探査回路(ペスキス)で、永琳達がいる場所を察知しているからなんだけどね。

 美少女探査回路とは、私が某死神漫画の技を改良して編み出した技である。

 その効果は単純、美少女の所在や、情報を全部知ることが出来る、というもの。これにより私は自分の近くに存在している美少女の情報を何時でも仕入れることが出来るのである!

 気になるあの娘のあーんな事や、こーんな事、趣味趣向や性癖、何処を触られると弱いのか、初めてはどんなシュチュエーションが良いのか、全てが手に取るように分かるのだ!

 簡単に言えば、ギャルゲーやエロゲーのキャラクター完全攻略ガイドを常にチェックしているのと同じ状況なのだよ。……私の手に掛かれば、どんな女もイチコロだぜぃ!

 

 そうこうしている間に、永遠亭の前に辿り着いた。

 何時見ても立派な建物だ。由緒正しい日本家屋が、竹林の中にひっそりと建っている。そこには古き良き日本の和を感じさせる確かな風情がある。

 私、個人的にはこの建物大好きなのよね。幻想郷の好きな建物ベスト三には確実にランクインしてくる建物だ。……何か良いじゃん、日本家屋(浅はか)。

 ちなみに、一位は自画自賛になっちゃうけど、我が家である博麗神社で、二位は全身真っ赤な建物である紅魔館である。

 

「邪魔をする……永琳はいるか?」

 

 異変で乳繰り合った(一方的な認識)仲なのだから、今更、遠慮なんてしません。ノックなどせずに、一気に扉をガラガラッと開く。

 

「あー! れーむだー!」

「れーむ! じゃまするかー!」

 

 永遠亭に入った途端、すぐさま私を取り囲んできたのは、ウサミミの可愛らしいロリっ子軍団である。

 皆、赤いクリクリお目々をパチパチさせながら、私の周りで何が楽しいのかキャッキャと騒いでいる。……あらやだ、可愛い。

 話は変わるけど、ウサギってさぁ、性欲強いよね。年がら年中発情期で、子作りする時はそれはもう、すんごいらしいね。……他意はないよ。他意は、ね。

 そんなわけで、はよ、バベルを手に入れねば(使命感)。

 

「こらこら、お前たち、お客さんに迷惑を……なーんだ、霊夢じゃないか。いらっしゃい」

 

 ウサギロリを注意しながら、私を出迎えてくれたのは、同じくウサミミ可愛い美少女。

 彼女の名前は、因幡てゐという。

 ショートな黒髪に、くりくりおめめが可愛らしいく映える童顔。頭上で揺れている垂れウサミミが、大変よろしい。てゐちゃん、ペロペロ。

 服装は、桃色の半袖ワンピースで、裾の方には赤い縫い目がある。そして、靴や靴下なんてものは一切身に付けていない。ちっちゃくて可愛らしい素足が晒されている裸足なのである。……足舐めてぇ、ペロペロしてぇ。

 竹林や、永遠亭に住んでいる妖怪ウサギ……さっきのウサギロリ達のリーダーであり、かの有名な因幡の素兎伝説に登場する因幡の兎張本人……であると噂されている。

 それが本当かは定かではないが、てゐ本人が長生きをしている兎妖怪である、と言うことは事実だ。……本人曰く、健康に気を遣って長生きするうちに、妖怪変化の力を身に付けたそうだ。

 まさに地上の兎達のレジェンド、健康長寿を心掛けている由緒正しきロリババァである。

 話は変わるけど、ロリババァって、ものほんのロリと違って、事案が発生しないから合法的に手を出せるのがポイント高いよね。……この幻想郷は、その合法ロリで溢れている。あのレミリアやフランドールだって、数百年の時を生きているし、チルノや大妖精、ルーミアだって合法だ。

 つまり、何が言いたいのか……ロリババァ最高! 世間体なんて気にしないで色々できる存在、ロリババァは最高! ロリババァ結婚してくれぇぇぇ! ヒャッハァァァ!

 

「何か失礼な事を考えなかったかい?」

「き、気のせいだ」

「声、震えてるよ?」

「……そんな事よりも、永琳はいるか?」

「露骨に話題を変えたね。まぁ別に気にしてないけども……お師匠なら、奥の方にいるよ」

 

 ふぅ、何とか誤魔化せたね。

 ババァは乙女に対しての禁句と言っても過言ではない。

 もし乙女に言ってしまおうものならば、面倒なくらいに泣かれるか、冷たい目で蔑まれるか、殺されるかの、どれかだろう。

 だが、敢えて言わせてもらおう……ババァの何が悪い、と。

 美少女であるなら、例えそれがババァであっても美少女であることに変わりはない。

 てゐを見てみろ、百万年以上もの長い月日を生きておきながら、その肌は真珠のように美しく、赤ちゃんのようにモチモチしており、尚且つ髪もサラサラとした手触りで柔らかい。正直、今すぐドッキング作業に移りたいくらいの愛らしさである。

 普通の女ではこうはいかない。ただの女では、この境地に辿り着くのは至難の技だ。

 確かに若いのは良いさ、それは認める。若い方が締まりが良いし、初な反応を見せてくれる。それは理解できる。

 そうだとしても、私はババァを、年齢詐欺の美少女ババァを厚く信仰している。

 長い年月で磨き抜かれた美しい肢体、知識だけで経験がない故のテンパった姿……どれをとっても一級品だ。

 結論、美少女ババァ最高! 幻想郷の美少女最高! 皆、是非とも嫁に、嫁にしたいッッッ!

 

「しっかし、お師匠にどんな用事があるんだい? 天下の博麗の巫女様なら、態々お師匠の手を借りなくても、色々とやりたい放題出来るだろうに」

「お前は私を何だと思っているんだ」

「理不尽の権化、歩く災厄……後、女殺し。霊夢のせいで、異変の時は散々な目に遭ったし、うちの姫様やお師匠様、鈴仙が色ボケのアホにされちゃったからね」

 

 酷い言い草だな。人のことを理不尽だの、災厄だのと(後半の部分聞こえていない)。

 まぁ、異変の時は正直スマンと思ってはいる。私も色々とテンションがハイになってて自分を制御することが出来なかったんだ。本当にスマナイ。まさか覇王モードぱいせんがユルユルのガバガバになって、暴走してしまうとは思わなかったんだ。スマナイ。

 

「何を言いたいのか分からんが、取り敢えず私は悪くないぞ?」

「へーへー異変を起こした私らが悪かったですよー」

 

 ちょっとむくれているてゐちゃんが可愛いくて生きているのが辛い。ほっぺたむにむにして良い子良い子してあげたい、というかナデナデするわ。

 横を歩いているてゐの頭に手を置いて、梳くように指を滑らせる。

 

「うわっ!? いきなり何するんだ霊夢!」

「謝罪の意を込めて頭を撫でているだけだ。……お前の髪は柔らかいなてゐ、ずっと撫でていたいくらいだ」

 

 いや、本当に滑らかで指が通る通る。見た感じ、くせっ毛だから絡まると思っていたんだけど、髪の一本一本がサラサラで、柔らかくて……正直なところ、時間が許すなら何時までも触っていたいくらいだ。

 

「ふ、ふふーん、こ、これでも髪には気を遣っているからね。……み、耳は弱いからあんまり触らないでくれ、擽ったい」

「その割には、物欲しそうに揺れているが?」

 

 耳にほど近いところへと指を滑らせながら、てゐに問いかける。

 そーれ、此処がエエんやろ? な? 本当は辛抱堪らないんやろ? な? 気持ちよくなりたいやろ? な?……だから、ほらほら、お姉さんに身を委ねなさい。天上楽土へと連れて行ってしんぜよう。

 ウサギの妖怪であるてゐの性感帯とは、やはりこのむき出しになっている垂れウサミミ。これをこねくり回せば、てゐを一瞬で即落ちニコマよりも酷い感じに滅茶苦茶に出来るんやで?……永夜異変の時に、すんごい触りまくったからね。耳の何処を抓んで、揉んで、解せば良いのかは十分に理解できているよ。

 

「き、気のせいに決まってるだろ?」

「ふふふ、声、震えているぞ?」

「ーーッ!? 本ッ当ッ! この巫女はッ!」

 

 さっきの意趣返しというわけではないが、てゐに言及されたときと同じ返しをする。

 てゐは今にも地団駄踏んで悔しがりそうな勢いで、憤慨している。……れーむ、知ってるよー、そんな風に怒り見せている割に全然抵抗していないてゐちゃんが、実は頭ナデナデ気に入っていること知ってるよー。

 

「あー! てゐがれーむになでなでされてるー!」

「ずるいー!」

「っ!? さっさと自分の持ち場に戻れ!」

「キャー! てゐ、おこったー!」

「にげろー!」

 

 こっそりと私達の後ろを付いて回っていたウサミミロリが、蜘蛛の子を散らしたように、わらわらと逃げていった。

 てゐは、子分であるウサギロリに、自分の恥ずかしい姿を見られて、少々頬が赤くなっている。

 うんうん、分かる分かる。目上の者としては、少しでも良いカッコしたいよね。

 私も美少女の前ではカッコイイ私を存分に見て貰いたいから、その気持ちは十分に理解できるよ。

 

「災難だったな」

「誰のせいだよ! 誰の!」

「ふふふ、お詫びにまたナデナデしてあげようか?」

「お断りだよ!」

 

 擬音にするならプンスカ、だろうか? そんな感じで足を怒らせながら、さっさと先の方へ向かうてゐ。……待って、置いて行かんといて、謝る、謝るから。巫女、土下座する勢いで謝るから。

 

 

ーーー

 

 

 何やかんやで永琳がいる部屋の前まで辿り着くことが出来た。

 てゐは仕事が残っている、と私を残してさっさとこの場を後にしてしまった。……私は寂しい、ポロロン。

 

「永琳、入るぞ?」

 

 いざ、部屋の中へ……Oh。

 

「やめっ、止めて下さいよ、お師匠様ぁー!」

「大丈夫、大丈夫よ鈴仙、ちょっとだけチクッとするだけだから、ちょっとだけこの薬の実験d……コホンッ、この薬の実験台になって貰うだけだから!」

「言い直せてませんよッ!? 誰かっ! 誰か助けて下さいっ!」

 

 なぁにコレ?

 部屋を開け、目の前に広がっていた光景は、縦にされた診察台に磔にされているウサミミのブレザー姿の美少女……鈴仙と。その鈴仙へ、注射器を片手に、微笑みを浮かべながらにじり寄る、銀髪三つ編みのナース姿の美女……永琳であった。

 うん、正直関わり合いになりたくない類の状況やね。

 

「あっ、霊夢さんっ!? た、助けて下さいぃぃぃ!」

 

 やっべ、鈴仙に気付かれた。

 救いの神が現れた、と言わんばかりに声を張り上げ、目を輝かせている鈴仙。

 そのウサミミはユサユサと揺れており、鈴仙の心情を如実に現している。……そんな鈴仙の様子を見た私は。

 

「……失礼した」

「いやぁぁぁ!? 待って下さいよぉぉぉ! 戻ってぇぇぇ! 戻ってきて下さいぃぃぃ! 霊夢さぁぁぁん! カムバァァァックッ!」

 

 磔にされていた彼女の名前は鈴仙・優曇華院・イナバ。

 元々は、月の都に住んでいた月の兎であったが、何やかんやあって、月から逃げ出し、この永遠亭で暮らしていいる。永遠亭では、幻想郷屈指の名医であるえーりんの元で、様々な雑用を任されつつ、師事している。

 足元まで届きそうな薄紫色の髪に、紅い瞳を持ち、頭頂部にはヨレヨレのウサミミが誇らしげに揺れている。

 服装は、制服的なもの……簡潔に述べると女子高生のようなブレザータイプの服装をしている。……そして、幻想郷の少女たちでも珍しく、ドロワーズを身に着けておらず、動けば動くほど、ミニスカートからパンツが垣間見れる。

 好奇心旺盛で、褒められたりするとすぐに調子に乗る。そして、妖怪の割りには、誠実で善良な一面が強い。その一方で、兎らしく臆病な面が有り、そこら辺を弄られてしまうこともしばしば。

 そのイジメっ子心を擽る仕草は、同性であっても魅了されてしまう。かく言う私も、鈴仙に意地悪して涙目になってあたふたしている姿を見るのは大好きである。……いつかはベッドの上でイジメてあげるつもりだ。

 戦闘と言うか、戦う時は自身の能力である『狂気を操る程度の能力』で、自分に暗示を掛けて狂わせているのか、どうなのか、普段とは一変して厳粛な理想の兵士像を体現する。……ぶっちゃけ、その状態だと、くっころが似合って仕方がないので、エロ同人誌みたいに乱暴したくなる。

 

「今度っ! 今度、何でもしますからァァァ!」

 

 ん? 今、何でもするって言ったよね?

 この私に向かって、何でもするって、そう言ってしまったよね?

 そうと決まれば、先ずは部屋から離れて、思いっ切り走って加速します。……で、扉が近付いてきたら、丁度良いタイミングで飛びます。

 

「天ッ誅ぅぅぅ!」

「きゃあぁぁぁ!?」

 

 加速の勢いをそのままに、部屋の扉を蹴破って、内部に侵入します。

 そして、今にも鈴仙の腕に注射をしようとしていた永琳を、背後から仰向けになるように押し倒し、馬乗りになって拘束します。……制圧完了。鈴仙救出ミッション、クリア。

 

「うぅ……きゅう」

 

 おやおや、勢いが強過ぎて頭を打ったのか、えーりんは意識を失っているご様子。

 一応、念には念を入れて、動けないように、何故か手元にあった荒縄で縛り上げます。……腕を頭の後ろに持って行って縛り、足は開脚させてM字で固定する。

 更に縛り上げたら、念を入れて、体重が掛からないように、覆い被されば完成だ。

 

 しかし、何時見ても美しいなえーりん。

 えーりん……フルネームを八意永琳は、この永遠亭で薬師をしている。

 元々は、月の都に住んでいたんだけど、輝夜が月から追放された時に付いてきたそうな。……一応、本人曰く、月に住んではいたけど、元は地上出身らしい。

 長い銀髪を三つ編みにしており、前髪は真ん中分けしている。瞳の色は珍しい銀色で、神秘的である。

 服装は少々変わっており、左右で色が分かれた特殊な配色の服を着ている。

 青と赤からなるツートンカラーで、上の服は右が赤で左が青、下のスカートは上の服の左右逆になる配色をしている。袖はフリルが付いた半袖になっており、全体的な色合いを除いたら中華服的な要素がある。

 頭には、全面中央に赤い十字架のマークが入った青いナース帽を被っている。

 出るとこ出て引っ込むところ引っ込んだナイスボディをしており、チャームポイントは、その存在を主張しまくる超巨乳。

 私の育ての親である、きょぬーゆかりんですら、えーりんのダイナマイトおっぱいには一歩譲る事になるほどの大きさだ。……正直、むしゃぶりつきたいです、はい。

 性格は基本的には物腰穏やかな大人の女性そのもの、だが微妙に行動的で好奇心旺盛なところもあったりする。……お転婆えーりん。

 長い年月を掛けて得た、豊富な経験と膨大な知識量を武器にしており、また、それらを使いこなす思考能力も並みではない。

 幻想郷きっての賢者であるゆかりんも、何度か出し抜かれたことがあるくらいに策士なところがある。

 まぁその分、突発的な事だったり、計画を大きく乱されたりしたら、焦って頭の中真っ白になっちゃうみたいだけどね。……永夜異変の時も、それで異変解決できたし。

 

 あ、それと、私の片手が気絶している永琳の胸を鷲掴みしているのは事故なんや、事故なんやで、意図的に手をそっちの方向に持っていったわけではないんやで?……せっかくの機会だから揉みまくるけどもね。

 片手から溢れ出る大きなおっぱい、服越しでも柔らかな感触と確かなハリを感じさせ、更には手の平にはその存在を主張するさくらんぼが一つだけポツンとある。……うんうん、おっぱいえーりん、マジ最高。

 

「あ、あら? 私は……なっ!?」

「ふふふ、おはよう。永琳」

「お、おはよう。……れ、霊夢がどうして? って!? 何なのこの状況っ!?」

 

 意識を取り戻したえーりんは自分置かれている状況を見て、面白いくらいに顔を真っ赤にして取り乱している。

 普段、人をからかったり弄ったりする立場にいる人って、いざ自分がからかわれたり、弄られたりする立場に立たされると、混乱して何も出来なくなるよね。

 

「お前が少し暴走気味だったからな、こうして拘束した」

「ぼ、暴走?……え、れ、鈴仙っ!? どうして磔にされているの!?」

「お、お師匠様が新薬の実験だって言って磔したんじゃないですかぁ」

「……し、新薬?」

 

 鈴仙の口から飛び出た新薬、という単語に首を傾げて困惑を露わにしているえーりんである。……えーりんには先程までの記憶はない。何故なら一度気を失ったら、薬を作った記憶を忘れるように細工したからね。

 

 実は此処までの騒動、最初から最後まで、私がコントロールしていたのさ。

 以前に、この永遠亭を訪れた際に、えーりんにちょっとした暗示を掛けておいたのである。……その暗示の内容とは、『バベルの塔を建てるための薬を、誰にもバレないように秘密裏に作る』というもの。そして、『もしも誰かの手によって気絶させられた場合は、薬を作っていた時の記憶を忘れる』というものの二つ。

 これにより、私は誰にも、そう誰にもバベル建造計画を知られること無く、マイバベルを手に入れることが出来るのだ。

 後は、何かしら適当な言い分を考えて、新薬をぶんどれば大成功、というわけだ。……クックックッ! まさに、計画通り(新世界の神)。

 

「そ、それよりも……何で私は、貴女に押し倒されているのかしら?」

「確実に動きを封じるために、な」

「んっ、ふぁ……む、胸を触っているのは、どうして?」

「さて、どうしてだろうな? 頭の良い永琳なら、分かるんじゃないか?」

「……意地悪」

 

 実は永夜異変以降から、調子が悪い覇王モードぱいせんのお陰で、胸を揉みしだいたりする程度なら出来るんやで、やでー。……お仕置きの判定がゆるっゆるっになってるのだよ、ワトソン君。

 羞恥からか、屈辱からか、頬を真っ赤に染めたまま、私から目を逸らすえーりん。首を傾けたことにより、露わになる首筋が色っぽくて、大変よろしい。……れーむ、いっきまーす!

 

「ひゃっ!? れれれ、霊夢!?」

「ふふふ、暴走してた分のお仕置きだよ」

「何処を舐め、てっ!? ひぅ!?」

 

 お仕置きだから、ペロペロするぜぇ。

 首筋に顔を近づけたことにより、えーりんの匂いが鼻腔を擽り、私の中の獣性を強く刺激する。そして、舌先をえーりんの首筋に着け、ゆっくりと舐めていく。

 ここで、勢い良く舐め回すのは素人のやる事だ。真のペロリストは、その瞬間瞬間を味わうように、ゆっくりと時間を掛けて、嬲るように、堪能するのだ。

 えーりんの体臭は媚薬効果でもあるのか、吸い込めば吸い込むほど、私の内側からえーりんを蹂躙したいという衝動が溢れ出してくる。

 そして、極めつけには、彼女自身の味だ。私と密着していることで、薄っすらと汗をかいている。……それが私の舌先に触れる度、下腹部が熱くなっていく。

 覇王モードぱいせんが無かったら、とっくの昔に、えーりんは私の毒牙に掛かり、ぶっ壊れる寸前まで滅茶苦茶にされていただろう。

 

「ひっあぁ、ふぅっくぅぅ、あ、やめ、やめて、れい、む、んっ」

「んっ、れろっ、くちゅ、ぷはっ……反省したか?」

「は、反省した、したから、もぉ許し、て、はぁはぁ」

 

 新薬開発のご褒美も兼ねて。何時もよりもマシマシでお仕置きにプラスしています。

 えーりんは、息も絶え絶えと言った様子で、口の端から涎が溢れ出し、涙目になりながら、時折身体を震わせている。そして、その身体は荒縄で縛られている。……見る人が、見ないでも完全に拉致監禁からの無理矢理パティーンのやつやね。本当にありがとうございました。

 

 取り敢えず、堪能したことだし、永琳の拘束を解く。

 手刀を一閃で、荒縄なんてすぐに切断できるのだよ。……鍛え上げた拳は、やがて鈍器へと変わり、最後には刃へと変わる。何処ぞの眼帯付けた空手家のハゲダンサーが言ってたんだから間違いない。

 

「ふぅ……酷い目に遭ったわ」

「その割には、身体はもっと欲しがっていたようだが?」

「あ、貴女の見間違いよ」

 

 えぇ〜ほんとにござるかぁ〜?

 そう言う割には、物足りなさそうに股を擦り合わせていたり、チラチラと何かを期待している様に、私の方を伺っているみたいでござるが?……ふふふ、このムッツリドスケベナースめ。

 

「ふふふ、お前は本当に愛しいな永琳」

「れ、霊夢」

 

 頬に手を当て顔を近付ける。

 何処か期待したように、目を瞑るえーりん。そのえーりんの唇と私の唇が重なるーー

 

「ふぇーん、何で二人して私を無視して盛り上がってるんですかぁ」

「「ッ!?」」

 

ーー筈もなく。

 

 鈴仙の泣き喚く声に驚いたえーりんは、私からさっさと距離を取る。……その顔は今、自分が何をしようとしていたのか、そんな事を考えていてリンゴのように真っ赤に染まっている。年齢的にはこの幻想郷でもトップレベルなのに、反応が乙女極まりない。えーりん可愛いよえーりん、はぁはぁ。

 

「すまないすまない、今開放してやる」

 

 技のバリエーションが多彩なので、今度は足刀で鈴仙の拘束を断ち切る。

 

「どうして霊夢さんはお師匠様ばっかりに構うんですか……やっぱり胸ですか? お師匠様みたいにバインバインじゃないとダメなんですか? 私だってそこそこあるのに、どうしてなんですかぁ、うぅ」

 

 漸く、診察台から開放された鈴仙は、しかし、その場に蹲って、メソメソとしている。

 

「どうせ、私なんてお師匠様たちと比べたら月とスッポン、それこそ天と地くらいの差があるんですよ。だから霊夢も全然構ってくれないんです。……ふんだ、どうせ私は弄られることしか芸のないウサギですよ」

 

 どうやらあんまりにも蔑ろにしすぎたせいで、すねているようだ。

 誰が見ても、すねてますよーと分かるくらいに暗くどんよりとしたオーラを纏いながら、グチグチと小言を言っている。……一番、面白いのは鈴仙のウサミミが心情を表すように、ショボーンと垂れ下がっているところだ。そのあまりの変わりように、さっきまで誇らしげに揺れていたウサミミと同じ物とは思えない。

 やれやれ、ウサギのお嬢さんはたいそう寂しがりやと見受けられる。此処は淑女(笑)として、彼女の笑顔を取り戻してやらねば。

 

「何をすねているんだ?」

「すねてなんかいません! 霊夢さんはお師匠様とよろしくやってたら良いじゃないですか!」

「お前をほったらかしにしていたのは、悪かったと思っているさ」

「助けてくれた時はカッコイイと思ってたのにぃ、なのにお師匠様といい雰囲気になってるし」

「あれは不可抗力というやつだ。それに、もしも永琳が暴走したままだったら、またお前が危険に晒されるだろう?……それとも、羨ましかったのか?」

「ううう、羨ましくなんかありませんよ! ななな、何言ってるんですか霊夢さんっ!」

 

 動揺しすぎクソワロタ。……この永遠亭はムッツリスケベが多いですな。

 本当は、私とえーりんのやり取りを見てて自分も混ざりたくなったんやろ? 教えを請う位に憧れているえーりんと、この幻想郷でも屈指の美少女である私との絡みに、混ざりたくなったんやろ? サンピーしたかったんやろ? な?

 

「それと鈴仙、お前私に助けを求めていた時に何でもするって言ったな?」

「……あ」

「永琳」

「……何かしら?」

「今晩、鈴仙を博麗神社に連れて帰るが、大丈夫か?」

「別に大丈夫よ。……良かったじゃない鈴仙、思う存分構ってもらえるわよ」

「の、ノォォォウ!」

 

 はい、ウサギ一名、お持ち帰り入りましたー。

 今日の抱き枕は、鈴仙、君に決めた!……私は眠っていても美少女を弄りまくるくらいに手癖が悪いからな。たっぷりと調教してあげよう、ムッフッフッフッ!

 翌日、はしたない格好で乱れに乱れているウサギの姿が、目に浮かぶようだ。楽しみである。

 

「さて、この薬どうしましょうか?」

「お師匠様、本当に作った覚えないんですか?」

「無いわね。……薄っすらとバベルがどうだとか、新世界の幕開けよ! なんて単語が浮かぶだけで詳細は全く分からないわ」

 

 思いの外、覚えていて戦慄している私がいる。

 流石はえーりん、この幻想郷でも最高峰の頭脳を持った美女である。……でも、流石のえーりんも意味不明な単語の羅列では、真相に行き当たることは厳しいようだね。ネットスラングとか、俗語とかには知識ないだろうし。

 

「良ければ、私の方で引き取ろうか? 私なら毒の類は一切効かないし、万が一ということもないだろうしな」

「そう? 貴女がそれで良いならお願いしたいくらいだけど」

「決まりだな、コレは私が責任を持って保管しよう」

 

 霊夢は念願の生える薬をゲットした!

 これで明日からプレイガール日和が始まることになるな! 幻想郷百合ハーレム計画が本格的に動き出すんや!

 さぁて、先ずは万が一にもお薬が壊れてしまわないように、仕舞っちゃいましょうねー。……やっぱり薬を仕舞うなら、胸の谷間やろ。

 机の上に置いてある薬に手を伸ばしーー

 

「このっ! 呪い日本人形めぇぇぇ!」

「うっさい! おばはん白髪頭ぁぁぁ!」

 

ーー目の前で、私の野望の集大成であるお薬が吹き飛んだ。

 

 あのね、いきなりね。天井を突き破って部屋に飛び込んできた二人組がいるんだ。

 名前はね、もこたんとぐーやって言うんだぁ。二人共すっごい美少女なんだよぉ。

 

 もこたんはねぇ、藤原妹紅って名前でねぇ。

 綺麗な白髪のロングヘアーに、深紅の瞳をしていてね。髪には白地に赤が入った大きなリボンを付けててね、毛先を小さい同じような色合いのリボンを複数結んでいるんだぁ。

 服装は、上は水に濡れたら良い具合に透けそうな白いワイシャツに、下は赤いもんぺみたいなズボンをサスペンダーで吊っているんだぁ。各所に貼られている護符がチャームポイントだねぇ。

 気が強くてねぇ、やさぐれてて執念深い性格でねぇ、不良みたいな美少女なんだぁ。不老不死であるせいかねぇ、かなり自虐的な行動が目立つ困ったさんなんだぁ。

 それでも心根は優しくてねぇ、誰かが竹林で迷っていたりしていたらねぇ、人里まで護衛を買って出たり、親しい者にはたけのこなどの山菜を取ってきてあげたりしてくれるのだぁ。本当、良い子だよねぇ。

 不良然としてても根は素直な娘ってねぇ、初な反応してくれるからねぇ、色々とイジり甲斐があるの本当ポイント高いよねぇ。口では反抗的な事言って必死に強がっているのに、身体は正直に反応して、どんどん堕ちていく。……ジュルリ。

 後、おっぱいの形は綺麗に整っているから、見応え有るし、感度も良いから、思ったよりも楽しめる反応を返してくれるのよね。流石は、もこたんだよねぇ。……何で知っているのかってぇ? 異変の時に少々、ね。色々とあったのよ、ね。うぇへへへ。

 

 ぐーやはねぇ、蓬莱山輝夜って名前でねぇ。

 あの有名な、竹取物語に登場するかぐや姫、その人なんだぁ。

 ストレートで腰まで伸ばした黒檀の如き黒髪をしていてねぇ、前髪は眉を覆う程度のぱっつん系なんだぁ。それでねぇ、目の色は日本人特有の黒でねぇ、ぐーやのは黒曜石みたいに吸い込まれてしまいそうなくらい深い色をしてるんだぁ。

 服はねぇ、上はピンクでね、胸元に大きな白いリボンがあしらわれていてねぇ、服の前側を留めているのも小さな白いリボンなんだぁ。それでねぇ、袖が長くってねぇ手を隠すくらい長くってねぇ、左袖には月とそれを隠すような雲、右袖には月と山のようなモノが、黄色で描かれているんだぁ。後、ピンク色の服の下には、白い服をもう一枚着ているみたいだねぇ。

 そして、下はねぇ、赤い生地に月、桜、竹、紅葉、梅みたいに、ザ・日本を連想させる色んな模様が、金色で描かれているスカートを履いていてねぇ、その下には白いスカートを履いてねぇ、更にその下には半透明のスカートを重ねて履いているんだぁ。スカートは非常に長く、地面に着いてなお横に広がるほどなんだよぉ……露出度少ないねぇ、悲しいねぇ。でも、脱がす楽しみは有るねぇ、ねぇ。

 月に住んでいた時から、我儘放題の箱入り娘として育てられていたらしくてねぇ、天然気味で少し世間知らずなところあってなぁ。

 性格は人見知りせず天真爛漫で、好奇心旺盛なんだぁ。……その好奇心を是非ともアッチ方面に向けて欲しいものだよねぇ。「霊夢! このピンク色のブルブル震えているの何?」みたいな感じでねぇ、うぇへへへぇ。

 

 二人共、喧嘩ばっかりしてて、いっつもこうしていがみ合いを続けているのよねぇ。……まぁ、喧嘩というよりもじゃれ合ってるって感じが強いかもしれない。喧嘩するほど仲が良いとも言うしねぇ、アハハハハハッ!

 もぉ、二人共やんちゃなんだから、アハハハハハッ!……はい、ぎるてぃ、ぎるてぃ。

 

「いっつもいっつも邪魔をして! 一体、私に何の恨みがあるんだよ! 折角、霊夢と一緒にご飯でもって思ってたけのこ集めてたのに!」

「別に良いじゃないの! 退屈だったのよ! 後、霊夢は、私の暇潰しに付き合わせるのよ! 田舎臭い炊き込み女は引き下がりなさい!」

「このぐーたら女!」

「何を! この時代遅れ!」

「「やるかッ!」」

 

ーーガシッ!

 

「「邪魔しないでよっ!……ひぃぃぃ!?」」

 

 言い争う二人の頭を引っ掴む。

 多分だけど、私はとっても笑顔になっているんだろうなって思う。……ほら、昔から言うじゃん? 笑顔って威嚇の意味合いも含んでいるって。

 

「互いの主張を通すために争い、勝敗を決めんとする。それは構わん。誰もがそうして己の主張を通してきた……だがな」

「あ、あのっれれれ、れい、む?」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

 何やら言い訳をしようとするもこたんと、壊れたゼンマイ玩具のようにごめんなさいを連呼するぐーや。……ごめんね、いくら美少女の頼みでも今回ばかりはどんなに言い訳しても、どんなに謝っても決して許さない。許してあげない。

 

「そ こ に 直 れ ぃ ッ ッ ッ !」

「「は、はいぃぃぃ!」」

 

 俊敏な動きで、その場に正座するもこたんとぐーや。

 おやおや、どうしてそんなに顔を青褪めてガタガタと震えているんだい?

 私はね、楽しみにしていたんだよ。この日をね、漸く念願かなってオニューのバベルを手に入れることが出来ると思っていたんだ。そうすれば、女体の神秘も暴きに暴けるだろうし、お仕置きの幅も広がって、とても気持ちよくて楽しい事になるんじゃないかって確信にも似た予感を感じていたんだよ。

 それが台無しにされてしまった。……私が今抱いている思いは一つだけ、たった一つのシンプルな思いだ。

 

「人様の迷惑にならんところでやれぃッッッ!」

 

 お前たちは私を怒らせた。……私のこの怒りが鎮火するまで、今夜は寝かせないぞ(はーと)。

 

 それから翌日に及ぶまでの長い時間、竹林の方から若い女の断末魔にも似た嬌声が鳴り響く事になる。

 もこたん、ぐーや……それと、巻き込まれた鈴仙。三人の快楽に悶え苦しむ声が延々と永遠亭に木霊したという。

 

 翌日の朝、様子を見に来たえーりんが目にしたのは変わり果てた三人の姿。

 全身を自分自身の体液で汚し、まるで襲われた後のようにハイライトが消え去った目で、快楽の余韻に身を震わせる変わり果てた三人の姿だったという。

 

 私? 私は満足したから普通に家に帰ったよ。

 バベルの件は残念な結果になったけど、よくよく考えてみたら、代用出来そうな技とか作れば問題ないだろうしね。……肉体変化、マツタケッ! みたいな?

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 永遠亭の薬師、八意永琳にとって、幻想郷の守護者、博麗神社の巫女、博麗霊夢は興味深い研究対象である。

 人間でありながら、種族的なハンデをものともせず、妖怪を叩き潰し、こちらの予想を遥かに越えるような常識破りの事をしでかす規格外の存在。

 

 ハッキリ言おう、永琳はこの巫女に、同性であるこの巫女に恋愛感情にも似た強い感情を抱いている。

 

 初めての出会いは異変の時。

 自分達が起こした永夜異変の時に初めて、この巫女と出会った。

 

 最初は何の関心もなかった。

 自分達の計画を邪魔する、ただの敵。自分達の計画を妨げる不確定要素の一人。それだけだった。

 

 次に感じたのは恐怖だ。

 様々な策を講じて、敵対している妖怪たちを封じ込み、非力である人間の巫女だけを孤立させた。

 後は煮るなり焼くなりどうとでもなる。計画が終わるまで苦労して作り出した結界の中に閉じ込めておこう、そう考え……その思い上がりを、正面から粉々に打ち砕かれた。

 ただの霊力を込めた拳の一振りで、結界を粉砕され、妖怪達を封じていた術を力業で無理矢理解除された。

 何だ、この人間は、いや、本当に人間なのか? 妖怪か? 神か? 少なくともその時の永琳にとってはそれらをも容易く凌駕する怪物に見えて仕方なかった。 

 

 そして、最後に感じたのは困惑と熱を孕んだ興味。

 この永遠亭では半ば恒例行事のように、永琳が仕えている主である蓬莱山輝夜と、その輝夜に浅くない因縁を持っている藤原妹紅による殺し合いが行われている。

 殺し合いと言っても、二人とも不老不死であるため、死ぬわけではないのだが……

 永夜異変の真っ最中、永琳が計画を進めている間も、輝夜と妹紅による殺し合いが行われていた。

 輝夜の放つ霊力の弾丸が、竹林を吹き飛ばし、地上を穴だらけにする。

 妹紅の放った炎が、竹林を焼き払い、大地を焦がす。

 互いの敵の事しか見えていない二人は、永琳を巻き込んで殺し合いを続けた。

 疲弊していない永琳ならば対処も出来ただろうが、彼女は強大な力を秘めた妖怪達を封じるために、力を大幅に磨り減らしていた。

 その挙げ句に、規格外の存在が現れ、どうにか足止めしようと更に力を磨り減らしていたのだ。

 殺し合いの渦中に放り込まれた永琳は、弾幕の雨に、嵐のような炎に晒される事になった。

 永琳も不老不死だ。どれだけ致命傷を与えられようと、例え細切れにされたとしても、肉体を再構成して復活する不老不死だ。

 だが、不老不死と言えど痛みは感じる。死なないと言っても痛みは感じるのだ。

 永琳は長い年月を生きてきた。今さら痛みに泣き叫ぶような柔な神経は持ってはいない。

 もう慣れたと、目を閉じ……しかし、一向に訪れる筈の痛みがやってこない。

 目を開き……驚愕した。

 

 自身の前に敵対者である筈の巫女が立っていたのだ。

 無数に飛び交う弾幕を、拳で打ち砕き。迫り来る炎を蹴りの一振りでかき消す。

 一切の迷いなく行われるその行為に、心の底から困惑した。

 何故、敵対者である自分を庇ってくれているのか。そのわけが理解できなかった。

 

「どうして? 敵である私を、どうして庇ったの?」

「異変が解決したら個人的に頼みたいことがあってな、その時のために借りを作っておきたかった」

 

 確かその時だ。

 真剣な表情でそんな事を言ってのけた巫女の姿に、強い興味を抱いたのは。

 

 その後はトントン拍子に状況が進んでいった。

 巫女……霊夢はその圧倒的な実力で以て、易々と輝夜と妹紅を鎮圧し、

 異変の要である術式をも破壊せしめた。……それなりに長い時間を掛けて作り出した最高傑作が呆気なく。

 

 此処まで来ると如何に天才であっても、どうにでもなれ、と半ば投げやりな気分にもなってしまう。

 

「さて、異変も解決したことだし、罪の精算……お仕置きの時間だな」

 

 そして、そんな時に霊夢の手によって行われた、お仕置きという、恐ろしい拷問の数々。

 逃げようとする動きを力任せに抑え込み、無理矢理、服を剥ぎ取られ、股を開かされ、頭が可笑しくなってしまいそうな快楽を強制的に味わわされた。

 敵対していた霊夢に身体を見られている、触られている、好き勝手にされている、という恥辱、屈辱、怒り。

 様々な感情が己の中で渦巻き、矢継ぎ早に注ぎ込まれる快楽が思考を真っ白に染め上げる。

 抵抗なんて出来なかった。……しても無駄だと分からされたから。

 拒絶なんて出来なかった。……この身体が、霊夢の手によって快楽を教え込まれてしまったから。

 最後には求めることしか出来なかった。……何故なら。

 

「ああ、綺麗だよ。永琳」

 

 どうしようもなく愛しい存在を見るように、柔らかな微笑みを浮かべている霊夢の姿が、心を掴んで離してくれなかったから。

 あれはダメだ。一度魅入られてしまったら、死ぬまで心に残り続ける。……まるで呪いと同じだ。

 最早、永琳は博麗の魅力に飲まれてしまった。……もう、どう足掻いても抜け出せない。

 恐らく、自分だけではない、と永琳は確信した。

 あの場で同じようにお仕置きされていた、てゐ、鈴仙、輝夜、妹紅も自分と同じように、霊夢に骨抜きにされてしまっただろう、という確信があった。

 

ーー無から始まり

 

ーー次いで恐怖

 

ーーやがて、恐怖は興味へ変じ

 

ーー最後の最後に沈み込む

 

 故に永琳は、霊夢をこう評するのだ。

 悪魔のような魔性の女、と。

 悪魔は古来、人を堕落させる存在として伝えられている。

 霊夢もまた、その圧倒的な力と、その心根からくる優しさ、お仕置きの時の意地悪な性格から、人を……特に女をドロドロに溶かし、愛欲の底へと引きずり込んでいく。

 一度、捕まってしまったら最後、絶対に逃がしてはくれない底無し沼のように。

 

 だからもう、永琳は逃れられない。いや、逃れる気すらも湧いてこない。

 何故なら永琳も、霊夢という底無し沼に溺れてしまった、恋する乙女の一人でしかないのだから……。

 

「はぁ、はぁ、霊夢……んっ」

 

 竹林の名医は溺れゆく、巫女の魅力に囚われて、愛欲の底に沈みゆく。

 




かくたの!

本日は、そこそこ狙って描写してみました。……アウトじゃないよね? ね?

取り敢えず、次回の更新は、前で予告したのもあり、連投……と言いたいんですけど、まだ修正が進んでいないので、明々後日の火曜日にしたいと考えています。
こ、今回のお話し、そこそこ長めだから許してくれ。
春巻きさん、最近睡眠不足やから本当、ギリギリやねん。

出来るだけ投稿日守れるように執筆してるけど、こればっかりはね。ごめんね。

感想とかいっぱい下さると春巻きの春巻きが春巻きして春巻きして、励みになるので、どうぞよろしくお願いしますね!
おすすめの何かや、逆に春巻きさんへのちょっとした質問も含んでくれても大丈夫でっせ……勿論、ハーメルンのガイドラインは守ってな、どやされたくないし。

そんじゃ、長ったらしい後書きは此処ら辺までにしておきましょうかね。
ではでは、皆さん、次回の更新まで、またのぉー

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