刹那の軌跡   作:Seli

25 / 59
後2~3話ぐらいで2章のクロスベル編に入ります。オリジナルストーリーなんでご了承ください。
これからもこの作品をよろしくお願いしますm(__)m


22話

「何だ?」

 

 

 

「今の音は....」

 

 

 

エリオットも何かを感じ取り、周囲を見回した。

 

 

 

「エリオット、どうかしたのか?」

 

 

 

「なんか、笛みたいな音が聞こえた気がしたんだ、」

 

 

 

「俺も聞こえたな。それにどうやら面倒くさいことになったみたいだ。」

 

 

俺は村雨を構えた。

 

 

「ツヴァイ?」

 

 

グアアアア!!

 

 

 

俺が剣を構えた時に、その前方方向から獣の咆哮が鳴り響いた。

足音も複数響いてきているな。 

 

 

「な、なんだよ今のは!?」

 

 

 

「何が近付いてきてるの!?」

 

 

 

リィン達と窃盗犯達が驚いている。 リィンが音の発生している方向に意識を向ける。

そこに地面を揺らし、木々を押し倒して現れた魔獣がいた。

 

 

 

ガアァアーーーッッ!!

 

 

 

巨大なヒヒの魔獣『グルノージャ』 不自然に殺気立っており、明確な敵意を俺達に向けている。

しかも4体同時に現れた。

 

それを見た瞬間、ツヴァイ以外のメンバーに緊張がはしった。

 

 

「嘘でしょ....」

 

 

「そんなバカな....」

 

 

「これは、俺達でいけるのか....」

 

 

「私たちでは厳しいのではないか...」

 

 

リィン達は敵の強大さに絶望していた。

だが、一人だけ武器を構え前に出る人物がいた。

 

 

「やれやれ。こんな大所帯で来なくてもいいのにな。いきなり難易度高すぎるだろ...」

 

 

と言いながら、俺は剣を振り三体を吹き飛ばし、離れさせた。

残りの一体にも一撃を加え、怯ませた。

 

「ツヴァイ!?」

 

 

他のメンバーは驚いていた。

 

 

「リィン! 三体は引き受けるから、残りの一体任せれるか?」

 

 

 

「そんな! 危険すぎる!」

 

 

 

「間違えるなよ、リィン... 現状ベストな作戦がそれだ。 このままだと間違いなく全滅コースだ。」

 

 

 

「そんなの危険すぎるわ!」

 

 

「そうだよ!」

 

 

「そなたに何かあったらどうするのだ!?」

 

 

アリサとラウラとエリオットは、ツヴァイを一人にさせることを反対している。

 

 

「ツヴァイ? 大丈夫なのか?」

 

 

「ああ。これ以上の修羅場くぐってきたことがあるからな。」

 

 

「分かった。一体倒したら、すぐに援護に向かう。絶対に死ぬなよ。」

 

 

「リィン!?」

 

 

「ツヴァイ! 絶対に帰ってきてよ...」

 

アリサは泣きそうな顔で、俺の服を掴んできた。

 

 

「約束する。お前達も気をつけろよ!」

 

 

 

俺はリィン達と離れ、三体の『グルノージャ』の所へ向かい、更に吹き飛ばしリィン達から距離をとった。

 

 

 

「さてと。これだけ離れたら力を少し出しても大丈夫だな。お前らには悪いが、急いで音の発生源を調べたいから、容赦なくいかせてもらうぞ!」

 

 

俺はグルノージャとの戦闘を開始した。

 

力を少し解放し

 

 

「八葉一刀流 七の型《無》」

 

 

すれ違い様に切りつけ、グルノージャの背後に回った。何をされたか気づいてないようで、俺が刀を鞘に納めた瞬間致命傷レベルのダメージが与えられ、

 

 

「ガアァァァァァッッ!!」

 

と悲鳴を上げて、三体のグルノージャは消滅していくのだった。

 

 

 

俺は急いで音の発生源の方角へ向かっていった。その辺りにはもう誰もいなかった。

 

 

 

「ちっ、逃げられたか。まだ近くにいるだろうが深追いは危険か。それに、リィン達が心配だから戻ろう。」

 

 

 

俺は急いでリィン達がいる場所へ戻った。

戻るとアリサ達が一生懸命探していた。

 

 

「ツヴァイー! 返事してよ、お願いだから....」

 

 

 

「アリサ達も大丈夫だったみたいだな。って!?」

 

 

と声をかけると、

 

 

アリサが胸に飛び込んできた。

 

 

「バカ! どこに言ってたのよ! 心配したんだから! あの魔獣一体だけでも四人でやっとだったのに、三体を一人だけで相手するって無茶するし! 貴方が死んだらって思うと怖いのよ!

お願いだから、これ以上心配させないでよ...。」

 

 

「良かった。ソナタも無事であったか。アリサだけでなく、私達も心配しておったのだぞ。

頼むから無茶だけはしないで欲しい。」

 

 

ラウラも不安そうな顔をしながら、俺に近づいてきた。

 

 

 

「ツヴァイ! 無事で良かったよ~」

 

 

「無事で良かったよ。」

 

 

とリィンとエリオットも言った。

 

 

俺は、アリサとラウラの頭を撫でながら

 

「悪かったよ。今後は気をつけるよ。リィン達に心配かけたくないし、アリサとラウラにこんな顔させていたら悪いしな。」

 

笑顔で言うと、

 

 

「ば、ばか! 気をつけてよね!」

 

 

「な、何をするのだソナタは!?

わ、分かればよいのだ。なんなのだ、この感じは....? ゴ、ゴホン! それよりもこやつらはどうするのだ?」

 

 

二人は顔を赤くし、俺から距離を取った。

 

 

 

ラウラの問いに、俺達は気絶している窃盗犯達を見た。

 

 

 

「全く、情けないわね!」

 

 

 

「騒れるよりは良かろう。」

 

 

 

「ここに置いていても、あれだし連れていくか。それで良いか、みんな?」

 

 

「ああ、連れていこう!」

 

 

本来の目的である窃盗犯達の事を連れて行こうとした時

 

 

 

「貴様ら、何をしている!」

 

 

 

「え!?」

 

 

 

「こ、これって...」

 

 

 

「面倒な者たちが駆け付けて来たようだな」

 

 

 

「やれやれ、ようやくご登場かよ。」

 

 

 

この場に駆け付けて来たのは領邦軍の兵士達。 今朝にも見た隊長を筆頭とした兵士達は、ツヴァイ達の姿を確認すると、犯人かのように囲った。

 

 

 

「これはどういうつもりなのですか?」

 

 

 

「何故、そこの彼らではなく我らを取り囲むのだ?」

 

 

 

リィンとラウラは疑問の言葉を投げかけるも、一蹴されてまともに聞いてはくれなかった。

 

そして、捕らえられている筈の窃盗犯達は勝ち誇ったかのような笑みを浮かべていた。

 

 

 

(なるほどね... 帝国もここまで落ちぶれたか。)

 

 

 

領邦軍の隊長は言った。

 

 

 

「抵抗しない方が身のためだぞ。確かに、商品もあるようだが彼らがやった証拠はなかろう。 可能性があるとすれば『君達』の仕業ということもあり得るのではないか?」

 

 

 

「ええっ!?」

 

 

 

「そこまで我らを愚弄するか」

 

 

 

「本気でそんな事がまかり通るとでも?」

 

 

 

ラウラとリインは反論するが、そこまで強くはしなかった。

 

ツヴァイの導力器(オーブメント)に映像があるためだ。

 

 

「そ、そいつが映像を録画してました。」

 

 

 

「なんだと? おい。 お前が持っている導力カメラをこちらに寄越せ」

 

 

 

俺は皆を庇うように前に出て

 

 

 

「残念ながらカメラは持ってないんですよ。」

 

 

 

「嘘をつくな! 撮影した映像を早くだせ!」

 

 

「お断りします。それといつまでこんな茶番続ける気なんですか?ケルディックでの証言を集めれば俺達が犯人でないことがすぐに分かります。 罪をなすり付けるにしても無理がありますし、いくら四大名門だろうと領邦軍だろうと、そんな事をすれば貴方の足りない頭で考えてもどうなるかお分かりでしょう?」

 

 

俺の挑発てきな言葉に、リィン達は絶句していた。

 

隊長の指示で兵士達が銃口を突きつけてきた。

 

 

 

「貴様....! まあ、良い。

弁えてもらおうか。 ここは公爵家が収めるクロイツェン州の領内だ。 これ以上学生ごときに引っ掻き回される訳にはいかん。 私達に歯向かうお前達を容疑者としバリアハート市に送る事にする。」

 

 

 

「ハハハハハハ! コイツは傑作だ! ここまで、阿呆な集団とは思いませんでしたよ。貴族は何されても許されるってか? そんなものクソくらえだ。」

 

 

 

「ツヴァイ!?」

 

 

 

「貴様! 我らを更に侮辱するか? 重罪に値する!」

 

 

 

隊長は目尻を険しく吊り上げ、片手を上げようとする。

 

「だって事実でしょう? ここまで時間稼ぎに乗ってくださるとは思いませんでしたよ。

どうやら貴方達とは違い、優秀な軍が来たようですよ。」

 

 

俺がそう話した瞬間

 

 

「そこまでです!」

 

 

 

涼しげで凛とした声がここまで届いて来た。 現れたのは灰色の軍服を纏った4人の隊員だった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。