満月の夜、僕は一人夜空を眺めていた。と言っても天体観測が好きとかそういうわけではなく、ただフッと眺めているだけだった。
「……そろそろ寝るか……」
春とは言えまだ冷えるため、僕は寝ようとした時夜空に何かが飛んで、落ちるところを見つけた。
「流れ星にしては……変な動きだったな……」
特に気にせず、僕は眠りにつくのであった。
次の日の朝、特に用事もないから掃除でも始めようとした時、端末にメッセージが入った。
「みらいから?一緒に魔法使いを探そうって……何のことだよ……」
幼馴染である朝日奈みらいからのお誘いのメッセージ、断るのも悪いし付き合ってやるか。
僕は支度を済ませ、待ち合わせ場所まで行こうとした時、あるものが無いことに気が付き、机の上に置いた腕輪と5つの灰色の石が入った巾着を手にとるのであった。
この二つは両親曰く発掘されたものらしく、僕はそれをもらうことになったのだが……
「行ってきます」
僕はそう言い残して、家を出るのであった。
待ち合わせ場所に着くがみらいはまだ来ない……
「たくっ、何してるんだ?」
一人、そう呟いているとようやくみらいがやってきたけど……隣りにいる女の子はだれだ?
「お待たせ~」
「遅かったけど……隣の子は誰だ?」
大きな帽子にほうきを持った女の子……まるで魔法使いみたいな見た目だけど……
「陽斗くん、この子ね魔法使いなの!!」
「……そうか~魔法使いか~とりあえず買っておいたぞ。イチゴメロンパン」
みらいの言動は気にしない方が良いな。というかまだ寝ぼけてるのか?隣の女の子も困ってるし……
三人で近くのベンチに座りながら、イチゴメロンパンを食べているとみらいが女の子にあることを聞いてきた。
「魔法使いさんは何をしてたの?」
「ちょっと探しものを……友達と一緒に来たんだけどはぐれて……捜し物と探し人ね」
「ようするに迷子か」
「迷子じゃないし!?」
ツッコミを入れる魔法使い?の女の子、するとみらいはキラキラした目であることを頼むのであった。
「箒に、一緒に乗せて!」
「無理よ、一人乗り用だし」
というか乗らなくていいんだぞ。そんな魔法だなんて……
「…何か1つだけ、魔法見せてあげる」
一体何を見せてくれるのやら……みらいも嬉しそうにしてるし……
女の子は近くの木の上で眠っている猫を見つけると、星型のステッキを取り出した。
「じゃあ、猫とお話するってのはどう?キュアップ・ラパパ!猫よ、お話なさい!」
『わんわん』
「しゃべらないね……」
「というか……まじで魔法使いなの?」
「陽斗くん、信じてなかったの!?」
「まぁ普通は信じないわよね」
魔法使いの女の子はもう一度猫を喋らせようとするが、今度はペラペラという単語を喋りだした。明らかに失敗なのだろうけど、本当に魔法なんだな
「ま、まぁ今日は調子が悪いだけで……」
「そっか……そうだ。モフルンとお話できないかな?」
みらいがいつも持ち歩いているぬいぐるみ、モフルンを見せた。女の子は難しそうな顔をして……
「ぬいぐるみは喋らせようがないわね……」
「そっか……この子ね。モフルンって言って、私が生まれた時におばあちゃんがくれたんだって、ずっと一緒なの、兄妹みたいに……」
三人で桜並木を歩きながら、みらいがモフルンについて話していた。ということは僕とモフルンは幼馴染になるのかな?
「もし出来るのならお話してみたいんだ。もしあの時、モフルンを落としたこと気がつかないままだったら…私……本当に…本当にありがとうね、魔法使いさん」
「………リコよ。私の名前はリコっていうの」
「リコちゃん……私、朝日奈みらい」
「僕は浅賀陽斗。よろしく」
互いに自己紹介をすると、リコはすぐにどこかへ行こうとしていた。
「じゃ、私もう行かなきゃ……」
「そっか…探しものがあるんだもんね………じゃ、どこから探そっか」
「まずは……って、はぁ!?」
やれやれ、僕も探しものに付き合うことになるのか……まぁこれも何かの縁だしいいか
「ほら、同じペンダントを持ってる縁で、一緒にね」
「あなたね……」
「おやおや…こんな所に魔法使いがいらっしゃるとは……」
突然僕たちの前に現れた黒服姿の男。変質者か?だとしたら逃げるべきだけど……
「だとしたらリンクルストーンの手がかりを知っているはずですね」
「知ってるの?リンクルストーンのこと?」
リコが変質者から何かを聞き出そうとした瞬間、みらいがリコの手を掴み、逃げ出すのであった。僕もそれに合わせて二人の後を追っていく
「ちょっと、何を……」
「ごめん。でも危ないから……」
「えっ?」
「近づいたらあぶない」
「でも、あいつ、捜し物のことを……」
「ごめん!でも逃げなきゃって。近づいたら危ない…とってもこわい感じが…」
「みらいの言うとおりにしておけ。ああいうのは本当に危険なやつだから……」
必死に逃げ出していくが、木の枝にコウモリのように立っているさっきの変質者がいた。なんというか明らかに化物みたいだな
「お話の途中なんですが…」
男は地面に降り立ち、杖を構えた。
「私の名前はバッティ。魔法にまつわる伝説の1つ。人知をこえた強大な力の結晶、リンクルストーン。我らが欲するのはその中心となる輝き…リンクルストーン・エメラルド。
何かご存知だったりしませんかね?」
バッティが赤目を見開いた瞬間、僕は地面に落ちていた木の棒で殴りかかった。
「二人はさっさと逃げろ!!」
「で、でも……陽斗くん」
「………逃げるわよ!あんたも戦おうとしないで逃げなさい」
リコはみらいを箒に乗せ、その場から逃げ出していった。僕は木の棒でもう一度殴りかかろうとするが、バッティはいとも簡単に受け止めた
「ナシマホウ界の人間が勝てるはずないでしょ!!」
思いっきり膝蹴りを喰らい、僕は地面に倒れ込むのであった。
「このバッティから逃げられるとお思いですか?魔法、入りました! いでよ、ヨクバール!」
黒い何かに包まれたトラックとカラスが一つになり、巨大な怪物に変わった。怪物はみらいたちを追っていく。
「それではまた会えたら会いましょう」
「させ……るか……」
バッティの足を掴み、にらみつけるとバッティは呆れた顔をしていた。
「やれやれ、仕方ありませんね」
何かの痛みを感じ、目を覚ますと空に浮かんでいた。近くにはみらいとリコの二人がピンチになっていた。
「もはや、浮いているのが精一杯のようですね。さて、もうお2人ともおとなしく…」
「待って!この子たちは関係ない!!だから……」
「それを決めるのは私ですよ。それともまだ抵抗しますか?しかし両手がふさがっていては杖も持てない。魔法も使えませんね。それに妙な動きをしたら、彼を落としますよ」
どうあがいても絶望の状況の中、リコは必死にある言葉を叫びだした。
「キュアップ・ラパパ!怪物よ…怪物よ、あっちへ行きなさい」
その叫びは何かにすがるような叫び……僕はその叫びを聞いていると、ポケットの中が熱くなってきた。
「キュアップ・ラパパ!怪物よ、あっちへ行きなさい!キュアップ・ラパパ!怪物よ、あっちへ行きなさい!」
みらいも同じように呪文を唱える。バッティはそれを聞いて笑い声を上げていた。
「「キュアップ・ラパパ!怪物よ、あっちへ行きなさい!」」
二人の呪文が重なった瞬間、まばゆい光に包まれた。そして僕のポケットの中に入っていた巾着から白い石が飛び出してきた。
「これは……」
白い石は導かれるように腕輪にはめ込まれた瞬間、僕は拘束を抜け出し、近くのビルの屋上に降り立った。
「よくわからないけど……力を貸してくれるんだな」
みらい達の包み込む光が消えると、二人のもっていたペンダントが光り輝き、二人とモフルンが手をつないだ。
「「キュアップ・ラパパ!ダイヤ!ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!」」
二人がまばゆい光とともに全く違う姿に変わった。
「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」
みらいは長い金髪に、ピンクを基調とした衣装に身を包み、少し大人っぽい姿に変わり、
「ふたりの魔法!キュアマジカル!」
リコは翼状の髪型に変わり、紫色を基調とした衣装に身を包み、みらいと同じように大人っぽい姿に変わった。
「「魔法使いプリキュア!」」
「プリキュア……」
二人が変身したのと同時に、僕の腕輪がまばゆく光りだした。そして腕輪にはめ込まれた石……二人が持っているダイヤと同じものだった。
「力を貸せ!!ダイヤモンド!!」
叫んだ瞬間、腕輪がみるみるうちに形を変え、黒い髪から白い髪に、着ている服も騎士甲冑に変わり、腕輪が白い剣へと変わった。
「その姿……それにその腕輪……もしかして……」
マジカルが僕の姿を見て、驚きを隠せないでいた。いや、一番驚いてるのは僕の方なんだけど……とりあえずこの怪物をぶっ飛ばすのが先だな