刹那の軌跡   作:Seli

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51話

〈ツヴァイ Side〉

 

 

俺は現在エステルに抱きつかれている。

後ろからの殺気が尋常では無い状態になっているんだが…………

とにかく今の状況をどうにかしないと!

 

 

「エステル? 急にびっくりするだろうが。周りの人が見てるから離れてもらえるか?」

 

 

 

「嫌! 久しぶりだから離れない!」

 

 

おいおい。そんなこと言ううから、殺気が更に膨れあがったんですが………

完全に話が終わったら殺される気がするんだが。

 

 

「あの、エステルさん? あんまりわがまま言われると困るんだが…………」

 

 

「この間だって、シェラ姉とヨシュアだけ通信で話しして私とは話さなかったじゃない!

だから嫌なの!」

 

 

エステルは久しぶりに会った影響のせいか、すごく駄々をこねている。

こんな状況で無かったら、エステルの好きにさせているんだが、今は非常にまずい!

俺は助けを求めて、ヨシュア達の方を見たが全員から目を反らされた………

何でだよ………

助けてくれよ!

 

 

すると後ろから、ロジーヌ達が

 

 

「兄さん? いつまでそうしているのですか?

それとすみませんが兄さんから離れていただけますか? ちょっとお話したいので。」

 

 

 

「ツヴァイさん? 何鼻の下伸ばしてデレデレしてるんですか? 私達への当てつけなの?

エステルさん? 好きでもない人にそういうことするのは、良くないわよ。」

 

 

 

「ツヴァイさん、不潔です……………

エステルさんも人前で抱きつくのはよろしくないかと思います。」

 

 

 

ロジーヌ、エリィ、ティオからそう言われ、見かねたヨシュアがエステルに言った。

 

 

 

「エステル? 大好きなツヴァイ兄さんに会えたのは分かるけど、周りを見て少し落ち着こうか?」

 

 

 

 

 

 

「…………へ? あっ、ごめんなさい! 私久しぶりにツヴァイ兄に会えたから嬉しくて!」

 

 

 

そう言いながら離れ、俺はロジーヌに腕を後ろから引っ張られた。ロジーヌの方を見てみると、頬を膨らませていた。

 

 

「ロジーヌさん…………?」

 

 

 

「むー。兄さん、この人は誰なんですか?

また、知らない間に可愛い女の子引っかけて……………」

 

 

「いやいや、何でそうなるんだよ…………

引っかけてとかそんなことした覚え無いぞ?

ってかロジーヌさんも離れてもらえます?

エリィさんとティオさんが、凄く此方を見ているので…………」

 

 

「兄妹なんで問題ありません!」

 

 

ロジーヌが言うと、エステルがロジーヌとは反対側から俺を引っ張り

 

 

「むー。ツヴァイ兄、その人誰なの!?

ってか貴方離れなさいよ!」

 

 

「なっ!? 貴方こそ兄さんから離れてください!」

 

 

ロジーヌとエステルガケンカし始め、

更に状況がややこしくなりやがった………………

 

 

すると

 

「ツヴァイさん…………? ここに来て正座。

貴方達も一緒にね。

拒否権はもちろん無いわよ? 良いわね?」

 

 

エリィが黒いオーラを放ちながら、目が笑っていない笑顔でそう言った。

 

 

「…………はい。」

 

 

俺達は、逆らってはいけないと本能的に感じ、諦めてエリィの言うとおりにし説教を受けるのだった…………………。

 

 

 

〈ツヴァイ Side out〉


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